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21:プチバズ
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その後、まだヤカモレさんが忙しくないうちに何回か3人でランクマを回してみた。いつも通りの垂れ流し配信をしていると、同接数が倍以上に増えていた。聞けばヤカモレさんとマキもそうだと言う。
「マスター昇格戦がプチバズしちゃった」
「俺も俺も!」
切り抜き動画がバズったと話している。
2人とも切り抜き動画専用のチャンネルを持ってる。マキはカット無しで1試合まるまる動画として上げているが、ヤカモレさんは適宜編集して字幕もつけて上げている。自分でやってるらしいが編集技術が高く、プレイした本人がやってるから見せ場も分かってるし用語の聞き間違いによる誤字もない。それのマスター昇格2戦がバズり、つられてマキの無編集動画の再生数も上がったらしい。関連動画も見られていて、俺のコメント欄には「教官」の他に「マキちゃん大好きおじさん」が散見されるようになった。やめろ。コメント欄閉じるぞ。
俺のチャンネルでも新規が増え、アーカイブが見たいからサブスク解放してくれというリクエストがよく来るが、収益化させるつもりはない。ただゲームやってるだけで金がもらえるならいいじゃないかと、配信仲間を増やそうとするヤカモレさんが何回か俺を誘う。
「ぜっとさんのところ副業禁止されてるの?」
「いや、推奨されてる。俺が面倒なだけ」
俺にとってゲームは趣味だ。だが収益化させると副業として届けなければならない。プライベートまで会社に見張られたくないと言うと、ヤカモレさんは納得した。
しばらくしてヤカモレさんが実家に帰ると、ヤカモレさんのリスナーが流れてきて更に同接数が増えた。と言っても俺の配信スタイルは変わらない。いつも通り、挨拶も無く垂れ流し配信だ。
ただ、同じようにファンが増えて気を良くしたマキは調子に乗り始めた。
「ぜっとさんとこの間デートしてきたんだけど」
マキの1人配信を見てたらいきなりこの間の飲みがデートと呼称されていて、飲んでいたコーヒーを吹き出した。
「そのときめちゃくちゃオススメされたんだよね。だからこれやります」
それはソロ配信でやるか検討してると話していたRPGだった。20年前の名作タイトルだ。聞き馴染みのある音楽とタイトルロゴが映し出されると、俺と同じようなゲーマーが「なつい」「これは嬉しい」とコメントする。だが、厄介なファンガは先程のデートという単語に引っかかって大量にコメントを流していた。
「え、デート? まあ普通に飲みに行っただけだけど。2人で行くの初めてで、すげぇ楽しかったよ」
楽しかったのか。そうか。もしかしたらリップサービスかもしれないと思いつつ、それでも楽しんでくれていたのかと思うと素直に嬉しい。マキの口からこぼれ落ちる"デート"の感想を拾い上げていると、俺と同じことをしているファンガが何人か居た。
マキのファンはマキと俺が仲良くしてると喜ぶやつが一定層居て、少しそれっぽいことを言うだけで「デート代」と言って投げ銭を投げてくる。大体が女だ。それにマキはどんどん調子に乗っていった。
「マスター昇格戦がプチバズしちゃった」
「俺も俺も!」
切り抜き動画がバズったと話している。
2人とも切り抜き動画専用のチャンネルを持ってる。マキはカット無しで1試合まるまる動画として上げているが、ヤカモレさんは適宜編集して字幕もつけて上げている。自分でやってるらしいが編集技術が高く、プレイした本人がやってるから見せ場も分かってるし用語の聞き間違いによる誤字もない。それのマスター昇格2戦がバズり、つられてマキの無編集動画の再生数も上がったらしい。関連動画も見られていて、俺のコメント欄には「教官」の他に「マキちゃん大好きおじさん」が散見されるようになった。やめろ。コメント欄閉じるぞ。
俺のチャンネルでも新規が増え、アーカイブが見たいからサブスク解放してくれというリクエストがよく来るが、収益化させるつもりはない。ただゲームやってるだけで金がもらえるならいいじゃないかと、配信仲間を増やそうとするヤカモレさんが何回か俺を誘う。
「ぜっとさんのところ副業禁止されてるの?」
「いや、推奨されてる。俺が面倒なだけ」
俺にとってゲームは趣味だ。だが収益化させると副業として届けなければならない。プライベートまで会社に見張られたくないと言うと、ヤカモレさんは納得した。
しばらくしてヤカモレさんが実家に帰ると、ヤカモレさんのリスナーが流れてきて更に同接数が増えた。と言っても俺の配信スタイルは変わらない。いつも通り、挨拶も無く垂れ流し配信だ。
ただ、同じようにファンが増えて気を良くしたマキは調子に乗り始めた。
「ぜっとさんとこの間デートしてきたんだけど」
マキの1人配信を見てたらいきなりこの間の飲みがデートと呼称されていて、飲んでいたコーヒーを吹き出した。
「そのときめちゃくちゃオススメされたんだよね。だからこれやります」
それはソロ配信でやるか検討してると話していたRPGだった。20年前の名作タイトルだ。聞き馴染みのある音楽とタイトルロゴが映し出されると、俺と同じようなゲーマーが「なつい」「これは嬉しい」とコメントする。だが、厄介なファンガは先程のデートという単語に引っかかって大量にコメントを流していた。
「え、デート? まあ普通に飲みに行っただけだけど。2人で行くの初めてで、すげぇ楽しかったよ」
楽しかったのか。そうか。もしかしたらリップサービスかもしれないと思いつつ、それでも楽しんでくれていたのかと思うと素直に嬉しい。マキの口からこぼれ落ちる"デート"の感想を拾い上げていると、俺と同じことをしているファンガが何人か居た。
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