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第2部 第5章「闇ギルドとの戦い」
第61話「父の決意」
第61話「父の決意」
翌日。
討伐前日。
朝、僕は父と一緒に朝食を取っていた。
明日の作戦について、話し合う。
「アレン、明日は夜明け前に出発だ」
父が、言う。
「王国騎士団精鋭百名が、二手に分かれる」
「一つは、違法奴隷市場の急襲部隊。レオンハルト将軍が指揮する」
「もう一つは、闇ギルド本部の急襲部隊。私が指揮する」
「わかりました」
僕は、頷く。
「僕は、どちらに?」
「お前は、私と一緒に闇ギルド本部だ」
父が、続ける。
「ヴォルフガングを捕らえる。そして、全ての構成員を」
「はい」
「エレボスも、一緒だ」
「わかりました」
朝食を終えると、父が言った。
「アレン、今日、一緒に来てほしい場所がある」
「どこですか?」
「フランツの家族を訪ねる」
父が、真剣な表情で言う。
「明日の討伐の前に、報告したい」
「本当の犯人が判明したこと」
「必ず討つこと」
「そうですか」
僕は、頷く。
「わかりました。一緒に行きます」
午前中。
僕たちは、王都の東エリアに向かった。
中流階級の住宅街。
立派ではないが、綺麗に整った家々が並んでいる。
その中の一軒。
二階建ての石造りの家。
フランツの家だ。
父が、門の前で立ち止まる。
深く息を吸う。
「アレン、フランツのことを話そう」
父が、ゆっくりと語り始める。
「フランツは、私の幼馴染だった」
「同じ村で育ち、一緒に遊び、一緒に騎士を目指した」
「フランツは、正義感が強い男だった」
父が、遠くを見る。
「曲がったことが嫌いで、弱い者を見過ごせない」
「誰かが困っていれば、すぐに助けに行く」
「そういう男だった」
「父さんとは、違うタイプだったんですね」
「ああ」
父が、苦笑する。
「私は、現実主義者だ。理想だけでは、生きていけない。そう思っている」
「でも、フランツは違った」
「理想を追い求めた。正義を信じていた」
父が、続ける。
「内戦の時――」
父の目が、過去を見つめる。
「激しい戦いだった。敵も味方も、必死だった」
「ある日、私は敵に囲まれた」
「五人の敵騎士に。逃げ場もなく、絶体絶命だった」
「その時――」
父が、拳を握る。
「フランツが来てくれた」
「一人で、五人の敵に立ち向かった」
「『グレン、逃げろ!』と叫びながら」
「でも、私は逃げなかった。一緒に戦った」
「そして、二人で五人を倒した」
父が、微笑む。
「フランツは、何度も私を救ってくれた」
「仲間を守るために、自分が傷ついた」
「それが、フランツだった」
「素晴らしい人だったんですね」
「ああ」
父が、頷く。
「そして、戦争が終わった後も、フランツは変わらなかった」
「正義を貫き続けた」
「国王の改革を支持したのも、フランツらしかった」
「弱い者を守る改革。それを、全力で支援した」
父が、門を開ける。
そして、家のドアをノックする。
しばらくして、ドアが開く。
三十代後半の女性が、出てくる。
美しい顔立ち。
でも、疲労の色が濃い。
フランツの妻、エリザベートだ。
「グレン様…」
エリザベートが、驚く。
「お久しぶりです」
「エリザベート、久しぶりだな」
父が、優しく微笑む。
「そして、こちらは私の息子、アレンだ」
「初めまして。アレン・フォン・ノイシュテルン伯爵です」
僕は、頭を下げる。
「まあ…グレン様の息子さんが…」
エリザベートが、驚く。
「どうぞ、中へ」
家の中は、質素だが綺麗に整っていた。
応接室に通される。
そこには、二人の子供がいた。
十二歳くらいの少年と、十歳くらいの少女。
フランツの子供たちだ。
「ルーカス、アンナ。こちらは、グレン様よ」
エリザベートが、子供たちに紹介する。
「お父さんの、親友だった方」
