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ホーリー大穴 一層
木の上の町イスタール
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ヒの村とミの村の間にある炭焼き小屋で、サイカとカークと待ち合わせをした。エルフが住むフルールの町に行くためだ。サイカとカークは先に来て待っていた。
コーンコーン、コーウンコーウン、コーンコーン、コーウンコーウン
カークが何やら、鳴き声を上げている。
「オビトーー。おじいちゃーん」
カークの大きな鳴き声を無視してサイカが手を振ってくれた。
「カーク、どうしたんだ」
「これからカークの巣の近くを通るじゃない。家族にオビトを紹介したいんだって」
「カークはディノニクスじゃったのう。なんて一族じゃ」
「ガニの一族よ。とっても古い一族なんだって」
「恐竜で古いと言ったらそりゃ何億年じゃの。マルタ島は、大陸から隔絶された島じゃ。本当に古そうじゃ」
「じいちゃん、詳しいな。村から出たことなかったんじゃないのか」
「じいちゃんの村っちゅうのは、マルタ島のことじゃ。わしゃ、村の生き字引って言われとる」
「怪しい」
「さーて行こうか。炭焼き小屋のはげ山を登ったら、カウリーの巨木を見つけろ。一番でっかいやつじゃ。そこを登ったら、ツリータウンがある。大きな町じゃぞ」
「木が丸ごと街なのか、すげえ」
「一本じゃないぞ、5本じゃぞ。隣の木に行きたかったらモノレールに乗らんといけん。向こうに着いたら換金する。金は、使いきっても問題ない。わしら、魔石の欠片を持っとるでな」
「もう一度、金勘定を教えてよ。カーク知ってるか?」
「キイタゾ」
「知ってるんだ。おれ、一回も使ってないから忘れたんだよ」
「オレモ、キイタ、ダケダゾ」
「カークも一緒なの。ツリーのエレベーター代が、片道10デナールだって覚えているだけよ」
「オレ、カウリーニ、ノボレナイ。ホラ、20デナール」
カークは、羽の下にお金をしっかり隠していた。これを無くししたら、ツリータウンに昇ったはいいけど、帰れなくなると脅されてしっかり持っている。
「それ、おれも母さんに貰ったぞ。じいちゃん全部使ったら不味いんじゃないか」
「そんなもん、自力で綱伝って降りんかい」
「ぎっくり腰のくせに?」
「ギクッ、オビト、じいちゃんに10デナール貸してくれ」
「登りの代金は、持っているんだろうな」
「登るのは、そりゃ大変じゃからな。それで、二人共、魔石の欠片は持ってきたか」
「うん!」
「へっへー」
おれたちは、大量の魔石が入った瓶をおじいちゃんに見せた。
「後、ホーンラビットの角が3本」
「おれ4本」
「よし、儲かった」
「じいちゃんは、どうする。おれがおごろうか」
「バカ言え、じいちゃんはこれじゃ」
そう言って、小さいが、綺麗な琥珀を見せてくれた。
「じいちゃんのへそくりじゃ。三人におごるのは、わしじゃ」
「じいちゃんすげぇ」
「きれい」
カーク
コーンコーン、コーウンコーウン、コーンコーン、コーウンコーウン
カークカーク
「あっ、鳴き声が帰って来た。カークのお父さんやお母さんを待たせちゃ悪いから、もう行こう」
「オビト、金勘定は、後でな」
「そうするか」
ひょこひょこ歩いているじいちゃんの腰を押して裏山を上がる。まだ72歳なのにこんなによぼよぼ。ばあちゃんが死んだのがよっぽど応えたんだと思う。長生きしてもらいたい。たぶん腰さえ養生すれば、元気で過ごせると思うが、もう、ダンジョンに入るのは無理だ。
裏山の天辺を初めて超えた。そこは樹海が広がる深い森だった。ホーリー大空洞の一層と変わらない植物もちらほら見られる。エルフたちが一層を出来るだけ穏やかにしてくれたのが良く分かる。
カークカーク
「あれか!」
コーンコーン、コーンコーン、コーンコーン、コーンコーン、コーンコーン、コーンコーン、コーンコーン、コーンコーン。
ガサガサッと、脇の藪が揺れたと思ったら体長3.5メートルあるディノニクスが現れた。
「カーク!」
「カーチャン」
「元気にしていたか」
「トーチャン」
3.5メートルあるディノニクスに続いて、4メートルはある立派なディノニクスが現れた。
「言うた通りじゃろ」
「ジーチャン」
そして、うちのじいちゃんそっくりな、よぼよぼのディノニクスが現れた。すげえ親近感ある。
そして、大小はあるものの、カークぐらいのディノニクスが、7匹出て来た。どんだけ兄弟いるんだ?
