私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

文字の大きさ
333 / 378

326話 戦いの準備でございます!

しおりを挟む
「……ただいま戻りました、王様……」
「いやぁ、おかえりおかえり!」


 出発してから5日後、タイガーアイさんが無傷で帰ってきた。偵察に関しては右に出る者はいない、王様は彼が魔王のもとへ向かってから毎日言っていたけれど本当のことだったみたい。


「で、どうだった?」
「犬の子の……ほぼ……計算通り。地下に……多数、そして……超大量の魔物がいる場所が……ありました」
「なるほど、地下かぁ」


 どうやらビンゴだったみたい。まさか本当に魔王の居場所が判明してしまうとは。いえ、もし仮にこれが魔王の居場所でなかったとしても、拠点の一つであって幹部が何人か居ることには変わりはない。十分な準備をして叩けばこちらが一気に有利になる。


「一応念のために訊くけど、みんな戦う準備はできてるよね?」


 王様は、みんなが既に気持ちの整理もついているのを知っている。だからその質問に返ってくる答えは一つ。
 私達はこの一ヶ月以上特訓をし続けた。そしてしっかりと実力がついた。普通なら一ヶ月前後ぐらいの期間じゃ大幅に強くなんてなれない。
 でも、お城に招かれる前から私達四人と一匹はそれぞれ個人でSランクに近い実力を持っていたこと、私という賢者の石がずっと一緒に居たこと、各々の師匠達がこの世界でも指折りの実力者であること、これらの要素が奇跡的に混じり合ってしまった。だから強い。


「その顔は……できてるね。ふふ、いいね。そうこなくっちゃ。僕、実はね今回のメンバーが過去、魔王討伐に参加した団体の中で最強なんじゃないかって踏んでるんだ」
「たしかに、そうかもしれませんな」
「そもそも王様、前回の魔王討伐は幹部への相手すら勇者一人に任せているのです。仲間が居る時点で楽勝だと思うよ」


 こういった場では最近発言を控えていたナイトさんが何故だか嬉しそうにそういった。楽勝とまで言い切るなんてね。まあ、SSランク相当が二人、Sランク相当がガーベラさん含め九人もいるんだもの、その気持ちは分からなくもない。


「あとね、友好国のみんながAからSランクの冒険者や騎士を派遣してきてくれるし、この国内でもランクが高い冒険者を雇おうと思ってるんだ。相手には魔王軍幹部だけじゃなくて、普通の魔物も配下にたくさん居るんでしょ? タイガーアイ」
「ええ……その通り……。何千……いや、何万は……」
「だからそんな感じで募った人たちにはそういった雑多な敵を相手してもらおうと思うよ! まあ、本当だったらこの場に一人で何千体を相手にして殲滅できる能力を持ってる人が何人もいるから不必要ではあるんだけど、念には念を入れないとね」


 王様のいう対群殲滅ができる力を持つ人物は、おじいさん、お母さんとベスさん、ロモンちゃんとケルくん、ペリドットさん、そして私のことでしょう。Aランク以下の敵だったら一撃で、なおかつ大量に倒すことのできる術をもっている。何万体も倒せるかは不安だけど、そこは協力してくれる方達に頼りましょう。


「蘇った魔王軍幹部達はそれぞれ任せるよ。特にロモンちゃん、リンネちゃん、アイリスちゃんの三人はこの中で一番魔王軍幹部達と接触してるから、期待してるね」
「お任せください!」
「頑張ります!」
「うんうん」


 少し前の私たちでも何やかんや魔王軍幹部には食い下がれていた。いまなら各個撃破もできてしまう気がする。
 でも相性は考えなきゃダメね。例えばサナトスファビドだったら毒が完全に効かずかかったとしてもすぐ回復できる私でないと大事に至るし、逆にグランルインクラブ……とにかくあの人が目の前に来たら嫌なことを思い出すので、別の人、特に男性に相手してもらわなければならない。……それとオーニキスさんが現れた場合、あの人と親交が少なかったナイトさんかガーベラさんに任せたほうがいいだろうし。


