43 / 378
43話 冒険者パーティでございますか?
しおりを挟むロモンちゃんとリンネちゃんから、ローブを貰って6日がたった。
私達はかなり順調に活動をしていて、ここ6日間の平均収入は約50000ストン。
3人ともが多くの魔法を使えるから、まだFランクの依頼しか受けられないけれども、それでも仕事に困ることはなかった。
それに、薬草とか解毒薬などのアイテムも、各々の特技のおかげで大幅に節約ができている。
未だにお金は食費くらいにしかかかってないんだ。
私の夜の個人活動については、こちらも大儲けしていると言える。
ここ数日間は、ほとんどダンジョン内を進まずに転移魔方陣の中心として前後にうろちょろしてるだけだったんだけど、かなりのレディバを狩れた。
6日間の合計で手に入れた、私個人の合計金額は9150000ストン。
そこそこの上級の装備でも一式揃えられるし、武器を一本だけ買うとするならば、ミスリルやBランクの魔物の素材を利用したものだって買えてしまう。
それに、ギルドにいる冒険者さん達とも割と仲良くなった。
あの男の子を待っている間、情報のやり取りや、雑談とかをしたからね。
おかげで、一人の女剣士さんからこの街で一番腕がいい鍛冶屋さんの所在を聞くことができた。
だから、今の私の計画はその鍛冶屋さんにオーダーメイドで剣二本と杖をつくってもらう事。
素材を渡せば素材分の値段は割り引いてくれるらしいから、お父さんやお母さんに粉々にされた、ミスリルでできている私の古い身体を持っていけばいいと思う。
ついでに男の子には、名前を教えてもらった。
ネフラ君というらしい。
まぁ、名前なんて仕事や取引には現在はあまり必要ないんだけど、一応ね。
無論、私のレベルも街に来てから7も上がってる。
ただ、レベルが上がる度に次のレベルまでに必要な経験値が毎回大幅に増えているのは、何とかならないかなぁ…。
私はいつものように、ダンジョンの中にワープする。
最近気づいたんだけど、このダンジョンは奥に行けば奥に行くほど道が広なってっているんだ。
例えば今、転移したここは入口付近と比べるとおおよそ2倍近くもの幅と高さがある。
確かに、ランクが高くなって行くたんびに魔物は大きくなるから、ダンジョンも奥に行くにつれて強い魔物を動きやすくするために広くなってる可能性が高い。
……なら、そろそろもう少し奥に行ってもいいんじゃないかな?
もしBランクの魔物なんかと遭遇すれば、一気にお金が増える。
Bランクの魔物はまるっと1匹で100万ストンはするらしい。Cランクの魔物の約10倍の値段だ。
その分Bランクの魔物はめちゃくちゃ強いけどね。
◆◆◆
ギルド内にて、食事をしながら話をしている4人組の若者が居た。
彼らはBランク『紅のヘリオトロープ』というパーティで、この城下町ではかなり名の知れた、実力のある冒険者達だ。一人一人の個人冒険者ランクもCである。
「いやぁ…今日の依頼は楽だったな! ご苦労様!」
紅の鎧に身を包む碧眼の青年はそう言った。
彼はこのパーティのリーダーである。
職は剣士。
「そうね、リトルリファイゴーレムを3匹討伐するだけでよかったんですもの。ゴブザロスも楽だったって言ってるわ」
彼女はこのパーティの魔物使いだ。
今連れている仲魔は幼体化により大きさこそはただのゴブリンだが、本当はボスゴブリンの進化系のドンゴブリンである。
『ビュウ』の魔法まで使え、剣術も少しだけ心得ている、よく教育されたゴブリンだ。
「僕の魔法は強力だからな、フフン。僕のおかげでもあるぞ!」
淡い赤色のローブを着て、杖を握っている青年は得意そうにそう言った。
彼の職は魔法使い。
3属性もの魔法が使える事が自慢である。
「みんなすごいよ、本当に私なんて、補助しかできないから……」
彼女はこのパーティに入ったばかりの冒険者。
職は僧侶で、回復魔法と補助魔法を扱う。
頭が良く、勉学が強いのが取り柄だ。
謙遜している彼女に対し、このパーティのリーダーは励ましの声をかけた。
「そんな事ないぞ、補助魔法があったおかげで俺たちは楽に仕事ができるんだからな!」
「そうよ、自分を卑下する事ないわ」
「僕も…そう思うよ! 魔法使いとしては僕が上だけどねっ」
「えへ、そうかな? 私なんかのために励ましてくれてありがと」
このパーティはかなりの実力がある。
なぜならば、Cランクの魔物ならば、この4人で屠る事ができるからだ。
ふだん、Cランクの魔物を討伐するとなると、国の兵士が完全武装して数十人単位で戦わなければいけない。
それを、たった4人で潰せるのだ。
やはり、実力があると言っても過言ではないだろう。
「ところで今日、俺から一つ提案があるんだが」
「おっ、なんだい?」
リーダーの青年は自分に3人を自分に注目させた。
彼は椅子から腰を浮かせ、やる気に満ちた声でこう言った。
「久しぶりに天の道のダンジョンへ行かないか?」
「あら、いいわね」
「僕の魔法を思いっきり放てる場だね」
その言葉を聞いた二名はその提案にノリノリであったが、一人だけよくわかってない者がいた。
新加入者の僧侶である。
「ええ…ダンジョン? 大丈夫なの? ダンジョンは何百人と人員を集めないと攻略は不可能だと聞きいたよ?そんなの、私なんかが…」
そう、彼女は心配そうに言ったが他の3人はなんの心配もしていないみたいだ。
「大丈夫なのよ、未だにそのダンジョンはDランクの魔物までしか確認されてないの。別に攻略をしなくたってダンジョン内にいる魔物を素材として売れば、それなりのお金にはなるし」
「そうそう、それに僕たちはもうそのダンジョンに4回は行ってるしね」
「そういうわけだ、だから今日はダンジョンで小金と経験値を稼ごうと思う!」
パーティの仲間たちのヤル気と、ダンジョンという未知に対する好奇心に押され、僧侶は承諾の意を示した。
「わっ! わかった、いくよ。全力でみんなをサポートするよ」
「そうこなくっちゃ!」
その後、彼らは冒険の店で薬草や解毒薬などを買い込み、ダンジョンに潜るための準備を万端にした。
「よし、じゃあ一旦街をでるぞ。街を出ないとダンジョン内に貼った転移魔法陣が使えないからな」
リーダーの言葉に従い、3人と1匹は街を出てリーダーに触れ、リーダーは転移魔法陣を使った。
そして一瞬で洞窟内へと移動した。
「ふぅ、10日ぶりのこのダンジョンだな!」
「あ、危なくないの? こんなところに魔法陣を置いて……」
そう、彼等は転移魔法陣を通路のど真ん中に貼っていた。
休憩できるような大きな広場ならまだしも、相当実力に自信があるわけじゃない限りは、こんな場所には普通は転移魔法陣は貼らないのだ。
「それなら心配ないって、俺たちにとって楽勝な魔物しかでねぇから」
「そうそう、それにここに出る魔物はレディバ属。比較的対処が簡単なこの種族しか出ないんだ」
魔法使いの青年がそう言った途端、上空から何かが、彼等にめがけて突撃してくる気配を感じた。
その正体はFランクのヒュージレディバ2匹だ。
「お、早速獲物だ」
「ここは僕がやろう。『スファイラ』」
魔法使いの青年がそう唱えると、魔法陣が現れ、レディバの周りに炎の波が現れ、2匹ともそれに飲み込まれて倒れた。
「ふふん、僕にかかればこんなもんさ」
「じゃ、袋の中に入れとくわね」
念話で魔物使いの女性にレディバの死骸を袋に入れておくように指示されたゴブザロスは、その命令を忠実にこなした。
「じゃあ、進もうか」
レディバを回収した彼等はそのままどんどんとダンジョンの中に入っていく。
道中、F~Dの魔物とそれなりに遭遇したが、別段大きな怪我はなく、順調に進んでいっていた。
ただ、順調だったのは途中まで。
この日のダンジョン攻略を始めてから3時間ほどたった頃、イレギュラーは起こった。
「いやぁ…奥に行けば奥に行くほど、数がふえてくな」
「まぁ、あたりまえじゃない?」
そんなこと話しながら悠長にダンジョン探索を続けていた彼等だが、リーダーの青年が突然立ち止まった。
「おい…くるな、なんか」
「……そうね」
その立ち止まった者たちの元に来るのは1匹の琥珀色をした大きなレディバであった。
「お、おい、あれって2ヶ月前に発見されたばかりの新種のレディバじゃねぇか?」
「そうね、確かランクはCで二種属4種類の魔法をつかうんだっけ?」
「ふふ…腕がなるね」
「む……全力でサポートするよ!」
◆◆◆
「っー……強かったぜ!」
「そうね……此処一番でしつかったわね」
「はぁ……はぁ……ふふ、僕の魔法も活躍したね~」
「はーい、皆さん、リペアをかけるねー」
無事にCランクのレディバを倒した彼等は、その場に少し座り込み、休憩をしていた。
彼等にとって、Cランクの魔物は普通に戦えば大きな痛手なく勝てるのだが、あまりその琥珀色のレディバに対する情報が無かったためか、普通に対峙するよりもかなり苦戦したようだった。
「はぁ、少なくとも10日前まにはこんなのでてこなかったんだけどなぁ…」
「それほど奥まで来たってことよ。今日はもう帰りましょう」
「あぁ、さすがの僕も疲れて_____」
彼等が帰ろうとして、リーダーの青年を触れようとした時である。
遠方から、なにやら巨大な羽音が聞こえてきた。
「え! なにこれ」
「なにが…来るんだ?」
4人がその大きな羽音に呆然としている最中、どんどんとその羽音は近づいてきて、ついにはもはや間近まで来ているようだった。
「やべ……早く帰……」
リーダーの青年がそう言いかけた時である。
どこからともなく、岩の塊がその青年めがけて飛んできたのだ。
青年はとっさに3人を壁まで押し飛ばし、自分だけその岩塊に撃たれた。
「きゃーっ! アパタ!」
魔法使いの少女はそう叫んだが、そんな叫び声は、今、目の前に出現した巨大な虫の咆哮により遮れられてしまった。
ギチチチチチチチチーーーッッ!
0
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜
ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。
死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~
eggy
ファンタジー
もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。
村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。
ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。
しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。
まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。
幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。
「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる