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第44話 寄り添い
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くすぐったいような、おかしな気分になった。
デュレンの唇は柔らかい。軽く触れるだけのつもりだったのに、デュレンが薄く唇を開ける。舌先が覗いた。リアナの唇に濡れた舌先が触れてくる。ますます変な気分になった。
「……んっ……」
促されるようにリアナも唇を開けた。わずかな隙間から滑り込むように、デュレンの舌先が入ってくる。互いに舌先が軽く触れ合う。
ますます変な気分になってきた。
そっと唇が離れると、デュレンが小さくつぶやく。
「……俺がもっと元気だったら、口づけだけでは終わらないものを」
「ダメよ。生死をさまよったばかりなんだから」
さすがにこのタイミングでなだれ込むのは違うと思ったので、リアナは思わずたしなめる。
デュレンが少し笑った。見たことのない笑顔だった。安らいでいるような、柔らかい笑顔に、リアナは無意識で見惚れる。
こうして改めて見ると、やはりデュレンは端正な顔立ちをしている。いつも険しい表情ばかりなので、こんなに和らいだ顔は珍しい。
互いの視線が重なった。無言のまましばらく見つめ合う。
ふと、デュレンがねだるような顔を見せたので、リアナは再び身を屈めてキスをした。
この時間がずっと続けばいいと思った。穏やかで、ただ互いを求め合っているだけの時間。余計なことは何も考えず、ただ互いだけを求め合う。
唇を離すと、デュレンが手を伸ばし、リアナの頰に触れた。
「俺はおまえを愛おしいと思っている。それは信じていてほしい」
胸の奥で何かがぎゅっとなった。デュレンの眼差しはまっすぐで、一点の曇りもない。愛もないうちに身体を先に繋げるという、間違った順番を経てきてしまったが、今のリアナはそれほど嫌ではなくなってきている。もしデュレンが元気だったら、拒むことなく身体を繋げてしまっていたかもしれない。
この心境の変化はなんだろうと思いながら、リアナはデュレンを見つめていた。
「だから、どこにも行かずに、ずっとここにいろ」
どこか熱をはらんだ瞳で訴えかけるように言われると、うなずいてしまいそうになる。迷いなど捨て去り、永久にここで暮らす道。この世界のことも、自分の境遇も、何も知らないままデュレンに守られて生きていく。城の外の暮らしも知らず、ここで平和に。それは甘い誘惑のようでもあった。自分自身がデュレンの妻になることを認めさえすれば、安定した暮らしは保証されたようなものなのだ。彼に愛され、彼の子を産み、老衰するまで——。
「……わかった。ここにいる」
しばらくはここにいよう。そう決めた。その先のことはまだわからない。だが、出て行くのは今ではないと思った。この城の居心地も悪くはない。
デュレンが安堵した様子で肩の力を抜いた。そしてリアナの手を握り、また甲へと口づけた。
「……っ」
ぞくっと身体の奥が疼いて、リアナは戸惑った。媚薬など飲んでいないのに、あの感覚を思い出しそうになった。身体の奥をデュレンの自由にされた時のめまいに似た快感を。
デュレンの唇は柔らかい。軽く触れるだけのつもりだったのに、デュレンが薄く唇を開ける。舌先が覗いた。リアナの唇に濡れた舌先が触れてくる。ますます変な気分になった。
「……んっ……」
促されるようにリアナも唇を開けた。わずかな隙間から滑り込むように、デュレンの舌先が入ってくる。互いに舌先が軽く触れ合う。
ますます変な気分になってきた。
そっと唇が離れると、デュレンが小さくつぶやく。
「……俺がもっと元気だったら、口づけだけでは終わらないものを」
「ダメよ。生死をさまよったばかりなんだから」
さすがにこのタイミングでなだれ込むのは違うと思ったので、リアナは思わずたしなめる。
デュレンが少し笑った。見たことのない笑顔だった。安らいでいるような、柔らかい笑顔に、リアナは無意識で見惚れる。
こうして改めて見ると、やはりデュレンは端正な顔立ちをしている。いつも険しい表情ばかりなので、こんなに和らいだ顔は珍しい。
互いの視線が重なった。無言のまましばらく見つめ合う。
ふと、デュレンがねだるような顔を見せたので、リアナは再び身を屈めてキスをした。
この時間がずっと続けばいいと思った。穏やかで、ただ互いを求め合っているだけの時間。余計なことは何も考えず、ただ互いだけを求め合う。
唇を離すと、デュレンが手を伸ばし、リアナの頰に触れた。
「俺はおまえを愛おしいと思っている。それは信じていてほしい」
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この心境の変化はなんだろうと思いながら、リアナはデュレンを見つめていた。
「だから、どこにも行かずに、ずっとここにいろ」
どこか熱をはらんだ瞳で訴えかけるように言われると、うなずいてしまいそうになる。迷いなど捨て去り、永久にここで暮らす道。この世界のことも、自分の境遇も、何も知らないままデュレンに守られて生きていく。城の外の暮らしも知らず、ここで平和に。それは甘い誘惑のようでもあった。自分自身がデュレンの妻になることを認めさえすれば、安定した暮らしは保証されたようなものなのだ。彼に愛され、彼の子を産み、老衰するまで——。
「……わかった。ここにいる」
しばらくはここにいよう。そう決めた。その先のことはまだわからない。だが、出て行くのは今ではないと思った。この城の居心地も悪くはない。
デュレンが安堵した様子で肩の力を抜いた。そしてリアナの手を握り、また甲へと口づけた。
「……っ」
ぞくっと身体の奥が疼いて、リアナは戸惑った。媚薬など飲んでいないのに、あの感覚を思い出しそうになった。身体の奥をデュレンの自由にされた時のめまいに似た快感を。
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