「ミンナ、オビトダ」
「オビトです」
「オビトノ、ジイチャン」
「オビトのじいちゃんです」
「父です」
「母です」
「じいちゃんです」
「兄です」「姉です」「二番目の兄です」・・・以下略
結局カークが一番下だった。
「生まれたてのカークをよく里に出しなすった」
「なーに、わしら、サイカを見て決めた。ええ子じゃ」
カークの母ちゃんは、頭をすりすりしながら、カークに何か言ってる。たぶんカークはスライムをいっぱい倒した、飯も一杯食わせてもらっていると話しているのだろう。愛情たっぷりのすりすりを見ていると微笑ましい。
「カークは強くなるぞ。わしが保証する」と、じいちゃんが言うと。
「嬉しいことを言ってくれる。どうです今度一杯」と、カークの父ちゃん。
「ええな、うち秘蔵のどぶろくを出す」と、カークのじいちゃん。
「ええな」
なんか、うちのじいちゃんと、カークの父ちゃんとじいちゃんが意気投合。友達出来たんなら、こっちも酒を出さないと悪い。酒作りでも手伝うか。
そんな感じでボーっとしているところに、カークの兄弟がいっぱいやって来た。
「オビト、カーク強くなったか」
「強くなった。スライムを一日、10匹以上倒すぞ」
「スライムと、4日ネズミ。どっちが強い」
「4日ネズミかな」
「じゃあ、まだまだだ」
そうか、ディノニクスは、雑食だもんな。どっちかって言うと肉食系恐竜。
サイカの所には、女の兄弟がいっぱい集まっている。もう、仲良くなっていて、遊びの話をしている。おれたちは、7歳になるまで、森の中には行けない。炭焼き小屋の裏山で遊ぶと言ってもあまりすることが無い。ところが、女は、何か食べて、駄弁っているのが楽しいので、そんな相談をしていた。
「まだ一緒に遊べないんだって」
「後2年な。2年経つと、体格がものすごく違ってしまうから、遊ぶって言うか乗せてくれよ」
「いいぞ。それまでに、マルタ島を制覇する」
「兄ちゃん危ないって」
「そうだ、じいちゃん言ってたぞ」
どこんちも一緒だな。じいちゃんが、生き方教えてくれてんだ。確かに、うちの近所から聞こえてくるのは、草食恐竜の雄たけびばかり。だからと言って、ディノニクスは肉食。他にもそう言う種族はいるだろう。やはり、森も危険だということだ。この辺りは、知的なディノニクスの縄張りだから、平和なだけかもしれない。
カークの家族に手をぶんぶん振って別れた。カークのお母さんは、よよと泣いていたが、父さんや子供たちがいる。カークのじいちゃんがその分、一生懸命、羽を振ってくれた。
ここからは、エルフの町を目指す。カウリーの木が5本束になったように生息している幹の上が、ツリータウンだと教えてもらった。葉っぱの陰から家が何軒か見える。おれは、高いところが好きだ。ああいう所に住みたいと思った。
「じいちゃん、恐竜は、長生きじゃないんか。なんかうちの家族と変わらんかったぞ」
「恐竜は、わしらと寿命が同じじゃよ。でも、恐竜の進化系の竜は1万年生きるというのう。カークも、20で成人じゃぞ」
「20年で身長が、4メートルにもなるんか」
「そうじゃ」
馬でも、後ろ脚だけで立ち上がったら3メートルぐらいになるか。でも、体重は、50~70Kgだったよな。走るの早いんだろうな。
「よう、穂ヒの村の勇者。エレベーターはいらんかね」
「じいちゃん勇者なんか」
「ひょひょひょひょ、今頃気付いたんか」
「嘘っぽい」
「どうするね」
「孫と、その友達と来たんじゃ。みんな10デナール払え。子供ばっかじゃろ負けんかい」
「そりゃ勘弁してくれ。その代わり情報だ。きょうは、Dの店が開いているぞ」
「ほんまか、ええ話を聞いた。じゃあ行くぞ、みんな籠に乗れ」
籠に乗ると、おっちゃんが弟子と滑車を二人掛で回しだした。カカカカと、回すたびに音がしている。途中おっさんたちが疲れても、綱が逆戻りしない仕組みだ。
おれたちは、こんなに高いところに昇ったことが無い。最後あたりは、山を越えてホーリー大穴まで見える。10デナール払った価値があると思った。
街の入り口には、「ツリーシティ、イスタールにようこそ」と、門の上に書かれてあった。
「あれな、イスタールにようこそって書かれているんじゃ」
じいちゃんが指さして教えてくれる。おれたちは、オシテ文字をまだ教わりきれていない。もう少しで、コンプリート。サイカたちは、覚えた字が多かったので喜んでいたけど、おれは、もう読めるんだよね。
「おじいちゃん、イスタールってどんな意味?」
「サイカちゃんは、いいところに気づくのう。あれは、エルフの古い文明の名前じゃ。つまり、マルタ島は、エルフ文明の発祥の地じゃよ。ツリーハウスは、木で出来ているから、そんな感じはせんじゃろうが、ここは古い町なんじゃ」
「ふうん」
「興味あるんなら、後で、本を買いなさい。すぐ読めるようになる」
サイカは、エルフの歴史か。おれは、魔法書だ。
最初にじいちゃんに連れて来てもらったのは、魔石やアイテムの換金所だ。売り物のアイテムも、ちょこっと置いているようだけど、換金メイン。じいちゃんには、ここの売り物は、正価だから買うなと言われた。
「すいません。孫たちが一層に入るようになりましたのじゃ」
「いらっしゃい勇者さん。皆さんお名前は?」
「ヒの村のオビト」
「ミの村のサイカです」
「ミノムラノ、カーク」
「あら、カーク君は、サイカちゃんの使い魔かしら」
「スゴイデショ。ショウカンジュウッテ、イウンダ」
自分で、自慢するな。
「偉いわー。じゃあ、カーク君も登録するわね。これで、サイカちゃんの代わりに、換金に来れるわよ」
カーク
カークの奴、はしゃいでんな。
「ほりゃ、二人とも、魔石を出さんかい」
おれたちは、魔石の入った瓶ごと、エルフのお姉さんに渡した。二人で申しわせて、魔石の欠片100個ずつ。サイカが一角ウサギの角3本。おれが4本持ってきた。
それで、魔石の瓶と共に帰ってきたお金が、サイカが、6500デナール。おれが、7000デナール。じいちゃんは、儲かったと言っていたが、どのくらいの価値なのかわからない。
「はい、デナール銀貨1000を7枚」
「銀貨、銀貨なのか」
「すまんが、1銀貨は崩してやってくれ。そして、わしゃこれじゃ」
「まあ、琥珀。ちょっと鑑定に回しますね。では、オビト君は、銀貨6枚と500デナール硬貨1枚に銅貨5枚ね」
おれは銀貨と聞いただけで物凄くテンションをあげた。スライムの魔石ってきっと価値あるものに違いない。なんて言っても、今日まで、コツコツ、スライムを倒して100個も魔石の欠片を集めたのだ。
「勇者様。32700デナールで、いかがでしょう」
「ええな、そうしてくだされ」
「では、金貨3枚、銀貨2枚、500硬化1枚と銅貨2枚になります。ありがとうございました」
あんなに小粒なのに、宝石は、価値が違う。
「じいちゃんは、金貨か。見せてくれ」
「私も」
カーク
「仕方ないのう」
初めて見た金貨は、銀貨と大きさが変わらなかった。でも、山吹色。やっぱり、銀より金だ。
「二人とも銀貨3枚は、使うな。家に入れんでどうする。サイカちゃんもリュックの中の隠しポケットに3枚入れろ。後は、貯金するなり本を買うなり好きにしなさい」
そうだった。全部使う気で、お金を握っていた。
「ここのアイテムは、見るだけじゃぞ。ここが一番高いでな。街でこれより高く売ってたら、ぼったくりじゃ。気をつけろ」
そんなわけで、物目づらしいアイテムをみんなで見て回った。それで、ポーションの前で、立ち止まった。実は、毒消し魔法は覚えたが、治癒魔法がまだなのだ。つなぎに買おうかと思ってみたが、銀1枚。高くて手が出ない。やっぱり魔法書を買って覚えるしかない。
「じいちゃんこれ」
「ふむ、イスタールのバザールでも750デナールする。治癒魔法を覚えた方がええじゃろな」
「オビト、私が治癒魔法書を買うよ」
「そうしてくれ。憶えたら貸してよ」
「うん」
これは打ち合わせ済み。初期魔法だから、村の人に聞けばいいと思うだろうが、最初が肝心。みんな軽く見て治癒魔法書など持っていない。おれの前世の経験が言っている。最初に、ちゃんと勉強していると後が違う。
「値段は、ここに来るたびに見て覚えるんじゃぞ。じゃあ、ちょっと早いが昼飯にするか。じいちゃんが、おごってやる」
換金所からそんなに離れていないところに、じいちゃん行きつけの店があるそうだ。
「ナポリ」は、スパゲティとスープの店。
「ここは、マリーさんがやっとる。わしも久々じゃ。ばあちゃんとよく来たんじゃぞ」
じいちゃんは、ばあちゃんが死んで弱腰になってしまった。なつかしそうに店を見上げている。ここは、おれが元気を出さないといけない。
「じいちゃん、早く入ろう」
そう言ってじいちゃんの腰を押した。
チリリン
「いらっしゃい。まあ、勇者様、奥様の時は行けなくてごめんなさい。お悔やみ申し上げます」
「ええんじゃ、それよりマリーさん。孫のオビトじゃ。それから、友達のサイカちゃんに、その従者のカークじゃ。いつものを頼む」
「オビト君に、サイカちゃんに、カーク君ね。いつでも来てね。カーク君は、いっぱい食べるでしょう。待っててねー」
3人で頭を下げた。サイカがおれの耳元で聞いてきた。
「ねえねえ、オビトのおじいちゃんって、勇者様なの?」
「そう、呼ばせているだけじゃないか。村で、そんなこと言われたことないぞ」
「そうなんだ」
ランチセットは、ナポリタンに、野菜のスープ。カークには、大盛り5人前を作ってもってきた。
「カーク君、食べ残したら許さないわよ」
カーク!
