10 / 24
待て。
しおりを挟む
「ね、ねぇ、ほんとに大丈夫…?」
「んぁ?なにが?」
「なにが?、って……、」
ぶいーん、と丸山さんのおっきな車で数十分。
連れてこられたのは
普通に生きていたら来ることが絶対にないであろう店で
普通に生きていたらお目にかかることがないであろう分厚いお肉が目の前に。
「……これ、お肉なの?」
「肉じゃなかったらなんなのよ」
そう言われたらまぁ、お肉なんだけどさ。
あまりにも分厚くて赤い物体に困惑しながら
カウンターの目の前で鉄板に焼かれてるお肉を
ひたすら眺めてた。
「てかさ、仕事なにしてんの?」
「え?私ですか?」
「そう。」
「普通のOLですよ」
「ほぉ~。仕事も辞める?」
「…はい?」
「仕事辞めて、ずっと家にいてもいいよ」
その言葉が衝撃的で
もういい感じに焼けてきたお肉から丸山さんへと視線をうつした。
「いやいや、それは駄目でしょ?!」
「なんで?」
「なんでって、さすがに仕事は辞めれませんよ…」
まじで話の次元がぶっ飛びすぎてて
乾いた笑いしか出ない。
昨日今日知り合ったばかりなのに
仕事辞めてもいいよ、とか
・・・怖。
お金持ちって怖い。
「そっか、そうだよな~……、
…あ、肉焼けたって!」
じゃあ仕事は辞めなくていいや、って適当に言い放つと
目の前の店員さんから受け取ったお肉を
じゃーん、と差し出してきた。
「わぁ、おいしそう…っ!!」
肉汁の輝きと、適度なレアな焼き加減が私を誘う。
「食いたいだろ~?」
「うんっ!」
目の前でお皿をゆらゆらさせる丸山さんに
目を輝かせて頷く私。
「待て!!」
「は?」
「待て、がとりあえず出来ないと
ペットとして扱いずらそうだしさ」
とりあえず基本の”待て”を習得しとこうぜ、って
いい匂いを私から遠ざけていった。
「……なんですか、それ」
「待て、出来る?」
「出来ません!食べたい!」
「うわ、ないわ~」
「なにが?!」
目を細めて睨まれるけど
それはこっちのセリフだよっ!
このお腹がさっきからグーグー鳴ってる状況で
待て、とか
こっちが”ないわ~”だわ!!
「待て。」
「・・・」
「よーし、待て待て待て?」
「・・・」
しょうがなく食欲に負けてさっきの睨みから一変
大人しく待てを実行する私に
楽しそうに、指導中。
「食いたいか?」
「……うん、」
「えー?ほんとに食いたい?」
「・・・」
・・・冷めちゃうよ、せっかくのお肉。
どうしよっかな~、って
相変わらず私を焦らして楽しそうな丸山さん。
そんな状況に
視覚と嗅覚で最大限に空腹を刺激されすぎて限界な私は
とりあえず腕にしがみついて距離を近付け、
「………ちょーだい?」
と口にしてみた。
”俺に甘えてよ。”
そんな丸山さんの言葉を思い出して
一か八かやってみたこのぎこちない甘え方。
少し薄暗くていい雰囲気の店内で
至近距離で見つめたその瞳。
甘えてるはずの私が
ドキドキと心臓の音を早めてる。
「ふっ、やれば出来んじゃん。」
満足気な笑みをこぼした後
わしゃわしゃーって少し乱暴気味に
まるでペットを撫でるように私の髪の毛を撫でてから
念願のお肉を差し出した。
「はい、ご褒美」
「わんっ!」
「ふはは、ペットが板についてきたな」
・・・うん。
なんだか私も開き直ると楽しくなってきた。
「んぁ?なにが?」
「なにが?、って……、」
ぶいーん、と丸山さんのおっきな車で数十分。
連れてこられたのは
普通に生きていたら来ることが絶対にないであろう店で
普通に生きていたらお目にかかることがないであろう分厚いお肉が目の前に。
「……これ、お肉なの?」
「肉じゃなかったらなんなのよ」
そう言われたらまぁ、お肉なんだけどさ。
あまりにも分厚くて赤い物体に困惑しながら
カウンターの目の前で鉄板に焼かれてるお肉を
ひたすら眺めてた。
「てかさ、仕事なにしてんの?」
「え?私ですか?」
「そう。」
「普通のOLですよ」
「ほぉ~。仕事も辞める?」
「…はい?」
「仕事辞めて、ずっと家にいてもいいよ」
その言葉が衝撃的で
もういい感じに焼けてきたお肉から丸山さんへと視線をうつした。
「いやいや、それは駄目でしょ?!」
「なんで?」
「なんでって、さすがに仕事は辞めれませんよ…」
まじで話の次元がぶっ飛びすぎてて
乾いた笑いしか出ない。
昨日今日知り合ったばかりなのに
仕事辞めてもいいよ、とか
・・・怖。
お金持ちって怖い。
「そっか、そうだよな~……、
…あ、肉焼けたって!」
じゃあ仕事は辞めなくていいや、って適当に言い放つと
目の前の店員さんから受け取ったお肉を
じゃーん、と差し出してきた。
「わぁ、おいしそう…っ!!」
肉汁の輝きと、適度なレアな焼き加減が私を誘う。
「食いたいだろ~?」
「うんっ!」
目の前でお皿をゆらゆらさせる丸山さんに
目を輝かせて頷く私。
「待て!!」
「は?」
「待て、がとりあえず出来ないと
ペットとして扱いずらそうだしさ」
とりあえず基本の”待て”を習得しとこうぜ、って
いい匂いを私から遠ざけていった。
「……なんですか、それ」
「待て、出来る?」
「出来ません!食べたい!」
「うわ、ないわ~」
「なにが?!」
目を細めて睨まれるけど
それはこっちのセリフだよっ!
このお腹がさっきからグーグー鳴ってる状況で
待て、とか
こっちが”ないわ~”だわ!!
「待て。」
「・・・」
「よーし、待て待て待て?」
「・・・」
しょうがなく食欲に負けてさっきの睨みから一変
大人しく待てを実行する私に
楽しそうに、指導中。
「食いたいか?」
「……うん、」
「えー?ほんとに食いたい?」
「・・・」
・・・冷めちゃうよ、せっかくのお肉。
どうしよっかな~、って
相変わらず私を焦らして楽しそうな丸山さん。
そんな状況に
視覚と嗅覚で最大限に空腹を刺激されすぎて限界な私は
とりあえず腕にしがみついて距離を近付け、
「………ちょーだい?」
と口にしてみた。
”俺に甘えてよ。”
そんな丸山さんの言葉を思い出して
一か八かやってみたこのぎこちない甘え方。
少し薄暗くていい雰囲気の店内で
至近距離で見つめたその瞳。
甘えてるはずの私が
ドキドキと心臓の音を早めてる。
「ふっ、やれば出来んじゃん。」
満足気な笑みをこぼした後
わしゃわしゃーって少し乱暴気味に
まるでペットを撫でるように私の髪の毛を撫でてから
念願のお肉を差し出した。
「はい、ご褒美」
「わんっ!」
「ふはは、ペットが板についてきたな」
・・・うん。
なんだか私も開き直ると楽しくなってきた。
0
あなたにおすすめの小説
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?
夕立悠理
恋愛
もうすぐ高校一年生になる朱里には、大好きな人がいる。義兄の小鳥遊優(たかなしゆう)だ。優くん、優くん、と呼んで、いつも後ろをついて回っていた。
けれど、楽しみにしていた高校に入学する日、思い出す。ここは、前世ではまっていた少女漫画の世界だと。ヒーローは、もちろん、かっこよくて、スポーツ万能な優。ヒロインは、朱里と同じく新入生だ。朱里は、二人の仲を邪魔する悪役だった。
思い出したのをきっかけに、朱里は優を好きでいるのをやめた。優くん呼びは、封印し、お兄ちゃんに。中学では一緒だった登下校も別々だ。だって、だって、愛しの「お兄ちゃん」は、ヒロイン様のものだから。
──それなのに。お兄ちゃん、ちょっと、距離近くない……?
※お兄ちゃんは、彼氏様!!……だよね? は二人がいちゃついてるだけです。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
サトシ先生は美しき十代の乙女に手を出さない
白神ブナ
恋愛
高校一年一学期から三年三学期まで続く長編です。気になるサブタイトルを見つけて途中からでもお楽しみいただけます。
女子校あるあると、先生あるある、受験あるあるを描く学園恋愛ドラマ。
佐藤サトシは30歳の独身高校教師。
一度は公立高校の教師だったが心が折れて転職し、私立白金女子学園にやって来た。
一年A組の受け持つことになったサトシ先生。
その中の一人、桜井美柑はガチでサトシ先生に恋してしまった。
サトシ先生は、桜井美柑という生徒の存在を意識してしまいつつ、あくまで職務に忠実であろうと必死に適度な距離を保とうとするが……
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる