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第1部 第5章「新たな始まり」
第21話「貴族としての責任、そして新たな挑戦」
第21話「貴族としての責任、そして新たな挑戦」
王都での滞在を終え、僕たち家族は町に戻った。
町の入口では、ゲオルグさんと双子、そして多くの町民が出迎えてくれた。
「お兄ちゃん!」
レオとリナが駆け寄ってくる。
「ただいま」
僕は二人を抱きしめた。
ゲオルグさんが前に出る。
「おかえりなさい。そして…おめでとうございます、アレン男爵、グレン男爵」
町民たちも口々に言う。
「おめでとうございます!」
「親子で男爵だなんて!」
「すごい!」
父が町民に向かって頭を下げる。
「ありがとうございます。これからも、よろしくお願いします」
僕も頭を下げる。
「みなさん、爵位をいただきましたが、何も変わりません。これからも、一緒にこの町を良くしていきましょう」
町民たちが拍手する。
その夜、屋敷で家族会議を開いた。
「貴族になって、色々変わったね」
ソフィア姉さんが言う。
「領地も持つことになったし」
マルク兄さんも頷く。
「これからは、領主としての責任もあるんだね」
父が真剣な表情で言う。
「そうだ。領地を治めるというのは、大きな責任だ」
「領民の生活を守り、土地を発展させ、国に貢献する」
「簡単なことではない」
僕も頷く。
「わかっています。でも、この町はもう基盤ができています」
「冒険者制度、建築ギルド、学校、診療所…全て機能しています」
母さんが言う。
「でも、これからもっと人が増えるかもしれないわね」
「貴族の領地となれば、移住してくる人もいるでしょう」
父が提案する。
「アレン、俺の領地とお前の領地は隣接している。協力して、この地域全体を発展させよう」
「はい。それが一番いいと思います」
ノエルが言う。
「私にも、何かできることはある?」
「もちろん。ノエルのクラフト魔法は、この町に欠かせないよ」
翌日、僕は町の幹部を集めて会議を開いた。
ゲオルグさん、ハンス(財政担当)、オットー(治安担当)、エーリッヒ(建設担当)、ゲルハルト先生(教育担当)。
「みなさん、報告があります」
僕は叙爵のことを改めて説明した。
「この町は、正式にノイヴァルトハイム男爵領となりました」
幹部たちが頷く。
「そして、僕は領主として、この町の発展に全力を尽くします」
ゲオルグさんが言う。
「私たちも、全力でお支えします」
ハンスが言う。
「財政は安定しています。建築ギルドの収入もありますし、冒険者たちの収入も増えています」
オットーが報告する。
「治安も良好です。城壁ができてから、魔物の被害はゼロです」
エーリッヒが言う。
「建築の依頼も増えています。近隣の村から、続々と」
ゲルハルト先生が言う。
「学校も順調です。子供たちの読み書きのレベルが、みるみる上がっています」
僕は嬉しくなった。
「みんな、本当にありがとう。これからも、よろしくお願いします」
数日後、僕は父と二人で話す機会を持った。
父の領地――ヴァルトハイム男爵領の視察に同行したのだ。
父の領地は、僕の町から徒歩で二時間ほどの場所にある。
王都寄りで、魔の森には隣接していない。
平原が広がり、農地に適した土地だ。
「ここが、俺の領地だ」
父が誇らしげに言う。
村が一つある。人口は約150人。
僕の町より小さいけど、静かで平和な雰囲気だ。
「良い場所ですね」
「ああ。昔、ここを治めていた頃の記憶が蘇ってくる」
父が懐かしそうに言う。
村人たちが、父を歓迎してくれる。
「グレン様、おかえりなさい!」
「十年ぶりですね!」
「覚えていてくれたのか」
父が感動している。
「当たり前です! グレン様は、良い領主でした」
一人の老人が言う。
「不当に追い出された時、私たちは悔しかった」
「でも、戻ってきてくださった。本当に嬉しいです」
父の目から、涙が溢れる。
「ただいま。そして、これからもよろしく頼む」
僕は、父と村人たちの絆を見て、温かい気持ちになった。
父の領地を視察した後、僕たちは今後の方針を話し合った。
「アレン、お前の町の冒険者制度や建築ギルドを、こちらでも導入したい」
父が言う。
「もちろんです。ノウハウは全て共有します」
「それに、この村の人たちにも、魔法を教えたいです」
父が驚く。
「魔法を…?」
「はい。身体強化魔法と空間収納。これだけでも、生活が大きく変わります」
僕は説明する。
「もちろん、神眼で信用できる人だけに限定します」
父が頷く。
「わかった。頼む」
一週間後、僕は家族全員で魔の森に向かった。
目的は、鉱脈の探索だ。
双子も一緒だ。
「今回は、危険な場所には近づかないから、大丈夫だよ」
母さんが心配そうだけど、父が言う。
「大丈夫だ。俺もいるし、アレンもいる」
森に入ると、僕はサーチ魔法を発動する。
「サーチ・マナ」
周囲の魔力反応を探知する。
魔物の反応もあるが、それとは別に――
地中から、強い魔力反応を感じた。
「あっちだ」
僕たちは魔力反応の方向に進む。
途中、ゴブリンの群れと遭遇したけど、家族で協力して倒す。
双子も、身体強化魔法で強化した身体で、小さなゴブリンを牽制している。
「えい!」
レオの蹴りが、ゴブリンを怯ませる。
「やった!」
リナの光の玉が、ゴブリンの目を眩ませる。
「双子、上手くなったね」
ソフィア姉さんが驚いている。
さらに奥に進むと、洞窟が見えてきた。
その洞窟から、強い魔力反応がする。
「ここだ」
洞窟の中に入ると――
壁が、キラキラと輝いていた。
金色、銀色、赤銅色。
そして、青白く輝く鉱石も見える。
「これは…」
僕は神眼で確認する。
「金鉱脈、銀鉱脈、銅鉱脈…そして、ミスリル鉱脈!」
家族が驚愕する。
「本当に…!」
「すごい…」
さらに奥を探ると、もっと希少な鉱石も見つかった。
緑色に輝く鉱石――オリハルコン。
漆黒に輝く鉱石――アダマンタイト。
「全部ある…」
僕は興奮を抑えきれない。
「これで、武器や防具が作れる」
父が言う。
「しかし、この場所は秘密にしなければ」
「もちろんです。この鉱脈のことは、家族だけの秘密」
全員が頷く。
「誰にも言わない」
僕は空間収納から、採掘用の道具を取り出した。
ツルハシや袋。
「じゃあ、採掘しよう」
数時間かけて、各種鉱石を採掘した。
金鉱石、銀鉱石、銅鉱石、そして――
ミスリル鉱石を、たっぷりと。
オリハルコンとアダマンタイトも、少量採取した。
「これだけあれば、十分だね」
空間収納に全て入れる。
洞窟を出ると、既に夕方だった。
「帰ろうか」
家族で森を出る。
途中、またゴブリンと遭遇したけど、双子も含めて全員で倒した。
双子の成長が、目に見えてわかる。
「レオもリナも、強くなったね」
母さんが嬉しそうだ。
「うん! もっと強くなる!」
町に戻ると、僕はノエルと一緒に、ミスリルの武器製作に取り組んだ。
屋敷の裏に、簡易的な工房を作る。
「アレン、クラフト魔法で武器を作るの?」
「うん。まず、鉱石を精製してインゴットにする」
僕はミスリル鉱石を取り出す。
そして、クラフト魔法を発動する。
「クラフト・リファイン」
魔力が鉱石を包む。
不純物が分離され、純粋なミスリルだけが残る。
それが溶けて、固まって――
ミスリルのインゴットが完成する。
「すごい…こんなに簡単に…」
ノエルが驚いている。
「クラフト魔法なら、鍛冶の工程を省略できるんだ」
次に、インゴットから武器を作る。
「今回は、刀を作ってみようか」
僕は刀の設計図をイメージする。
日本刀のような、美しい曲線の刀。
全長約70センチ。
クラフト魔法を発動する。
「クラフト・フォージ」
魔力がミスリルインゴットを包む。
インゴットが形を変え、伸び、曲がり――
美しい刀身ができあがる。
そして、柄も作る。
木材と革を組み合わせて、握りやすい柄。
鍔も、ミスリルで作る。
三十分後――
ミスリルの刀が完成した。
青白く輝く刃。
美しい曲線。
完璧なバランス。
「完成…」
僕は刀を手に取る。
軽い。でも、とても頑丈だ。
試しに、近くの岩を斬ってみる。
スパッ。
岩が、豆腐のように斬れる。
「すごい…切れ味…」
ノエルが驚愕している。
「ミスリルは、魔力伝導率が高いから、魔法も通しやすいんだ」
僕は刀に魔力を流してみる。
刀身が、青白く輝く。
「これなら、魔法剣としても使える」
「私も、槍を作りたい!」
ノエルが目を輝かせる。
「じゃあ、一緒に作ろうか」
僕とノエルで、ミスリルの槍を作る。
全長約180センチ。
穂先はミスリル、柄は軽量な木材。
一時間後、ミスリルの槍も完成した。
「すごい…軽くて、でも丈夫…」
ノエルが槍を振る。
美しい軌跡を描く。
「これなら、もっと強くなれる」
「家族のみんなの分も作ろう」
僕はさらに武器を作り始めた。
ソフィア姉さん用のミスリルの剣。
マルク兄さん用のミスリルの矢じり(大量)。
母さん用のミスリルの短剣。
父さん用のミスリルの剣。
レオとリナ用の小さなミスリルの短剣。
全て、クラフト魔法で作る。
夜遅くまで作業を続けて――
全員分の武器が完成した。
翌日、僕は家族全員に新しい武器を渡した。
「これ、みんなへのプレゼント」
家族が驚く。
「ミスリルの武器…!」
「すごい…」
ソフィア姉さんが剣を手に取る。
「軽い…でも、すごく頑丈…」
マルク兄さんも矢じりを確認する。
「これなら、もっと遠くまで飛ばせる」
母さんも短剣を握る。
「美しいわ…」
父さんも剣を振る。
「素晴らしい…こんな武器、見たことない…」
レオとリナも短剣を握って、嬉しそうだ。
「僕の武器!」
「私の武器!」
「大切に使ってね」
その午後、僕は建築ギルドの作業現場を視察に行った。
数ヶ月ぶりに、実際の建築作業を見るためだ。
現場に着くと――
僕は驚いた。
「え…こんなに速い…?」
以前は一日がかりだった家が、午前中だけで完成している。
しかも、建築ギルドのメンバーは、まだ元気そうだ。
「アレン代表!」
エーリッヒが駆け寄ってくる。
「どうですか? 最近、すごく作業が速くなったんですよ」
「確かに…でも、なんでこんなに…」
僕は神眼でエーリッヒを見た。
そして――
驚愕した。
「魔力量が…倍以上になってる…!?」
「え?」
エーリッヒが驚く。
僕は他のメンバーも確認する。
全員、数ヶ月前と比べて、明らかに魔力量が増えている。
「どういうこと…?」
そして、僕は気づいた。
建築ギルドのメンバーは、毎日魔力を使い切っている。
朝から建築作業をして、魔力を使い切る。
昼休憩で魔力を回復する。
午後また建築作業をして、魔力を使い切る。
それを一日に何度も繰り返している。
「もしかして…魔力を使い切って回復すると、魔力量が増える…?」
神眼で自分の家族を見る。
やはり、魔力量は訓練前より遥かに増えていた。
「そうか…魔力も、筋肉と同じなんだ」
限界まで使えば、回復した時により強くなる。
この発見は、大きかった。
「エーリッヒ、みんなを集めてくれる?」
「はい」
建築ギルドのメンバー全員が集まる。
「みんな、魔力量が増えてるのに気づいてた?」
メンバーが顔を見合わせる。
「そういえば…最近、魔力が切れにくくなった気がします」
「俺も。前は午前中で魔力切れだったのに、今は午後まで持つ」
「魔力量が増えてるんだ。魔力を使い切って回復することで、魔力量が成長する」
僕は説明する。
「これからも、この訓練を続けてほしい。そうすれば、もっと強くなれる」
メンバーたちが嬉しそうに頷く。
「わかりました!」
「もっと頑張ります!」
その夜、家族会議を開いた。
「みんな、大事な発見があったんだ」
僕は魔力量増加のメカニズムを説明した。
「魔力を使い切って回復すると、魔力量が増える」
家族全員が驚く。
「そうだったの…?」
母さんが言う。
「うん。建築ギルドのみんなが、すごく強くなってた。それで気づいたんだ」
ソフィア姉さんが言う。
「確かに、私も最近、魔力が切れにくくなった気がする」
マルク兄さんも頷く。
「僕も。前より長く戦える」
ノエルが目を輝かせる。
「じゃあ、もっと訓練すれば、もっと強くなれるんだね」
「そうだよ。でも、無理はしないでね」
レオとリナが元気よく叫ぶ。
「僕たちも頑張る!」
「私も!」
父が言う。
「俺も、訓練に参加させてもらおうかな」
「もちろんです、父さん」
僕は家族を見回した。
「これから、訓練方法を少し変えるよ。一日に何度も、魔力を使い切る訓練を入れる」
「午前中は冒険や訓練で魔力を使う」
「昼休憩で回復」
「午後も訓練で魔力を使う」
「夕方休憩で回復」
「夜は軽い訓練で魔力を使う」
家族全員が頷く。
「わかった」
「頑張ろう」
母さんが言う。
「でも、体調には気をつけてね」
「もちろんだよ、母さん」
その夜、窓の外を見上げると、満天の星空が広がっていた。
でも、もう星に話しかけたりしない。
恥ずかしいから。
「セレスティア様、ありがとうございます」
心の中で呟く。
「父も戻ってきて、名誉も回復されました」
「領地もいただき、家族も幸せです」
「これからも、見守っていてください」
そして、僕は思い出す。
エルヴィン…五百年前、僕に魔法を教えてくれたエルフの長老。
まだ生きている。
いつか、必ず再会したい。
明日も、新しい一日が始まる。
貴族として。
領主として。
そして、家族の一員として。
僕の二度目の人生は、まだまだ続いていく。
次回:第22話「広がる影、迫る危機」
王都での滞在を終え、僕たち家族は町に戻った。
町の入口では、ゲオルグさんと双子、そして多くの町民が出迎えてくれた。
「お兄ちゃん!」
レオとリナが駆け寄ってくる。
「ただいま」
僕は二人を抱きしめた。
ゲオルグさんが前に出る。
「おかえりなさい。そして…おめでとうございます、アレン男爵、グレン男爵」
町民たちも口々に言う。
「おめでとうございます!」
「親子で男爵だなんて!」
「すごい!」
父が町民に向かって頭を下げる。
「ありがとうございます。これからも、よろしくお願いします」
僕も頭を下げる。
「みなさん、爵位をいただきましたが、何も変わりません。これからも、一緒にこの町を良くしていきましょう」
町民たちが拍手する。
その夜、屋敷で家族会議を開いた。
「貴族になって、色々変わったね」
ソフィア姉さんが言う。
「領地も持つことになったし」
マルク兄さんも頷く。
「これからは、領主としての責任もあるんだね」
父が真剣な表情で言う。
「そうだ。領地を治めるというのは、大きな責任だ」
「領民の生活を守り、土地を発展させ、国に貢献する」
「簡単なことではない」
僕も頷く。
「わかっています。でも、この町はもう基盤ができています」
「冒険者制度、建築ギルド、学校、診療所…全て機能しています」
母さんが言う。
「でも、これからもっと人が増えるかもしれないわね」
「貴族の領地となれば、移住してくる人もいるでしょう」
父が提案する。
「アレン、俺の領地とお前の領地は隣接している。協力して、この地域全体を発展させよう」
「はい。それが一番いいと思います」
ノエルが言う。
「私にも、何かできることはある?」
「もちろん。ノエルのクラフト魔法は、この町に欠かせないよ」
翌日、僕は町の幹部を集めて会議を開いた。
ゲオルグさん、ハンス(財政担当)、オットー(治安担当)、エーリッヒ(建設担当)、ゲルハルト先生(教育担当)。
「みなさん、報告があります」
僕は叙爵のことを改めて説明した。
「この町は、正式にノイヴァルトハイム男爵領となりました」
幹部たちが頷く。
「そして、僕は領主として、この町の発展に全力を尽くします」
ゲオルグさんが言う。
「私たちも、全力でお支えします」
ハンスが言う。
「財政は安定しています。建築ギルドの収入もありますし、冒険者たちの収入も増えています」
オットーが報告する。
「治安も良好です。城壁ができてから、魔物の被害はゼロです」
エーリッヒが言う。
「建築の依頼も増えています。近隣の村から、続々と」
ゲルハルト先生が言う。
「学校も順調です。子供たちの読み書きのレベルが、みるみる上がっています」
僕は嬉しくなった。
「みんな、本当にありがとう。これからも、よろしくお願いします」
数日後、僕は父と二人で話す機会を持った。
父の領地――ヴァルトハイム男爵領の視察に同行したのだ。
父の領地は、僕の町から徒歩で二時間ほどの場所にある。
王都寄りで、魔の森には隣接していない。
平原が広がり、農地に適した土地だ。
「ここが、俺の領地だ」
父が誇らしげに言う。
村が一つある。人口は約150人。
僕の町より小さいけど、静かで平和な雰囲気だ。
「良い場所ですね」
「ああ。昔、ここを治めていた頃の記憶が蘇ってくる」
父が懐かしそうに言う。
村人たちが、父を歓迎してくれる。
「グレン様、おかえりなさい!」
「十年ぶりですね!」
「覚えていてくれたのか」
父が感動している。
「当たり前です! グレン様は、良い領主でした」
一人の老人が言う。
「不当に追い出された時、私たちは悔しかった」
「でも、戻ってきてくださった。本当に嬉しいです」
父の目から、涙が溢れる。
「ただいま。そして、これからもよろしく頼む」
僕は、父と村人たちの絆を見て、温かい気持ちになった。
父の領地を視察した後、僕たちは今後の方針を話し合った。
「アレン、お前の町の冒険者制度や建築ギルドを、こちらでも導入したい」
父が言う。
「もちろんです。ノウハウは全て共有します」
「それに、この村の人たちにも、魔法を教えたいです」
父が驚く。
「魔法を…?」
「はい。身体強化魔法と空間収納。これだけでも、生活が大きく変わります」
僕は説明する。
「もちろん、神眼で信用できる人だけに限定します」
父が頷く。
「わかった。頼む」
一週間後、僕は家族全員で魔の森に向かった。
目的は、鉱脈の探索だ。
双子も一緒だ。
「今回は、危険な場所には近づかないから、大丈夫だよ」
母さんが心配そうだけど、父が言う。
「大丈夫だ。俺もいるし、アレンもいる」
森に入ると、僕はサーチ魔法を発動する。
「サーチ・マナ」
周囲の魔力反応を探知する。
魔物の反応もあるが、それとは別に――
地中から、強い魔力反応を感じた。
「あっちだ」
僕たちは魔力反応の方向に進む。
途中、ゴブリンの群れと遭遇したけど、家族で協力して倒す。
双子も、身体強化魔法で強化した身体で、小さなゴブリンを牽制している。
「えい!」
レオの蹴りが、ゴブリンを怯ませる。
「やった!」
リナの光の玉が、ゴブリンの目を眩ませる。
「双子、上手くなったね」
ソフィア姉さんが驚いている。
さらに奥に進むと、洞窟が見えてきた。
その洞窟から、強い魔力反応がする。
「ここだ」
洞窟の中に入ると――
壁が、キラキラと輝いていた。
金色、銀色、赤銅色。
そして、青白く輝く鉱石も見える。
「これは…」
僕は神眼で確認する。
「金鉱脈、銀鉱脈、銅鉱脈…そして、ミスリル鉱脈!」
家族が驚愕する。
「本当に…!」
「すごい…」
さらに奥を探ると、もっと希少な鉱石も見つかった。
緑色に輝く鉱石――オリハルコン。
漆黒に輝く鉱石――アダマンタイト。
「全部ある…」
僕は興奮を抑えきれない。
「これで、武器や防具が作れる」
父が言う。
「しかし、この場所は秘密にしなければ」
「もちろんです。この鉱脈のことは、家族だけの秘密」
全員が頷く。
「誰にも言わない」
僕は空間収納から、採掘用の道具を取り出した。
ツルハシや袋。
「じゃあ、採掘しよう」
数時間かけて、各種鉱石を採掘した。
金鉱石、銀鉱石、銅鉱石、そして――
ミスリル鉱石を、たっぷりと。
オリハルコンとアダマンタイトも、少量採取した。
「これだけあれば、十分だね」
空間収納に全て入れる。
洞窟を出ると、既に夕方だった。
「帰ろうか」
家族で森を出る。
途中、またゴブリンと遭遇したけど、双子も含めて全員で倒した。
双子の成長が、目に見えてわかる。
「レオもリナも、強くなったね」
母さんが嬉しそうだ。
「うん! もっと強くなる!」
町に戻ると、僕はノエルと一緒に、ミスリルの武器製作に取り組んだ。
屋敷の裏に、簡易的な工房を作る。
「アレン、クラフト魔法で武器を作るの?」
「うん。まず、鉱石を精製してインゴットにする」
僕はミスリル鉱石を取り出す。
そして、クラフト魔法を発動する。
「クラフト・リファイン」
魔力が鉱石を包む。
不純物が分離され、純粋なミスリルだけが残る。
それが溶けて、固まって――
ミスリルのインゴットが完成する。
「すごい…こんなに簡単に…」
ノエルが驚いている。
「クラフト魔法なら、鍛冶の工程を省略できるんだ」
次に、インゴットから武器を作る。
「今回は、刀を作ってみようか」
僕は刀の設計図をイメージする。
日本刀のような、美しい曲線の刀。
全長約70センチ。
クラフト魔法を発動する。
「クラフト・フォージ」
魔力がミスリルインゴットを包む。
インゴットが形を変え、伸び、曲がり――
美しい刀身ができあがる。
そして、柄も作る。
木材と革を組み合わせて、握りやすい柄。
鍔も、ミスリルで作る。
三十分後――
ミスリルの刀が完成した。
青白く輝く刃。
美しい曲線。
完璧なバランス。
「完成…」
僕は刀を手に取る。
軽い。でも、とても頑丈だ。
試しに、近くの岩を斬ってみる。
スパッ。
岩が、豆腐のように斬れる。
「すごい…切れ味…」
ノエルが驚愕している。
「ミスリルは、魔力伝導率が高いから、魔法も通しやすいんだ」
僕は刀に魔力を流してみる。
刀身が、青白く輝く。
「これなら、魔法剣としても使える」
「私も、槍を作りたい!」
ノエルが目を輝かせる。
「じゃあ、一緒に作ろうか」
僕とノエルで、ミスリルの槍を作る。
全長約180センチ。
穂先はミスリル、柄は軽量な木材。
一時間後、ミスリルの槍も完成した。
「すごい…軽くて、でも丈夫…」
ノエルが槍を振る。
美しい軌跡を描く。
「これなら、もっと強くなれる」
「家族のみんなの分も作ろう」
僕はさらに武器を作り始めた。
ソフィア姉さん用のミスリルの剣。
マルク兄さん用のミスリルの矢じり(大量)。
母さん用のミスリルの短剣。
父さん用のミスリルの剣。
レオとリナ用の小さなミスリルの短剣。
全て、クラフト魔法で作る。
夜遅くまで作業を続けて――
全員分の武器が完成した。
翌日、僕は家族全員に新しい武器を渡した。
「これ、みんなへのプレゼント」
家族が驚く。
「ミスリルの武器…!」
「すごい…」
ソフィア姉さんが剣を手に取る。
「軽い…でも、すごく頑丈…」
マルク兄さんも矢じりを確認する。
「これなら、もっと遠くまで飛ばせる」
母さんも短剣を握る。
「美しいわ…」
父さんも剣を振る。
「素晴らしい…こんな武器、見たことない…」
レオとリナも短剣を握って、嬉しそうだ。
「僕の武器!」
「私の武器!」
「大切に使ってね」
その午後、僕は建築ギルドの作業現場を視察に行った。
数ヶ月ぶりに、実際の建築作業を見るためだ。
