21 / 24
髪の毛
しおりを挟む
「あ、なに笑ってんだよっ」
「ふふ、なんか可愛くて」
「はぁ~?かわいい~?」
眉間にシワを寄せてジト目で睨まれた。
から、私も負けじと頬を膨らませてから
ヒラリとひろの横から抜け出した。
「お風呂、入ってきまーす」
「あ、おいっ、逃げんなっ」
「んふふ、お先でーす」
洗面所の扉から顔だけを覗かせてそう告げると諦めたように笑うから
お風呂場へと逃げ込んだ。
───
「お先でしたー」
「おう、アイス食う?」
「食べるーっ!」
頭にぐるぐるにタオルを巻いたままお風呂を上がると
ソファからわざわざ立ち上がって、冷凍庫までアイスを取りに行ってくれた。
「何がいい?いちご?チョコ?」
「んー…、バニラ?」
「ねぇわっ!」
「ふふ、じゃあイチゴで」
「あいあい」
台所のカウンター越しにアイスを出してくれるひろを見てると
ん、ってそのままアイスを差し出される。
少し背伸びをしてカウンターから身を乗り出し口を開けると、あむっと口に突っ込まれた。
「んまい?」
「んまいっ!」
「じゃあそれ食って待ってて。
俺も風呂はいってくるわ」
「はーい」
「先に寝んなよ?」
「了解ですっ」
「髪も乾かすなよ?」
「え?」
「乾かしてやるから、そのまま待ってて」
そう言うとそのまま洗面所に直行して
扉が閉まったと思うと、すぐさまシャワーの響く音が微かに聞こえてきた。
「・・・」
乾かさないで待ってろ、って気持ちはすごく嬉しいけど
このまま放置したら、髪の毛に癖がついちゃうんだけど…、
でも、まぁ。
乾かしてもらえるのは素直に嬉しくて
そのまま口に突っ込まれたイチゴアイスを頬張りながら
ソファに座ってご主人様が戻るのを大人しく待った。
「よし、髪乾かしてやるぞ~」
「はーい」
アイスをとっくに食べ終えてボーッとテレビを見ていると
髪の毛わしゃわしゃなひろが浴室から出てきた。
その浴室から自分と同じ香りがふわっと香ってきて
なんだかくすぐったくなる。
「もうだいぶ自然乾燥しちゃいましたよ?」
「だな、寝癖みたいになってる」
「ひろが遅いから~」
「はいはい、すんませんでしたぁ」
ソファの下に私が座って
その後ろでソファにひろが座って
ブォーン、って乾かしてくれるその行為は
ちょっと乱暴気味だけど
安心して体を預けられるな、なぜか。
「ひろのも乾かしてあげよっか?」
「お、まじ?」
「うん、髪の毛ボサボサだもん」
じゃあ交代、って
まだ私のが完全に乾いてないってのに
スイッチを切って私の前に、ドカッと座り込んだ。
「まだ乾いてない…、」
「大丈夫大丈夫、あとは自然乾燥で」
「もうっ、適当っ!」
少し手ぐしで自分の前髪を整えてから
目の前のひろの少し濡れた髪の毛に触れた。
柔らかくて、ふわふわしてて
気持ちいい~…。
「髪の毛、柔らかいね」
「そ?ミキのが柔けぇじゃん」
「そうかな?」
「猫みたいだった」
「……それは喜んでいいの?」
猫みたいな髪の毛、とか微妙なその言葉。
喜ぶべきなの?これ。
襟足部分を乾かしてあげながら首を傾げた。
「いいじゃん、ペットだし」
「え~、そうかにゃ~」
「ふは、猫になった」
「にゃにゃにゃ~」
猫になりきりながら
ひろの柔かい髪の毛を優しく乾かして
二人でほんわか笑い合う。
こんなに穏やかな時間を過ごしてると
本当に猫になったみたいな気分になる。
帰ってきたご主人様に
思いっきり甘やかされてるような。
すっごく、居心地がよすぎてとろけそう。
「ふふ、なんか可愛くて」
「はぁ~?かわいい~?」
眉間にシワを寄せてジト目で睨まれた。
から、私も負けじと頬を膨らませてから
ヒラリとひろの横から抜け出した。
「お風呂、入ってきまーす」
「あ、おいっ、逃げんなっ」
「んふふ、お先でーす」
洗面所の扉から顔だけを覗かせてそう告げると諦めたように笑うから
お風呂場へと逃げ込んだ。
───
「お先でしたー」
「おう、アイス食う?」
「食べるーっ!」
頭にぐるぐるにタオルを巻いたままお風呂を上がると
ソファからわざわざ立ち上がって、冷凍庫までアイスを取りに行ってくれた。
「何がいい?いちご?チョコ?」
「んー…、バニラ?」
「ねぇわっ!」
「ふふ、じゃあイチゴで」
「あいあい」
台所のカウンター越しにアイスを出してくれるひろを見てると
ん、ってそのままアイスを差し出される。
少し背伸びをしてカウンターから身を乗り出し口を開けると、あむっと口に突っ込まれた。
「んまい?」
「んまいっ!」
「じゃあそれ食って待ってて。
俺も風呂はいってくるわ」
「はーい」
「先に寝んなよ?」
「了解ですっ」
「髪も乾かすなよ?」
「え?」
「乾かしてやるから、そのまま待ってて」
そう言うとそのまま洗面所に直行して
扉が閉まったと思うと、すぐさまシャワーの響く音が微かに聞こえてきた。
「・・・」
乾かさないで待ってろ、って気持ちはすごく嬉しいけど
このまま放置したら、髪の毛に癖がついちゃうんだけど…、
でも、まぁ。
乾かしてもらえるのは素直に嬉しくて
そのまま口に突っ込まれたイチゴアイスを頬張りながら
ソファに座ってご主人様が戻るのを大人しく待った。
「よし、髪乾かしてやるぞ~」
「はーい」
アイスをとっくに食べ終えてボーッとテレビを見ていると
髪の毛わしゃわしゃなひろが浴室から出てきた。
その浴室から自分と同じ香りがふわっと香ってきて
なんだかくすぐったくなる。
「もうだいぶ自然乾燥しちゃいましたよ?」
「だな、寝癖みたいになってる」
「ひろが遅いから~」
「はいはい、すんませんでしたぁ」
ソファの下に私が座って
その後ろでソファにひろが座って
ブォーン、って乾かしてくれるその行為は
ちょっと乱暴気味だけど
安心して体を預けられるな、なぜか。
「ひろのも乾かしてあげよっか?」
「お、まじ?」
「うん、髪の毛ボサボサだもん」
じゃあ交代、って
まだ私のが完全に乾いてないってのに
スイッチを切って私の前に、ドカッと座り込んだ。
「まだ乾いてない…、」
「大丈夫大丈夫、あとは自然乾燥で」
「もうっ、適当っ!」
少し手ぐしで自分の前髪を整えてから
目の前のひろの少し濡れた髪の毛に触れた。
柔らかくて、ふわふわしてて
気持ちいい~…。
「髪の毛、柔らかいね」
「そ?ミキのが柔けぇじゃん」
「そうかな?」
「猫みたいだった」
「……それは喜んでいいの?」
猫みたいな髪の毛、とか微妙なその言葉。
喜ぶべきなの?これ。
襟足部分を乾かしてあげながら首を傾げた。
「いいじゃん、ペットだし」
「え~、そうかにゃ~」
「ふは、猫になった」
「にゃにゃにゃ~」
猫になりきりながら
ひろの柔かい髪の毛を優しく乾かして
二人でほんわか笑い合う。
こんなに穏やかな時間を過ごしてると
本当に猫になったみたいな気分になる。
帰ってきたご主人様に
思いっきり甘やかされてるような。
すっごく、居心地がよすぎてとろけそう。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる