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第一章 青き衣(ジャージ)をまといし者
きぞく ばくたん
しおりを挟む「それでは、愉快な仲間達も一緒に屋敷で暮らせば済む話だろう」
「誰が愉快な仲間だ! 人間のクセに生意気だぞ!」
王子に噛みつかんばかりの勢いで、ガキ大将な発言のレオンが身を乗り出す。
まあまあと笑いながらカリエドがヤツの肩を押さえて宥めに入った。
「そっかあ、俺達がアルカの家に住めば良いんだよなあ。住む場所なんて、どこだって良いわけだし」
「いや、カリエド……まだ決まったワケじゃなくて」
話がややこしくなりかけてきたそのとき、
「アルカ殿」
静かにカウロが口を開いた。
「貴方様がこの土地を治めるのであれば、我らは安心して暮らせます」
何だ、カウロも賛成派なのか。
いやいやいや、素人の俺が治められるはずがない。
やっぱり無理ですと言うよりも早く、
「我らの村を救って下さったお礼がまだでしたな。村中の金をかき集めれば、エルアルト様達にも支払えると思います」
にっこりと微笑んだカウロの背後には、焼けて壊滅状態の村が広がっていた。
シュールな構図に冷や汗が額から流れ落ちる。
いくら自分達の素材で儲けているとはいえ、家一戸建てるのにはそれなりの資金が必要だ。
村はほぼ壊滅状態。
今までこつこつと貯めてきた金を復興のために使えば、一気に吹き飛ぶのは目に見えている。
更には俺達へ報酬を払おうとは。
「あのー、王子」
こんな状況で金を受け取るなんて無理な話だ。
いや、金を受け取ったら人としてどうかしている。
それに、俺よりもこの土地を守るのに最適な人達がいるじゃないか。
「誰でも良いのなら、カウロさんに爵位を譲っても良いですか?」
「ホワイトドラゴンに爵位を?」
俺の発言に王子は目を丸くしたが、周りを見回すとみんなが同じ顔をしていた。
俺、変なこと言ってるか?
「治めるなら、この土地を愛する人の方が良いと俺は思う」
本当はただ、面倒そうな貴族になりたくないだけである。
「それは、言ったら引き受けてくれるのか?」
恐る恐るといった様子で王子が振り向けば、
「こ、この土地を開発しないと約束して下さるのであれば、喜んで話をお受けしますが」
カウロも言葉を選びながらといった様子でゆっくりと答える。
「国が有事の際は協力してくれるだろうか?」
「えぇ、そうですのぉ……今回のご恩もございます。喜んで馳せ参じましょう」
王子もカウロもお互いにまだ戸惑い気味だが、話がまとまりそうだ。
「さすがだな」
ぼそりとバルトが呟いた。
「最強クラスのドラゴンを国の防衛に協力させるとは、誰も考えなかったことだぞ」
考えてもみれば、ドラゴンが国を守る一員に加わったのは、結構凄いことなんじゃないだろうか。
俺は特に深い考えがあったワケではないのだが、結果オーライということにしておこう。
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