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第34話 救出
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「本当にゴブリン達が全て止まってる……君は何者だい?」
「きっとAランクの冒険者だよ! 僕と同じくらいに見えるけど、極端に童顔なだけで本当は20歳くらいにゃんだ!」
「ねーねー、お兄さんそこんところ教えてくれにゃ!」
逃げようとしている間に子供達が僕の素性を知りたいと言い出したので、ギルドカードを渡してそれを眺めてもらうことにした。
そしたら今度はそれを見た覗き見た大人たちが、シャンプ村の村長さんたちみたいな反応をして騒ぎだす。
無傷な上に自分たちが食べられそうだったことを知らないからか、猫族の元々の性格の傾向も相まってかなり呑気だ。
騒がしくはあったけれど、みんな足はちゃんも動いていたので、この穴から出るための階段の前まで到達する事ができた。なお、ギルドカードは今返してもらった。
「それじゃあ、比較的足が遅い女性と子供から上へ登ってください。その次に男性で。僕はまだ何かあるといけないので、最後に登りますから」
「わかった、ありが……」
「どうされました?」
「あれをみるにゃ……!」
僕と話していた男性がボスの部屋の方を指さした。その部屋から二匹のゴゴゴブリンが現れたんだ。
二匹とも仲間の様子をみて驚いている。しかし、すぐに僕たちに気が付いてこちらに向かってきた。
「……仕方ない。僕が足止めするので、順次登ってくださいね」
「無茶にゃ! だって君は冒険者になったばっかりの……!」
「おみゃーは今まで何みてた? きっとあの子は特別にゃんだよ」
「その通り。それより早くあの子の邪魔ににゃらないよう上にのぼれ!」
すぐに問題なくゴゴゴブリン二匹の動きを止める。
見張りの二匹とこの二匹で、Bランクは合計四匹。もしかしたらまだ居るかもしれない。となればボスがAランク以上なのはもう確定的だろう。
ただ、これだけやってもまだボスが姿を見せない理由がわからない。……寝てるのかな?
「全員上がれましたー!」
「了解です!」
「やっぱり簡単に止めてしまったにゃ、あの子……」
「凄まじい……」
よし、全員上がれたか。ならばあとは僕が出来る限りのことをしよう。
本当はこのままゴブリンなんて無視して村まで送り届けたい。
でも僕一人であの人数を、あのバキュームスネークが降ってくる森から犠牲者を出さずに抜けさせられる自信はない。僕より小さい子供どころか赤ん坊だっているんだ。
僕の力が及ばないのは悔しいけど、この人数の面倒が見切れる救護が来るまで待機するしかないだろう。
こうなったら僕がすべきことは、万が一なんらかの要因でゴブリン達の魔法が解けてしまって穴の上にいる皆さんのもとに向かってしまわないよう、今すぐ全て討伐してしまうこと。要するに完全な安全の確保だ。
人に形が近く、知能もあるゴブリンを百匹近く僕一人で倒す。それを行うこと自体は動きを止めてるのでさほど難しいことではない。CランクやBランクもいるので時間はかかるだろうけれど。
……でも、でも、ちょっと抵抗があるんだ。今ムチを取り出したのに、まだそれをふるえていないくらいには。だからなんとか気持ちを奮い立たせなきゃ。
そういえばそこそこ昔、ちょっと過激な説を提唱している本を読んだことがある。お父さんの仕事場の図書館から借りてきたものだ。
内容は簡単に言えば「魔物も生きてるんだから、無闇に殺生するのはやめましょう。また、人間を食べる魔物を大量に殺して回るのもやめましょう。これらは人間だけが行なっています」というもの。
たしかに理解できる部分はあった。人間も今回のゴブリン達のように食べ物にできる魔物の住処に自分から入り込み乱獲することがあるから。それに対して可哀想だというのも一理あるだろう。
しかし、人間だけがその行為を行なっていると書いているのは間違っていると当時の僕でも思った。
魔物のことを調べていたらわかる。必要以上に物を貪り食う魔物だっている。獲物を追いかけ回して楽しんでから殺して食べる魔物もいる。
加えて、そういった魔物に対し、本来食われる側の魔物が仕返しをすることだってあるんだ。
魔物も人もそういったことは基本的には変わらない。人だけそれをやめろというのは無理がある。
だったら、そうだよ。
今から僕がゴブリン達を大量に討伐してしまうのも、自然にのっとった言い方をしたら「大勢に同胞が食われそうになったから反撃した」に過ぎない。
こう考えたら、気持ちの整理がついてきた。
そもそも、人肉の味を覚えたかもしれないゴブリン集団なんて生かしておくのは危険すぎるのでなんにせよ全滅させるしかない。
……さて、やろう。
一旦Bランク以上は無視し、DかCランクから倒していくことにする。素早く大量に倒したいため、ただのゴブリンは一匹につき最高でも2撃、ゴゴブリンは5撃以内で倒すのを目安にする。
既に僕には『シィ・スピアップ』が六段階かかっているため、あとはムチ自体に同様の魔法をかければ準備完了。
Dランクの依頼をこなしているうちに思いついた、今の僕がDランクあたりの魔物を手早く倒せる、そんな技の組み合わせは『チャージウィップ』と『ギアウィップ』を併用することだった。
魔力回復のおかげで実質膨大にあるとも言える魔力を常にチャージウィップの効果でムチに注ぎ込み、補助魔法で上げた速度は常にギアウィップの効果で力として溜まり続ける。
こうすればDランク相手だったら、威力を出すために身体を一時停止しなくちゃいけない速撃暴走も、動作の大きいパワーウィップも必要ない。
手始めに、僕は一番近くにいた普通のゴブリンに向かってその合わせ技をたたき込んだ。
=====
(あとがき)
次の投稿は明日の午後6時です!
