私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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205話 成長を見せるのでございます!

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 ロモンちゃんはケル君が今まで活躍したこと全て話し、さらに今覚えている特技をすべて披露させ、今後の覚えさせる特技などの案も言った。
  

「……すごい成長ね。ふふ、村にいた頃の寝坊助ケルとは思えないわ」
「残念ながら私だけの力じゃないよ。お勉強はアイリスちゃんだし、体捌きはお姉ちゃんが教えたし」
「あら、魔物使いはいかに魔物に信頼してもらうかが一番だからそれでいいのよ。ベスだってパパに体の動かし方教えてもらったりしてたもの」
「そうなんだ!」


 仲間に仲魔の育成を手伝ってもらう、そういうことは割と普通なの。まあ私の場合、仲魔が仲魔に教えたことになるけど、そこも先輩後輩間で教え合うって感じだし、問題ないと思う。


【……ウーン】
【ベス、どうしたの? さっきからにやけながら悩んでるわよ?】
【タシカニ ムスコガ テンサイ  ナノハ ウレシイ】
【そうね】
【デモ……モジガヨメ、ヒトノ コトバヲ リカイシ、ベンキョウ モ デキルト ナッタラ オヤノタツセ ガ……】


 なるほど、確かにケル君の方が実際、ベスさんより頭は良くなったといってもいいものね。いや、そもそもケル君は他のどの魔物よりも頭がずば抜けていいけれど。


【じゃあベスも人の言葉を勉強する?】
【……サテ、キャウノ クンレンヲ シヨウカネ】
【ふふふ、お城以外では普段しないくせに】


 ベスさんはケル君に一度だけキスをするように顔を舐めると、そそくさと逃げるように別の部屋に逃げていった。
 ……なるほど、お母さんなら確かに魔物に言葉を教えられそうなものだけど、ベスさんが覚えなかったのね。


「それで、いつまでここに居られる?」
「3時にね、オーニキスさん……様の方がいいかな?」
「様の方がいいわね」
「オーニキス様に呼ばれてるの。それまでここにいようかなって思ってるの!」
「思ってるの!」


 二人がそういうと、お母さんは嬉しそうにニコニコと笑った。


「ふふふ、そっかー。もちろん、ここはあなた達の家といっても過言じゃないんだし、好きなだけ居なさい」


 本当なら二人ともここに住んでいるはずだったものね。独り(二人、終いには三人)立ちしたいから宿を長期契約で借りてるだけで。そういえばあの契約もそろそろ切れるわね。
 それにしても数時間暇だなぁ……そうだ。


「あの、本などいくつか借りてもよろしいですか?」
「あら、アイリスちゃん読むの?」
「いえ、ケル君に読ませようかなと思って」
【ご本? 読むんだゾ!】
「まあまあまあ、あとでベスにも読むようにすすめようかしら。読んでもいいわよ。でも破いたりしないようにね。書斎兼資料室はこっちよ」


 お母さんならケル君の成長により良い本を持ってるだろうし、そんな本をケル君自身で読んでもらおうという魂胆。
 わからない専門用語とかがあったら付き添ってあげるから、一応知識だけは詰め込んでる私に聞いてくればいいし。

 お母さんは書斎に通してくれた。そういえば初めて入る部屋ね、ここは。
 ずらりと大量の本が並んでいる。
 

「どんな本がいいの?」
【アイリスに任せるゾ】
「ケル君に、全属性の魔法を覚えさせる計画をしています。魔物使いが魔物に魔法を教えるための本はありませんか?」
「……魔物使いの魔物育成用の本を、育成される側のケルが読むの?」
【なかなか面白そうなんだゾ! 読むゾ!】
「ほんとに面白いわね。見物させてもらっていい?」
「構いませんよ」


