32 / 43
第32話 駆ける
しおりを挟む
村を飛び出してからまずは鞄から探知計を取り出し始動させた。とりあえずゴブリンの反応が大量にある場所を目指せばいい。
そして実際にこの村から北側に多くのゴブリンの反応があった。だいたいこの距離だと人の足で走り続けて1時間半くらいかかる場所だろうか。
シャンプ村は一本の道しかなく基本的に森で囲まれており、ゴブリン達の反応があった場所もおそらく森のど真ん中。馬車を使っての移動は見込めないので、僕自身が走っていく必要がある。
自分の【速度制御・改】を信じて、とりあえず『シィ・スピアップ』を二……いや、三回分重ね掛けする。
速度を上げた状態で長距離を走るのは初めてだけど、上手くいくだろうか。違う、上手くやらなきゃいけない。
僕は走り始めた。
学び舎で行っていた運動の科目。走行の授業ではいつもビリか下から2番目だった。そんな僕が今は並みの馬車と同じくらいのスピードで走っている。あの頃だったら確実に一等賞を取れているだろう。
「ぐ……はぁ……はぁ……」
ゴブリンの群れまであと6分の5ほど。運動が苦手だった僕の息が切れるのは当然のこと。心臓がバクバクなっているし、お腹が締め付けられるようにジンジンと痛む。
何回か低木に引っ掛かったから、数カ所、怪我もしている。
正直……こんな短期間でDランクになり、Cランクすらもすぐ手に届くような状況になって図に載っていたかもしれない。
たしかに順調に最強へと近づいていたけれど、まだまだ課題はたくさんある。特に運動面。
でもいい。それってつまり僕はまだ強くなれるってことだ。
とにかく今は休憩している時間が惜しい。水筒から水を飲み、一呼吸整えてから再び走り始める。
今度は怪我をしないように低木や鋭そうな草をなるべく避け、ただ走ることのみで頭をいっぱいにはせず、冷静に、冷静に。
群れにたどり着くのがゴールじゃない。そのあと、ゴブリンたちと一線交える。そのための体力も残しておかなくちゃいけないんだ。
……足元には頻繁にゴブリンらしき足跡が見えるようになってきた。ゴブリン達が通った道に合流できたんだろう。
それにしても本当に数が多い。加えて車輪らしい跡もあることから、荷台を使って村人たちを運んだのだろうか。
「っつ………」
再び限界が来た。これでもまだ3分の1しか走れていない。吐きそうだ、内臓が煮え繰り返っている。
大量に流れている汗が口に入り、目に入り。特に攻撃されたわけでもなく怪我も軽いものなのに自分の体が悲鳴を上げていることに苛立ちを感じる。
いや……まて、冷静さを欠いてはいけない。よく考えるんだ。
走るからこうして疲れるのだったら、走らなければいい。歩いちゃえばいいんだ。今かけている補助魔法の量を最大にして。
僕はさらに自分へ『シィ・スピアップ』をかけた。
今までこの魔法を最大まで掛けるのは攻撃に応用する時だけだった。それも立ち止まって鞭を打つのがほとんど。今回で初めて移動に使うことになる。
まさか速さの活かしどころの真骨頂である移動のために限界まで魔法を使うのが、この緊急事態で初めてだなんて。皮肉というべきかなんと言うべきか。
とにかくこの状態で、歩幅を走るのと同じくらい大きくして歩き始める。
気持ちは急いでるのに歩かなきゃいけないというのはもどかしいけれど、やってみて正解だった。
息が切れないし、さっきと同じくらい速い。それに走っている時より頭が働きやすくなるから障害物を避けるのも容易だ。
そのまま一切の休憩を挟む必要がなくついに群れまで3分の2を移動した。
間に合う、このままだったら被害が少ないままに!
そう思ったその時だった。僕の頭上目掛けてなにかが落ちてくる。
「シャーー!」
Cランクのヘビ系の魔物バキュームスネークだ。ゴブリンなど中型以上の生き物を吸い込むように丸呑みにする。人もよく被害に遭うけど、一度食事をとったら丸一日、他のものを食べなくていいらしい。
ただ、そいつが落ちてくるスピードより僕の移動の方が早く、頭から飲み込まれることは免れた。このまま追跡されるのも面倒なため、ウィップスネークの速度を極限まで遅くしておく。
しかし、この道は途中で猫族の人たちを連れたゴブリンが通ったはずなのに、なんで今のバキュームスネークはそれを狙わなかったのだろうか。襲ってくるってことは、はらぺこなはずなのに。
襲えない理由があった? それとも、単にゴブリン達に遭遇しなかっただけか。……多分後者だろう。
ちょっとしたハプニングはあったものの、歩き始めてからはそれ以上の問題はなく、やがて開けた場所に出ることができた。
真っ先に探知計をみるとたしかにここらにゴブリンがいることを示している。やっと着いたんだ。
時間にして30分弱。普通に走るより全然早い。ただ、障害物を避けて慎重に進んでいたため、僕がもっと自分が速い状態に慣れていれば10分以下で着いたような気がする。
途中まで走っていたためか、頭の中がボヤッとしてきた。いや、やっぱり走ったことによる疲労は関係ないみたいだ。なぜなら文字が浮かんできたから。
<【特技強化・極】の効果が発動。
能力進化:【真・速度制御】>
最近進化したばかりの速度制御がもう進化したみたい。とはいえ、道中で進化していればもっと早くここまで到達できたんだけどな。贅沢言っても仕方ないか。
それに森の中をひとっ走りして進化させられるんだったらもっと早くやっておけばよかった。……今までやろうと考えつきすらしなかったかけど。走るの嫌いだから。
……さて、今僕の目の前に湖の水を丸ごと全部抜いたような大きな大きな穴がある。どう考えてもゴブリン達はここを拠点にしているのだろう。
僕はそっと穴まで近づき、覗き込んでみた。
==========
(あとがき)
閲覧ありがとうございます!