「初めまして」
少年ルーカスが、緊張した様子で頭を下げる。
「初めまして」
少女アンナも、小さく頭を下げる。
父が、優しく微笑む。
「大きくなったな、ルーカス、アンナ」
「前に会った時は、まだ小さかったのに」
お茶を飲みながら、父が話し始めた。
「エリザベート、今日来たのは、フランツのことで報告がある」
エリザベートの表情が、緊張する。
「フランツの…ことですか」
「ああ」
父が、真剣な表情で言う。
「本当の犯人が、判明した」
エリザベートが、息を呑む。
「本当の…犯人…?」
「ああ」
父は、詳しく説明し始めた。
開戦前夜の六名の国王派貴族暗殺事件。
反乱貴族たちが処刑されたこと。
でも、それは真実ではなかったこと。
本当の黒幕は、闇ギルドのヴォルフガング・フォン・シュヴァルツ。
そして、魔王軍の残党、魔族ゲルハルト。
反乱貴族たちも、利用されただけだったこと。
全てを、話す。
エリザベートの目から、涙が溢れる。
「そうだったんですか…」
「フランツは…魔王軍に…」
「ああ」
父が、拳を握る。
「そして、フランツは違法奴隷市場の秘密も知っていた」
「二重の理由で、狙われた」
「フランツらしい…」
エリザベートが、涙を拭う。
「あの人は、正義感が強すぎて…」
「弱い者を見過ごせなくて…」
「だから、違法奴隷市場を見た時、すぐに報告しようとしたんでしょうね…」
「ああ」
父が、頷く。
「それが、フランツだった」
父が、立ち上がる。
「エリザベート、約束する」
父の声が、力強い。
「明日、闇ギルドを討伐する」
「ヴォルフガングを捕らえる」
「魔族ゲルハルトも、すでに捕らえている」
「フランツの仇を、必ず討つ」
エリザベートが、立ち上がる。
そして、深々と頭を下げる。
「グレン様…ありがとうございます…」
「フランツも、喜んでいるはずです」
子供たちも、頭を下げる。
「グレン様、お父さんの仇を討ってください」
ルーカスが、涙を流しながら言う。
「お願いします」
アンナも、泣いている。
「必ず」
父が、強く頷く。
「フランツの仇を、必ず討つ」
フランツの家を出た後。
僕と父は、しばらく歩いた。
父が、空を見上げる。
「フランツ…見ているか」
父が、小さく呟く。
「明日、お前の仇を討つ」
「必ず、全てを終わらせる」
僕も、心の中で誓う。
フランツ叔父さん。
六名の国王派貴族の皆さん。
必ず、仇を討ちます。
そして――
ノエルの両親も、救います。
全ての犠牲者を、救います。
屋敷に戻ると、夕方だった。
夕食を終えた後、父と二人で応接室にいた。
お茶を飲みながら、明日のことを考える。
父が、言う。
「アレン、明日は大事な戦いだ」
「はい」
「私は、フランツのために戦う」
父が、拳を握る。
「六名の国王派貴族のために戦う」
「そして、正義のために戦う」
「父さん…」
「お前は、何のために戦う?」
父が、僕を見る。
僕は、少し考える。
そして、答える。
「僕も、フランツ叔父さんと六名の国王派貴族のために戦います」
「そして、リトヴァル族のために戦います」
「それと…」
僕は、続ける。
「ノエルの両親のために戦います」
「ハンスとマリア。二人を、必ず救います」
「そして、ノエルに会わせます」
「そうか」
父が、微笑む。
「お前も、大切な人のために戦うんだな」
「はい」
「それでいい」
父が、僕の肩に手を置く。
「大切な人のために戦う。それが、一番強い」
「ありがとうございます」
父が、続ける。
「アレン、お前はまだ十歳だ」
「本来なら、こんな危険な戦いに参加させたくない」
「でも…」
父が、真剣な目で言う。
「お前の力が必要だ」
「神眼、隠密魔法、そして戦闘力」
「お前がいなければ、ここまで来られなかった」
「いえ、僕は…」
「ありがとう、アレン」
父が、頭を下げる。
「父さん!」
僕は、慌てる。
