私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

文字の大きさ
45 / 378

45話 人助けでございます! 2

しおりを挟む

「そうだったのか……ありがとう。俺たちを助けてくれて」
「本当にありがとね、ゴーレムさん」
【いえ、困ったときはお互いさまですから】


 私が見た限り、行動した通りの状況を全て彼らに説明すると、二人は礼を述べてきた。
 私は少し謙遜をしてみている。
 威張ったってしょうがないからね。

 この人達はBランクの冒険者パーティなんだと。
 Bランクの冒険者と言ったらかなりの実力者で、仮に小さな街のギルドだったとすれば、その街で一番の戦力になる程度の実力はあるんだ。
 ただ、Bランク冒険者と言っても、Bランクの魔物を倒せるわけじゃない。
 せいぜい倒せてCランクなんだ。
 なのにこの人達は運悪くBランクの魔物と遭遇し、高価なアイテムである『対魔物用バリア(長時間型)」を使ってしまっていたんだよ。
 かわいそうに、不運だったね。
 でもそほバリアを使わなきゃ死んでたけどね。
 
 シェリーという名前の女性魔物使いは、私に重ねて質問してくる。


「貴女は…みたところ誰かの仲魔みたいだけれど……マスターはどこにいるの?」
【現在、私はマスターに内緒で行動しております。マスターは城下町の宿で寝てます】
「そ、そう……。でも、あのゴーレムをここまで調教できるのですもの、相当凄腕の魔物使いなんでしょうね」
「あぁ、そうだな」


 毎度のことだけど、この知能は私が最初っから……。
 ううん、いいの。
 別に訂正しなくたってなんの問題もないんだから。
 

「ふぁ……ここはなんだ?」
「ふぇ…なんか悪い夢を見たような……」


 話してるうちに、残りの二人も起き上がったみたい。
 起き上がって早々、私を見て驚いたけれど、先に起きていた二人が今までの説明をしたから、過剰に不審がられることはなかった。


「とにかく、ありがとね、ゴーレムちゃん」
「あ、ありがとう!」


 あとで起きた魔法使いの青年と、僧侶の女性も私にお礼を言ってきた。
 流石はBランク、そこらへんはしっかりしてるよね。
 仕事中に女の子襲うようなクズ共とは全然違う。

 
「この中の物……持ってってくれよ。中身は今日、俺達が狩ったダンジョンの中の魔物の素材だ」


 唐突に、そう言ってこのパーティのリーダーだというアパタという青年は、私に一つのスペーカウの袋を差し出してきた。
 別にお礼が目的で助けたわけじゃないし、いらないんだけど。
 あー、でも貰えるもんはもらったほうがいいよね。
 こういうのって、貰ったほうが相手の気持ち的に楽になると思うの。変に断るよりね。


【…わかりました。ありがたくいただきます】


 私は彼から袋を手渡され、それを私の袋の中に入れた。
 入れたはいいけど、まだ空きはある。
 流石に袋は渡されたもの一枚で相当な額がするはずだから、これは返さなきゃね。
 
 最初は袋もそのまま渡すと皆さんは言っていたけれど、流石に高級品だから受け取れないと言って半ば強引に返却した。
 うん、これでいいのだ。


「じゃあ、俺達はそろそろ帰るよ」
「ありがとう、ゴーレムさん」
「僕は今、感激している!」
「ま、またどこかでぇー!」


 彼らは身支度をすぐに済ませ、早々と4人で帰って行った。
 ここら辺の魔物はBランクもあればなんの問題もないだろうし、おくってかなくて大丈夫そうだね。

 私は彼らの姿が見えなくなるまで見送ると、ダンジョンの中に再突入した。
 あの冒険者達の分と合わせると、今回は袋が満タンになるかもしれない。
 うひひ。


◆◆◆
 

「なんだったのかしら……あのゴーレムは」


 魔物使いである彼女は、ダンジョンから城下町までの帰路道中にそう呟いた。


「なんだって……優しいゴーレムだと僕は思うけどね」
「いや、そうだけど……でも……」
「もしかして、シェリーはあのゴーレムを鑑定したのか?」

 
 仲間の一人がなにかを伝えようとしているのを、このパーティのリーダーである青年は察した。
 

「そうなの…あの、あのゴーレム……鑑定できなかったの……」


 若干、彼女の声は震えているようだ。
 その様子を見てリーダーの青年はもう少し、そのことについて詳しく聞いてみることにした。


「鑑定できないってのは……それは、あのゴーレムのマスターが鑑定されるのを許可制にしてるんじゃないか?」
「ううん、いくら許可制にしていても、その魔物の種属名・ランク・種類は見えるのよ……だけど……」


 彼女は顔を俯かせ、話を続ける。
 下を向いた顔の表情は、まるで凄いものを見て興奮しているよう。
 いや、天変地異が目の前で起こったような表情も比喩した方がいいかもしれない。


「種属は…リトルリペアゴーレム……。恐らく新種よ。そしてDランクの中」
「じ、じゃあ、その新種なのが問題なのー?」


 彼女は首を横に振った。


「違うわ…ただ新種ってだけならまだよかったかもしれない。でも、でもそれより種類が……」
「種類が…どうかしたのかい? その様子だと、普通はおろか、亜種ですらないよね。超越種かな?」


 魔物使いである彼女は、興奮してるのを落ち着かせるように深呼吸一度し、さらに話を続ける。


「違う…私では鑑定できなかったの…。あのゴーレムの種類を。超越種まで普通に見えるのに! この意味わかる?」
「え、まさかそれって……」
「つまりシェリーはあのゴーレムが…極至種だっていいたいんだね?」
「そう!」


 そう、かなり興奮している彼女に対し、魔法使いの青年はこう応じた。


「でも、極至種って相当珍しいんだろう? そんなのが、なんでこんなところに……」
「わからないわ。でもそんな極至種を育てているマスターがこの街に今いるってことよ! もしかしたら魔物武闘大会にも出るかもしれない! きゃー! 会いたい、会ってお話ししたい!」
「……いや、そんな凄い人だったら多分、Sランクじゃないの? シェリーとはランクが違うと思うよ?」
「まぁ……そうよね……」


 彼女は興奮した様子から一変、あからさまに落ち込んだ。
 その様子を見た魔法使いの青年は必死でフォローする。


「で、でも魔物武闘大会で優勝したりすれば嫌でも目に入るよ。シェリーは去年も一昨年もF~Cランクで優勝してるんだし、今年も優勝すればきっと会えると思うよ、その凄い人に」
「そ……そうよね! よーし、今年も頑張っちゃうわ。 ね、ゴブザロス」


 ゴブザロスと呼ばれた、ボスゴブリンに幼体化しているキングゴブリンは、彼女が何を言っているかはわからなかったがとりあえず、こくりと頷いた。


「よぉし! 命拾いした記念に一杯いこう!」
「いや、お金もうないでしょ」
「まぁ…そうなんだが、俺も剣術大会の方で優勝するからさ! その賞金の前倒しってことで!」
「んーもう、しょうがないわねー!」
 
しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

処理中です...