私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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113話 オークションでございます!

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「そぉぉおれではぁあああ、お待ちかねっ!」


 司会の人が絶叫に近い言葉を放ってる中、女の人が丁寧に丁寧に一つの煌びやかな台を運んできた。
 全体的に布がかけられている。
 司会の人の興奮もやっぱりめちゃくちゃに高い。
 会場の空気もまるでレスリングを観戦してるかのように熱くなってきた。『うぉーっ』とか咆哮が聞こえるし。


「この祭りの大、大、大、大目玉の一つっ……! これだっ……!」


 台にかけられていた布を司会の人が勢いよく、且つ、丁寧に引っ張って抜き取る。
 現れたのは腕輪。
 鮮やかな青を基調とし、真ん中には大きなダイヤモンドのような宝石。さらに所々金で飾っている。
 みただけで至高の一品だってことがわかるわ。
 なんか輝いてるもん。

 こう……リンネちゃんに似合いそう…。
 と、いかんいかん。
 説明をちゃんと聞かなくちゃ。
 いくらかもう聞き逃しちゃったけど…よかった、まだ重要なことは言ってないみたい。これからね。


「_______この腕輪は『飛ぶ瞬のダンジョン』というダンジョンから発見されたアーティファクトでございまぁあああす! 装備した者にはなんとッ!」


 な、なんと?


「素早さを上げる効果を発揮致しますっっ!」


 えっ…それって……。


「……今、『そんなの、冒険者用の市販の装飾品にもあるじゃないか』って思った方、たぁぁぁあああくさん、居ますよね?」


 あ…バレてた?
 今まではリンネちゃん、もともと素早いからつけてなかったけど装飾品にもそういうのあるからね、ちゃんと。
 まあ…市販のものはめちゃくちゃ高いし、そんなに効果がないしで手を出さない人がほとんどなんだけれど。


「ですが、これは……市販のものなど比べ物にならないくらい素早さを上昇させるのですっ! 効果はアーティファクトや普通の腕輪に共通する特徴以外、これしかありません! これしかありませんが、とんでもなく素早さを上げます!」


 と言ってもなぁ……どのくらい上げてくれるんだろうか。そこもちゃんと話してくれないと…。


「…まだ信じられませんか? ならば、どなたかこの中に冒険者の方は居ませんか? 試しに装備をしてみて下さい!」

 
 それじゃあ試しに。
 私は手を挙げた。
 ま、こういうのってどうせ当たるわけ_______


「おーっと、そこの銀髪のお嬢さん! そう、332番のあなたです! こちらに…どうぞ」


 え…あ、当たっちゃった。
 とりあえず私は脇の階段を降り、中央のオークションステージに上がる。
 ききき…なんか緊張するんですけど…大会のゴーレムの時だってここまで緊張しなかったのに!
 あれかしら、高級物を扱うからかしら?


「では、332番さん、腕輪をおハメしましょう。お手を拝借」


 私は言われるがまま、司会者さんに手を差し出した。
 この細い腕に腕輪がはめられる。
 腕輪は私の腕の太さに合わせて小さくなった。


「なにか…変化はございませんか?」
「えっと…まだちょっと…」
「そうですか。では棒を危険ではない程度に振り回してみて下さい!」


 なるほど、こうやって誰かにはめて試させるっていうのは、前々から予定してたのか。
 台の中から棒を取り出し、私に渡してきた。
 

「これをなるべく早くなるように意識して振り回してみましょう、お願いします!」
「は…はいぃ…」


 言われるがままリンネちゃんの素振りに付き合うときのようにその棒を振るった。
 瞬間、腕と棒が消えた!?
 ああ、ちがう、ちゃんとある!?

 この光景を見ていた会場全体が湧き上がる…!

 なにが起きたのか…。
 す…すす、素早すぎてよくわかんない。
 とりあえず横にも振るってみる。
 ビュンと、早いなんてレベルじゃない速さで棒が私の前を横切った。
 ああ、2回目にしてやっと目で捕らえられた。
 なんかそうね、こう…素早さが2倍になったような? 2倍…まさか!?
 私は即座にステータスをのぞいてみる。
 そこには素早さが本当に2倍になった数値が映されていた。

 これ、すごい。
 それにもともと早いリンネちゃんなら制御もうまくできるはず……買うしかないっ!


「どうでした?!! 効果はお嬢さんが証明したと思います! 皆様もしかと御目でご覧いただけたかと! この腕輪……『イダテンの腕輪』。最初は…8500万ストンで始めさせていただきます!! ありがとうございました、お嬢さんはお戻り下さっても結構です」


 8500万ストン!
 今までの物品の中で一番高い! 
 だけど絶対に買う! そう決めたの!
 勝負をするために、さっさと席に戻る。
 イダテンの腕輪のオークションが始まった。
 1人の成金そうな膨よかな男の人がすかさず手を挙げる。


「おっと、475番の方!」
「8550万ストン!」
「次、609番の方!」
「8700万ストン!」


 次々と値段が上がって行く。
 さて、私は最後の方に手を挙げようか。
 

「555番っ! 9100万ストン……ッ! これ以上の方は居ませんかっ…!!」


 よし、そろそろ手を挙げて、ビシッと1億でも提示して_______


「おおおおぅっ!? 4番の方っ!」
「1億」
「きたああああああ1億ストンッ」


 あの赤い髪の人が手を挙げて、当てられた。
 1億……か。
 この人とはバトルになると思ってたけど、やっぱりそうなっちゃうか。
 

「これ以上の方は_______」


 司会の人が木槌を握ったところで、私はすかさず手をあげる。


「おっとおっとおっとおおおおっ!? 先ほどのお嬢さん! 332番…どうぞっ」
「1億200万ストンで」
「1億200万んんんんんッッッ!!」


 こんな小娘がなにを粋がってるのかと言いたげに、会場がどよめく。でも払えるんだから仕方ないじゃない。
 これで決まりかな…いや、そんなことなかった。
 あの赤髪の人はまた手を挙げる。


「おっと、またまた4番!」
「1億500万」
「1億500万ッ!!」


 やるわね。
 ……そろそろ決めちゃおうかな。
 私は、スッと手を挙げる。


「おっとまだ行くか! 何処までまで行くんだああああっ! また332番のお嬢さんっ!!」
「1億1000万ですっ!」


 まるで私のこと一言が鶴の一声だったみたいに、会場はシーンと静まりかえる。
 …赤髪の人は…手を挙げようとせず、残念そうな顔をしていた。てことは。


 ゴンゴンゴンッ_______


 と、木槌が振るわれる音が響いた。


「決まりだあああああッ!! 1 億 1000 万 ストン!!!」
「「「おおおおおおおおっ!!!」」」


 やった、やった! やったよォ!
 リンネちゃん喜んでくれるかな?
 えへへへ。


「332番の方は、オークションが終わり次第、会場裏へとお願いします! ……それでは、次の商品ダッ!」


 イダテンの腕輪はお姉さんに台ごと舞台裏に持っていかれた。
 代わりに、別のお姉さんが丁寧に丁寧に同じく裏から、台に乗せられ布のかけられた何かを持ってきた。
 ……見るからに、なんか剣っぽい。
 剣っぽいけど…柄の部分が大きすぎるような。


「それでは………ぬえええいっ!!」


 もはやテンションが上がりすぎて司会の人が何を言ってるかわからない。
 とりあえず、布を取り除かれたお宝のその正体は、小さめの盾に剣がついた、所謂、盾剣というやつだった。
 それも、真紅の。

 
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