題名のない魔王

Ss侍

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魔王の世界 と 記録の世界

12話

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「では、行ってくる」


 予定時刻五分前となった。丁度の時間で決闘場に入場する手筈だ。もうそろそろ行かなければならない。


「……ネームレス様、最後に。ワシらはもし、勝っても負けても……貴方のことは恨みませぬから。お好きに戦ってくだされ」
「なにを言う、負けたら恨め。ここまでしてもらって負けたら、確実に俺が悪い」
「で、でも私は勝つって信じてるから」
「もちろん、俺も負けることは考えていない。……そろそろ言葉を交わせるのはここまでのようだな」


 俺は前へ進んだ。待機室は直接、決闘場まで道が続いている。王族専用の観客席の道はまた別にあるため二人とはここでお別れである。俺は何十本もの安価な剣が入った荷車を片手で転がしながら、もう一方の手で後ろ向きのままヨーム達に軽く手を振った。

 しばらく歩くと、重厚そうな見た目をしている扉の前までたどり着いた。あと三分ほどでここが自動で開く。そうしたら反対側にいる勇者と対面するように決闘場へ入場をしなければならない。……扉の向こう側から大量の人間の声が聞こえる。

 そしてついに時間がきた。ゆっくりと扉が開き始め、この道に光が差し込んでくる。俺は前へ進んだ。


「うおおおおおおおおおお!」
「がんばってぇえええええ!」
「いけぇ! 下等な魔族共をぶっ潰せ勇者あああああああああ!」
「どうか、どうか私達を守ってくだされ魔人様ああああ!」
「うわ、なんだか気分悪そうな見た目!!」


 ひどくやかましいな。街以上の密度……これほど人が集まっている場所に来るのは初めてだ。どいつもこいつも俺か、反対側にいる勇者のことを見ている。また、今このタイミングで王族専用の観客席へ着いたヨームとエッツラ王、そして人族の王も席に着きながら俺たち二人の様子をじっと眺めているようだ。

 勇者の奴はにやけた顔をしながら腕を組み、俺のことを見据えていた。男にしては長めの白みがかった茶髪を後ろで一つに結び、片方の目には黒い眼帯。鎧はなかなか立派そうなものをつけている。一方俺は普通の服を着ているだけ。もっとも、いつものように望んでこうしたのだ。ごちゃごちゃ身につけてても煩わしいからな。


「お互い、中央へ!」


 この勝負には立会人がついている。一応、戦いの内容自体に決まりはないのだが、この決闘の初めと終わりを円滑に進めるために導入しているのだそうだ。その立会人は人族側から選ぶらしい。
 俺と勇者は立会人の言う通りに決闘場の真ん中まで歩をすすめた。


「魔人。どこの勇者か英雄か知らないけど、最終的に勝つのは僕だ」
「そうか」


 勇者が話しかけてきた。待機場前で出会った時から思っていたが喋り方がなんか鼻に付く奴だ。長時間こいつと話をしていたら気分が悪くなりそうである。


「……その、後ろにある大量のやすっぽい剣はなに?」
「この決闘に使う以外なにがある?」
「……ふーん。ていうかさ、やっぱり死体みたいな見た目しているね。いや……そもそも本当にどっかの勇者とな英雄なの? すっごい禍々しい何かを感じるんだけど……」
「勘はいい方だな」
「え? それって……」


 ふむ、流石に勇者として選ばれるだけはあるか。勇者が何かを喋ろうとしたが立会人は腕を広げ俺たちの会話を中断させた。時間的に次に移らなければならないようだ。


「お互い、名を名乗って!」
「……まあいいや、決まりだし。じゃあ、こちらから名乗ってあげよう。僕の名前はイフォー。イフォー・ダロード。魔の力を持つ悪しき魔族、そして魔王を滅ぼす正義の勇者さ! ……ね! みんな!」
「「おおおおおおおおおおお!!」」


 人族側の観客に手を振りながら勇者は自分の名を述べた。そういえば待機場前で人族の王が呼んでいたか。魔王を滅ぼすとは面白いことを言ってくれる。魔族、そして魔人を呼び出す王でたるエッツラ王とヨームに対して言っているのだろうが、偶然にもコイツが戦うのは本当に魔王であるというわけだ。

 では、俺もなにか一つ目立つことを述べようではないか。元の世界で勇者と再戦することになった時、野次馬が多くいた場合のための練習も兼ねて。案外俺はこういう形で目立つのも嫌いじゃないようだ。


「ふは、ふは、ふははははははははははは!」
「……なにがおもしろいんだ?」
「いや、魔王を倒すなどとほざいているのでな。つい笑ってしまった。……お前に魔王が倒せるか?」
「そっちの世界の魔王がどうかは知らないけど、こっちはただのお爺ちゃ……。いやまさか、さっきの言動といい……お前は……」
「そうだ。俺は第二十一代目魔王、ネームレス。記憶の底にしかと刻み込んでおくがよい……!」


 名乗った途端に、あちらこちらから悲鳴が聞こえ始めた。敵側からも、味方側からもだ。どうやら別の世界の魔王がやばい存在であるという話は想像していたより一般にも普及していたようだな。この叫び声、漂う恐怖心、非常に悪くない。


「なっなななっな……! エッツラ王、このジジイ! 一体なにを考えているんだ!? 制御が効く勇者や英雄を呼ぶのが通例だろう!? おい、なんか言え、この世界の魔王として、なんか言えよ。どういうつもりなんだ!! こんな話聞いてないぞ!」
「……落ち着きなされ、トゥサーク王。主らはワシら『魔人を呼びだす王』を倒すのじゃろう? ならばまずはそこにいる本物の魔王を勇者で倒してくだされ。話はそれからですな」
「ぐう……!」


 人族の王もかなり取り乱しているようだ。この世界の常識が破られたのだから仕方がないのだろうが。過去の記録にしても魔王を呼んだことは一度たりともない訳だしな。しかしエッツラ王も言うではないか。この様子だけを見ればだれも手違いで俺を呼んだとは思わないだろう。

 だが、あれだな、こうなると向こうもこちらの情報を全く掴めてなかったってことになるよな。この世界は全体的に偵察などに関しては苦手なのかもしれない。とはいえ、これで条件はお互いに同じということもわかった。あとは戦うだけだな。


「と、いうわけだ。では始めようか」
「……そうだな。僕だって勇者なんだ! 別の世界の魔王だって倒してやる! そして、この世界の魔王も倒すんだ! 行くぞ!」


 うーむ、しかし先程の発言からしても少なくともこの勇者は勝利によって得られる金が目的じゃないようだ。狙いはエッツラ王か。だが、なぜ? ……まあ、今は置いておこう。戦いに集中しなければ。
 この世界の勇者、イフォーが俺に向かって剣を構え向かってきた。その初動からして技量は当然ながら俺より数段上であることが見て取れる。相手の技術が上ならば俺は力でそれを越せば良い。
 俺は荷車の中から剣を一本取り出し、魔力を込めて勇者に向かって投げつけてやった。


「ソードダークネス」
「……!? うぉあ!」


 荷車に積んできた剣は、全てソードダークネスを放つためのものだ。一度投げれば自身の火力に耐えられず途中で溶けきってしまう。故に安物。投げた剣を相手に再利用されることもないため都合がいい。
 一投目のソードダークネスは勇者の咄嗟の回避で直撃を免れてしまった。しかし鎧の一部を破壊することには成功したようだ。


「な、なんて破壊力……」
「ふはははは! ソードダークネス……もう一つ、ソードダークネス! これもソードダークネスだッ!」
「第十二項目まほ……くっ! ぬあっ!」
「ほら、おかわりだ。まだまだあるぞ」


