ペット女の愛され方

miyu.

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ペットの素質

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「ち、近くないですか」

「そ?こんなもんだろ」


ふわふわのおっきいベッドの中
割と距離を取ろうと思えば取れるくらいの広さなんだけど
真ん中にギュッて寄ってる。


「…暑いし、」

「うそ、俺割とさみぃけど」

「え?!寒がりですか?」

「うん、意外って言われるけど寒がりなの、俺」

「へぇー」


丸山さんの喉元に耳を寄せてるから
言葉を発する度に振動まで伝わってきて
その心地良さに本当に眠くなってきちゃった。


「そうだ、呼び方どうすっか?」

「んー、どうしましょう?
リクエストとかないですか?」

「リクエスト?」

「こうやって呼んでほしー!みたいな」

「ご主人様。」

「却下です。」

「んだよ、それ」


少し体を離してジトっと睨まれて、


「丸山ひろみつ、さんだから……、」

「んー?」

「ひろ?みつ?」

「ま、どっちでもいいよ」


結局は私に放り投げるから、脳内で呼んでみた。


”ひろ~”

”みつ~”


・・・んー。


「ひろ?」

「ん?」

「みつ?」

「ん?」

「どっちが良かった?」

「どっちでも。」


もう、何よそれ。

自分で呼び方決めよーぜー、とか言ってきたくせに
やる気無さすぎませんか?
そう心で文句をつけながら
今度は私が負けじとジトっと睨んでやった。


「あ、なんだその反抗的な目っ」


うりゃっ、て頬を掴まれて
びよーんて伸ばさるから
やめてーって言葉にならない言葉を発した。


「ひほ」

「なんて?」

「ひーほぉ!!」

「なんて?」


あぁん?ってヤンキーみたいに言うから
無理やりほっぺを摘んでた手を引っ剥がして、


「ひろ、にするね」

「……おう。」


少し照れた様子のまるや……、じゃなくてひろと
もはやこの胸の中の心地良さで眠い私と。


ペットになって初めての夜は
想像よりも遥かにスヤスヤと眠ることが出来ました。





━━丸山side

ペットを飼い始めて一日目。
ふと目が覚めて、横を見ると
俺の腕の中にすっぽり収まってるみか.。


「やっべ、腕いて……、」

「……ん~……、」


ずっと抱いてたもんだから
重みで腕がしびれてて、静かに腕を解くと小さく声を上げた。


昨日一緒にベッドに入って
呼び方とか、明日荷物もって引っ越してこいよーとか
そんな話をしてたらいつの間にか眠ってた。

体を重ねるわけでもなく
ただただ抱き締めるだけで、本当に抱き枕になってくれて。

サイズ感とか、ちょうどいい体温とか
きっつい香水の香りがしないとことか、
俺を信用してるのか無防備なのか
体の力を抜いて俺に預けちゃってるとことか。


「ペットの素質、充分じゃん。」


まだ気持ち良さそうに眠ってるミキに呟いた。


朝の五時をさしてる時計と、カーテンの隙間から微かに差し込む光。

もう少し寝れるか、と
少し起き上がった体をまたベッドに沈めて
丸まるミキの体を引き寄せて目を閉じた。


「あったけぇ~…、」


彼女はめんどくせぇし、
セフレもめんどくせぇし、こういうのだよな。

何の計算も駆け引きもなく
見返りを求めることもなく
ただ傍にいて、温もりをくれる存在。

自然に”愛しい”って気持ちが溢れる存在。

それがペットじゃん?

その存在を果たして人間がこなせるのかは分かんねぇけど
何となく直感的に
こいつなら安心出来る気はしてる。

だからペットにスカウトしたんだかんな。


「……おやすみ。」


目覚ましが鳴るまで
もう少しだけ、夢の中へ。
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