次の投稿は明日の午後6時です! 緊急事態宣言が解除され学校などが始まるかもしれないので、しばらく2話投稿は難しいかもです。申し訳ありません。
私、走ってると喘息でもないのに脇腹と肺と喉がめちゃくちゃ痛くなるので、走るのは嫌いです。走るの嫌いだから他の運動も軒並み嫌いです。でもギアルくんには頑張ってもらいました。
(非常に励みになりますので、もし良ければ感想やお気に入り登録などの方、よろしくお願いします!)
そして実際にこの村から北側に多くのゴブリンの反応があった。だいたいこの距離だと人の足で走り続けて1時間半くらいかかる場所だろうか。
シャンプ村は一本の道しかなく基本的に森で囲まれており、ゴブリン達の反応があった場所もおそらく森のど真ん中。馬車を使っての移動は見込めないので、僕自身が走っていく必要がある。
自分の【速度制御・改】を信じて、とりあえず『シィ・スピアップ』を二……いや、三回分重ね掛けする。
速度を上げた状態で長距離を走るのは初めてだけど、上手くいくだろうか。違う、上手くやらなきゃいけない。
僕は走り始めた。
学び舎で行っていた運動の科目。走行の授業ではいつもビリか下から2番目だった。そんな僕が今は並みの馬車と同じくらいのスピードで走っている。あの頃だったら確実に一等賞を取れているだろう。
「ぐ……はぁ……はぁ……」
ゴブリンの群れまであと6分の5ほど。運動が苦手だった僕の息が切れるのは当然のこと。心臓がバクバクなっているし、お腹が締め付けられるようにジンジンと痛む。
何回か低木に引っ掛かったから、数カ所、怪我もしている。
正直……こんな短期間でDランクになり、Cランクすらもすぐ手に届くような状況になって図に載っていたかもしれない。
たしかに順調に最強へと近づいていたけれど、まだまだ課題はたくさんある。特に運動面。
でもいい。それってつまり僕はまだ強くなれるってことだ。
とにかく今は休憩している時間が惜しい。水筒から水を飲み、一呼吸整えてから再び走り始める。
今度は怪我をしないように低木や鋭そうな草をなるべく避け、ただ走ることのみで頭をいっぱいにはせず、冷静に、冷静に。
群れにたどり着くのがゴールじゃない。そのあと、ゴブリンたちと一線交える。そのための体力も残しておかなくちゃいけないんだ。
……足元には頻繁にゴブリンらしき足跡が見えるようになってきた。ゴブリン達が通った道に合流できたんだろう。
それにしても本当に数が多い。加えて車輪らしい跡もあることから、荷台を使って村人たちを運んだのだろうか。
「っつ………」
再び限界が来た。これでもまだ3分の1しか走れていない。吐きそうだ、内臓が煮え繰り返っている。
大量に流れている汗が口に入り、目に入り。特に攻撃されたわけでもなく怪我も軽いものなのに自分の体が悲鳴を上げていることに苛立ちを感じる。
いや……まて、冷静さを欠いてはいけない。よく考えるんだ。
走るからこうして疲れるのだったら、走らなければいい。歩いちゃえばいいんだ。今かけている補助魔法の量を最大にして。
僕はさらに自分へ『シィ・スピアップ』をかけた。
今までこの魔法を最大まで掛けるのは攻撃に応用する時だけだった。それも立ち止まって鞭を打つのがほとんど。今回で初めて移動に使うことになる。
まさか速さの活かしどころの真骨頂である移動のために限界まで魔法を使うのが、この緊急事態で初めてだなんて。皮肉というべきかなんと言うべきか。
とにかくこの状態で、歩幅を走るのと同じくらい大きくして歩き始める。
気持ちは急いでるのに歩かなきゃいけないというのはもどかしいけれど、やってみて正解だった。
息が切れないし、さっきと同じくらい速い。それに走っている時より頭が働きやすくなるから障害物を避けるのも容易だ。
そのまま一切の休憩を挟む必要がなくついに群れまで3分の2を移動した。
間に合う、このままだったら被害が少ないままに!