「頭を下げないでください」
「いや、礼を言わせてくれ」
父が、顔を上げる。
「お前は、立派な騎士だ」
「いや、立派な伯爵だ」
「そして、私の誇りだ」
「父さん…」
僕の目から、涙が溢れそうになる。
「一緒に戦おう」
父が、手を差し出す。
「フランツのために」
「ノエルの両親のために」
「そして、正義のために」
僕は、父の手を握る。
「はい」
強く、握り返す。
「一緒に戦いましょう」
その夜、自分の部屋で。
僕は、窓の外を見ていた。
満天の星空。
美しい。
明日。
全てが、決まる。
闇ギルドを壊滅させる。
奴隷たちを救う。
そして――
ノエルの両親を、救う。
僕は、拳を握る。
必ず、成功させる。
モーモーが、枕の隣に座っている。
「主様、明日ですね」
「うん」
「緊張していますか?」
「少しだけ。でも、大丈夫」
僕は、微笑む。
「父さんがいる。エレボスがいる。モーモーがいる」
「そして、王国騎士団もいる」
「絶対に、勝てる」
「はい」
モーモーが、優しく言う。
「主様は、強いです」
「心も、力も」
「だから、きっとうまくいきます」
「ありがとう、モーモー」
僕は、ベッドに横になる。
明日は、早朝出発。
夜明け前に。
しっかり休まなければ。
でも――
心は、高ぶっている。
明日。
全てを、終わらせる。
その決意を、胸に刻む。
モーモーから、念話が来る。
「おやすみなさい、主様」
「おやすみ、モーモー」
温かい声に包まれて、眠りに落ちる。
明日。
運命の日。
全てが、決まる日。
その日に向けて。
深い眠りに落ちていく。
窓の外では、星が静かに輝いている。
まるで、見守っているかのように。
フランツ叔父さん。
六名の国王派貴族の皆さん。
見ていてください。
明日、必ず仇を討ちます。
そして――
ノエルの両親を、救います。
全ての犠牲者を、救います。
その決意を、胸に刻みながら。
僕は、眠りに落ちていく。
次回:第62話「闇ギルド本部襲撃・前編」
翌日。
討伐前日。
朝、僕は父と一緒に朝食を取っていた。
明日の作戦について、話し合う。
「アレン、明日は夜明け前に出発だ」
父が、言う。
「王国騎士団精鋭百名が、二手に分かれる」
「一つは、違法奴隷市場の急襲部隊。レオンハルト将軍が指揮する」
「もう一つは、闇ギルド本部の急襲部隊。私が指揮する」
「わかりました」
僕は、頷く。
「僕は、どちらに?」
「お前は、私と一緒に闇ギルド本部だ」
父が、続ける。
「ヴォルフガングを捕らえる。そして、全ての構成員を」
「はい」
「エレボスも、一緒だ」
「わかりました」
朝食を終えると、父が言った。
「アレン、今日、一緒に来てほしい場所がある」
「どこですか?」
「フランツの家族を訪ねる」
父が、真剣な表情で言う。
「明日の討伐の前に、報告したい」
「本当の犯人が判明したこと」
「必ず討つこと」
「そうですか」
僕は、頷く。
「わかりました。一緒に行きます」
午前中。
僕たちは、王都の東エリアに向かった。
中流階級の住宅街。
立派ではないが、綺麗に整った家々が並んでいる。
その中の一軒。
二階建ての石造りの家。
フランツの家だ。
父が、門の前で立ち止まる。
深く息を吸う。
「アレン、フランツのことを話そう」
父が、ゆっくりと語り始める。
「フランツは、私の幼馴染だった」
「同じ村で育ち、一緒に遊び、一緒に騎士を目指した」
「フランツは、正義感が強い男だった」
父が、遠くを見る。
「曲がったことが嫌いで、弱い者を見過ごせない」
「誰かが困っていれば、すぐに助けに行く」
「そういう男だった」
「父さんとは、違うタイプだったんですね」
「ああ」
父が、苦笑する。
「私は、現実主義者だ。理想だけでは、生きていけない。そう思っている」
「でも、フランツは違った」
「理想を追い求めた。正義を信じていた」
父が、続ける。
「内戦の時――」
