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44話 人助けでございます! 1
しおりを挟む転移魔法陣でダンジョンの中に移動したのは良いんだけど、なんか後方からすごく大きなレディバの鳴き声が聞こえる。
なんだろう?
私はその音がする方に向かって走ってみる。
走り始めておよそ5分。だんだんと姿が見えてきたのらとてつもなく巨大なレディバだった。
たしか……あれは『ハードネスレディバ』だったっけ。
高さは大体3mで、Bランクの上。
主な特徴は、独特の超金属でできていて、正五角形が引きつめられたような模様をしているあの羽を持っていること。
奴の羽は並の武器は通さない。
一般的にこの世界での最高金属と言われているミスリル、アルティメタル、オリハルコンの上位三種でぐらいでしか貫けないらしい。
その上、ミスリルほどじゃないけれど魔法耐性も持つんだって、背中の超金属は。
そんな、羽を持っている奴を倒すのは骨が折れそう。ついでに、奴は土属性の上級魔法『リスドゴドラム』を使えたはず。
こりゃあ手こずるなぁ……。
でも、Bランクの売値ってCランクの10倍もあるんだよなぁ……。
やってみるだけやってみようかな。
まぁ、仮に勝てなかったとしても私の再生力があれば問題ないし、万が一に死にそうになっても転移魔法陣で外に逃げればいいよね、うん。
それにしても、あのハードネスレディバは何で壁に向かって顔を擦り付けているんだろう?
何かあるのかな……小石視点を使って見てみよう。
小石視点を駆使して見えてきたのは、体当たりをしてくるハードネスレディバに市販の対魔物用バリアを貼り、必死に持ちこたえている男女3人…いや倒れているのも1人いるから4人か。
それとゴブリン属の魔物が1匹。
もし、あの人達を冒険者だと仮定すると、あのゴブリンは誰かの仲魔かな。
これは…助けた方が良いのかな?
でも助けたところで私に何かメリットがあるんだろうか…。
うーん、かと言って助けなくてもメリットがある訳じゃないし……。
あ、でもこの状況は私がハードネスレディバを倒すにあたっては有利な状況だよね。
あの人達が持ちこたえている間に、補助魔法をかけられるだけかけておこう。
で、どうやってあのハードネスレディバを倒すかだけど…。
今までのレディバと同じようにひっくり返して腹部を出させ、そこに攻撃を叩き込めば良いかな。
どうやってあの巨体をひっくり返すかなんだけど…うーん、少し手荒だけれど威力高めの爆流化で下部を爆発の衝撃に巻き込めば、反動でひっくり返るかもしれない……か?
あの4人を巻き込まないように注意する必要はあるけれど、私の攻撃の中じゃあ爆流化が一番強いし、その方法にかけてみるかな。
私は自分の片手に魔力を貯めに貯める。
だいたい、MPの半分を自分の片手に送れたら、その片手を伸ばして開き、ハードネスレディバの下腹部に潜り込ませた。
一応、隠密も併用しているからか、下腹部に潜り込ませても気付かなかったみたいだ。
特に躊躇もなく、潜り込ませた手を爆発させた。
「うわぁぁぁ!?」
「きゃぁぁぁぁ」
その衝撃でレディバはこちらに吹っ飛んできて、冒険者4人+αは勢いよく壁に激突したみたい。
良かった、探知がまだできる。
故に死者はいない。
レディバは足が何本かもげてしまったようで、その上、私の目論見通りにうまくひっくり返ってくれた。
足をジタバタとさせて起き上がろうとしている。
私はすぐさまリペアムで失った片手を復元し、両手手で私の脇をつかみ、ハードネスレディバのさらけ出している腹部の上へと飛翔。
そして魔流の気を展開し、私の両手を元の位置に戻し、未だにジタバタしているレディバに乗っかる。
そして乗っかったままレディバの腹部中心に向けて私は『七重連撃』を放った。
七重連撃は、その名前の通り7回連続で一点集中で打撃を叩き込む技。
一撃で放つスピードがものすごく早い。
それに今は魔流の気とスフェルを掛けれるまでかけてるから、一発しかうってないように見えるんじゃないかな? 速すぎて。
______ギチイィイィイイイイイイイイ!?
ハードネスレディバの叫び声がダンジョン内に響き渡る。
効いたは効いたみたいだけど、まだ倒せないか……。流石は私より2ランクも上。
このままの調子だと、私の計画はあまりうまくいかないなぁ……。
まぁ、その計画っていうのは、魔物武闘会にて、1戦目はともかく2戦目以降の私の賭け金倍率を上げるために、1戦目で負けそうなフリをするってだけのことなんだけど…。
今のままだとそれは難しいかなぁ…。
でも大会まであと20日はあるし、その間にレベルも上がるだろうから、そんなに強さを求め急ぐ必要はないかもね。
私の技で倒れなかったハードネスレディバは、私を振り落とそうとめちゃくちゃに暴れ始めた。
ここはとりあえず、一旦ハードネスレディバの腹から降りるとして……操作可能な両手は、命令をして腹上に残しておこう。
どんな命令が良いかなぁ……麻痺狙いで雷魔法…とか?
