神速の大魔導師 〜使える魔法が一種類でも最強へと成り上がれます〜

Ss侍

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第28話 一人での初仕事

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「ごちそうさん。じゃあ自分は頼まれたもん仕上げなきゃならんから、もう帰るとするぜぃ。依頼用紙も戻して二人にも説明しなきゃなぁ」
「またご一緒しましょうね」
「おぅよぃ!」


 返却スペースに食器を戻しスミスさんは去っていった。スミスさんに負けてられない。僕も仕事をしなくっちゃ。

 食器を片付けて食堂を出てから、昨日マスターに説明を受けた通りに馬車の手配をする。一時間後の出発で申請できたので、ムチ使い用の本を繰り返し読んで時間を潰す。
 予定時刻が来たら馬車に乗り込み、マッスルカエルの待つ現場へと向かう。

 本を読んでいたら20分は流石にあっという間で、すぐにその川辺へとたどり着いた。依頼内容によれば、複数見かけてもとにかく一匹倒せばいいらしい。二匹以上倒しても過剰分の報酬は出さないとのこと。

 こういうタイプの依頼はたくさんのギルドにたくさん同じ依頼を出すことで一定の魔物の数を減らすことを目的にしているらしい。
 昨日のような一つのギルドの一つのパーティに多量討伐を頼むのとは別のメリットがあるそうだ。そう本で学んだ。

 4万ハンスで買った初心者セットの中に入っていた探知計を、昨日買ったばかりの空間の鞄から取り出す。
 この探知計はおそらく1万ハンス相当。近いうちにもっと良いものに買い換えたい。
 仕事して、お金を貯めて、次々と良い道具を買い揃えていく。鉄のムチだっていつかは数百万のものに。
 もちろん生活費もちゃんと確保する必要があるけれど、そんな確実に一歩ずつ進んでいく感じがどうにもたまらない。

 探知計が示した方角に5分ほど歩くと、そこに今回の目的であるマッスルカエルが一匹いた。
 岩の上で止まっている。こいつも実物を見るのは初めて。身体に対して脚と腕の筋肉が歪だし、手なんか筋肉質な男性の握り拳みたいだ。

 マッスルカエルは僕に気がついたらしく、他のEランクの魔物のとは違い逃げることなくビヨンビヨンと跳ねこちらへやってくると、人間のように二本足で立ち上がった。そして。


「ゲコ。ゲコ。ゲコ。ゲコ。ふっ……!」


 筋肉を見せつけるかのようなポーズをいくつかとった後、ニヤリと口角を上げた。
 これがこの魔物の生態だ。たとえ相手がSランクの魔物ですらこの行為をするらしい。よくわかんない存在だ。
 
 とりあえず依頼を達成しなきゃいけないので、倒すために鞄に入れず腰に下げておいた鉄のムチを握る。


「ゲコゲぇコ!」


 僕がやる気なのがわかったのか、マッスルカエルもファイティングポーズをとった。
 実はこの魔物、全長30センチほどとたいして大きくなく動きもカエル系の魔物にしては鈍いものの、見た目通りパンチ力が凄まじい。その攻撃力だけならDランクでもいいのだそう。


「ゲッコー!」
「パワーウィップ!」
「ギグゲゴッ」


 でもやっぱりカエル系にしては鈍いので、こうして簡単に叩き落とせてしまった。痛みでピクピクしてるけどまだ生きてる。
 もう一発パワーウィップを打ち込むことで確実に倒すことができた。

 マッスルカエル討伐の依頼達成の印になる片方の手を切り取り、トゥメイ樹という木の樹液から作られた使い捨ての透明の袋に入れて仕事は完了。

 ただの見学だったはずのものが凄まじい内容だったので、なんだか張り合いがない。一応、初仕事がEランクの依頼っていうかなり珍しいことしてるはずなんだけど。

 なんかかわいそうになったのでマッスルカエルの死骸は近くの木の根本にそっと添えてやった。

 それから僕はすぐに馬車と共にその場を後にし、ギルドへ直帰。受付でカエルの手を渡し、銀貨5枚、5000ハンスを受け取る。
 カウンターの奥からマスターがやってきた。


「やぁ、おはよう! さっきネゴルが仕事に行く前に、ギアルと対面したって言ってね。どうだった? ウチのエースは」
「……僕やマスターと同じ感じがしました」
「言うじゃないか。その勘は正しいよ。……それはそうと、もうEランクの依頼をこなしてきたんだね。まだ開館してから二時間経つか経たないかの時間なんだけど」
「いてもたっても居られなくって」
「ははは、いいね! よし、じゃあさっそく昇級だ」


 僕とマスターは総合受付へ向かい、エルさんにギルドカードを手渡した。昨日と同じ手順で手続きが済まされ、僕のランクがEからDに上がった。たった二日でスミスさん達と同じランクまで登り詰めてしまったわけだ。


「おめでとう……って言ってもギアルにはあまり達成感がないかもしれないけど。凄いことなんだよ?」
「はい、それは理解しています」
「ま、Bランクの魔物倒せたし今のと同じ手順でCランクにあげてもいいけれど、流石にもうちょっと依頼をこなして評判の方を得ようか。そうだな……10件がいい。Dランクの依頼を10件達成したらCランクに上がろうか」
「わかりました、頑張ります!」
「良い返事だ。期待してるよ。実際、こうして3日目にしてもう一端の冒険者を名乗れるランクになったしね」
 

 10件か。一日2件こなしたら5日で終わるけど、さすがにそんな簡単な話じゃない。ランクが高い仕事ほど現場が遠くなり、移動時間がかさむらしいし。
 堅実に順当に、一日一件ずつまめにこなしていこう。
 となると、今日の残りの時間は練習場を借りて鍛錬かな。新しい魔法や技、能力の創造も目指していかなくちゃ。強くなるために。




==========
(あとがき)
※感想やお気に入り登録が嬉し過ぎて書き進められたので、明日は午後6時と午後10時の二本投稿します!

※第26話の能力一覧に【遅延発動】を書き込み忘れてました。申し訳ありません。


<魔物紹介>

マッスルカエル/Eランク

 筋肉むきむきのカエル。自分の筋肉に誇りを持っており、誰かに見せるのが生き甲斐。筋肉を褒めてやると言葉はわからないはずなのにあからさまに喜び、一定までその感情が昂ぶると進化する。同じマッスルカエル同士を引き合わせるとお互いに見せ合いしてから褒め合うことを繰り返す。

扱いが簡単なのでペットにされたりすることも多いがEランクの魔物の中ではゴブリンなどを差し置いてトップレベルの怪力である。
なお、唐揚げにして食べても美味しい。


(非常に励みになりますので、もし良ければ感想やお気に入り登録などの方、よろしくお願いします!)
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