父の目が、過去を見つめる。
「激しい戦いだった。敵も味方も、必死だった」
「ある日、私は敵に囲まれた」
「五人の敵騎士に。逃げ場もなく、絶体絶命だった」
「その時――」
父が、拳を握る。
「フランツが来てくれた」
「一人で、五人の敵に立ち向かった」
「『グレン、逃げろ!』と叫びながら」
「でも、私は逃げなかった。一緒に戦った」
「そして、二人で五人を倒した」
父が、微笑む。
「フランツは、何度も私を救ってくれた」
「仲間を守るために、自分が傷ついた」
「それが、フランツだった」
「素晴らしい人だったんですね」
「ああ」
父が、頷く。
「そして、戦争が終わった後も、フランツは変わらなかった」
「正義を貫き続けた」
「国王の改革を支持したのも、フランツらしかった」
「弱い者を守る改革。それを、全力で支援した」
父が、門を開ける。
そして、家のドアをノックする。
しばらくして、ドアが開く。
三十代後半の女性が、出てくる。
美しい顔立ち。
でも、疲労の色が濃い。
フランツの妻、エリザベートだ。
「グレン様…」
エリザベートが、驚く。
「お久しぶりです」
「エリザベート、久しぶりだな」
父が、優しく微笑む。
「そして、こちらは私の息子、アレンだ」
「初めまして。アレン・フォン・ノイシュテルン伯爵です」
僕は、頭を下げる。
「まあ…グレン様の息子さんが…」
エリザベートが、驚く。
「どうぞ、中へ」
家の中は、質素だが綺麗に整っていた。
応接室に通される。
そこには、二人の子供がいた。
十二歳くらいの少年と、十歳くらいの少女。
フランツの子供たちだ。
「ルーカス、アンナ。こちらは、グレン様よ」
エリザベートが、子供たちに紹介する。
「お父さんの、親友だった方」
「初めまして」
少年ルーカスが、緊張した様子で頭を下げる。
「初めまして」
少女アンナも、小さく頭を下げる。
父が、優しく微笑む。
「大きくなったな、ルーカス、アンナ」
「前に会った時は、まだ小さかったのに」
お茶を飲みながら、父が話し始めた。
「エリザベート、今日来たのは、フランツのことで報告がある」
エリザベートの表情が、緊張する。
「フランツの…ことですか」
「ああ」
父が、真剣な表情で言う。
「本当の犯人が、判明した」
エリザベートが、息を呑む。
「本当の…犯人…?」
「ああ」
父は、詳しく説明し始めた。
開戦前夜の六名の国王派貴族暗殺事件。
反乱貴族たちが処刑されたこと。
でも、それは真実ではなかったこと。
本当の黒幕は、闇ギルドのヴォルフガング・フォン・シュヴァルツ。
そして、魔王軍の残党、魔族ゲルハルト。
反乱貴族たちも、利用されただけだったこと。
全てを、話す。
エリザベートの目から、涙が溢れる。
「そうだったんですか…」
「フランツは…魔王軍に…」
「ああ」
父が、拳を握る。
「そして、フランツは違法奴隷市場の秘密も知っていた」
「二重の理由で、狙われた」
「フランツらしい…」
エリザベートが、涙を拭う。
「あの人は、正義感が強すぎて…」
「弱い者を見過ごせなくて…」
「だから、違法奴隷市場を見た時、すぐに報告しようとしたんでしょうね…」
「ああ」
父が、頷く。
「それが、フランツだった」
父が、立ち上がる。
「エリザベート、約束する」
父の声が、力強い。
「明日、闇ギルドを討伐する」
「ヴォルフガングを捕らえる」
「魔族ゲルハルトも、すでに捕らえている」
「フランツの仇を、必ず討つ」
エリザベートが、立ち上がる。
そして、深々と頭を下げる。
「グレン様…ありがとうございます…」
「フランツも、喜んでいるはずです」
子供たちも、頭を下げる。
「グレン様、お父さんの仇を討ってください」
ルーカスが、涙を流しながら言う。
「お願いします」
アンナも、泣いている。
「必ず」
父が、強く頷く。
「フランツの仇を、必ず討つ」