「それと魔王本人と戦うときになったらだけど、たしか魔王種って勇者から以外の攻撃によるダメージを激減させる特技を持っていたはずだから、ガーベラくん以外は無理をしないこと。例えジーゼフやナイトさん、アイリスちゃんだってまともにダメージ与えられない可能性があるからね」
「勇者以外の人物が魔王を倒してしまったらそれこそ格好もつきませんしな!」
「まあね、確かにそうだね」


 魔王に対して勇者が必要な理由は、王様の言ったように魔王は勇者から以外の攻撃によるダメージをほとんど通さないから。
 むしろナイトさんとおじいさんが連携してダメージを抑えても意味ないくらいの火力の技を出し、倒せてしまっても私は面白いと思うけどね。


「さてと、まあ大雑把な決め事や状況報告はここらへんにして、これからちゃんとした作戦を立てようか。魔王はなんとしても倒さなきゃいけないからね……」


◆◆◆


 七時間に及ぶ作戦会議が終わった。もちろんこのお城の策略家さん方も頑張っていたけれど、一番意見を出していたのはケルくんだった。出した意見のうちいくつかは実際に行われることになったし。あの子は一体どこを目指してるのかしら、そろそろ本格的に人間化した方がいいような気がしてきた。

 ……とにかくこれで、あとは作戦にのっとった準備をして当日を待つだけ。その当日まであと三日間。
 私はこの戦いで私自身が死んでしまったり、私と親しい誰かが亡くなったりするとは思っていない。そもそも死にそうになってたら私がすぐ回復させちゃうもの。大丈夫。
 

「ねーねー、アイリスちゃん」
「アイリスちゃん」
「はい、なんでしょう」
「私がこの戦いで一番心配なのはアイリスちゃんなんだよ?」
「ぼくもそうだよ」


 双子が私の腕にしがみついて上目遣いをしてくる。胸がキュンとしめつけれるほどに可愛い。


「そ、そんなに心配ですか?」
「心配だよ、心配! だってこの戦い、アイリスちゃんのことがバレたら一番狙われるのはアイリスちゃんだもん!」
「それにアイリスちゃんの悪い癖はなくなったわけじゃないからね、ぼくたちがしっかり監視してなきゃ」


 まあ、たしかに誰かを庇って死んじゃったりするのが一番私らしい気がする。いや、この戦いが終わったらすることがたくさんあるし、まだまだ死ぬわけにはいかないけど……って一度死のうとした私だもの、説得力なんかないけどね。


「そうかもしれませんね、気をつけなければ」
「でもね、大丈夫、ぼく達アイリスちゃんのこと守ってあげる!」
「私達のことアイリスちゃんが守ってくれてきたように、私達がアイリスちゃんを守るの!」


 二人は自慢気な顔をしてそう言った。この二人、なにができるようになったかまでは知ってるけど、それを本気で扱ったら相手がどうなってしまうかまでは私は知らない。

 ロモンちゃんは見事、半魔半人をしながら自分の意識を保つことが当たり前のようにできるようになった。これで自由に仲魔と連携が取れる。
 その上、自分と契約していない魔物や人間にも潜り込める。まだおじいさんのように勝手に記憶を覗いたりとかはできないみたいだけど、今はそれで十分。
 リンネちゃんもやはりナイトさんほどでないにしろ、自分の周りの時間を遅くする特技を半分くらいの精度でできてしまうらしい。二人の剣士に集中的に鍛えられたこともあり、純粋な技術力もスピードも高まっている。
 
 おそらく魔王軍幹部相手にはこの二人も手加減をしないでしょう。この二人が殺す気で全力を出した時、相手はどうなってしまうのか。


「……ふ、ふふ。可愛らしいお二人が守ってくださるんですから、きっと無敵ですね」
「強さに可愛さって関係ある?」
「ないよね?」
「あるんです、可愛いは正義なのですよ」
「それだったら王様が最強になっちゃうんじゃないかなぁ」


 可愛いと周りの士気も上がりますし(主に私の)、民衆からの人気も出るでしょう。やっぱり可愛いと強いとは密接に関係があると思うのよ、私は。リンネちゃんの言う通り王様が実際みんなの士気を上げまくってるわけだし。




#####


1日遅れまして申し訳ございません!
次の投稿は2/24です!
しおりを挟む
感想 142

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

処理中です...