私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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43話 冒険者パーティでございますか?

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 ロモンちゃんとリンネちゃんから、ローブを貰って6日がたった。
 私達はかなり順調に活動をしていて、ここ6日間の平均収入は約50000ストン。
 3人ともが多くの魔法を使えるから、まだFランクの依頼しか受けられないけれども、それでも仕事に困ることはなかった。
 それに、薬草とか解毒薬などのアイテムも、各々の特技のおかげで大幅に節約ができている。
 未だにお金は食費くらいにしかかかってないんだ。

 私の夜の個人活動については、こちらも大儲けしていると言える。
 ここ数日間は、ほとんどダンジョン内を進まずに転移魔方陣の中心として前後にうろちょろしてるだけだったんだけど、かなりのレディバを狩れた。

 6日間の合計で手に入れた、私個人の合計金額は9150000ストン。
 そこそこの上級の装備でも一式揃えられるし、武器を一本だけ買うとするならば、ミスリルやBランクの魔物の素材を利用したものだって買えてしまう。

 それに、ギルドにいる冒険者さん達とも割と仲良くなった。
 あの男の子を待っている間、情報のやり取りや、雑談とかをしたからね。
 おかげで、一人の女剣士さんからこの街で一番腕がいい鍛冶屋さんの所在を聞くことができた。
 だから、今の私の計画はその鍛冶屋さんにオーダーメイドで剣二本と杖をつくってもらう事。
 素材を渡せば素材分の値段は割り引いてくれるらしいから、お父さんやお母さんに粉々にされた、ミスリルでできている私の古い身体を持っていけばいいと思う。

 ついでに男の子には、名前を教えてもらった。
 ネフラ君というらしい。
 まぁ、名前なんて仕事や取引には現在はあまり必要ないんだけど、一応ね。

 無論、私のレベルも街に来てから7も上がってる。
 ただ、レベルが上がる度に次のレベルまでに必要な経験値が毎回大幅に増えているのは、何とかならないかなぁ…。
 
 
 私はいつものように、ダンジョンの中にワープする。 
 最近気づいたんだけど、このダンジョンは奥に行けば奥に行くほど道が広なってっているんだ。
 例えば今、転移したここは入口付近と比べるとおおよそ2倍近くもの幅と高さがある。
 確かに、ランクが高くなって行くたんびに魔物は大きくなるから、ダンジョンも奥に行くにつれて強い魔物を動きやすくするために広くなってる可能性が高い。
 
 ……なら、そろそろもう少し奥に行ってもいいんじゃないかな?
 もしBランクの魔物なんかと遭遇すれば、一気にお金が増える。
 Bランクの魔物はまるっと1匹で100万ストンはするらしい。Cランクの魔物の約10倍の値段だ。
 その分Bランクの魔物はめちゃくちゃ強いけどね。
 


◆◆◆


 ギルド内にて、食事をしながら話をしている4人組の若者が居た。
 彼らはBランク『紅のヘリオトロープ』というパーティで、この城下町ではかなり名の知れた、実力のある冒険者達だ。一人一人の個人冒険者ランクもCである。


「いやぁ…今日の依頼は楽だったな! ご苦労様!」


 紅の鎧に身を包む碧眼の青年はそう言った。
 彼はこのパーティのリーダーである。
 職は剣士。


「そうね、リトルリファイゴーレムを3匹討伐するだけでよかったんですもの。ゴブザロスも楽だったって言ってるわ」


 彼女はこのパーティの魔物使いだ。
 今連れている仲魔は幼体化により大きさこそはただのゴブリンだが、本当はボスゴブリンの進化系のドンゴブリンである。
 『ビュウ』の魔法まで使え、剣術も少しだけ心得ている、よく教育されたゴブリンだ。


「僕の魔法は強力だからな、フフン。僕のおかげでもあるぞ!」


 淡い赤色のローブを着て、杖を握っている青年は得意そうにそう言った。
 彼の職は魔法使い。
 3属性もの魔法が使える事が自慢である。


「みんなすごいよ、本当に私なんて、補助しかできないから……」


 彼女はこのパーティに入ったばかりの冒険者。
 職は僧侶で、回復魔法と補助魔法を扱う。
 頭が良く、勉学が強いのが取り柄だ。

 謙遜している彼女に対し、このパーティのリーダーは励ましの声をかけた。


「そんな事ないぞ、補助魔法があったおかげで俺たちは楽に仕事ができるんだからな!」
「そうよ、自分を卑下する事ないわ」
「僕も…そう思うよ! 魔法使いとしては僕が上だけどねっ」
「えへ、そうかな? 私なんかのために励ましてくれてありがと」

