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気まぐれ
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何処までも続くようなただ広いだけの空間、色のない空。その空間を数多の白い靄のような存在が飛び交う。
ここは死んだ生き物の来る場所。魂はここに流れてきて、次の人生へとまた流される。
いたるところには、いくつもそびえたつ門。この門をくぐることで、魂はまた新たな人生を手にいれる。
そんな場所に、他の魂とは明らかに違う、人の形をした黒い靄が闊歩している。
僕は転生と時間の管理者。
僕の仕事は、転生する魂の道案内。間違った転生の門をくぐってしまった魂はその時間を少し戻して正しい行先へ戻す。
初めは何も考えず、ただ魂を見送っていた。
退屈なときは稀に魂に話かけてみもした。
『や、やぁ』
『……』
でも皆、何も言ってはくれなかった。
ここに言葉の通じる存在は僕以外にいない。ずっと一人だ。 僕がいつ生れたかなんて覚えてないが、時間を巻き戻したり止めたりで、体感では何千、何万もの時間を感じていた。
そのうち、終わることのない退屈で孤独な時間に嫌気が差し始めた。何故僕は自我なんか持ってしまったのだろう。ずっとそんなことばかり考えていた。
『……ん?』
ある時、暇潰しにぶらぶらとしていると、一つの魂が偶然近くを流れてきた。魂の感じからして男性の魂かな。
でもそこは魂の通り道から外れた所。何かの拍子にはぐれてしまったのだろう。元に戻そうと、それを掴みかけた時。僕はあることを思いついてしまった。
僕はその魂を戻さず、掴んだまま放さない。
『魂の一つぐらい平気……だよね?』
孤独感をどうにかしたかった僕は少しおかしくなっていた。
僕は体を少し崩し、その僕の一部と、捕まえた魂をもとにもう一人の「僕」を作ろうとした。そうまでしても、僕は欲しかった。この孤独を満たすことの出来る存在が。
『もう少しだ……』
始めはうまくいくように思えた。しかし、人間の魂と僕の体の一部がそもそも別次元のものなので半ば無理矢理同化させていた。そのうち魂は悲鳴をあげはじめ、その負荷についに魂は耐えれず、感情を司る部分が弾けるように砕け散った。
『うわぁ!』
砕けた欠片が、そこらに散らばり、消える。
その衝撃に驚いた僕は、思わず掴んでいた魂を放していた。自由になった魂は、そのまま流れに乗って転生の門をくぐろうとしていた。
『しまった!』
僕は急いで時間を止める。止められた時の流れは他の魂の動きをぴたりと止る。しかし、なぜか肝心のその魂は止らない。
『……!? そうか、僕の一部か!』
そのまま、光溢れる門の先へと吸い込まれてしまった。
僕はただその光景を見ていることしかできなった。
ここは死んだ生き物の来る場所。魂はここに流れてきて、次の人生へとまた流される。
いたるところには、いくつもそびえたつ門。この門をくぐることで、魂はまた新たな人生を手にいれる。
そんな場所に、他の魂とは明らかに違う、人の形をした黒い靄が闊歩している。
僕は転生と時間の管理者。
僕の仕事は、転生する魂の道案内。間違った転生の門をくぐってしまった魂はその時間を少し戻して正しい行先へ戻す。
初めは何も考えず、ただ魂を見送っていた。
退屈なときは稀に魂に話かけてみもした。
『や、やぁ』
『……』
でも皆、何も言ってはくれなかった。
ここに言葉の通じる存在は僕以外にいない。ずっと一人だ。 僕がいつ生れたかなんて覚えてないが、時間を巻き戻したり止めたりで、体感では何千、何万もの時間を感じていた。
そのうち、終わることのない退屈で孤独な時間に嫌気が差し始めた。何故僕は自我なんか持ってしまったのだろう。ずっとそんなことばかり考えていた。
『……ん?』
ある時、暇潰しにぶらぶらとしていると、一つの魂が偶然近くを流れてきた。魂の感じからして男性の魂かな。
でもそこは魂の通り道から外れた所。何かの拍子にはぐれてしまったのだろう。元に戻そうと、それを掴みかけた時。僕はあることを思いついてしまった。
僕はその魂を戻さず、掴んだまま放さない。
『魂の一つぐらい平気……だよね?』
孤独感をどうにかしたかった僕は少しおかしくなっていた。
僕は体を少し崩し、その僕の一部と、捕まえた魂をもとにもう一人の「僕」を作ろうとした。そうまでしても、僕は欲しかった。この孤独を満たすことの出来る存在が。
『もう少しだ……』
始めはうまくいくように思えた。しかし、人間の魂と僕の体の一部がそもそも別次元のものなので半ば無理矢理同化させていた。そのうち魂は悲鳴をあげはじめ、その負荷についに魂は耐えれず、感情を司る部分が弾けるように砕け散った。
『うわぁ!』
砕けた欠片が、そこらに散らばり、消える。
その衝撃に驚いた僕は、思わず掴んでいた魂を放していた。自由になった魂は、そのまま流れに乗って転生の門をくぐろうとしていた。
『しまった!』
僕は急いで時間を止める。止められた時の流れは他の魂の動きをぴたりと止る。しかし、なぜか肝心のその魂は止らない。
『……!? そうか、僕の一部か!』
そのまま、光溢れる門の先へと吸い込まれてしまった。
僕はただその光景を見ていることしかできなった。
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