カークが大食いなのは知っているけど、これはどうだろうと思ってしまった。
「カーク、おれも食おうか」
「私も手伝うよ」
「タノム」
「スパゲティのトマトソースは、カークの成長促進にいいんじゃぞ。村じゃあんまり出回らん食材じゃから、無理してでも、ここで食っとけ」
おれとカークとサイカは、なんとか、これを食い切った。以外にというかめちゃ旨い。結局全部平らげた。マリーさんとじいちゃんは、顔を見合わせてにっこりした。
じいちゃんが、マリーさんに3000デナール払っていた。マリーさんは、子供の分3食は、おまけだと言っていた。ランチセットの値段を聞くと1人前500デナール。これは、ワンコインということだろう。おれは、前の前の世界基準で納得した。
つまり、これは1食500円だ。ということは、スライムの魔石の欠片は、1個50デナールなので、1個50円だ。「安っす」。でも、5歳の子供にしたら。1日最高1500デナール稼げるのだから、凄いことか。じいちゃんに金勘定を聞こうと思っていたが、納得してしまった。
ここでお茶タイムになった。じいちゃんは、換金所で言っていたことと真逆なことを言い出した。
「いいかよく聞け。これからアイテム屋と武器屋と防具屋と本屋を回る。じゃがそこで買うな。お前ら、本が欲しかったんじゃな。確かに本屋じゃと、1000~2000デナールも出せば本が買える。お前さん達の予算内じゃ。じゃが買うな。その値段を覚えるだけにしろ。その後モノレールに乗って、他のツリーに行く。そこにある「D」という店に入る。そこの本を買え。薄っぺらくても最低値段が3000デナールするが、それでも、目をつぶって買うんじゃ」
「本が、ぺらっぺらでもか」
「そうじゃ、アイテムや武器も見ておけ。出来れば、そこ以外では買うな。たぶん当分手が出ない値段じゃろうのう。それは、手作りでごまかせ。じいちゃんも手伝う。とにかくその店一本やりじゃからな」
なんでかじいちゃんの言うことは聞いてしまうんだよな
「わかった」
それはそれで、バザールに向かった。エルフの町イスタールの玄関口には、バザールがある。ここが、何でも安い。村のみんなから聞いていて、一度は来たかったところだ。
バザールは、本や武器、防具だけでなく屋台もいっぱい出ている。この旨そうな匂いが、食欲をそそる。串焼きやお菓子、焼きそばもある。しかし、食趣が動かない。さっき、ナポリで、死ぬほどスパゲティを食べたので、美味しそうなのがあるなと思うだけだ。
じいちゃんとマリーさん、これが狙いだったんだな
二人に完全にやられた。おれたちは、屋台の美味そうなのに見向きもせず、じいちゃんの言う通りいろいろな店を効率よく回ってしまった。
5歳の楽しみを取りやがって!
