チートスキル【確率操作】を駆使する異世界生活

アリス

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冒険者登録。後、女の子手助けしました。

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「お金がない!」



 そう、私のダンジョンは絶滅の危機に瀕して居た。圧倒的にお金が足りないのだ。



 ポーションなどのアイテムはDPで買えるからいいのだけれど、何故か食料は購入出来ない仕様となって居て森にぽいっとされた時に貰った食料、お金が底を尽きた。




「なんで、食料買えないのでしょうか?」



 そんな疑問にノワールが毛繕いをしながら答えてくれた。



「おそらく、期限付きの物は購入出来ないみたいですにゃ」



「そこは現実的なんですね…」





 私は机の上に残りのお金を出し枚数を数える。





「残り銀貨5枚…これじゃパッサパサのパン買ったら無くなってしまいますね」





「では、お嬢様。冒険者登録をしてはいかがですか?」





 カエデが尻尾で私の頭をぽんぽんと叩きながら口を開く。あ、カエデは名前付けたら話せるタイプだったらしいです。




 冒険者……ダンジョンマスターでもなれるもんなんですかね?



 ウィンドウを開き下に下にとスクロールしていきヘルプの項目をタッチする。




 結論から言うとどうやら冒険者とダンジョンマスターは同時に登録出来るらしい。





「あんまりおすすめはしないですにゃーマスターが居ないダンジョンに冒険者が来てダンジョンを制覇されたなんて話はよく聞く話にゃ」





「それってあれですよね。指揮する者が居ないとダンジョン内の魔物はステータスが著しく下がるからですよね」





「そうにゃー」



 
 と、言う事は指揮官さえいれば問題はないわけですね。



「取っといてよかったですね」




「お嬢様それは?」




 ユキネは、一枚の紙をひらひらさせながら片目を閉じニコッと笑う。




「指定召喚券って言うアイテムで初心者ミッションの『ダンジョンを5階まで拡張する』をクリアした時に貰った物です」




 これは、ランク、レベルはランダムですが攻撃力が高い、素早さ特化などの条件を入れる事でその要素を持った魔物を召喚出来ます。三つまで指定出来るみたいなので早速やっていきましょう。




「えーっと、とりあえず、頭がいい、魔法を使える、指揮能力が高い と、こんな感じですかね」



 私は備え付けの羽ペンでサラサラと条件を書き記して行き紙を破る。破かれた紙が青い炎に包まれ燃えた灰が空へと消える。




「あ、あーこれはちょっと予想外…」




 ダンジョンの天井を黒い雲が覆い尽くし只ならぬ殺気と共にそれが姿を表す。




「我を呼び出すとはいい度胸だ」





「……グリムリーパーですか」





[グリムリーパー]
 死を司る神。全ての生物の頂点に君臨し死者を冥界へと案内する役割を持つ。物理、魔法を無効にする力を持つ。




「お主か、我を呼び出したのは」




「いやーそうなんですけど。お帰りいただいて結構です」



「え?」



「いや、だって貴方反則級の力を持つじゃないですかーそれは私としては面白くないんですよね。なので、帰っていただいて大丈夫です」




 ユキネははぁ、とため息を吐きながらウィンドウを表示する。





「いや、あの…我、帰れないんだけど」





「えー、どうするんですか?」





「あのー出来ればここに置いて頂けると嬉しいのですが……」





「わかりました。ただ、条件が一つ。私が命令するまで戦わないで下さい」





「ふっ、我に命令するとな…あ、ごめんなさい。了解しました」





 グリムリーパーはユキネの顔に浮かぶ笑顔を見ると冷や汗をかきその場で正座をする。





「天下のグリムリーパー様が、正座とはユキネ様すごいですにゃ」





 まあ、いいや。とりあえずこれで指揮官不在問題は解決ですね。後は、何処の国で登録するかですねー。





「あのぉー我は何をすれば」





「あ、そうだ。ねぇ、グリム。君、転移とか使えない?」





「一応、使えるがなんせ数千年ぶりだから何処に飛ぶかわからんぞ?」





「ふーん、まあそれでいいや。どっか適当に送ってくれない?」





 ユキネは、よっこいせと立ち上がり武器を装備しグリムを見つめる。




「しかし、何故冒険者なのだ?飯が足りないならその辺の魔物を狩って肉を取れば良いではないか」





「理由は色々あるんだよー。一つはお金ね。後は、レベル上げと魔物をテイムしてスキルを手に入れる事。後は、冒険者側の情報収集かな」




「ふむ、なるほどの。出来るだけ、近くの国に送るが座標がずれたらすまぬ」




 ふぅ、少しだけ緊張してきました。人間の国なんて祖国以外行った事無いですからね。




「あ、そうだ。グリム、私がいない間ダンジョンの事任せたよ。DPも自由に使って貰って大丈夫だから、ただダンジョンを改築する時は一言相談よろしく」




 ユキネは通信アゲハをグリムに飛ばし自分の肩にも通信アゲハを乗せる。



 ユキネはグリムが、作った扉を開け中へと足をすすめる。眩しい光がユキネを照らしユキネは目をゆっくり開ける。



「何処だろここ」




 ユキネは周りを見渡し現在の場所を把握する為、開けた場所へと歩き出す。




「おや、子供がこんな所で何をしてるんですか?」





 しばらく、歩いていると馬車に乗った優しそうなお兄さんに声をかけられ思わず刀に手をかけてしまう。




「あ、申し訳ありません。びっくりさせてしまいしたね。そうだ、何かの縁です。近くの街まで乗って行きませんか?」





 ユキネは少し考えた後、刀から手を離し馬車へと乗り込む。





「先程はすいませんでした。盗賊に襲われたばっかりでしたので」





「おや、それは災難でしたね。おっと、自己紹介がまだでしたね。僕の名前はアイゼン・ハルベルトと申します。行商をしています」





「私は、ユキネ・ホワイトベルと申します。見ての通り旅人です。冒険者になる為、近くの街を目指してた所です」





「小さいのにお一人で……偉いですね」




「いえいえ、そんな事無いですよ」




 アイゼンさんのこれまでの旅の事とか色々お話をしているとあっという間に大きな街へと辿り着きました。





「ここが、1番近くて大きい街サミリオン帝国です。色々な人々が集まる世界の中心地に位置する街です」




 なかなか、でかい街ですねー。私がいた国よりはるかにでかいです。




「おお!アイゼンさん!お久しぶりです!」





「お久しぶりですね。最近はどうですか?」




 守衛の人とアイゼンさんが話をしているのを尻目に私はサミリオン帝国へと入国する。




「入国審査とかは無いんですね。まあ、私としては嬉しいですけどね」




 ユキネは少し街を見て回りながらその辺の人にギルドの場所を聞きギルドを目指す。




「ここが、この国の最大規模のギルド『レイブン』ですか」




 ユキネはふぅと息を吐き扉に手をかける。その瞬間、扉が吹き飛び中から身長2メートルはあるであろう男の人が吹き飛んで来た。




