私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

文字の大きさ
251 / 378

248話 おじいさんの提案でございます!

しおりを挟む
「お父さん!?」
「お、義父さん!?」
「おじいちゃんだね」
「どうしたんだろうね」


 私以外も見えたらしい。こちらに汗をかきながらダッシュしてくるジーゼフおじいさんが。老人にしてはかなり早い速度で走っている。やっぱりステータスも高いのかも。


「じ、ジーゼフ元総騎士団長!? なぜここに!」
「ふぅ、間に合ったか」


 息を切らしてるけどへばっている様子はない。いつも通り背筋も真っ直ぐなままね。でも慌てていることには変わりないか。


「いやー、城からここまで近くて助かったわい。お陰で追いついた」
「お父さん……どうかしたの?」
「ああノア。今回の討伐に向かうのは少し待ってほしいんじゃよ」
「それはどう言う意味でしょうか、ジーゼフ様?」

 
 何か訳があると言うよりは、提案があるって感じがする。追加の報告をジーゼフさんがしに来た訳じゃないというのは彼の雰囲気でわかる。その提案を伝えるために走ってきたのね。
 

「まあ、まずは言わなければならないことがある」
「というと?」
「ワシは現役を退いていたが、つい先ほど、国王から直々に許可をもらい復帰した」
「ほんとですか、義父さん!?」
「嘘はつかんぞ」


 さらりと言ってるけど、これって多分すごいことなのよね? うん、村を襲って来たゴブリンを退治する程度でも魔法も魔物も使っちゃいけなかったおじいさんが現役復帰するんだものね。
 でも許可が出たのもわかる。魔王軍幹部が復活して来ているから戦力が必要だものね。


「そうでしたか、これはこのご時期に心強い限りです、元総騎士団長!」
「あ、総騎士団長も復帰したからよろしくな」
「おおお!」


 そういえばこの国の政治について勉強した時、総騎士団長って役職があると知った。騎士団長は数人いて、それを全て統括するのが総騎士団長。政治に口を出せる大臣と同じくらいかそれよりちょっと上の地位らしい。大臣より上かもしれないなんて、冒険者がいる実力主義のこの世界らしいわね。
 それで確か、しばらく空席だったはずだけど。


「そういう訳じゃから、よろしくな。しばらく空席だったようだからスムーズにいったわい」
「総騎士団長様以上の方が現れなかったのですよ!」
「彼のいう通り、私とノアと二人で統括しているようなものでしたから」
「聞いておる。ご苦労じゃったな。あ、呼び方はめんどくさいから目上の呼び方じゃなくて良いぞ。普通に『おとうさん』とか『おじいちゃん』でいいからな、ノアとグライドに関しては」


 おじいさんが実際戦っているところを見たことがないから程度に関してはなんとも言えないけれど、頼りになることは変わりない。戦っているところを見て見たいけれど、今走って来たのってもしかして……。


「それで本題なんじゃが、その討伐、ワシが行こうと思ってな」
「そういうことでしたか!」
「んー、でもおじいちゃん暫く活動してなかったんでしょ? ぼくとロモンなんて戦ってるところ一度も見たことないし、いきなり魔王軍幹部で大丈夫なの?」


 その懸念はある。ブランクっていうのはなかなか怖いものだから。でも私たち以外の大人はみんなそんなことは一切心配してないみたいね、本人も含めて。


「リンネ、おじいちゃんは本当に強いんだぞ」
「そうそう、私とパパが二人がかりで挑んでも絶対かなわないくらい。多分、今でもね」
「それほど伝説的なお方なのです!」


 たしかにケル君に対するあの研究の熱心さと、持ち主以外に数人が登録して使うことができる封書を開発してるところを見るとまだまだ現役って感じはする。流石にお父さんとお母さん二人がかりで勝てないというのは信じられないけれど。


「そういうことならわかりました! オーニキス様にジーゼフ様が向かってくれると報告しておきます! ですがお孫さん達は連れて行ってくださいね? 魔王軍幹部を封印する第一人者ですから」
「たしか血を抜き取って闇氷魔法で溶けない氷漬けにするんじゃったかな? たしかにそんな芸当できるのはアイリスちゃんぐらいじゃろうな。解毒不可な特殊な猛毒も解毒できるようじゃし」


 あれ、もしかして褒められてる? えへへ、照れますな。どっちみち付いて行くつもりだったし問題はない。この後予定はない計画だったしやる気もある。でも内容によってはまたガーベラさんに数日間会えなくなるなぁ……。別に会えないのが寂しいとかそういうわけじゃ……いや、正直ちょっと寂しい。


「ところで、今すぐだったりするの?」
「あ、はい! できれば今日中に向かってほしいとのことで」
「大丈夫、私たちはいつでも準備できてるよ!」
「流石ね! じゃあお父さん、ロモンとリンネとアイリスちゃんとケルをお願い」
「任せなさい。最悪でもサナトスファビドの時のようには絶対ならん。あと、ワシも準備はできておる」


 いつ何があってもいいように準備するのはこの一家の共通点なのかも。備えあれば憂いなしってやっぱりいいわよね。……私もこんなことになるならもう一回くらいガーベラさんとデートをしておけばよかった。


「あ、アイリスちゃん」
「はい」
「私の方から、あそこのギルドマスター経由で彼氏君にアイリスちゃんが仕事に出かけたって言っておくから、安心してね」
「ありがとうございます……」
「じゃあ、さっそく向かおうかの。案内してくれ」
「承知しました!」


 どうやらその被害にあった村まで転移魔法陣を引いている人が城の関係者に居たようで、お母さん達を呼びにきた兵士さんに連れられて城の前で待っているその人の元へ。
 近くで見てみるとの人はかなり汗を垂らし、今すぐにでも現場に駆けつけたいのがわかった。故郷なのかもしれない。
 

「それでは私はオーニキス様に報告を! 貴方はしっかりと彼らを送り届けるように。では……」


 忙しそうに立ち去ろうとする兵士の肩をおじいさんは掴んだ引き止める。


「必要な説明はしてから去りなさい。場所はどこなんじゃ?」
「ああ、すいません! 場所はロードサイト村という村です。この者の故郷ですね」
「ふむ……火山が近くにあり、また、独特の薔薇の花が有名な場所じゃな。ところでどのように魔王軍幹部がいると判明したんじゃ?」
「村人にその魔王軍幹部が接触して、王国の要人を呼び出すように脅迫したそうで」


 それはなんとも怪しい。私たちこれから自分で罠にかかりに行くようなものじゃないかしら。かといって魔王軍幹部をほっておくと必ず酷いことになるし……行かないわけにはいかないけど。


「それは……ふむ、ワシで正解だったかもしれんな。確実に罠じゃろうて」
「ええ、貴方様ほどの強者はおりませんので」
「はっはっは、それは言い過ぎじゃよ。しかしそうなると、ワシ一人で行った方がいいかもしれんな?」


 でも私としては、ブランク明けのおじいさん一人だけで行かせるのも物凄く心配。それはロモンちゃんとリンネちゃんも同じようで、二人はほっぺたを膨らませておじいさんに抗議した。


「だったら久しぶりだっていうおじいちゃんを連れてく方が私たち的には心配だよ!」
「ぼく達なら心配しないで! アイリスちゃんがいるし、強力なアーティファクトも持ってる……それにいま捕獲している魔王軍幹部は全員ぼく達が関わってるんだ!」
「ふむぅ……絶対ワシの側から離れるんじゃないぞ?」
「「うん!!」」


 ロモンちゃんのリンネちゃんは力強く頷いた。
 よし、早く向かおう。こうしてる間にも被害者が出ているかもしれない。

#####

すいません、昨日、うっかり投稿し忘れました!
次の投稿は8/6です!
しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。 神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

処理中です...