そう思ったその時だった。僕の頭上目掛けてなにかが落ちてくる。
「シャーー!」
Cランクのヘビ系の魔物バキュームスネークだ。ゴブリンなど中型以上の生き物を吸い込むように丸呑みにする。人もよく被害に遭うけど、一度食事をとったら丸一日、他のものを食べなくていいらしい。
ただ、そいつが落ちてくるスピードより僕の移動の方が早く、頭から飲み込まれることは免れた。このまま追跡されるのも面倒なため、ウィップスネークの速度を極限まで遅くしておく。
しかし、この道は途中で猫族の人たちを連れたゴブリンが通ったはずなのに、なんで今のバキュームスネークはそれを狙わなかったのだろうか。襲ってくるってことは、はらぺこなはずなのに。
襲えない理由があった? それとも、単にゴブリン達に遭遇しなかっただけか。……多分後者だろう。
ちょっとしたハプニングはあったものの、歩き始めてからはそれ以上の問題はなく、やがて開けた場所に出ることができた。
真っ先に探知計をみるとたしかにここらにゴブリンがいることを示している。やっと着いたんだ。
時間にして30分弱。普通に走るより全然早い。ただ、障害物を避けて慎重に進んでいたため、僕がもっと自分が速い状態に慣れていれば10分以下で着いたような気がする。
途中まで走っていたためか、頭の中がボヤッとしてきた。いや、やっぱり走ったことによる疲労は関係ないみたいだ。なぜなら文字が浮かんできたから。
<【特技強化・極】の効果が発動。
能力進化:【真・速度制御】>
最近進化したばかりの速度制御がもう進化したみたい。とはいえ、道中で進化していればもっと早くここまで到達できたんだけどな。贅沢言っても仕方ないか。
それに森の中をひとっ走りして進化させられるんだったらもっと早くやっておけばよかった。……今までやろうと考えつきすらしなかったかけど。走るの嫌いだから。
……さて、今僕の目の前に湖の水を丸ごと全部抜いたような大きな大きな穴がある。どう考えてもゴブリン達はここを拠点にしているのだろう。
僕はそっと穴まで近づき、覗き込んでみた。
==========
(あとがき)
閲覧ありがとうございます!
次の投稿は明日の午後6時です! 緊急事態宣言が解除され学校などが始まるかもしれないので、しばらく2話投稿は難しいかもです。申し訳ありません。
私、走ってると喘息でもないのに脇腹と肺と喉がめちゃくちゃ痛くなるので、走るのは嫌いです。走るの嫌いだから他の運動も軒並み嫌いです。でもギアルくんには頑張ってもらいました。
(非常に励みになりますので、もし良ければ感想やお気に入り登録などの方、よろしくお願いします!)
0
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
結婚して3年経っても子供ができないという理由で離縁されたエマは、前世の記憶を思い出して幸せになる。周りが勝手に復讐してくれました。
山田 バルス
恋愛
結婚三年目の春、エマは伯爵家の夫アンドレオから突然、側室を迎える話を告げられる。子をなせなかったことを理由に、彼女は僅かな補償のみで離縁された。妻として過ごした三年間は「無価値だった」と突きつけられ、エマは貴族社会から静かに切り捨てられる。
また実家の父母の墓参りに行くと、当主になっていた兄に離縁金を奪われてしまう。
大ピンチのエマには、秘密があった。なんと彼女は幼少期に前世の記憶を思い出していたのだ。
かつて観光地で石を磨き、アクセサリーを作り、人に喜ばれる仕事をしていた人生。何も持たない今だからこそ、もう一度「自分の手で生きる」ことを選び、あの人が住む商業国家スペイラ帝国へ向かう決意をする。
国境への道中、盗賊に襲われるが、護衛兵ロドリゲスの活躍で難を逃れる。彼の誠実な態度に、エマは「守られる価値のある存在」として扱われたことに胸を打たれた。
スペイラ帝国では身分に縛られず働ける。エマは前世の技術を活かし、石を磨いてアクセサリーを作る小さな露店を始める。石に意味を込めた腕輪やペンダントは人々の心を掴み、体験教室も開かれるようになる。伯爵夫人だった頃よりも、今の方がずっと「生きている」と実感していた。
ある朝、ロドリゲスが市場を訪れ、エマの作ったタイガーアイの腕輪を購入する。ところがその夜、彼は驚いた様子で戻り、腕輪が力を一・五倍に高める魔道具だと判明したと告げる。エマ自身は無意識だったが、彼女の作るアクセサリーには確かな力が宿っていた。
後日二人は食事に出かけ、エマは自分が貴族の妻として離縁された過去を打ち明ける。ロドリゲスは強く憤り、「最悪な貴族だ」と彼女と一緒になって怒ってくれた。その気持ちが、エマにとって何よりの救いだった。彼は次に防御力を高める腕輪を依頼し、冒険者ギルドで正式な鑑定を受けるよう勧める。
翌日、冒険者ギルドで鑑定を行った結果、エマの腕輪は高い防御効果を持つことが判明。さらに彼女自身を鑑定すると、なんと「付与特化型聖女」であることが明らかになる。聖女が付与した魔道具は現実の力として強く発現するのだ。
価値がないと切り捨てられた人生は、ここでは確かな力となった。スペイラ帝国で、聖女エマの新しい人生が、静かに、そして輝かしく始まる。
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる