私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍

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216話 メリハリは大事なのでございます!

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「ア~イリ~スちゃ~ん」
「昨日のデートはどうだったかな~?」


 翌朝、双子がニヤニヤしながらにじり寄ってくる。昨日の夜は余韻に浸らせてくれるためかなんなのかはわからないけれど、このことについては触れてこなかった。
 しかし、今日は起きてからずっとこんな調子だ。


「普通ですよ、普通!」
「ぼく達、男の人と付き合ったことないから普通がわかんないなー。ねー、ロモン」
「ちゃんとした感想が聞きたいなー。ねー、お姉ちゃん」
【オイラも気になるんだゾ!】
「ケル君まで…っ!」


 私の周りを取り囲んでぐるぐると二人と一匹が回っている。言うまで解放してくれそうにない。
 

「仕方ないですね、ではどのようなデートをしたのか話しましょうか」
「そうこなくっちゃ!」
「普段しっかりしてるアイリスちゃんが照れてる場面とかあったんだろーなー」
【ゾ! ……えっと、とにかく話すんだゾ!】


 私は三人をソファに座らせ、昨日のデートの内容を大まかに話した。身を乗り出してノリノリで聞いている。
 まとめて全部話し終えた頃、はーい、とロモンちゃんが手を挙げた。


「質問ですか?」
「うんっ! 手を繋いで歩いたりはなかったの?」
「手を繋いで歩くのは……してませんね」
「これから付き合ってく上でいつかする?」
「それは……ええ、たぶん」


 こうやっていじられるのに慣れてしまって、ちゃんと手を繋いで歩くような日がいつかくる……確かにそうかもしれない。


「キスは……した?」
「それは……あー……まだですね」
「待てー、なんだ今の間はー!」
「何があったか正直に話してもらおうか!」
【ゾ、お口とお口を合わせて何が楽しいのかゾ? 口でも拭いてあげるのかゾ?】


 どうやら誤魔化せそうにない。
 昼食の時に間接キスしてしまったことは伏せておいたのだけど、今の状態の二人におそらく嘘をついても一瞬でバレてしまうだろう。


「実は、あ、あのこれ、誰にも話さないでくださいね?」
「うんうん」
「既に照れてるのが可愛いアイリスちゃんに免じて、誰にも言わないで置いてあげよう」
【お風呂上がりみたいに赤いんだゾ】
「……実は、アーンって、食べさせあいをしまして」
「「ほうほうっ!」」


 キラキラとした眼差しで私を見ないで! 余計恥ずかしくなってきた。でも話さなきゃ。
 ちなみにケル君はずっと首を傾げたまま。


「それで……食器は……そのままなので、か、か、か、か、間接……間接きっしゅうぉ……したんでしゅ……」
「「きゃーー!」」
【………ゾ?】


 あー、言ってしまった。穴があったら入りたいとはズバリこのことね。いっそのことゴーレムに戻って無表情を極めてやろうかしら。


「ガーベラさんからアーンしたいって言ってきたの?」
「いえ、付き合ってるしせっかくだからと、私から……」
「ひゅー! アイリスちゃん積極的ィ!」
「まさかあのアイリスちゃんが自分からそんな事しだすなんて、よっぽどあの人のこと好きなんだね」
「ち……違い……いや、違くな……あーもー、とにかく! それに関してはただの出来心です! そ、そこまで深い意味はありませんから!」


 本当に、付き合ってるならこういうこともしてるんじゃないかと思ってやったことだから、何も深い意味はないの。緊張しすぎてたのか、あの時のことあんまり覚えてないし。


「なんにせよ、アイリスちゃんの初デート概ね成功しててよかったよ」
「これでもっと男の人嫌いになったら大変だったね!」
「やっぱりガーベラさんだったら安心だね!」
「ねーっ」 


 成功と言えば成功なのかしら。確かにある程度話はしたし、彼女と彼氏らしいこともできたと思う。
 より仲良くなったかどうかはわからないけど。
 まあ、そういうところはこれからどんどんと進めていけばいいかしら。
 でもでも、それだとしても、お父さんとお母さんみたいにラブラブイチャイチャするような仲になるのってあんまり想像つかないような。
 もし、なったらどうしよう。私だって甘えたい時はあるし無いとは限らない。今のうちにロモンちゃんとリンネちゃんを練習台にして、人に思いっきり甘えるのに慣れて置こうかしら?