 ソードダークネスの利点は何かしらの構えなどは必要なく、投げたい方向に、魔力を込めた剣型のモノを投げれば発動し、投擲の技術がなくともきちんとまっすぐ飛んでいくことだ。故に使いやすい。ただやはり、俺の世界の勇者のソードライトニングには威力が劣っているような気がするが……今は些細な問題だろう。

 俺は次々にソードダークネスを投擲していく。勇者は回避行動をしているが、直撃せずとも完全にかわしきれていないため少しずつダメージを負っていっているようだ。ふむ、見た目以上に影響を与える範囲が広いことも利点だな。


「はぁ……はぁ……」
「ソードダークネス、おまけにソードダークネス、もうひとつソードダークネス、それからソードダークネス、再びソードダークネス、からのソードダークネスッ!」
「ぐ……お、だ、第十二項目魔法クイック・トゥエルブ!」
「む……」


 魔法を唱える暇を与えないようにソードダークネスを撃ち続けていたのだが、ついに唱えられてしまった。第十二項目の速さをあげる魔法か。厄介だな。
 魔力魔法を自分にかける場合、作成した魔法陣に自分の身をくぐらせなければならないが、マナ魔法は手のひらを自分の体のどこかに当てて発動させれば良い。故に手早く済む。

 ……それはそうと、魔族側の歓声が大人しくなったような気がしたので、一瞬だけ様子を見てみた。ヨームやエッツラ王だけでなく、魔族全員がぐったりとしている。どうやら勇者の持つ剣の効果はすでに働いているようだ。マナを身体維持にも使っている魔族達にとってここは最低の空間と言っても過言ではないだろう。早めに終わらせたいが……。
 


「第十三項目魔法パワー・サーティーン! 死ねぇぇぇ!」
「……第二項目魔法ハード・セカンド」
「なぜこの世界の魔法を!? でもたったの第二項目、なによりマナは足りていないはずだ!」


 目に止まらぬ速さで後ろに回り込んでいた勇者。その姿が一瞬だけ見えると同時に脇腹になにかが差し込まれた感触があった。どうやら斬り付けられたようだ。
 俺はマナがなくとも魔力を代わりにしてマナ魔法を唱えられる。思っていた通りそれが今役に立った。……しかし解せぬ。身体の硬さを上昇させる魔法をこの頑丈な身体にかけたというのに、やや痛みがあるとは。普通より遥かに重い勇者の剣は伊達じゃないな。


「え……?」
「いい威力だとは思うぞ」


 俺は腰に下げていた鞘から巨大ツノシシの剣を抜き、勇者に向かって薙ぎ払うよう斬り付けた。しかし、それはかなりの余裕を持ってかわされた。勇者は俺の一太刀に何かを感じたのか一瞬手を止めたが、すぐに剣を構え直した。


「……はぁーっ!」
「ふむ、くるか」


 瞬きの間に間合いを詰めてくる勇者。再び身体のどこかでかすかな痛みが響く。太刀筋が全く見えなかった。俺は仕返しにと剣を振るが、当然のように当たらない。うーむ、やはり技量が足りぬ。
 そして勇者は嬉しそうに笑った。……どうやらこの一連のやりとりで見透かされたようだ。


「なるほど、やっぱり。お前の取り柄は破壊力と頑丈さだけ! 攻撃が効かなくて驚いたけど、この速さのまま何度も何度も叩いていれば僕の勝ちだ! 技量が足りないんだよ、技量が! 新米の騎士ほどもあるか怪しいぐらいだ!」


 それから勇者は宣言した通り、俺を何度も何度も剣で打ちのめしてきた。俺には自身より速い動きをする者の剣を、自身の剣で先を予測して防ぐなどという行為はまだできない。故に相手の攻撃は全て身体に当たっている。せっかく剣を作ってもらったというのに撃ち合うことができないというのは勿体無い。
 ……たしかにこのままくらい続ければそれなりのダメージとなるだろう。どうにかせねばなるまい。
 