「……えぇ」




「貴方、しつこい。私は何度も言ってる貴方のパーティには入らないと」




 扉の奥から猫耳の形をしたローブを羽織っている私と同じ身長くらいの女の子が姿を表す。




「テメェ、ルナ!俺様に手を出した事、後悔するんじゃねぇぞ!!」




 男の人がでかい斧を担ぎ上げルナと呼ばれた女の子へと切り掛かる。




「しつこい男は嫌われる」




 ルナは身の丈を余裕で越えるほどの大鎌を担ぎ上げ男の斧を受け止める。




「どうしましょうか。入口の前で争ってるせいで中に入れません」




「おらおらおら!さっきの威勢はどうしたよ!粉々にしてやるぜ!【豪腕】」




 男の腕の筋肉が盛り上がり血管が浮き出る。




「ふむ、あの状態で攻撃したら周りの人の迷惑になりますね【強欲】」




 ユキネの足元から霧が溢れ男の腕を包み込む。霧に包まれた男の腕が元の太さに戻る



 戦闘に集中している男はスキルが発動してない事に気が付かずそのまま斧を振り下ろす。ルナは、一瞬だけユキネに目を向け男の斧を半身引いて避け大鎌を首に突きつける。





「死にたいなら止めない。どうする?まだ、やる?」





「く、くそが!」




 どうやら、決着がついたみたいなのでルナの横を通り過ぎ中に入り受付へと向かう。




「すいません、冒険者登録をしたいのですが」




「はい、かしこまりました。それでは、こちらの用紙に記入をお願い致します」




 受付の人から書類を受け取り内容を確認し必要事項を記載していく。




「ねぇ、ちょっといい?」




 書類を受付に提出しようとした所、ルナに呼び止められました。




「何でしょうか?」




「さっきはありがとう。助かった」




「ああ、別に構いませんよ。特に何もして居ませんので。では」




 私がお辞儀して、受付に向かおうとした所手を掴まれました。何なんでしょうか、邪魔なんですけど。




「まだ、何か用でも?」




「さっきのどう言うスキル?」




 【強欲】の事ですね。まあ、でも初対面の人に教える程馬鹿じゃ無いですからね。



 私は人差し指を唇に当て、企業秘密です♪と伝え受付に書類を提出した。




「少々、お待ち下さいませ……はい、確認いたしました。初めて冒険者登録する方には、初心者講習として色々説明させて頂きます」




 なんか、後ろの方でルナが私を見つめて居ますが、無視しましょう。




「まず、初めに冒険者のランクについてです。冒険者のランクは低い順から、ルビー、サファイア、エメラルド、パール、ダイヤモンド、クリスタルとなっております。一定の功績を上げるとギルドから昇格依頼を発行致します。その依頼をクリアしますと上のランクへと昇格できます。尚、クリスタルの方に限り一定の功績を上げると国から報酬が振り込まれます」




 受付の人はふぅと一息付いた後、更に言葉を続ける。




「次は、依頼についてです。依頼には討伐、採取、護衛、ギルド依頼などが御座います。只今、ユキネ様はルビーランクとなりますので、討伐、採取のみ受注が可能です。尚、パーティ内に対象のランクの方がいる場合のみルビーランクの方でも護衛、ギルド依頼などの受注は可能です」





 と、まあこんな感じで説明が続き30分程で全ての説明が終了しました。




「それでは、こちらをお受け取り下さい」




 女の人からルビーが嵌め込まれたブレスレットを受け取り腕に付ける。




「そちらは、ランクブレスレットと言いましてユキネ様の現在のランクにより宝石の色が変化致します。紛失した場合は、再発行できませんのでご注意下さい。
 依頼などを受ける時にそちらのブレスレットをこちらの水晶にかざして頂くと受注、クリア後、再度かざして頂くと宝石内部の情報を読み取り不正が行われてないかなどを確認後クリアとなります」




「なるほど。わかりました。早速依頼を受けたいのですが」




「それでは、ユキネ様はどの様な目的で冒険者になられましたか?」




「と、言いますと?」




「例えば、強くなりたい方ですと、それに合わせた依頼の一覧を出させて頂くと言った感じです」




 なるほど、その冒険者の要望に沿った依頼を見繕ってくれると言う事ですね。なかなか、親切なシステムですね。




「お金の為です」




「でしたら、こちらは如何でしょうか?」




 女の人から依頼書を受け取り内容を確認する。内容はゴブリン三頭の討伐。ランクはルビー、討伐依頼の中で1番簡単な依頼ですね。





「なら、これを受けます」




「かしこまりました。では、ユキネ様。初めての依頼いってらっしゃいませ」



 私は、受付の人に会釈をしギルドを後にした。ルナはいつの間にか居なくなってました。



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