現場に着くと――
僕は驚いた。
「え…こんなに速い…?」
以前は一日がかりだった家が、午前中だけで完成している。
しかも、建築ギルドのメンバーは、まだ元気そうだ。
「アレン代表!」
エーリッヒが駆け寄ってくる。
「どうですか? 最近、すごく作業が速くなったんですよ」
「確かに…でも、なんでこんなに…」
僕は神眼でエーリッヒを見た。
そして――
驚愕した。
「魔力量が…倍以上になってる…!?」
「え?」
エーリッヒが驚く。
僕は他のメンバーも確認する。
全員、数ヶ月前と比べて、明らかに魔力量が増えている。
「どういうこと…?」
そして、僕は気づいた。
建築ギルドのメンバーは、毎日魔力を使い切っている。
朝から建築作業をして、魔力を使い切る。
昼休憩で魔力を回復する。
午後また建築作業をして、魔力を使い切る。
それを一日に何度も繰り返している。
「もしかして…魔力を使い切って回復すると、魔力量が増える…?」
神眼で自分の家族を見る。
やはり、魔力量は訓練前より遥かに増えていた。
「そうか…魔力も、筋肉と同じなんだ」
限界まで使えば、回復した時により強くなる。
この発見は、大きかった。
「エーリッヒ、みんなを集めてくれる?」
「はい」
建築ギルドのメンバー全員が集まる。
「みんな、魔力量が増えてるのに気づいてた?」
メンバーが顔を見合わせる。
「そういえば…最近、魔力が切れにくくなった気がします」
「俺も。前は午前中で魔力切れだったのに、今は午後まで持つ」
「魔力量が増えてるんだ。魔力を使い切って回復することで、魔力量が成長する」
僕は説明する。
「これからも、この訓練を続けてほしい。そうすれば、もっと強くなれる」
メンバーたちが嬉しそうに頷く。
「わかりました!」
「もっと頑張ります!」
その夜、家族会議を開いた。
「みんな、大事な発見があったんだ」
僕は魔力量増加のメカニズムを説明した。
「魔力を使い切って回復すると、魔力量が増える」
家族全員が驚く。
「そうだったの…?」
母さんが言う。
「うん。建築ギルドのみんなが、すごく強くなってた。それで気づいたんだ」
ソフィア姉さんが言う。
「確かに、私も最近、魔力が切れにくくなった気がする」
マルク兄さんも頷く。
「僕も。前より長く戦える」
ノエルが目を輝かせる。
「じゃあ、もっと訓練すれば、もっと強くなれるんだね」
「そうだよ。でも、無理はしないでね」
レオとリナが元気よく叫ぶ。
「僕たちも頑張る!」
「私も!」
父が言う。
「俺も、訓練に参加させてもらおうかな」
「もちろんです、父さん」
僕は家族を見回した。
「これから、訓練方法を少し変えるよ。一日に何度も、魔力を使い切る訓練を入れる」
「午前中は冒険や訓練で魔力を使う」
「昼休憩で回復」
「午後も訓練で魔力を使う」
「夕方休憩で回復」
「夜は軽い訓練で魔力を使う」
家族全員が頷く。
「わかった」
「頑張ろう」
母さんが言う。
「でも、体調には気をつけてね」
「もちろんだよ、母さん」
その夜、窓の外を見上げると、満天の星空が広がっていた。
でも、もう星に話しかけたりしない。
恥ずかしいから。
「セレスティア様、ありがとうございます」
心の中で呟く。
「父も戻ってきて、名誉も回復されました」
「領地もいただき、家族も幸せです」
「これからも、見守っていてください」
そして、僕は思い出す。
エルヴィン…五百年前、僕に魔法を教えてくれたエルフの長老。
まだ生きている。
いつか、必ず再会したい。
明日も、新しい一日が始まる。
貴族として。
領主として。
そして、家族の一員として。
僕の二度目の人生は、まだまだ続いていく。
次回:第22話「広がる影、迫る危機」
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