私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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247話 緊急連絡でございますか!?

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「すごい、こんなこともできるのね!」
【知識は力なんだゾ。技の応用もたくさんできるゾ】


 ケル君があ母さんに向かってケ調子よく次々と自分のできることを披露している。どうみても今即興で作った技もいくらかあった気がするんだけど、底知れないわね。


【ねー、やっぱりベスも本を読む?】
【エッ、イヤホラ、マモノ ニハ ソレゾレ トクイ フトクイ ガ アルシ……】
【ケルはどうやらなんでもかんでも得意みたいだよ?】
【ムムム……ハハオヤ トシテノ イゲン ガ……】
【ママ、そんなこと気にしなくていいゾ。オイラはオイラなりの方法で頑張ってるだけだゾ】


 ケル君がベスさんに甘えるように頬を擦り付ける。最近知識をつけてませてきたと思ってたけど、やっぱりこういうところはすごく可愛い。しかし等のベスさんはケル君を可愛がりながらも不服そう。


【ムスコ 二 ナグサメ ラレタ】
「ふふふふっ。あ、そういえばロモン」
「なぁに、お母さん」


 ベスさんとケル君のやりとりを微笑んでみていたお母さんは思い出したようにロモンちゃんの方を向き、話しかけてくる。
 

「ケルだけじゃなくてアイリスちゃんもちゃんと可愛がってる?」
「うーん、そこが微妙なんだよね」


 えっ、ロモンちゃん私のこと可愛がってくれてなかったの? 一緒にお風呂で揉み合ったりしてるし、十分スキンシップは取れてるつもりだったんだけど。


「び、微妙だったんですか!?」
「彼氏できちゃったし、私はケルのこと優先しちゃうんだよ」
「それはまあ、仕方ないですね……」
「スキンシップ取るべき時にきちんと取るのよ! ほらほら」
「わかったよ。ほら、アイリスちゃんおいで」


 そう言ってロモンちゃんは両手を広げる。私はどの姿で抱きつけばいいのかしら。んー……本当ならここはゴーレムでいくべきだろうけど、温もりまで感じたいなら人間の方がいい。そういうわけで、私は幼女の姿を選んだ。


「ぎゅっ……です」
「ああ、可愛いよアイリスちゃん! なでなでぎゅー!」
「あり……ありが……喋り……にくいですよ」
「なでなで、ふふふふ」


 もみくちゃにされる。顔を覆って抱きしめられ、頭も優しく撫でられ続ける。久しぶりというほどでもないけど、ここまでべったりなのは前回から日が空いてる気がする。


「アイリスちゃんはリンネとロモンにとって姉であり妹でありって感じよね」
「年齢的には妹が正しいですけどね」
「でもお世話をしてくれてるじゃない」
「私は妹だと思ってる!」
「じゃあ妹でいいです」


 ロモンちゃんがそういうなら、妹で全然いい。むしろそっちの方がいい。堂々と甘えることができるし。
 気がついたらリビングに人影。お父さんだった。


「あらパパ、もう戻ってきたの?」
「いや、ちょっと水を飲みに」
「んふー」


 お父さんの背中には、満足そうな顔をしているリンネちゃんが抱きついているようにおんぶされていた。


「お姉ちゃんいいなー!」
「あれ? 剣の練習してたんじゃなかったの?」
「うん、してたよ。久しぶりに私は速さを出さず剣技だけで相手しようとしたら、一瞬で背後に回られてこの有様だよ」


 なるほど、スピード型じゃない剣士じゃ、もはやリンネちゃんの速さにはついていけないってことね。日進月歩で強くなっていってるだけあるわ。
 そういえばみんな進んでいってるのに、私だけ最近強さ変わらないのよね。彼氏ができたからって浮かれてたかしら。自分の練習より人の練習に付き合ってる方が多い気がするし。一応、ケル君から全身に属性魔法を纏うあの技を教えてもらったりはしてるんだけど。


「確実にリンネが強くなってて嬉しいなぁ」
「あらロモンも成長が凄まじいわよ。アイリスちゃんとケルに合わせてどんどん魔力も強くなっててる」
「だってお父さん! だから私も!」
「おお、おいでおいで」