「それはそれとして、今日はどうしようかアイリスちゃん」
「新しいデートの約束とかしてないのー?」


 しばらくどう甘えようか考えていたら、ロモンちゃんが話を切り替えてきた。やっと恋愛の報告は終われるのかな? 恥ずかしかった。


「あっ……それは次会ったときしますよ。それより今日はケル君と一緒に魔法や気の訓練をしませんか?」
「今度からはデート終わりに決めた方がいいと思う。そして今日も訓練にするんだ?」
「まだお仕事明けてすぐだし、もう少し休んでもいいと思うよ? 特にアイリスちゃんは」


 確かについこの間、この街に帰ってきたばっかり。でもこうやって休んでばかりいると、ズルズルと休み癖がついちゃってダメだと思うのよね。
 ロモンちゃんとリンネちゃん、そしてケル君はハングリー精神があるから大丈夫かもしれないけれど、特に私は彼氏もできたし、連続でサボっちゃうと向上心が無くなりそうで怖い。


「いえ、こういうのはメリハリが大事なので……でも確かに長期の仕事が明けてすぐですし、お二人とケル君は休んでいただいても」
「えー、アイリスちゃんがやるなら私たちもやるよ」
「そうそう!」
【ん、やっぱり訓練行くのかゾ? それなら少しお願いがあるんだゾ】


 私の恋愛話をしてる最中にウトウトしてていつの間にか反応がなくなっていたケル君が薄目を開けながらそう言ってきた。


「はい、なんにせよケル君がメインの訓練になるでしょうし、やりたい練習があるならその通りにしますが」
【ゾー、今主な属性魔法の基礎を全種とリンネの技を覚えてる最中だけど、なんだか実践しつつやったらもっと早く覚えられそうな気がするんだゾ。トカゲのダンジョンの続きをしつつ覚えるんだゾ!】


 なるほど、本人が実戦訓練したいと言ってるならば、その通りにしたら覚えが良くなるかもしれない。
 それにケル君自身、少し前とは見違えるほど……本当に短期間で強くなってるし、本格的にダンジョンの攻略をし始めてもいいかも。


「ケル君はこう言ってますがどうします?」
「ぼくはケルとアイリスちゃんの判断にまかせるよ」
「私も、二人の意見のが大事!」
「じゃあ決まりですね、ダンジョンの攻略に行きましょう!」


 なんやかんやであのダンジョンに潜るのはすごく久しぶりなき気がする。オーニキスさんにダンジョンを紹介してもらって、あの人の本来の目的であった仕事の一つをこなしてから本格的に挑戦することになるとは。
 

「じゃあ早速行きますか」
「うん!」


 みんな私の肩に捕まった。
 ダンジョン内にまだ転移魔法陣は置いておいてあるから、即座に内部に移動する。


「転移魔法陣作った人って本当にすごいよねー」
「特に大きな準備しなくてもダンジョンに行けるし、危なくなったら即座に帰れるもんね」
【ゾ、じゃあ早く進んで早く練習するんだゾ!】
「あ、その前に実戦慣れするために、オーニキスさんからもらったあれをつけておきましょうか」
【わかったんだゾ!】


 ケル君は首輪につけていた球を押し、オーニキスさんからもらった鎧を纏った。やっぱりこの姿はかなりかっこいい。そのままやる気満々のケル君を先頭にして、私たちはダンジョンを進み始めた。


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