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204話 蜘蛛討伐したので街に帰るのでございます!

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「お父さんとも一緒に帰りたかったね」
「うん……残念だね」
 
 
 クィーンプリズンスパイダーのアルケニスを封印した翌日。騎士の皆さんは後片づけやらが残っていてあと4日は滞在しなきゃいけないとかで、私達3人と1匹だけが王都に帰ることになったの。

 転移魔方陣ですでに王都前に移動し、宿屋へとすでに戻ってきているわ。
 
 お父さん達は4日も残るのに私達だけ1日で帰るだなんて……まあ魔王軍幹部の情報を比較的多く持っているのは私だから仕方ないか。
 

【ゾー、この数週間でオイラ、もっと強くなった気がするんだゾ!】
「そうだね、ケルはとーっても強くなったね!」
「アルケニスもケルが居なかったらぼく達は見つけられなかったもんね。いいかいいか」
【ゾ~……!】


 どれだけ成長しても根本の精神年齢はまだ子供。甘える時に思いっきり甘えてくるのがやはり犬そのものって感じで可愛い。
 仰向けになってお腹を撫でられていたケルは、目線だけを私に向けてきた。
 

【ねぇ、アイリス。オイラ、炎魔法と雷魔法、光魔法と闇魔法以外の魔法も覚えたいんだゾ。いっそのこと全種類覚えるんだゾ】
「おや、結構きついと思いますが?」
【そうなのかゾ? でも、オイラ新しい技を覚えたから、その応用性を高めるために是非とも覚えたいんだゾ】


 やけに知的に話すわね。
 普段から本を読ませてあげてるのが大きいのかしら。
 それはさておき、たしかにケル君の魔流の気を応用した魔法を纏う特技はかなりのもの……私もやればできるんでしょうけど、あそこまでの長時間の維持はできない気がする。


「あの全身に魔法を纏うアレですか。……では私にアレを教えてください。そしたら他の属性の魔法全てと爆発魔法、その他残りの魔流の気の教えの続きをしましょう」
「あっ、ケル、ぼくにも教えてよ! そしたらぼくからは空を歩く技術を教えてあげる!」


 アルケニスと戦ってる最中に、無意識だろうけど少しだけ出来たお父さんとリンネちゃんの空を蹴って方向転換したりするあの技ね。
 ちなみに私はゴーレムだから覚えてないよ、ゴーレムの時は身体が重すぎて使えないからね。でも太ってるけではありません。


【ゾゾ、オイラが教えるのかゾ!? できるかなぁ】
「ケルならなんの心配もいらないよ。きっとできるよ」
【三人ともそう言うなら、わかったゾ。でも教えるの下手でも怒らないで欲しいんだゾ】
「怒ったりなんかしないよー」


 そういうわけで、練習に私とリンネちゃんのためのケル君流属性魔流の気講座が追加されることになった。
 一人でもできなくないんだろうけど、一から考えるのには時間かかるし、教えてくれる子がいるなら教わったほうが効率がいい。
 攻撃のバリエーションが増えるはず。 


【でも今までの練習もそのまま続けて欲しいゾ】
「それはもちろんですよ」

 
 こうやってお互いに得意なことを高めてくのはいいわね。みんなで強くなっていくっていう感じが。


「その間、私はなにしようかなぁ」
「魔人融体の練習を兼ねて、私の中で一緒に魔流の気の練習をすればいいんじゃないでしょうか」
「じゃあそうしようかな」


 帰ってきてすぐだけど、相談がまとまったから、私たちはお風呂に入って眠ることにした。体を休めるのは大切だからね。
 ……そして数日ぶりに4人きりのお風呂。部外者は誰もいない。私はまた、胸を揉ませてもらった(揉まれもしたけど)。二人とも同じ速度で少しずつ成長してる。いや、その少しずつのペースが早い気がするわ。今回で出会った頃より確実に1カップは大きくなってる。さすがは成長期。
 あと、鼻血が出て騒がれた。


◆◆◆


「リンネ・ターコイズ殿、ロモン・ターコイズ殿、アイリス殿、おりませぬか!」


 私たちを呼ぶ声と、ドアをノックする音が聞こえる。
 誰よ、こんな朝っぱらから。
 今はまだ朝の……10時じゃない。なんだ、もう10時か。昨日眠ってのが午後六時くらいだから、だいたい16時間は眠ってたのね。
 それなら起きなきゃ。いや、まずはドアの人を受け付けないと。


「御三方!」
「はいはい……ふああ……すみません、疲れで眠りが深かったもので……」


 どうやらこの国の兵隊さんみたいね。まあ色々用事あるだろうし、国の人が来てもなにも不思議がることはないわ。


「お眠りのところ起こししてしまい、申し訳ない。貴女はアイリス殿ですね? 本日、昼中午後三時にて、オーニキス様がお呼びです。城の門前で待っているとのこと。お二人にもそうお伝えください」
「ふぁい……わかりました」
「任務お疲れ様でした! では私はこれで」
「ありがとうございます」


 ふむ……午後三時から城の前でねぇ。まあ私から報告することもあるだろうし、報酬の受け渡しとかもあるし、思いつく用事はたくさんね。
 私は二人を起こして、朝食兼昼食を食べている最中にそのことを話したの。


「わかった、三時だね!」
「なんにせよ私達は他の用事なんてないよね」


 ちなみにケル君はまだ眠っている。このまま丸一日眠っていてもおかしくなさそう。
 

「それまでどうしてよっか」
「5時間も暇ですからね、もう一眠りするのもアリなのではないでしょうか」
「んー、ぼくはもう眠くないよ」
「私もあまり眠くないよ」


 その後も3人で話し合った結果、お母さんに顔を合わせるということで話がまとまった。
 曜日が間違ってなければ、お母さんは今日はお休みのはずだからね。
 まあ、一応3日に一回は街に帰ってたけど、戦いが終わったって報告も大事じゃない? それに、任務前でもここのところ毎日練習漬けで出会えてなかったし。

 あと、あのお屋敷はお城から近い。一応お父さんもお母さんもこの国の偉い人なわけだから家が近くて当たり前かもしれないけど……とりあえず移動が楽ね。
 そういうわけで、早速、事前連絡なしでお母さんのところに遊びに行くの。


「「おかあさーん!」」
「えっ、あっ、ロモン、リンネ!?」
「ただいま、任務から帰ってまいりました」
「そう…そうなの! まあまあ、とりあえず上がって上がって!」


 屋敷の前でお母さんを呼び止め、私たちは屋敷に入れられる。いつも通りお母さんと双子が出会った途端抱きあっていた。


「報告に戻った剣士を伝って、オーニキスさんから聞いたわよ、また活躍したんだってね」
「今回一番頑張ったのはケルだよ」
「え、ケルが!?」
「いま封書からだすね」


 ロモンちゃんはケル君を封書から出した。置いてきたと思ってたんだけど、連れてきていたんだ。


「まだ寝てるじゃない」
「ベスが来たらきっと起きるよ」
「そうね、呼んでくるわ」


 お母さんはベスさんを呼んで来た。幼体化していて可愛い。こうしてみると黒犬か白犬かの違いはあるけど、この親子はよく似ている。


【……ノア、ムスコ ガ キテルッテ ホントウ?】
【ええ、そこにいるわよ】
【オ、ミンナ イルジャナイカ ニシテモ……アイカワラズ コノコハ ネボスケ ダネ】
【なんでも、今回の戦いで一番活躍したそうよ】
【エ、ケル ガ?】


 疑ったようにケル君を嗅ぐベスさん。
 逆にケル君がその自分のお母さんの匂いを感知したのか、目を覚ました。


【ん……くぁ……ママの匂いがするんだゾ】
【オハヨウ、ボウヤ】
【ママなんだゾ! ゾー……寝てある間に来たんゾね】
【……ナァ、ナンカ、コノコ、スゴイ ニンゲン ミタイニ ネンワ シテナイカイ?】
【あら、そうねっ!】
 

 
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