 リンネちゃんが後ろから抱きついているため、ロモンちゃんは前から抱きついた。まれによく見る光景。あれだけ抱きつかれて一切体幹がブレていないお父さんは相変わらずすごい。


「二人とも自慢の娘だ! もちろんアイリスちゃんもね」
「お、お父さん……!」


 私も抱きつきたくなってきた。しかしどこも空いていない。いや、腕ならなんとかしがみつけるかも。私はこの幼女の姿のまま、お父さんの手を握る。


「おお、アイリスちゃんも来たんだね」
「むぅ……パパは私のよ」


 そう言いながら今度はお母さんが私の反対側へと周り、見える限りでは胸を押し付けるようにお父さんの腕に抱きついた。
 お父さんの顔がこれ以上ないほどにニヤける。


「私は幸せ者だ……」


 そう、お父さんが呟いた瞬間このお屋敷のベルが鳴る。家主を呼び出すときのものね。一瞬で現実に引き戻されるような顔を浮かべるお父さん。たしかに今人手がない、誰か抱きつくのをやめなきゃいけない。軽い用事かもしれないし、血縁ではない私が一旦離れて対応すればいい。


「私が出てきま……」
【ああ、5人はイチャついてるといいゾ。オイラが出てくる】
「えっ……」
【念話でみんなに聞こえるようにしてあげるから、要件を聞いてて】


 一番年少のケル君に気を使われてしまった。そのままイチャついてろと言われたが、流石に心配になってそれぞれ抱きつくのをやめた。順番にお父さんから離れていって全員降りる頃にはケル君はすでに屋敷の門前近くまでたどり着いていたようで止める暇はなかった。


【はい、ご用件は何ですかゾ?】
「え、あ、魔物……」
【人の言葉わかるから、ふつうに話してもらって大丈夫だゾ。今ここにいる人間はみんな手が離せないからオイラが代わりに聞いておくゾ】


 門まで辿り着いたケル君の念話が聞こえる。私たち5人とベスさんの1匹で玄関のドアの隙間からこっそり様子を見ることに。手伝ってもいいけど、みんな、ケル君がどう対応するか気になるみたい。


「すごい、流石はノア団長の仲魔だなぁ」
【オイラはその娘のロモンの仲魔なんだゾ】
「ああ、あの!」
【それより御用件を言うんだゾ】


 相手は……城の兵士のようね。いや、これ本当に誰もケル君にかわらなくて大丈夫なのかしら? お城よ、お城。きっと大事な仕事だって。ケル君が気になるのはわかるけど。


「そうだ、この子に関心している場合じゃない……! 緊急連絡と呼び出しだとノア団長とグライド団長に伝えて……」
「どうしたのかな?」


 緊急事態と聞き流石にお父さんが飛び出した。ここまで来たら完ぺきに対応するケル君を最後まで見たかった感じはあるけど仕方ない。


【ゾッ! イチャつかなくていいのかゾ?】
「どう見てもそれどころじゃないだろう」
「あっ、グライド団長! 団欒中でしたか、申し訳ありません。しかし……」
「まさかだとは思うが、また魔王軍の幹部か?」
「ええ、ええ、その通りです!」


 おっとこれは私も出ざるを得なくなった。私たち女性陣4人も玄関から門の前まで行く。連絡に来てくれた兵士さんは一気に人が出てきたからかギョッとした表情を浮かべたけど、すぐに逆に安心した様子に。


「仲魔がいるからまさかとは思いましたが、やはり娘さん達もおりましたか! 良かった、連絡の手間が一度でいい」
「私たちも出動する案件なんですね」
「はい、えーっとオーニキス様の話だと、今回はもうすでに幹部の居場所と正体がわかってるから、討伐だけとにかく頼む、いつも通り捕獲で……とのことです」
「ってことは私がいないとダメですね」


 でもこれだけさっさと討伐するということは、もしかしたらお父さんとお母さん二人も付いて来てくれるってことがあるかも。そしたら手っ取り早く済む。


「よし、そう言うことなら私とマ……ノア、二人で片付けよう」
「おーーい、その必要はないぞ!」


 私の予想通りの展開になりそうなところで、どこからか呼ぶ声が聞こえた。同時にこちらに向かって誰かが駆けてくるのが見える。
 あれは……おじいさん?


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