エルフの町イスタールの初体験は、おれの楽しみを裏切って、とっても良くできたお坊ちゃんの体験になった。おれたちはモノレールの待合所で、大人しくモノレールを待った。
「オビト、なーに、ふくれっ面しとんじゃ。モノレールが乗るぞ。これから本番じゃ」
モノレールと言ってもツリー間を綱で繋いであるシンプルなもの。そこにも人がいて、人力滑車で別のツリーにおれたちを送ってくれる。1回10デナール。また、お金が課かるんかい。でも、空中の旅をしたい。結局、籠に乗ってモノレールを楽しんでしまった。
空中を移動するなど、そうそう体験できることではない。前世での空中移動とは、戦いの中で、ジャンプして、だとか相手に吹っ飛ばされてーといった事ばかり。最悪なのがドラゴンの背中に乗った為に上空に連れて行かれたとか、そんな体験しかない。のんびり景色を楽しむのが、こんなに気分がいいことだとは思わなかった。
前々の人生でもこんなに清々しい気分になったことはない。5歳だとスケールを倍感じられて本当に楽しい。
コーンコーン、コーウンコーウン、コーンコーン、コーウンコーウン
カークが何やら、鳴き声を上げている。
「オビトーー。おじいちゃーん」
カークの大きな鳴き声を無視してサイカが手を振ってくれた。
「カーク、どうしたんだ」
「これからカークの巣の近くを通るじゃない。家族にオビトを紹介したいんだって」
「カークはディノニクスじゃったのう。なんて一族じゃ」
「ガニの一族よ。とっても古い一族なんだって」
「恐竜で古いと言ったらそりゃ何億年じゃの。マルタ島は、大陸から隔絶された島じゃ。本当に古そうじゃ」
「じいちゃん、詳しいな。村から出たことなかったんじゃないのか」
「じいちゃんの村っちゅうのは、マルタ島のことじゃ。わしゃ、村の生き字引って言われとる」
「怪しい」
「さーて行こうか。炭焼き小屋のはげ山を登ったら、カウリーの巨木を見つけろ。一番でっかいやつじゃ。そこを登ったら、ツリータウンがある。大きな町じゃぞ」
「木が丸ごと街なのか、すげえ」
「一本じゃないぞ、5本じゃぞ。隣の木に行きたかったらモノレールに乗らんといけん。向こうに着いたら換金する。金は、使いきっても問題ない。わしら、魔石の欠片を持っとるでな」
「もう一度、金勘定を教えてよ。カーク知ってるか?」
「キイタゾ」
「知ってるんだ。おれ、一回も使ってないから忘れたんだよ」
「オレモ、キイタ、ダケダゾ」
「カークも一緒なの。ツリーのエレベーター代が、片道10デナールだって覚えているだけよ」
「オレ、カウリーニ、ノボレナイ。ホラ、20デナール」
カークは、羽の下にお金をしっかり隠していた。これを無くししたら、ツリータウンに昇ったはいいけど、帰れなくなると脅されてしっかり持っている。
「それ、おれも母さんに貰ったぞ。じいちゃん全部使ったら不味いんじゃないか」
「そんなもん、自力で綱伝って降りんかい」
「ぎっくり腰のくせに?」
「ギクッ、オビト、じいちゃんに10デナール貸してくれ」
「登りの代金は、持っているんだろうな」
「登るのは、そりゃ大変じゃからな。それで、二人共、魔石の欠片は持ってきたか」
「うん!」
「へっへー」
おれたちは、大量の魔石が入った瓶をおじいちゃんに見せた。
「後、ホーンラビットの角が3本」
「おれ4本」
「よし、儲かった」
「じいちゃんは、どうする。おれがおごろうか」
「バカ言え、じいちゃんはこれじゃ」
そう言って、小さいが、綺麗な琥珀を見せてくれた。
「じいちゃんのへそくりじゃ。三人におごるのは、わしじゃ」
「じいちゃんすげぇ」
「きれい」
カーク
コーンコーン、コーウンコーウン、コーンコーン、コーウンコーウン
カークカーク
「あっ、鳴き声が帰って来た。カークのお父さんやお母さんを待たせちゃ悪いから、もう行こう」
「オビト、金勘定は、後でな」
「そうするか」
ひょこひょこ歩いているじいちゃんの腰を押して裏山を上がる。まだ72歳なのにこんなによぼよぼ。ばあちゃんが死んだのがよっぽど応えたんだと思う。長生きしてもらいたい。たぶん腰さえ養生すれば、元気で過ごせると思うが、もう、ダンジョンに入るのは無理だ。
裏山の天辺を初めて超えた。そこは樹海が広がる深い森だった。ホーリー大空洞の一層と変わらない植物もちらほら見られる。エルフたちが一層を出来るだけ穏やかにしてくれたのが良く分かる。
カークカーク
「あれか!」
コーンコーン、コーンコーン、コーンコーン、コーンコーン、コーンコーン、コーンコーン、コーンコーン、コーンコーン。
ガサガサッと、脇の藪が揺れたと思ったら体長3.5メートルあるディノニクスが現れた。
「カーク!」
「カーチャン」
「元気にしていたか」
「トーチャン」
3.5メートルあるディノニクスに続いて、4メートルはある立派なディノニクスが現れた。
「言うた通りじゃろ」
「ジーチャン」
そして、うちのじいちゃんそっくりな、よぼよぼのディノニクスが現れた。すげえ親近感ある。
そして、大小はあるものの、カークぐらいのディノニクスが、7匹出て来た。どんだけ兄弟いるんだ?