「第九項目魔法ブラスト・ナインス!」
「むっ!」


 勇者が剣による連撃の合間に空いてる手のひらを向け、マナ魔法による爆発魔法を唱えてきた。回避することなどできずほぼ直に食らってしまう。さらに爆発で前が見えないうちに、また別の爆発が発生した。どうやら勇者は連続して唱えているようだ。十五発ほど食らったところで連続攻撃は止まった。


「はぁ……はぁ……ぼ、僕の勝ちだ! 僕は、べ、別の世界の魔王を倒したんだ!」
「……まだだぞ」


 どうやら俺が無抵抗で爆発魔法を受け続けたため死んだと勘違いされたようだ。爆風で視界が悪くなったのも手伝ったのだろう。たしかに今ので身体に少々軽めの火傷を負ってしまったが、まだまだ全然余裕で立って戦闘を続けられるだけの体力はある。


「う、うそだろ……あんなの食らってまだ生きてるなんて」
「俺は魔王だからな。だが、それなりに痛かったぞ」
「ぐぅ……ああああ! 第九項目魔法ブラスト・ナインス!!」


 今度は剣に手のひらを添え、爆発魔法のマナを剣に付与してきた。マナ魔法による道具への効果付与は、魔法を発ししながら対象をなぞることで発動する。

 城にあった「時間の止まる箱」や「再生する部屋」、俺の「再生する剣」などもその容量で作られたものだ。何度も繰り返して同じマナ魔法を付与し続けるとやがて定着するようになるのだという。

 勇者は、剣に爆発を含ませたその状態で斬りかかってくる。剣は先程までと同様に俺の肌に鋭い痛みを与えたが、それと同時に、小規模の爆発が接触部に巻き起こった。接触部分から超至近距離で起こる爆発というのは、中々の威力だ。


「ぐっ……!」
「え、あっ……き、効いたか! あははは、いいぞいいぞ!」


 爆発付きで連続攻撃が再開される。斬られるたびに爆発が起こり、先程までより大きく俺の身体にダメージが蓄積されていく。攻撃を耐えつつソードダークネスを放つのも手なのだろうが、勇者がとどめのつもりで撃った先程の十五発の爆発のせいで荷車ごと剣が全て粉々になってしまった。

 ツノシシの剣は修復機能があるため大丈夫だが、これを投擲し手放すと手元に武器がなくなってしまう。一応今も剣で応戦を試みているため、必要なものではあるのだ。
 

「最初の威勢はどうした! 僕の方が強いんだ! なにが魔人だ! なにが魔王だ! ビビらせやがって! 死ね、死ねぇぇぇ!」


 勇者は俺の周りを高速で走りながら攻撃を加え、俺が攻撃すればその後ろへ回り込み斬りつけてくる。
 ……つまり勇者は俺へ攻撃することと、自分への攻撃の回避に専念している状態だ。仮にここで足元に魔法を放ってやったらどうなるのだろう。オンドにも練習中に剣術は足の動きが大事だと何度も言われたからな、そこを狂わせてやれば……。

 俺は悟られないよう小声で魔力魔法を唱えた。魔法陣の出現場所は地面だ。奴が走り回ってる範囲内に三つ。
 土属性の初級魔法ランド。地面から岩でできた突起がいくつかせり出してくる。


「死ね死ね死ね死ねし____あふっ」


 勇者は見事に岩の一つに足をつまずかせ、派手に転んだ。どういう動き方をしていたのか見えなかったが背中の方から倒れたようだ。


「えっ……あれ?」
「……ふんっ!」
「くぶぉっふぁっ……!!?」


 転倒したことに対して困惑している勇者の腹を剣を持っていない方の拳で殴りつけてやる。一応、殺さぬように。地面にヒビは入ったが、両手の打ち下ろしよりは強くないはずだ。
 なんども攻撃されたからと言って同じ数だけやり返すような真似はしない。次の一発でとどめを刺してやろう。