うん、良いかもしれない、そうしよう。
両手をハードネスレディバの腹上に残し、わざと振り落とされた私は、片手に範囲水魔法であゆ『スバシャラ』を、もう片手には雷魔法である『リゴロゴム』を放たせた。
ハードネスレディバの上では洪水が起きて全身を濡らし、さらには雷の塊が降ってきた。
ギチイイィィィィィ…!?
再度、そう叫んだハードネスレディバはだんだんとその荒々しかった動きを止めた。
でも探知で見る限りはこいつの反応は消えてないから、ただ単に麻痺しただけだろうね。
いやぁ…タフだなぁ…。
まあ、でもあと数発で倒せるでしょ。
私はそのまま両手に『リゴロゴム』を放つように指示、するとハードネスレディバの腹上に二つの巨大な岩の塊が出現し、ハードネスレディバに直撃。
ここで、ハードネスレディバは倒れたみたいだ。
【自分より格上の敵・ハードネスレディバを倒した! 経験値1280を手に入れた!】
【レベルが20から23に上がった】
うーん、やっぱりレベルが上がりにくくなってるなぁ…。
少し前だったら、1280なんて経験値を手に入れたら5レベルはあがってたんだけど。
とりあえず、こいつを袋で回収してさっさと他の獲物を探そうかな?
スペーカウの袋は袋口より大きいものを入れる時は吸い込んでくれる。
ハードネスレディバの死骸に向けて袋の口を開くと、掃除機のように吸い込んでくれた。
かなり便利。
「う……うぅ……ん」
突然、どこからか声が聞こえた……って、さっきの冒険者さん達か。
忘れてた。
私がその冒険者4人が吹き飛ばされた場所まで行ってみると、その4人ともが見事に気絶していた。ボスゴブリンも気絶している。
吹き飛ばしてしまう前にすでに気絶していた一人は、頭から血を垂れ流している。
仕方がない、ここはとりあえず外までこの人達を連れて転移しよう。
私は4人と1匹をなんとかして自分の身体に触れさせ、そのまま外の転移魔法陣へとワープした。
そのワープした先で全員にリペアムを掛けてあげる。
リペアムを最後までかけ終わると、女性の一人が目を開けた。
「ん……んぁ……ここは……? 私達は確かダンジョンで……」
起きた女性は、周りをキョロキョロとしばらく見渡していた。
そしてすぐに私に気づいた。
「ゴ、ゴーレム!? なんでこんなところに……」
「ん……どうしたんだ?」
その声に反応し、さっきまで介抱されていた青年も起き上がる。
それを目にした女の人は、突然その青年に抱きつき、喜びはじめた。
「よかった…よかった、アパタ。生きてたのね!」
「お、おい、シェリー。離れろって、なんだなんだ、なんなんだよ?」
いや、なんかこちらに気づかずにイチャイチャしてるとこ見せられてもねぇ……。
なんて反応したら良いんだか。
だが抱きつかれてる最中、その青年はこちらに気づいたみたいで、非常に驚いていた顔をしている。
「なぁ、シェリー…ゴーレムが居るんだが…」
「あ、そうだ。忘れてた」
女性は抱きつくのをやめ、二人は私の方を振り返った。
私が敵意がないのを察しているのか、武器などは構えていない。
すると、女性は私に念話を送ってきた。
【ゴーレム……念話……わかる?】
まるで言葉がわからない相手に対して語りかけるような念話の送り方だ。
無礼な……。いや、ゴーレムの一般認識は低脳だったっけ、なら仕方ないかな。
私はその女性のみでなく、青年にも念話が届くようにし、こう言った。
【おはようございます。念話でなくても私は人の言葉が分かりますので、普通に喋っていただいて結構ですよ】
その念話を受け取った二人は、驚いたように私を見つめる。この反応は正直飽きた。
「本当にわかるのか?」
青年はそういったから、私はそれに返答する。
【ええ、わかっておりますよ】
再度、その二人はまるで私を未確認物体でも見るような目で見てくる。
女性は自分の考えを振り絞った結果なのか、こう言った。
「あ、もしかして、ワーゴーレム……とか?」
ワー○○とは、人間と魔物の合いの子のような存在。だいたい、魔物から人間になった存在がこう呼ばれる。なんせ、自由自在に魔物と人間の姿を入れ替えられるんだ。
とりあえずは私の最終目標でもある存在ね。
私はまだそんな便利な存在じゃないから、こう答えた。
【残念ながら、私はワーゴーレムではございません。ただのゴーレム属です。それに私がワーゴーレムならば、念話なんかで話しませんよ】
「そ、それはそうだけど……なんでそんなに頭脳が……」
女性そう言いかけたとき、青年はそれを遮った。
「シェリー、それって失礼にならないか?」
「え? ……あ、確かに」
私に対し、『なんで頭が良いか』を訊こうとしたのは失礼だと、二人は気がついたみたい。
うんうん私の中の評価、この青年はかなり上がったぞ。
【……お気になさらずに。よく言われるので】
私はとりあえず、そう言っておいた。
青年はその言葉に安堵したのか、ほっと胸を下ろし、私に質問をし始めた。
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