「ミンナ、オビトダ」
「オビトです」
「オビトノ、ジイチャン」
「オビトのじいちゃんです」
「父です」
「母です」
「じいちゃんです」
「兄です」「姉です」「二番目の兄です」・・・以下略
結局カークが一番下だった。
「生まれたてのカークをよく里に出しなすった」
「なーに、わしら、サイカを見て決めた。ええ子じゃ」
カークの母ちゃんは、頭をすりすりしながら、カークに何か言ってる。たぶんカークはスライムをいっぱい倒した、飯も一杯食わせてもらっていると話しているのだろう。愛情たっぷりのすりすりを見ていると微笑ましい。
「カークは強くなるぞ。わしが保証する」と、じいちゃんが言うと。
「嬉しいことを言ってくれる。どうです今度一杯」と、カークの父ちゃん。
「ええな、うち秘蔵のどぶろくを出す」と、カークのじいちゃん。
「ええな」
なんか、うちのじいちゃんと、カークの父ちゃんとじいちゃんが意気投合。友達出来たんなら、こっちも酒を出さないと悪い。酒作りでも手伝うか。
そんな感じでボーっとしているところに、カークの兄弟がいっぱいやって来た。
「オビト、カーク強くなったか」
「強くなった。スライムを一日、10匹以上倒すぞ」
「スライムと、4日ネズミ。どっちが強い」
「4日ネズミかな」
「じゃあ、まだまだだ」
そうか、ディノニクスは、雑食だもんな。どっちかって言うと肉食系恐竜。
サイカの所には、女の兄弟がいっぱい集まっている。もう、仲良くなっていて、遊びの話をしている。おれたちは、7歳になるまで、森の中には行けない。炭焼き小屋の裏山で遊ぶと言ってもあまりすることが無い。ところが、女は、何か食べて、駄弁っているのが楽しいので、そんな相談をしていた。
「まだ一緒に遊べないんだって」
「後2年な。2年経つと、体格がものすごく違ってしまうから、遊ぶって言うか乗せてくれよ」
「いいぞ。それまでに、マルタ島を制覇する」
「兄ちゃん危ないって」
「そうだ、じいちゃん言ってたぞ」
どこんちも一緒だな。じいちゃんが、生き方教えてくれてんだ。確かに、うちの近所から聞こえてくるのは、草食恐竜の雄たけびばかり。だからと言って、ディノニクスは肉食。他にもそう言う種族はいるだろう。やはり、森も危険だということだ。この辺りは、知的なディノニクスの縄張りだから、平和なだけかもしれない。
カークの家族に手をぶんぶん振って別れた。カークのお母さんは、よよと泣いていたが、父さんや子供たちがいる。カークのじいちゃんがその分、一生懸命、羽を振ってくれた。
ここからは、エルフの町を目指す。カウリーの木が5本束になったように生息している幹の上が、ツリータウンだと教えてもらった。葉っぱの陰から家が何軒か見える。おれは、高いところが好きだ。ああいう所に住みたいと思った。
「じいちゃん、恐竜は、長生きじゃないんか。なんかうちの家族と変わらんかったぞ」
「恐竜は、わしらと寿命が同じじゃよ。でも、恐竜の進化系の竜は1万年生きるというのう。カークも、20で成人じゃぞ」
「20年で身長が、4メートルにもなるんか」
「そうじゃ」
馬でも、後ろ脚だけで立ち上がったら3メートルぐらいになるか。でも、体重は、50~70Kgだったよな。走るの早いんだろうな。
「よう、穂ヒの村の勇者。エレベーターはいらんかね」
「じいちゃん勇者なんか」
「ひょひょひょひょ、今頃気付いたんか」
「嘘っぽい」
「どうするね」
「孫と、その友達と来たんじゃ。みんな10デナール払え。子供ばっかじゃろ負けんかい」
「そりゃ勘弁してくれ。その代わり情報だ。きょうは、Dの店が開いているぞ」
「ほんまか、ええ話を聞いた。じゃあ行くぞ、みんな籠に乗れ」
籠に乗ると、おっちゃんが弟子と滑車を二人掛で回しだした。カカカカと、回すたびに音がしている。途中おっさんたちが疲れても、綱が逆戻りしない仕組みだ。
おれたちは、こんなに高いところに昇ったことが無い。最後あたりは、山を越えてホーリー大穴まで見える。10デナール払った価値があると思った。
街の入り口には、「ツリーシティ、イスタールにようこそ」と、門の上に書かれてあった。
「あれな、イスタールにようこそって書かれているんじゃ」
じいちゃんが指さして教えてくれる。おれたちは、オシテ文字をまだ教わりきれていない。もう少しで、コンプリート。サイカたちは、覚えた字が多かったので喜んでいたけど、おれは、もう読めるんだよね。
「おじいちゃん、イスタールってどんな意味?」
「サイカちゃんは、いいところに気づくのう。あれは、エルフの古い文明の名前じゃ。つまり、マルタ島は、エルフ文明の発祥の地じゃよ。ツリーハウスは、木で出来ているから、そんな感じはせんじゃろうが、ここは古い町なんじゃ」
「ふうん」
「興味あるんなら、後で、本を買いなさい。すぐ読めるようになる」
サイカは、エルフの歴史か。おれは、魔法書だ。
最初にじいちゃんに連れて来てもらったのは、魔石やアイテムの換金所だ。売り物のアイテムも、ちょこっと置いているようだけど、換金メイン。じいちゃんには、ここの売り物は、正価だから買うなと言われた。
「すいません。孫たちが一層に入るようになりましたのじゃ」
「いらっしゃい勇者さん。皆さんお名前は?」
「ヒの村のオビト」
「ミの村のサイカです」
「ミノムラノ、カーク」
「あら、カーク君は、サイカちゃんの使い魔かしら」
「スゴイデショ。ショウカンジュウッテ、イウンダ」
自分で、自慢するな。
「偉いわー。じゃあ、カーク君も登録するわね。これで、サイカちゃんの代わりに、換金に来れるわよ」
カーク
カークの奴、はしゃいでんな。
「ほりゃ、二人とも、魔石を出さんかい」
おれたちは、魔石の入った瓶ごと、エルフのお姉さんに渡した。二人で申しわせて、魔石の欠片100個ずつ。サイカが一角ウサギの角3本。おれが4本持ってきた。
それで、魔石の瓶と共に帰ってきたお金が、サイカが、6500デナール。おれが、7000デナール。じいちゃんは、儲かったと言っていたが、どのくらいの価値なのかわからない。
「はい、デナール銀貨1000を7枚」
「銀貨、銀貨なのか」
「すまんが、1銀貨は崩してやってくれ。そして、わしゃこれじゃ」
「まあ、琥珀。ちょっと鑑定に回しますね。では、オビト君は、銀貨6枚と500デナール硬貨1枚に銅貨5枚ね」
おれは銀貨と聞いただけで物凄くテンションをあげた。スライムの魔石ってきっと価値あるものに違いない。なんて言っても、今日まで、コツコツ、スライムを倒して100個も魔石の欠片を集めたのだ。
「勇者様。32700デナールで、いかがでしょう」
「ええな、そうしてくだされ」
「では、金貨3枚、銀貨2枚、500硬化1枚と銅貨2枚になります。ありがとうございました」
あんなに小粒なのに、宝石は、価値が違う。
「じいちゃんは、金貨か。見せてくれ」
「私も」
カーク
「仕方ないのう」
初めて見た金貨は、銀貨と大きさが変わらなかった。でも、山吹色。やっぱり、銀より金だ。
「二人とも銀貨3枚は、使うな。家に入れんでどうする。サイカちゃんもリュックの中の隠しポケットに3枚入れろ。後は、貯金するなり本を買うなり好きにしなさい」
そうだった。全部使う気で、お金を握っていた。
「ここのアイテムは、見るだけじゃぞ。ここが一番高いでな。街でこれより高く売ってたら、ぼったくりじゃ。気をつけろ」
そんなわけで、物目づらしいアイテムをみんなで見て回った。それで、ポーションの前で、立ち止まった。実は、毒消し魔法は覚えたが、治癒魔法がまだなのだ。つなぎに買おうかと思ってみたが、銀1枚。高くて手が出ない。やっぱり魔法書を買って覚えるしかない。
「じいちゃんこれ」
「ふむ、イスタールのバザールでも750デナールする。治癒魔法を覚えた方がええじゃろな」
「オビト、私が治癒魔法書を買うよ」
「そうしてくれ。憶えたら貸してよ」
「うん」
これは打ち合わせ済み。初期魔法だから、村の人に聞けばいいと思うだろうが、最初が肝心。みんな軽く見て治癒魔法書など持っていない。おれの前世の経験が言っている。最初に、ちゃんと勉強していると後が違う。
「値段は、ここに来るたびに見て覚えるんじゃぞ。じゃあ、ちょっと早いが昼飯にするか。じいちゃんが、おごってやる」
換金所からそんなに離れていないところに、じいちゃん行きつけの店があるそうだ。
「ナポリ」は、スパゲティとスープの店。
「ここは、マリーさんがやっとる。わしも久々じゃ。ばあちゃんとよく来たんじゃぞ」
じいちゃんは、ばあちゃんが死んで弱腰になってしまった。なつかしそうに店を見上げている。ここは、おれが元気を出さないといけない。
「じいちゃん、早く入ろう」
そう言ってじいちゃんの腰を押した。
チリリン
「いらっしゃい。まあ、勇者様、奥様の時は行けなくてごめんなさい。お悔やみ申し上げます」
「ええんじゃ、それよりマリーさん。孫のオビトじゃ。それから、友達のサイカちゃんに、その従者のカークじゃ。いつものを頼む」
「オビト君に、サイカちゃんに、カーク君ね。いつでも来てね。カーク君は、いっぱい食べるでしょう。待っててねー」
3人で頭を下げた。サイカがおれの耳元で聞いてきた。
「ねえねえ、オビトのおじいちゃんって、勇者様なの?」
「そう、呼ばせているだけじゃないか。村で、そんなこと言われたことないぞ」
「そうなんだ」
ランチセットは、ナポリタンに、野菜のスープ。カークには、大盛り5人前を作ってもってきた。
「カーク君、食べ残したら許さないわよ」
カーク!