フランツの家を出た後。
僕と父は、しばらく歩いた。
父が、空を見上げる。
「フランツ…見ているか」
父が、小さく呟く。
「明日、お前の仇を討つ」
「必ず、全てを終わらせる」
僕も、心の中で誓う。
フランツ叔父さん。
六名の国王派貴族の皆さん。
必ず、仇を討ちます。
そして――
ノエルの両親も、救います。
全ての犠牲者を、救います。
屋敷に戻ると、夕方だった。
夕食を終えた後、父と二人で応接室にいた。
お茶を飲みながら、明日のことを考える。
父が、言う。
「アレン、明日は大事な戦いだ」
「はい」
「私は、フランツのために戦う」
父が、拳を握る。
「六名の国王派貴族のために戦う」
「そして、正義のために戦う」
「父さん…」
「お前は、何のために戦う?」
父が、僕を見る。
僕は、少し考える。
そして、答える。
「僕も、フランツ叔父さんと六名の国王派貴族のために戦います」
「そして、リトヴァル族のために戦います」
「それと…」
僕は、続ける。
「ノエルの両親のために戦います」
「ハンスとマリア。二人を、必ず救います」
「そして、ノエルに会わせます」
「そうか」
父が、微笑む。
「お前も、大切な人のために戦うんだな」
「はい」
「それでいい」
父が、僕の肩に手を置く。
「大切な人のために戦う。それが、一番強い」
「ありがとうございます」
父が、続ける。
「アレン、お前はまだ十歳だ」
「本来なら、こんな危険な戦いに参加させたくない」
「でも…」
父が、真剣な目で言う。
「お前の力が必要だ」
「神眼、隠密魔法、そして戦闘力」
「お前がいなければ、ここまで来られなかった」
「いえ、僕は…」
「ありがとう、アレン」
父が、頭を下げる。
「父さん!」
僕は、慌てる。
「頭を下げないでください」
「いや、礼を言わせてくれ」
父が、顔を上げる。
「お前は、立派な騎士だ」
「いや、立派な伯爵だ」
「そして、私の誇りだ」
「父さん…」
僕の目から、涙が溢れそうになる。
「一緒に戦おう」
父が、手を差し出す。
「フランツのために」
「ノエルの両親のために」
「そして、正義のために」
僕は、父の手を握る。
「はい」
強く、握り返す。
「一緒に戦いましょう」
その夜、自分の部屋で。
僕は、窓の外を見ていた。
満天の星空。
美しい。
明日。
全てが、決まる。
闇ギルドを壊滅させる。
奴隷たちを救う。
そして――
ノエルの両親を、救う。
僕は、拳を握る。
必ず、成功させる。
モーモーが、枕の隣に座っている。
「主様、明日ですね」
「うん」
「緊張していますか?」
「少しだけ。でも、大丈夫」
僕は、微笑む。
「父さんがいる。エレボスがいる。モーモーがいる」
「そして、王国騎士団もいる」
「絶対に、勝てる」
「はい」
モーモーが、優しく言う。
「主様は、強いです」
「心も、力も」
「だから、きっとうまくいきます」
「ありがとう、モーモー」
僕は、ベッドに横になる。
明日は、早朝出発。
夜明け前に。
しっかり休まなければ。
でも――
心は、高ぶっている。
明日。
全てを、終わらせる。
その決意を、胸に刻む。
モーモーから、念話が来る。
「おやすみなさい、主様」
「おやすみ、モーモー」
温かい声に包まれて、眠りに落ちる。
明日。
運命の日。
全てが、決まる日。
その日に向けて。
深い眠りに落ちていく。
窓の外では、星が静かに輝いている。
まるで、見守っているかのように。
フランツ叔父さん。
六名の国王派貴族の皆さん。
見ていてください。
明日、必ず仇を討ちます。
そして――
ノエルの両親を、救います。
全ての犠牲者を、救います。
その決意を、胸に刻みながら。
僕は、眠りに落ちていく。
次回:第62話「闇ギルド本部襲撃・前編」
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