 お母さんは私が注文した通りの本を数冊持ってきた。村のおじいさんの家の中にあった本もあるし、全く見たことないものもある。


「どれがいいかはケル君が選んでください」
【じゃあ真ん中ので!】
「はい、どうぞ」
「それじゃあ読むんだゾ」


 ケル君はその可愛らしく、人に比べたら短い手でうまく本を不器用に挟むと、ヨタヨタと立ち上がって二足歩行で壁際まで行き、そこに人間のように座り込むと、自分の腹を支えにして本を開いた。


「びっくりするほど器用ね……。昔のアイリスちゃんとタメをはれるわ」
「最初は誰かがケル君の読むスピードに合わせてページを開いてあげていたんですけどね、いつのまにかああなってました」
「それにしても可愛いわね、あれ」
「ですよね」


 ちょこんと座って、自分の爪と肉球でうまいことページをめくる姿が愛くるしい。それにしても読むスピードも上がったかしらね?
 ちなみにロモンちゃんとリンネちゃんは庭に遊びにいったっぽい。

 そんなわけで見ても飽きないからそのまま1時間くらい私とお母さんでケル君を観察し続けたの。
 そう、ちょうど1時間経ったころ、ケル君が顔を上げてこちらを向いた。


【……試したいことがあるんだゾ】
「どうしたの?」
【どこか広くて、少し暴れても問題ないくらいの場所はないかゾ?】
「それなら地下室に行きましょうか」


 ケル君の要望で地下室に移動した。もうわかってる、だいたいケル君がなにか突発的にやり出したら新技やら新魔法を披露するときだ。
 

「ここなら存分に暴れてどうぞ」
【ありがとなんだゾ! それじゃあ早速】


 ケル君は口を開き、こう唱えた。


【バシャ! ビュー! ドゴド! ヒョウ!】


 水風土氷、この四つはケル君が覚えていない属性の魔法。これを連発して撃ってしまった。


「あれ、ケルって火と雷と光と闇が使えるんじゃ……」
【今覚えたんだゾ! えっへん!】
「自分で本を読んで、それも一度読んだだけでもう習得しちゃう魔物って……もはや天才を通り越して大天才。もしかしていつもこんな感じなの? 正直今、初めてアイリスちゃんを見た時と同じくらい驚いてるわよ」


 信じられないものでも見るような表情で、お母さんはそう尋ねてきた。


「ええ、まあだいたい。一度教えたらその日のうちにできてしまうことがほとんどですね」
【ねー、ねー、えらい? えらいなら抱っこして撫でるんだゾ!】
「くぅ……お父さんは気がついていたのかしらね、この子の才能に。産まれてすぐにあの家に置いてきちゃったから気がつかなかった……。まあロモンがしっかり育ててるみたいだし、アイリスちゃんもついてるし、それでいいかしらね! おいで、ケル」
【ゾーー!】


 ケル君はお母さんの胸元に飛びかかり、顔を埋めた。頭も撫でてもらっている。羨ましい……じゃなくて実際に私に甘えてくる時もああいう風に胸に顔を埋めてくる。
 ロモンちゃんやリンネちゃん……この間までなら女団員さん達にも。
 
 大きい方が気持ちいいのだそうだ。
 半魔半人化してほしくないと正直思い始めたりしているわ。今の可愛いままでいいのよ、この子は。
 私も胸をどうこうされても、犬だからいいけど、人間の男性となると子供でもちょっと…ね。


「この子はいい子ね……きっとこのままよく育ってくれるず。Sランクの魔物にはまずなるでしょうね」


 その後、約束通りの時間になったので私たちはお城に行くことにした。お母さんが少し化粧を施してくれたわ。元々私たち3人ともシミとか一切ないからナチュラルなものだけど。
 服装もしっかりしてるし、ロモンちゃんとリンネちゃんはお姫様みたいに見えちゃった。

 寂しそうに見送るお母さんを励ましつつ、私たちはお屋敷を出てお城に向かった。
 あ、その途中でわたしはロモンちゃんとリンネちゃんにケル君が魔法を覚えてしまったことを報告し、ロモンちゃんをお母さんが褒めてたことも言って上げた。
 ロモンちゃんの照れ顔かわいい。


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