カークが大食いなのは知っているけど、これはどうだろうと思ってしまった。
「カーク、おれも食おうか」
「私も手伝うよ」
「タノム」
「スパゲティのトマトソースは、カークの成長促進にいいんじゃぞ。村じゃあんまり出回らん食材じゃから、無理してでも、ここで食っとけ」
おれとカークとサイカは、なんとか、これを食い切った。以外にというかめちゃ旨い。結局全部平らげた。マリーさんとじいちゃんは、顔を見合わせてにっこりした。
じいちゃんが、マリーさんに3000デナール払っていた。マリーさんは、子供の分3食は、おまけだと言っていた。ランチセットの値段を聞くと1人前500デナール。これは、ワンコインということだろう。おれは、前の前の世界基準で納得した。
つまり、これは1食500円だ。ということは、スライムの魔石の欠片は、1個50デナールなので、1個50円だ。「安っす」。でも、5歳の子供にしたら。1日最高1500デナール稼げるのだから、凄いことか。じいちゃんに金勘定を聞こうと思っていたが、納得してしまった。
ここでお茶タイムになった。じいちゃんは、換金所で言っていたことと真逆なことを言い出した。
「いいかよく聞け。これからアイテム屋と武器屋と防具屋と本屋を回る。じゃがそこで買うな。お前ら、本が欲しかったんじゃな。確かに本屋じゃと、1000~2000デナールも出せば本が買える。お前さん達の予算内じゃ。じゃが買うな。その値段を覚えるだけにしろ。その後モノレールに乗って、他のツリーに行く。そこにある「D」という店に入る。そこの本を買え。薄っぺらくても最低値段が3000デナールするが、それでも、目をつぶって買うんじゃ」
「本が、ぺらっぺらでもか」
「そうじゃ、アイテムや武器も見ておけ。出来れば、そこ以外では買うな。たぶん当分手が出ない値段じゃろうのう。それは、手作りでごまかせ。じいちゃんも手伝う。とにかくその店一本やりじゃからな」
なんでかじいちゃんの言うことは聞いてしまうんだよな
「わかった」
それはそれで、バザールに向かった。エルフの町イスタールの玄関口には、バザールがある。ここが、何でも安い。村のみんなから聞いていて、一度は来たかったところだ。
バザールは、本や武器、防具だけでなく屋台もいっぱい出ている。この旨そうな匂いが、食欲をそそる。串焼きやお菓子、焼きそばもある。しかし、食趣が動かない。さっき、ナポリで、死ぬほどスパゲティを食べたので、美味しそうなのがあるなと思うだけだ。
じいちゃんとマリーさん、これが狙いだったんだな
二人に完全にやられた。おれたちは、屋台の美味そうなのに見向きもせず、じいちゃんの言う通りいろいろな店を効率よく回ってしまった。
5歳の楽しみを取りやがって!
エルフの町イスタールの初体験は、おれの楽しみを裏切って、とっても良くできたお坊ちゃんの体験になった。おれたちはモノレールの待合所で、大人しくモノレールを待った。
「オビト、なーに、ふくれっ面しとんじゃ。モノレールが乗るぞ。これから本番じゃ」
モノレールと言ってもツリー間を綱で繋いであるシンプルなもの。そこにも人がいて、人力滑車で別のツリーにおれたちを送ってくれる。1回10デナール。また、お金が課かるんかい。でも、空中の旅をしたい。結局、籠に乗ってモノレールを楽しんでしまった。
空中を移動するなど、そうそう体験できることではない。前世での空中移動とは、戦いの中で、ジャンプして、だとか相手に吹っ飛ばされてーといった事ばかり。最悪なのがドラゴンの背中に乗った為に上空に連れて行かれたとか、そんな体験しかない。のんびり景色を楽しむのが、こんなに気分がいいことだとは思わなかった。
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