「ソードダークネ____」
「ね、ネームレスくん、止めて! もう決着ついてるよ!」
「む?」


 観客席から俺に向かって叫ぶ、苦しそうなヨームの声が聞こえる。こんな人が大勢いるというのに、知人の声というのは騒がしい場所でも聞こえやすかったりするのだろうか。ともかく一旦ソードダークネスをやめ、倒れているはずの勇者をよく見てみた。彼は白目を剥き、泡を吹きながら痙攣をおこしてしまっていた。

 ……鎧が剥がれ、防御力を上げる魔法も唱えていなかったとはいえなんと脆い。つまりもう、あとは勇者の剣を折ってしまえば俺の勝利ということになるのか。
 とりあえず俺は勇者の剣をやつの手の中から奪い取った。事前知識として把握していた通り、今までにない重さが腕にかかる。そう、剣にかなりの重さが……。


「ん、おい、どうしたんだ魔王!」
「勇者の剣を握ったまま動かなくなったぞ?」
「一体なにが……」


 観客が騒がしいが、そんなことはどうでもいい。これは……この剣は……とても俺の腕にしっくりくる。今まで俺が握ってきた武器はどれも俺にとって軽すぎた。正直、ただの木の枝を振り回してるのとそう変わらない感覚だ。ツノシシの剣も例外ではない。

 だが勇者の剣はどうだろう、普通の人間には持てない代物。だが俺は魔王だ。試しにしっかりと構え、幾らか素振りをしてみる。俺の腕力を持ってしても剣が柄から抜ける様子はない。頑丈だ、そして完璧だ。魔王にとってちょうど良い重さと丈夫さ。どうしよう、折ってしまうのがすごく惜しい。ああ、ならば貰ってしまえばいいのだ。


「……おい、人族の王よ!」
「ひ、ひいっ! な、ななな、なんだよ!」
「これ、もらっていってもいいか? その代わり俺がこの世界で暴れるのはやめておいてやる」
「そ、その剣が欲しいのか……?」
「ああ、とてもいいものだ」


 最初から暴れるつもりなどないが、魔王と名乗った時の反応を見るに向こうはそう考えているみたいだからな、脅迫まがいの交換条件を提示してみたがどうだろう。呑んでくれるか。


「わ、わかった! も、もっていってくれていい! 構わない!」
「ならば、ありがたく頂戴しておこう」
「そ、その代わり暴れるなよ……この世界で暴れるなよっ!?」
「いいだろう、約束だ」


 あっさりだったな。想定よりそれなりに傷を負わせられたが、そのことが気にならないくらい俺は嬉しい。この剣は大切にしよう。あとは立会人がこの戦いの終了を皆に告げるだけだな。


「立会人、見ての通りだ。終わらせてくれ」
「し、しかし剣を折るのが決まりでして……」
「おい立会人! 魔王が暴れ出したらどう責任とるつもりだ! こちらの降参でいい、それで終わるだろ! それに、そのくらい奪われても構わないし、負けても問題ないことを忘れたか!」
「あ、ああ。そうでした、そうでしたね。で、では勇者の降参により、魔人の勝利となります……」


 会場の魔族側はどっと湧き上がった。皆、飛び上がって喜んでいる。普段おとなしめなヨームも相当はしゃいでおり、王族用の椅子から立ち上がってぴょんぴょん跳ねている。元気がないくせに無茶するものだ。

 人族の王が言った通り、彼らは負けてもほとんど問題ないのは腑に落ちないが……魔族達は喜んでるし別にいいか。
 俺は決闘場をあとにする前に、勇者の腰から勇者の剣の鞘を剥がした。この専用の鞘にしまえば、その間、普通の剣同様に軽くなってしまうが、逆にいえば俺にとっても持ち運びが便利になる。もう俺のモノになったのだ。必要だろう。

 とにかく、こうして勇者に勝った俺は、勇者の剣とツノシシの剣をそれぞれ鞘にしまい、待機場の通路を通って皆の元へ戻ることにした。
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