私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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158話 蟹の氷漬けでございます!

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 それから、グラブアはガーベラに取り押さえられた格好のまま、兵士達にうまい具合に拘束された。彼は拘束され始めてからなにも言わず、ただだんまりと私を見つめていただけ。
 その間に血を抜かれ、気絶させられ、食塩水を流し込まれ、箱の中に入れられたグラブアは私の闇氷魔法とともに冷凍保存された。
 血液ももちろん全てきちんと凍らせてある。
 生きたまま血を抜かれ、氷漬けにされるなんてよく考えたら酷い拷問だけどね。


「これで全て終わりなのか?」


 ガーベラさんはそう言った。私は頷く。


【ええ、これで終わりですよ】


 私を陵辱しようとしたグラブア。巧みに騙して…。
 今までも幾人もの女の子達が被害にあってるのだと思うと、この仕打ちは妥当のようにも思えて来る。


「それじゃあ、冒険者さん達にもそう伝えましょうか」


 お母さんは念話をあたり一帯にめいいっぱい範囲を広げ、話し始めたの。


【これより、Sランク超越種、魔王軍幹部、グランルインクラブの討伐が完了しました! ありがとうございました!】
「「「うおおおおおおおおおおお!!」」」


 湧き上がる歓声と喜びの声。
 私達のギルドのギルドマスターが各地に呼びかけて集めて来てくれた、AからSランクの冒険者数十人と国の兵・騎士達。強大な敵を討伐したことに、みんなものすごく歓喜してるみたい。
 私も人の姿に戻るの。


「ガーベラさんには今回、たくさん助けていただきましたね」
「あ、ああ、うん。そうだな。えっと、無事で何より…本当に無事なの?」
「……? はい、まあ体の節々は触られましたが、それ以上のことは……ん?」


 ガーベラさんが目をキョロキョロと動かしてる。何か見辛いものでもみているような、そんな感じ。
 その態度にすこし疑問に思ってると、慌てたようにロモンちゃんから念話が入って来た。


【アイリスちゃん、アイリスちゃん! 服、服!】
「え、服……?」


 私は自分の胸元をみた。上半身が下着以外ガラ空き…つまり、ついついまだ着替えてない18歳の姿に戻ってしまって。


「……あぅ……」
「あ、あの、ごめん見てないから」
「あぅぅ……」


 私は急いでロモンちゃん達と同い年の姿に戻るの。
 やばい、私というものがやらかしてしまった……もうお嫁にいけないんじゃないかしらんっ。


「……アイリスちゃん、今の姿は?」
「え、あ、お母さん。えっとですね……」
「誰にやられたの?」


 私は箱詰めされてる強姦魔を指差した。お母さんの顔が真剣そのものになる。


「そう……ロモンとリンネが私のところに来た時、アイリスちゃんが大変だとは言ってたけど、こんなことになってるなんてね…」


 お母さんはそっと私に近づくと、ぎゅっと抱きしめて来てくれた。


「怖かったわね…」
「はい、ごわがったです…」
「それなのにこんなに頑張ったんだ」
「あい…っ」


 私の身体が震えてるような気がする。なんか、安心がこみ上げてきた。怖かった、恐ろしかった。
 なんか、もう、こう…なんというか、私…わたし…!


「ず、すいません…な、ななな、なんか緊張が解けて、それで、それでいて…」
「無理に話さなくていいわ」


 わたしの頭をお母さんはヨシヨシしてくれる。
 滑舌が急に悪くなって、目頭が熱くなって、自分でもあまりうまく話せてないのがわかる。


「ひっ…ぐすっ…」
「「アイリスちゃん…」」


 ロモンちゃんとリンネちゃんも私の元に来てくれたら。一緒になって頭を撫でてくれる。ああ、ダメ、もうダメ。


「うぇぇ…ひぅ…ぐすっ…ひっ」


◆◆◆


 10分ほど経って、私はすこし落ち着いた。
 お母さんはお仕事があるから『離れるね、ごめんね』と言い、すぐそばで何人かの人たちと打ち合わせみたいなのをしてる。
 ロモンちゃんとリンネちゃんが私の頭をまだ撫でてくれ、抱きしめてもくれてるの。


「アイリスちゃんがあんなになるなんてね」
「ね…。大丈夫? アイリスちゃん」
「あい……大丈夫です」


 二人とも優しい。大好き。
 もう私、この二人とガーベラさんが居なかったら本当にダメだったかもしれないから。三人には心の底から感謝するしかないわね。


「ん?」
「どしたの、アイリスちゃん」


 唐突に起こった感覚。身体が熱い。
 掘ってってるって程でもない……冬に熱いコーヒーを飲んでお腹らへんがあったまった、そんな感覚に似てるわね。もしかしてこれって……。


【魔王軍幹部グラブアを、協力し、封じ込めた! 経験値4300を取得】
【レベルが16上がって42になった!】
【『リシャドム』『スシャドラ』が『リスシャドラム』に進化した!】
【『リシャイム』『スシャイラ』が『リスシャイラム』に進化した!】


 ああ、そう、やっぱりたくさん経験値貰えるんだ。進化まではあと18レベルかしら。
 ダンジョン攻略とかしたからいつの間にかだいぶ上がってたのね。


「アイリスちゃん?」
「すいません、レベルアップしたようでして。闇魔法と光魔法が最上級まで使えるようになりました」
「えー、すごい!」
「やったね!」


 光魔法の最上級が使えるようになったのは大きい。これで火力面はもはや私は申し分ないだろう。Bランクの下の魔物が出せる威力じゃないものになるわ。


「ところで騎士団長のノアさん」
「ああ、貴方は確かSランクの…」
「ロンズだ。今回、正直に言えば我々冒険者はそこまで活躍しなかったが、報酬はいくらほど貰えるのだろうか」


 お母さんのそんな話が聞こえてきた。私としては駆けつけてくれただけでもありがたいけど、そっか、国の人たちは冒険者にお金を支払わなきゃいけないもんね。 
 ってことは私達にも支払われるのかしら?
 家族プライスでうやむやにされそうな気もするけど。


「事がことなので、それぞれの活躍に見合った報酬が出されますよ。それらをカウントする役割の者もきちんと連れてきてますし」
「そうですか。それは安心した。どうも」


 ロンズとかいう人はお母さんにぺこりお辞儀をすると、その場を去っていった。あ、駆けつけてくれたといえば。
 ロモンちゃんとリンネちゃんに聞かなきゃ。


「それにしてもよく二人とも兵を動かせてくれましたね。もしかしたら無理だったんじゃないかと、若干考えたのですが」
「ん、なんか街中で高度な魔法が使われた形跡を感知してて、もともと警戒してたみたいなんだよね」
「そそ、だからすぐ動いてくれたの」


 高度な魔法って言ったらあの泡のバリアか。なるほど、グラブアは自分で自分の首を絞めたことにもなるのかもしれないわね。


「それは幸運でした」
「ねーっ。もしかしたらこの国の高度な技術を何百年も前に過ごしてたあの蟹は知らなかったのかもしれないよ」
「だから安易に魔法を街中で使っちゃったのかも


 この勝利にはどうやら運も絡んでたみたいね。
 あぶなかった。本当に駆けつけてくれなかったら最終手段は自爆か自分の身を差し出すしかないから。


「ガーベラさんも、きちんと伝えてくれてありがとうございました」
「うん、アイリスが一人で時間稼ぎするのは中々心配だったけどな。信じて正解だった」
「今回に関して、本当に心の底から貴方に感謝しなければなりませんね。ありがとうございましたっ…!」


 そう言うと、ガーベラさんはすこし目をそらしながら頬を掻く。


「ま、まあ当たり前のことをしただけだよ」


 あれ、なんでちょっと照れてるのかしら?
 それとも気のせい?


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