 
 このパーティはかなりの実力がある。
 なぜならば、Cランクの魔物ならば、この4人で屠る事ができるからだ。

 ふだん、Cランクの魔物を討伐するとなると、国の兵士が完全武装して数十人単位で戦わなければいけない。

 それを、たった4人で潰せるのだ。
 やはり、実力があると言っても過言ではないだろう。


「ところで今日、俺から一つ提案があるんだが」
「おっ、なんだい?」


 リーダーの青年は自分に3人を自分に注目させた。
 彼は椅子から腰を浮かせ、やる気に満ちた声でこう言った。


「久しぶりに天の道のダンジョンへ行かないか?」
「あら、いいわね」
「僕の魔法を思いっきり放てる場だね」


 その言葉を聞いた二名はその提案にノリノリであったが、一人だけよくわかってない者がいた。
 新加入者の僧侶である。


「ええ…ダンジョン? 大丈夫なの? ダンジョンは何百人と人員を集めないと攻略は不可能だと聞きいたよ?そんなの、私なんかが…」


 そう、彼女は心配そうに言ったが他の3人はなんの心配もしていないみたいだ。


「大丈夫なのよ、未だにそのダンジョンはDランクの魔物までしか確認されてないの。別に攻略をしなくたってダンジョン内にいる魔物を素材として売れば、それなりのお金にはなるし」
「そうそう、それに僕たちはもうそのダンジョンに4回は行ってるしね」
「そういうわけだ、だから今日はダンジョンで小金と経験値を稼ごうと思う!」


 パーティの仲間たちのヤル気と、ダンジョンという未知に対する好奇心に押され、僧侶は承諾の意を示した。


「わっ! わかった、いくよ。全力でみんなをサポートするよ」
「そうこなくっちゃ!」


 その後、彼らは冒険の店で薬草や解毒薬などを買い込み、ダンジョンに潜るための準備を万端にした。
 

「よし、じゃあ一旦街をでるぞ。街を出ないとダンジョン内に貼った転移魔法陣が使えないからな」


 リーダーの言葉に従い、3人と1匹は街を出てリーダーに触れ、リーダーは転移魔法陣を使った。
 そして一瞬で洞窟内へと移動した。


「ふぅ、10日ぶりのこのダンジョンだな!」
「あ、危なくないの? こんなところに魔法陣を置いて……」


 そう、彼等は転移魔法陣を通路のど真ん中に貼っていた。
 休憩できるような大きな広場ならまだしも、相当実力に自信があるわけじゃない限りは、こんな場所には普通は転移魔法陣は貼らないのだ。


「それなら心配ないって、俺たちにとって楽勝な魔物しかでねぇから」
「そうそう、それにここに出る魔物はレディバ属。比較的対処が簡単なこの種族しか出ないんだ」


 魔法使いの青年がそう言った途端、上空から何かが、彼等にめがけて突撃してくる気配を感じた。
 その正体はFランクのヒュージレディバ2匹だ。


「お、早速獲物だ」
「ここは僕がやろう。『スファイラ』」


 魔法使いの青年がそう唱えると、魔法陣が現れ、レディバの周りに炎の波が現れ、2匹ともそれに飲み込まれて倒れた。


「ふふん、僕にかかればこんなもんさ」
「じゃ、袋の中に入れとくわね」


 念話で魔物使いの女性にレディバの死骸を袋に入れておくように指示されたゴブザロスは、その命令を忠実にこなした。


「じゃあ、進もうか」


 レディバを回収した彼等はそのままどんどんとダンジョンの中に入っていく。
 道中、F~Dの魔物とそれなりに遭遇したが、別段大きな怪我はなく、順調に進んでいっていた。
 ただ、順調だったのは途中まで。
 この日のダンジョン攻略を始めてから3時間ほどたった頃、イレギュラーは起こった。


「いやぁ…奥に行けば奥に行くほど、数がふえてくな」
「まぁ、あたりまえじゃない?」


 そんなこと話しながら悠長にダンジョン探索を続けていた彼等だが、リーダーの青年が突然立ち止まった。


「おい…くるな、なんか」
「……そうね」


 その立ち止まった者たちの元に来るのは1匹の琥珀色をした大きなレディバであった。


「お、おい、あれって2ヶ月前に発見されたばかりの新種のレディバじゃねぇか?」
「そうね、確かランクはCで二種属4種類の魔法をつかうんだっけ?」
「ふふ…腕がなるね」
「む……全力でサポートするよ!」


◆◆◆


「っー……強かったぜ!」
「そうね……此処一番でしつかったわね」
「はぁ……はぁ……ふふ、僕の魔法も活躍したね~」
「はーい、皆さん、リペアをかけるねー」


 無事にCランクのレディバを倒した彼等は、その場に少し座り込み、休憩をしていた。
 彼等にとって、Cランクの魔物は普通に戦えば大きな痛手なく勝てるのだが、あまりその琥珀色のレディバに対する情報が無かったためか、普通に対峙するよりもかなり苦戦したようだった。
 


「はぁ、少なくとも10日前まにはこんなのでてこなかったんだけどなぁ…」
「それほど奥まで来たってことよ。今日はもう帰りましょう」
「あぁ、さすがの僕も疲れて_____」


 彼等が帰ろうとして、リーダーの青年を触れようとした時である。
 遠方から、なにやら巨大な羽音が聞こえてきた。


「え! なにこれ」
「なにが…来るんだ?」


 4人がその大きな羽音に呆然としている最中、どんどんとその羽音は近づいてきて、ついにはもはや間近まで来ているようだった。
 

「やべ……早く帰……」


 リーダーの青年がそう言いかけた時である。
 どこからともなく、岩の塊がその青年めがけて飛んできたのだ。
 青年はとっさに3人を壁まで押し飛ばし、自分だけその岩塊に撃たれた。


「きゃーっ! アパタ!」


 魔法使いの少女はそう叫んだが、そんな叫び声は、今、目の前に出現した巨大な虫の咆哮により遮れられてしまった。


ギチチチチチチチチーーーッッ!

 
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