(非常に励みになりますので、もし良ければ感想やお気に入り登録などの方、よろしくお願いします!)
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そしたら今度はそれを見た覗き見た大人たちが、シャンプ村の村長さんたちみたいな反応をして騒ぎだす。
無傷な上に自分たちが食べられそうだったことを知らないからか、猫族の元々の性格の傾向も相まってかなり呑気だ。
騒がしくはあったけれど、みんな足はちゃんも動いていたので、この穴から出るための階段の前まで到達する事ができた。なお、ギルドカードは今返してもらった。
「それじゃあ、比較的足が遅い女性と子供から上へ登ってください。その次に男性で。僕はまだ何かあるといけないので、最後に登りますから」
「わかった、ありが……」
「どうされました?」
「あれをみるにゃ……!」
僕と話していた男性がボスの部屋の方を指さした。その部屋から二匹のゴゴゴブリンが現れたんだ。
二匹とも仲間の様子をみて驚いている。しかし、すぐに僕たちに気が付いてこちらに向かってきた。
「……仕方ない。僕が足止めするので、順次登ってくださいね」
「無茶にゃ! だって君は冒険者になったばっかりの……!」
「おみゃーは今まで何みてた? きっとあの子は特別にゃんだよ」
「その通り。それより早くあの子の邪魔ににゃらないよう上にのぼれ!」
すぐに問題なくゴゴゴブリン二匹の動きを止める。
見張りの二匹とこの二匹で、Bランクは合計四匹。もしかしたらまだ居るかもしれない。となればボスがAランク以上なのはもう確定的だろう。
ただ、これだけやってもまだボスが姿を見せない理由がわからない。……寝てるのかな?
「全員上がれましたー!」
「了解です!」
「やっぱり簡単に止めてしまったにゃ、あの子……」
「凄まじい……」
よし、全員上がれたか。ならばあとは僕が出来る限りのことをしよう。
本当はこのままゴブリンなんて無視して村まで送り届けたい。
でも僕一人であの人数を、あのバキュームスネークが降ってくる森から犠牲者を出さずに抜けさせられる自信はない。僕より小さい子供どころか赤ん坊だっているんだ。
僕の力が及ばないのは悔しいけど、この人数の面倒が見切れる救護が来るまで待機するしかないだろう。
こうなったら僕がすべきことは、万が一なんらかの要因でゴブリン達の魔法が解けてしまって穴の上にいる皆さんのもとに向かってしまわないよう、今すぐ全て討伐してしまうこと。要するに完全な安全の確保だ。
人に形が近く、知能もあるゴブリンを百匹近く僕一人で倒す。それを行うこと自体は動きを止めてるのでさほど難しいことではない。CランクやBランクもいるので時間はかかるだろうけれど。
……でも、でも、ちょっと抵抗があるんだ。今ムチを取り出したのに、まだそれをふるえていないくらいには。だからなんとか気持ちを奮い立たせなきゃ。
そういえばそこそこ昔、ちょっと過激な説を提唱している本を読んだことがある。お父さんの仕事場の図書館から借りてきたものだ。
内容は簡単に言えば「魔物も生きてるんだから、無闇に殺生するのはやめましょう。また、人間を食べる魔物を大量に殺して回るのもやめましょう。これらは人間だけが行なっています」というもの。
たしかに理解できる部分はあった。人間も今回のゴブリン達のように食べ物にできる魔物の住処に自分から入り込み乱獲することがあるから。それに対して可哀想だというのも一理あるだろう。
しかし、人間だけがその行為を行なっていると書いているのは間違っていると当時の僕でも思った。
魔物のことを調べていたらわかる。必要以上に物を貪り食う魔物だっている。獲物を追いかけ回して楽しんでから殺して食べる魔物もいる。
加えて、そういった魔物に対し、本来食われる側の魔物が仕返しをすることだってあるんだ。
魔物も人もそういったことは基本的には変わらない。人だけそれをやめろというのは無理がある。
だったら、そうだよ。
今から僕がゴブリン達を大量に討伐してしまうのも、自然にのっとった言い方をしたら「大勢に同胞が食われそうになったから反撃した」に過ぎない。
こう考えたら、気持ちの整理がついてきた。
そもそも、人肉の味を覚えたかもしれないゴブリン集団なんて生かしておくのは危険すぎるのでなんにせよ全滅させるしかない。
……さて、やろう。
一旦Bランク以上は無視し、DかCランクから倒していくことにする。素早く大量に倒したいため、ただのゴブリンは一匹につき最高でも2撃、ゴゴブリンは5撃以内で倒すのを目安にする。
既に僕には『シィ・スピアップ』が六段階かかっているため、あとはムチ自体に同様の魔法をかければ準備完了。
Dランクの依頼をこなしているうちに思いついた、今の僕がDランクあたりの魔物を手早く倒せる、そんな技の組み合わせは『チャージウィップ』と『ギアウィップ』を併用することだった。
魔力回復のおかげで実質膨大にあるとも言える魔力を常にチャージウィップの効果でムチに注ぎ込み、補助魔法で上げた速度は常にギアウィップの効果で力として溜まり続ける。
こうすればDランク相手だったら、威力を出すために身体を一時停止しなくちゃいけない速撃暴走も、動作の大きいパワーウィップも必要ない。
手始めに、僕は一番近くにいた普通のゴブリンに向かってその合わせ技をたたき込んだ。
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