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ホーリー大穴 一層
Dの店
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次に行ったツリーの町は職人街。ここにお目当ての「D」の店がある。ここもツリーが4本束になっていてとても広々とした街構え。その中央に、店が開いたり閉まったりする気まぐれな雑貨屋がある。ここは、冒険者から魔石などを買い取ったりする店なので、冒険者からすると、ずっと開いていてほしい店なのだがそうでない。そのため、近所に代行業者の店があるぐらい。ちょっと変わった店なのだ。
イスタールの町の入り口にある換金所は、ホーリー大穴の周りに住んでいる人族用。売値の半額で買い取ってくれる。つまり魔石の欠片の売値は、100デナール。普通外からの人だと、1/4の値段でしか買い取ってくれない。しかし、「D」は、冒険者支援をしているので35デナールで買い取ってくれる。代行業者は、これを30デナールで買い取って差額を儲けている。
今日は、店が開いている。これは、千載一遇のチャンスなのだ。
チリリン
「いらっしゃい。勇者様じゃないですか。お久しぶりです」
また店員が、じいちゃんを持ち上げて挨拶した。サイカがひそひそ言ってきた。
「ほら、また、勇者様って言われた」
「なんだろな」
確かに気になる。
「じいちゃん、勇者様なのか」
「みんな、そう、呼んどるじゃろ。じいちゃん、勇者に決まっとろうが」
「おっかしいな。それ、エルフしか言わないぞ」
「ワハハハハハ」
じいちゃん、笑ってごまかした。それで店員のエルフに聞いた。
「じいちゃん、勇者なのか」
「おや、この子は?」
「孫のオビトじゃ」
「イスタルに来てからずっとじいちゃんが、勇者様って言われるんだ」
「そりゃそうでしょう、マルタ島を救ってくださったのですから。あれは、本当に感動しました」
なんてこった。じいちゃんが勇者。すごすぎる。
「あの、大食い選手権は、今でも語り草ですよ。旅人のハイオークにマルタ島の1番を他国に持って行かれるところだったんですから」
「50年前の話じゃ」
???????????????
「じいちゃん、大食い選手権って?」
エルフ店員が語りだした。
「もう、50年前になりますかね。我々、寿命が長いものですから、つい昨日の事のようです。毎年マルタ島1位を決める大食い選手権をバザールでやっているのですが、あの時は、マルタ島の危機でしたよ。うちのバザールが主催しているのに、チャンピオンベルトが、他国に流出する危機でしたからね」
「わし、あの時、腹壊した」
「そこに勇者様が現れたんです。いやー凄かった。ハイオークが目を回したんですよ」
「最後にトンテキ出すからじゃ。共食いはきついわい」
「いやいや、当方の作戦勝ちということで、勇者様は、勝ったことだけ誇ればいいんです」
おれとサイカとカークは、二人の会話にあきれた。50年前だし、人族が、誰もじいちゃんの雄姿を語らないわけだ。人族には、伝説のような話だが、エルフには、鮮明な話なのだろう。勇者の話が、どうでもよくなって、店内を見て歩くことにした。
本がペラペラなら立ち読みしてやれと思っていたが、表題のカードが置いてあるだけ。向こうも商売だ。立ち読みは、させてもらえなかった。
「かーかーかー、あった風魔法。治癒の魔法は、6000デナールか。おれとサイカの小遣いを合わせてギリギリじゃないか。サイカ、どうする」
「もうちょっと見て回りたい。治癒魔法は教えてもらえるもん」
「細かいことも理解したほうがいいって」
「でもー」
「じゃあ、もうちょっと回ってみるか」
カークは、バックが両サイドについている鞍を見ている。とても今のおれたちが買えるような値段ではない。
サイカは、エルフのお兄さんがいるレジの下にあるショーウィンドウの前で、屈みこんだ。そして、屈みこんでしまって動かなくなった。そこには、スライムの完全な魔石が陳列されていたからだ。自分が持っている短剣のアイテムの穴にすっぽりハマる大きさだ。
「嬢ちゃん、見る目高いね。これは、青スライムの魔石だよ。弱いけど回復効果が有るんだ」
「私、これを装着できる短剣を持ってる」
そう言って、店員に、初めて一層に入ったときにもらった短剣を見せた。
「おお、これこれ。ここの穴に装着するんだよ。ちょっと貸してみな。今確かめてあげるから」
店員の言う通り、スライムの魔石がすっぽりハマる。サイカはこれが欲しくて仕方なくなった。でも、値段が、20000デナール。とても手が出る品じゃない。スライムの魔石の欠片を400個集めないと買えない値段。気が遠くなる値段だ。
「オビト、これ欲しい」
「無茶言うな2万デナールだぞ」
「でしたら、自分で、ゲットしてみてはいかがですか」
「はあ?」
「ほら、そこの棚に、スライムの完全な魔石の取り出し方っていう冊子があるでしょう。あれは6000デナールでいいですよ。勇者様のお孫様なのですから、おまけです」
「オビト、止めとけ。やり方が分かっても実行できんと意味ないぞ。じいちゃん、それ、出来んかった」
「じいちゃん、やり方知っているのか」
「もう忘れた。とにかくできんかった」
「そう言えば、50年前に買われましたよね。駄目でしたか」
「それ、なんじゃったかのう。詐欺に遭った気分じゃったぞ」
「それは心外です。ここに、出来た証拠があるじゃないですか」
「それは、分かるんじゃが」
「オビト、『スライムの完全な魔石の取り出し方』の本、欲しい」
「バカ、今の話を聞いていなかったのか。やり方が分かっても出来なかったら意味ないんだ」
「勇者様の坊ちゃんでしたら出来ますよ」
また、根拠のないことを!こいつは、子供の敵だ。
「ねえ、これ欲しい」
「無理だって」
「オビトならできるって言われた」
「当然、そんな貴重なものが手に入るのでしたら、うちで、1個6000デナールで買い取らせていただきます。本の元などすぐ取り返せますよ」
こ、こいつは、子供の敵だ。
「か、買った」
やっちゃったーーー!!!
「はい、毎度ありー」
チン!
今まで努力したお金が、ここで、全部吹っ飛んだ。
「代わりに、ホーリーノバ大穴の成り立ちをお話しましょう」
「天使族が、ホーリーで恐竜をやっつけたからできたんだろ」
「それは切っ掛けにすぎません。下の層に行くほど、大型の強い魔物がいます。それはなぜか分かります?」
「地下に恐竜がいっぱい埋まっているからだろ」
「それで、答えの半分です。じゃあ、そんな大型魔物の食料は、何処から来るのでしょう。それは、上層階から降りてくるのです。魔石を持った魔物は、リニュリオンするのです。魔力を恐竜たちに返して、より強力な魔物を復活させる。それがリニュリオンです」
「それ、やばくないか」
「スライムたちは、二層に降りて、二層のより強い魔物に食われます。二層は、三層の。三層は、四層の魔物にと食物連鎖するのです」
参った。こりゃ、下の層に行くほど魔物がとんでもなく強くなるぞ
「ところで、人種の限界層を知っていますか」
「なんだその、限界層って」
「人種は、だいたい、第四層で死にます。これを超えるのはとても大変。そのため、四層には、人種のゾンビやスケルトンやグールがたくさんいます。ここを突破するカギが、癒しの波動を出している青スライムの魔石なのです。一番弱い魔物が、人種の限界を突破するカギということです」
こりゃ、この本を攻略しないと、四層より先には、進めませんよと言っているようなものじゃないか。たぶん、ここで、この魔石を買っただけじゃダメなんだ。大人が、2万デナールで、スライムの魔石を買えないわけがない。
「お兄ちゃん、ありがとう。初めて買ったのがこれでよかった」
「毎度あり」
「お前も買わされたか」
じいちゃんが、がっかりしている。でも、サイカの目はキラキラだ。めっちゃ、おれに期待している。取り合えずサイカと二人で、店を出たところで、この本を読もうと思う。おれは、もうオシテ文字が読める。
オレらが、意気揚々とがっかりしているじいちゃんを連れて「D」の店を出た後、此処の店主が店に顔を出した。それは、頭のでかいエルダードワーフ。
「親方、あの本を子供に勧めて良かったんですか」
「バカやろう人種だぞ。子供の時に修練を始めんと、合成魔法なんかできるか。あれで良かったんだよ」
親方は腕組みして、おれたちを見送った。
おれたちは店を出て、大喜びで冊子を読んだ。
『スライムの完全な魔石の取り出し方』とは、
1、スライムに手を突っ込んで核だけ聖なるバリアで覆う
2、バリアの中で土魔法の砂化をスライムの核だけに掛けて砂化する
3、ここでバリアを解除
4、スライムに当たらないよう核だけ抜き取る
5、これで、あなたは、一流の魔法戦士になれる
おれは、この冊子を読んで、地面に叩きつけた。
「こんなの、出来るかっ」
「オビトー」
「じゃから言うたじゃろ」
「クイモノヲ、ミアゲニ、シタカッタ」
だいたいバリアの外から魔法をかけても、その魔法は通らない。それに砂化魔法は、魔石も粉にしてしまう。最後にスライムの中で、魔法を解除したら、スライムがまた魔石を取り込んで、核が元に戻ってしまう。結局魔石は、取り出せない。
こんなの5歳児でもわかるわい
この冊子には、聖なるバリアの出し方と土魔法の砂化の仕方が載っている。全く無駄でないというか魔法二つのおまけつきは、むしろ安いので、ものすごく返品しにくい。やられたと思った。
「まったく無駄じゃないよ、バリヤと砂化を覚えよ。治癒より先に、守りのバリアでもいいじゃない」
買いたいと言った本人が、逆切れするわけにもいかず。サイカは、一生懸命バリヤを覚えると言った。
この冊子は、サイカの本になり、オレは銀貨3枚を失った。
「そう、落ち込むな。あの店の試練みたいなもんじゃ。みんな、これにハマる。じいちゃんが、展望台に連れて行ってやるから機嫌を直せ。マルタ島が一望じゃぞ。でっかい草食恐竜が見れるかもしれん。その前にちょっと待ってろ」
そういって、Dの店に戻って、治癒の冊子を買ってくれた。おれが、このことで、Dを嫌いにならないようにしてくれた。治癒は、風魔法。その成り立ち、蘇生。更に、永続詠唱まで記されていた。スライムの完全な魔石の取り出し方の冊子も、全部できると、本当にスライムの魔石を取り出せるのかもしれない。そう思わせる治癒の本の内容だった。
「うほーい。海が見える。じいちゃんじいちゃん、あの首の長い恐竜はなんていう?」
「首長竜じゃ」
立ち直り早いのう
「そうじゃなくて種族名だよ。いいなー、あれの背中に乗りたいなー」
「言えば乗せてくれると思うぞ。なんせ、英雄の孫じゃからな。それから、展望台で質問するなら、ガイドのお姉さんに聞け」
「じいちゃん、恐竜も人種と寿命がおんなじだと言った。ドラゴンでない限りじいちゃんのことを覚えていないんじゃないか」
「ええから、はよ聞きに行け」
今日は良い天気でよかった。エレベーターを3回も乗り継いできたかいがあった。
マルタ島は晴れ渡り、遠くまで見渡せる。ホーリー大穴が、島の北側であることが分かる。南側は、マルタ火山がある。そして、ホーリー大穴の西側に、このイスタールの町もヒの村もミの村もある。北に向くと薄っすら黒い影。あれが、イーラス大陸。そして、そこに天使の国、バルモア共和国がある。300年前、恐竜たちは、エルフの里を強襲した後、海を渡って、バルモア共和国に向かう予定だった。そこに、天使たちの強烈な一撃。この戦いが、魔王との雌雄を決するきっかけになる。ここにいたティラノ強襲隊は、魔王直属の隊だったからだ。
展望台のお姉さんは、オビトとカークとサイカに質問攻めにあっていた。だからと言って笑顔を絶やさない。そこが大事な所だ。
「ここ、マルタ島のホーリー大穴の周りには、その昔、25の村がありました。ところが、今では22の村しかありません。それは、なぜかと申しますと………………。」
「ねえねえ、あの、首の長い恐竜は、なんて名前?」
「おの海の向こうの黒い影は何ですか」
「ココラヘンハ、イノシシガ、イッパイ、イルノ?」
「えっと、それは、マルタ島の環境にあります。南は、マルタ火山があり、火山灰が降り注ぐ関係で、、村民は非難されました」
「あの恐竜って、この木より、全然低いよね」
「あの黒いところに行けるのかな?」
「オレ、イノシシヨリ、ツヨクナッタト、オモウ?」
「それ以外の村も、自然環境の影響で・・・ちょっと黙って。後で答えるから」
ガイドのお姉さんは、にっこり笑って話をつづけた。
「マルタ島の北側は、・・・」
「ねえねえ」
「ねえねえ」
「ネエネエ」
「‥‥‥‥、もう、敗けたわ。先に答えてあげる。でも、一人づつよ」
お姉さんは人差し指を一本立ててニッコリ笑ってくれた。
「ぼくが言ってる火山近くにいる草食恐竜は、ティタノサウルよ。体長は、大きくなっても18メートル。巨大草食恐竜の中では中型ね。カウリーは大きくなると100メートル以上になるでしょう。だから、広葉樹とかが主食ね。いいかしら」
「背中に乗せてって言ったら、乗せてくれるかな」
「どうだろ、まずお友達になることね」
「分かった」
「次は、皆さんも見てください。あの北の果てに見える黒い靄のようなところは、イーラス大陸です。マルタ島の何百倍もある大陸の一部が見えています。今見えているのは、バルモア共和国。天使が作った国があります。あそこは、人族が大勢いますよ。でも、天使は、その上空に浮かぶ浮島に住んでいます」
「わたし行きたい。天使を見たい」
「そうねぇ、このマルタ島は北から南まで25Kmです。その4倍の長さ100Km先にある国なので、お嬢ちゃんには、ちょっと遠いかな。まずは、マルタ島を歩けないとね」
「そうする」
「最後は、ディノニクス君かな。このイスタールの周りは、君の種族の縄張りだね。ここには大型動物はあまりいません。代わりにイノシシがいっぱいいます。ディノニクスは、何でも食べるのですが肉が大好きです。まず、イノシシに勝たないと、美味しいお肉は食べられませんよ。君は、まだ。ゼロ歳かな。ずいぶん大きくなったけど、体重が20Kg無いと思います。でも猪は、大物になると100Kg。もうちょっと大きくならないと、狩りは大変かな」
カーク「ワカッタ。ツヨクナル」
「そのいきよ。じゃあ、お姉さんの話を聞いてくれるかな」
「うん」×3
子供というのは、一人で育てられるものではない。周りが寄ってたかって育てるものだ。オビトたちは、こうやって社会のルールを覚えていく。
おれは、ガイドのお姉さんに驚いた。3人でいっぺんに質問しているのに、その質問を全部覚えていたからだ。やっぱりエルフはすげぇ。
それにしても、さっきの『スライムの完全な魔石の取り出し方』の冊子。光魔法と土魔法が、出来ないといけない。自分たちの周りは、風魔法ばかりだ。子供に、あの冊子を売ったぐらいだから、光魔法と土魔法ができる師匠が、イスタールの町にいるはずだ。それが気になる。これは、ガイドのお姉ちゃんじゃわからないだろうな。
「……………、そういうわけで、現在では、人種の村は、22村しかないのです。あれぇ、君、まだ質問あるのかな?」
「おれ、光と、土の魔法を覚えたい。イスタールにそんな魔法を使える師匠はいるのかな」
「あら、居るわよ。光の魔法は、ルイン様もそうだけど、近衛師団の人や、村周りの方たちだって使えるわ。村長さんに聞いてみたら?」
「土魔法は?」
「う~ん、居るにはいるんだけど、すっごく堅物なのよね。Dってお店知ってる?」
「今日行った」
「そこの親方さんが使えるわ。なんで店長さんって言わないのかは私に聞かないでね。知らないんだから。でもたぶん、土魔法を教えてくれない。それに店も、偶にしか開いていないし。今日開いていたんだ。良かったわね」
「『スライムの完全な魔石の取り出し方』って、冊子を買わされて、全財産取られた。酷い目に遭った」
「それはご愁傷様。へぇ、もうDの洗礼を受けたんだ。君は、見込み有る証拠よ。頑張って」
お姉さんに頭を撫でられた。
お姉さんに、「君は、見込み有る証拠よ。頑張って」と、言われて、ちょっと考え方を改めた。おれも、光魔法と土魔法を覚えよう。せっかく使えるのだから覚えようと思った。
その日の夕食は、特に楽しかった。母さんにイスタールの町のことをいっぱい話した。特にDの店に全財産をふんだくられた話は、オーバーに話した。なんと言っても、おれは勇者の孫だ。エルフに、じいちゃんが、有名人なのが嬉しかった。
「母さん、じいちゃんが勇者だって知ってた?」
「何の話?」
「昔、イスタールの大食い選手権で、チャンピオンの座を旅人のハイオークにとられそうになったことが有ったんだ。その時、じいちゃんが、そのハイオークを破ったんだって。すごいでしょ」
「そう言えば、オビトの父さんかっら聞いたような。でも、それって勇者のなの」
「勇者だよ、エルフはみんなそう呼んでたよ」
「おじいちゃん凄いのね」
「なんじゃ、二人とも、今頃気づいたんか」
「じいちゃん、遠慮って言葉を知ってるか」
「そこで胸張るのね」
「ええじゃろ。勇者なんじゃから」
「すごいなー」
「本当に偉いんだかどうだか」
あはははははは
うふふふふふ
「なんじゃ。そこはほめるところじゃろ」
あはははははは
うふふふふふ
今夜も、楽しい夕食になった。
その家族団らんを白い風燕と黒い風燕が遠くから見ている。ツバメは、100メートル先の虫が見えるという。カジカとライナ姫は、当分共同戦線を張って、オビトを見守ることにしたようだった。
イスタールの町の入り口にある換金所は、ホーリー大穴の周りに住んでいる人族用。売値の半額で買い取ってくれる。つまり魔石の欠片の売値は、100デナール。普通外からの人だと、1/4の値段でしか買い取ってくれない。しかし、「D」は、冒険者支援をしているので35デナールで買い取ってくれる。代行業者は、これを30デナールで買い取って差額を儲けている。
今日は、店が開いている。これは、千載一遇のチャンスなのだ。
チリリン
「いらっしゃい。勇者様じゃないですか。お久しぶりです」
また店員が、じいちゃんを持ち上げて挨拶した。サイカがひそひそ言ってきた。
「ほら、また、勇者様って言われた」
「なんだろな」
確かに気になる。
「じいちゃん、勇者様なのか」
「みんな、そう、呼んどるじゃろ。じいちゃん、勇者に決まっとろうが」
「おっかしいな。それ、エルフしか言わないぞ」
「ワハハハハハ」
じいちゃん、笑ってごまかした。それで店員のエルフに聞いた。
「じいちゃん、勇者なのか」
「おや、この子は?」
「孫のオビトじゃ」
「イスタルに来てからずっとじいちゃんが、勇者様って言われるんだ」
「そりゃそうでしょう、マルタ島を救ってくださったのですから。あれは、本当に感動しました」
なんてこった。じいちゃんが勇者。すごすぎる。
「あの、大食い選手権は、今でも語り草ですよ。旅人のハイオークにマルタ島の1番を他国に持って行かれるところだったんですから」
「50年前の話じゃ」
???????????????
「じいちゃん、大食い選手権って?」
エルフ店員が語りだした。
「もう、50年前になりますかね。我々、寿命が長いものですから、つい昨日の事のようです。毎年マルタ島1位を決める大食い選手権をバザールでやっているのですが、あの時は、マルタ島の危機でしたよ。うちのバザールが主催しているのに、チャンピオンベルトが、他国に流出する危機でしたからね」
「わし、あの時、腹壊した」
「そこに勇者様が現れたんです。いやー凄かった。ハイオークが目を回したんですよ」
「最後にトンテキ出すからじゃ。共食いはきついわい」
「いやいや、当方の作戦勝ちということで、勇者様は、勝ったことだけ誇ればいいんです」
おれとサイカとカークは、二人の会話にあきれた。50年前だし、人族が、誰もじいちゃんの雄姿を語らないわけだ。人族には、伝説のような話だが、エルフには、鮮明な話なのだろう。勇者の話が、どうでもよくなって、店内を見て歩くことにした。
本がペラペラなら立ち読みしてやれと思っていたが、表題のカードが置いてあるだけ。向こうも商売だ。立ち読みは、させてもらえなかった。
「かーかーかー、あった風魔法。治癒の魔法は、6000デナールか。おれとサイカの小遣いを合わせてギリギリじゃないか。サイカ、どうする」
「もうちょっと見て回りたい。治癒魔法は教えてもらえるもん」
「細かいことも理解したほうがいいって」
「でもー」
「じゃあ、もうちょっと回ってみるか」
カークは、バックが両サイドについている鞍を見ている。とても今のおれたちが買えるような値段ではない。
サイカは、エルフのお兄さんがいるレジの下にあるショーウィンドウの前で、屈みこんだ。そして、屈みこんでしまって動かなくなった。そこには、スライムの完全な魔石が陳列されていたからだ。自分が持っている短剣のアイテムの穴にすっぽりハマる大きさだ。
「嬢ちゃん、見る目高いね。これは、青スライムの魔石だよ。弱いけど回復効果が有るんだ」
「私、これを装着できる短剣を持ってる」
そう言って、店員に、初めて一層に入ったときにもらった短剣を見せた。
「おお、これこれ。ここの穴に装着するんだよ。ちょっと貸してみな。今確かめてあげるから」
店員の言う通り、スライムの魔石がすっぽりハマる。サイカはこれが欲しくて仕方なくなった。でも、値段が、20000デナール。とても手が出る品じゃない。スライムの魔石の欠片を400個集めないと買えない値段。気が遠くなる値段だ。
「オビト、これ欲しい」
「無茶言うな2万デナールだぞ」
「でしたら、自分で、ゲットしてみてはいかがですか」
「はあ?」
「ほら、そこの棚に、スライムの完全な魔石の取り出し方っていう冊子があるでしょう。あれは6000デナールでいいですよ。勇者様のお孫様なのですから、おまけです」
「オビト、止めとけ。やり方が分かっても実行できんと意味ないぞ。じいちゃん、それ、出来んかった」
「じいちゃん、やり方知っているのか」
「もう忘れた。とにかくできんかった」
「そう言えば、50年前に買われましたよね。駄目でしたか」
「それ、なんじゃったかのう。詐欺に遭った気分じゃったぞ」
「それは心外です。ここに、出来た証拠があるじゃないですか」
「それは、分かるんじゃが」
「オビト、『スライムの完全な魔石の取り出し方』の本、欲しい」
「バカ、今の話を聞いていなかったのか。やり方が分かっても出来なかったら意味ないんだ」
「勇者様の坊ちゃんでしたら出来ますよ」
また、根拠のないことを!こいつは、子供の敵だ。
「ねえ、これ欲しい」
「無理だって」
「オビトならできるって言われた」
「当然、そんな貴重なものが手に入るのでしたら、うちで、1個6000デナールで買い取らせていただきます。本の元などすぐ取り返せますよ」
こ、こいつは、子供の敵だ。
「か、買った」
やっちゃったーーー!!!
「はい、毎度ありー」
チン!
今まで努力したお金が、ここで、全部吹っ飛んだ。
「代わりに、ホーリーノバ大穴の成り立ちをお話しましょう」
「天使族が、ホーリーで恐竜をやっつけたからできたんだろ」
「それは切っ掛けにすぎません。下の層に行くほど、大型の強い魔物がいます。それはなぜか分かります?」
「地下に恐竜がいっぱい埋まっているからだろ」
「それで、答えの半分です。じゃあ、そんな大型魔物の食料は、何処から来るのでしょう。それは、上層階から降りてくるのです。魔石を持った魔物は、リニュリオンするのです。魔力を恐竜たちに返して、より強力な魔物を復活させる。それがリニュリオンです」
「それ、やばくないか」
「スライムたちは、二層に降りて、二層のより強い魔物に食われます。二層は、三層の。三層は、四層の魔物にと食物連鎖するのです」
参った。こりゃ、下の層に行くほど魔物がとんでもなく強くなるぞ
「ところで、人種の限界層を知っていますか」
「なんだその、限界層って」
「人種は、だいたい、第四層で死にます。これを超えるのはとても大変。そのため、四層には、人種のゾンビやスケルトンやグールがたくさんいます。ここを突破するカギが、癒しの波動を出している青スライムの魔石なのです。一番弱い魔物が、人種の限界を突破するカギということです」
こりゃ、この本を攻略しないと、四層より先には、進めませんよと言っているようなものじゃないか。たぶん、ここで、この魔石を買っただけじゃダメなんだ。大人が、2万デナールで、スライムの魔石を買えないわけがない。
「お兄ちゃん、ありがとう。初めて買ったのがこれでよかった」
「毎度あり」
「お前も買わされたか」
じいちゃんが、がっかりしている。でも、サイカの目はキラキラだ。めっちゃ、おれに期待している。取り合えずサイカと二人で、店を出たところで、この本を読もうと思う。おれは、もうオシテ文字が読める。
オレらが、意気揚々とがっかりしているじいちゃんを連れて「D」の店を出た後、此処の店主が店に顔を出した。それは、頭のでかいエルダードワーフ。
「親方、あの本を子供に勧めて良かったんですか」
「バカやろう人種だぞ。子供の時に修練を始めんと、合成魔法なんかできるか。あれで良かったんだよ」
親方は腕組みして、おれたちを見送った。
おれたちは店を出て、大喜びで冊子を読んだ。
『スライムの完全な魔石の取り出し方』とは、
1、スライムに手を突っ込んで核だけ聖なるバリアで覆う
2、バリアの中で土魔法の砂化をスライムの核だけに掛けて砂化する
3、ここでバリアを解除
4、スライムに当たらないよう核だけ抜き取る
5、これで、あなたは、一流の魔法戦士になれる
おれは、この冊子を読んで、地面に叩きつけた。
「こんなの、出来るかっ」
「オビトー」
「じゃから言うたじゃろ」
「クイモノヲ、ミアゲニ、シタカッタ」
だいたいバリアの外から魔法をかけても、その魔法は通らない。それに砂化魔法は、魔石も粉にしてしまう。最後にスライムの中で、魔法を解除したら、スライムがまた魔石を取り込んで、核が元に戻ってしまう。結局魔石は、取り出せない。
こんなの5歳児でもわかるわい
この冊子には、聖なるバリアの出し方と土魔法の砂化の仕方が載っている。全く無駄でないというか魔法二つのおまけつきは、むしろ安いので、ものすごく返品しにくい。やられたと思った。
「まったく無駄じゃないよ、バリヤと砂化を覚えよ。治癒より先に、守りのバリアでもいいじゃない」
買いたいと言った本人が、逆切れするわけにもいかず。サイカは、一生懸命バリヤを覚えると言った。
この冊子は、サイカの本になり、オレは銀貨3枚を失った。
「そう、落ち込むな。あの店の試練みたいなもんじゃ。みんな、これにハマる。じいちゃんが、展望台に連れて行ってやるから機嫌を直せ。マルタ島が一望じゃぞ。でっかい草食恐竜が見れるかもしれん。その前にちょっと待ってろ」
そういって、Dの店に戻って、治癒の冊子を買ってくれた。おれが、このことで、Dを嫌いにならないようにしてくれた。治癒は、風魔法。その成り立ち、蘇生。更に、永続詠唱まで記されていた。スライムの完全な魔石の取り出し方の冊子も、全部できると、本当にスライムの魔石を取り出せるのかもしれない。そう思わせる治癒の本の内容だった。
「うほーい。海が見える。じいちゃんじいちゃん、あの首の長い恐竜はなんていう?」
「首長竜じゃ」
立ち直り早いのう
「そうじゃなくて種族名だよ。いいなー、あれの背中に乗りたいなー」
「言えば乗せてくれると思うぞ。なんせ、英雄の孫じゃからな。それから、展望台で質問するなら、ガイドのお姉さんに聞け」
「じいちゃん、恐竜も人種と寿命がおんなじだと言った。ドラゴンでない限りじいちゃんのことを覚えていないんじゃないか」
「ええから、はよ聞きに行け」
今日は良い天気でよかった。エレベーターを3回も乗り継いできたかいがあった。
マルタ島は晴れ渡り、遠くまで見渡せる。ホーリー大穴が、島の北側であることが分かる。南側は、マルタ火山がある。そして、ホーリー大穴の西側に、このイスタールの町もヒの村もミの村もある。北に向くと薄っすら黒い影。あれが、イーラス大陸。そして、そこに天使の国、バルモア共和国がある。300年前、恐竜たちは、エルフの里を強襲した後、海を渡って、バルモア共和国に向かう予定だった。そこに、天使たちの強烈な一撃。この戦いが、魔王との雌雄を決するきっかけになる。ここにいたティラノ強襲隊は、魔王直属の隊だったからだ。
展望台のお姉さんは、オビトとカークとサイカに質問攻めにあっていた。だからと言って笑顔を絶やさない。そこが大事な所だ。
「ここ、マルタ島のホーリー大穴の周りには、その昔、25の村がありました。ところが、今では22の村しかありません。それは、なぜかと申しますと………………。」
「ねえねえ、あの、首の長い恐竜は、なんて名前?」
「おの海の向こうの黒い影は何ですか」
「ココラヘンハ、イノシシガ、イッパイ、イルノ?」
「えっと、それは、マルタ島の環境にあります。南は、マルタ火山があり、火山灰が降り注ぐ関係で、、村民は非難されました」
「あの恐竜って、この木より、全然低いよね」
「あの黒いところに行けるのかな?」
「オレ、イノシシヨリ、ツヨクナッタト、オモウ?」
「それ以外の村も、自然環境の影響で・・・ちょっと黙って。後で答えるから」
ガイドのお姉さんは、にっこり笑って話をつづけた。
「マルタ島の北側は、・・・」
「ねえねえ」
「ねえねえ」
「ネエネエ」
「‥‥‥‥、もう、敗けたわ。先に答えてあげる。でも、一人づつよ」
お姉さんは人差し指を一本立ててニッコリ笑ってくれた。
「ぼくが言ってる火山近くにいる草食恐竜は、ティタノサウルよ。体長は、大きくなっても18メートル。巨大草食恐竜の中では中型ね。カウリーは大きくなると100メートル以上になるでしょう。だから、広葉樹とかが主食ね。いいかしら」
「背中に乗せてって言ったら、乗せてくれるかな」
「どうだろ、まずお友達になることね」
「分かった」
「次は、皆さんも見てください。あの北の果てに見える黒い靄のようなところは、イーラス大陸です。マルタ島の何百倍もある大陸の一部が見えています。今見えているのは、バルモア共和国。天使が作った国があります。あそこは、人族が大勢いますよ。でも、天使は、その上空に浮かぶ浮島に住んでいます」
「わたし行きたい。天使を見たい」
「そうねぇ、このマルタ島は北から南まで25Kmです。その4倍の長さ100Km先にある国なので、お嬢ちゃんには、ちょっと遠いかな。まずは、マルタ島を歩けないとね」
「そうする」
「最後は、ディノニクス君かな。このイスタールの周りは、君の種族の縄張りだね。ここには大型動物はあまりいません。代わりにイノシシがいっぱいいます。ディノニクスは、何でも食べるのですが肉が大好きです。まず、イノシシに勝たないと、美味しいお肉は食べられませんよ。君は、まだ。ゼロ歳かな。ずいぶん大きくなったけど、体重が20Kg無いと思います。でも猪は、大物になると100Kg。もうちょっと大きくならないと、狩りは大変かな」
カーク「ワカッタ。ツヨクナル」
「そのいきよ。じゃあ、お姉さんの話を聞いてくれるかな」
「うん」×3
子供というのは、一人で育てられるものではない。周りが寄ってたかって育てるものだ。オビトたちは、こうやって社会のルールを覚えていく。
おれは、ガイドのお姉さんに驚いた。3人でいっぺんに質問しているのに、その質問を全部覚えていたからだ。やっぱりエルフはすげぇ。
それにしても、さっきの『スライムの完全な魔石の取り出し方』の冊子。光魔法と土魔法が、出来ないといけない。自分たちの周りは、風魔法ばかりだ。子供に、あの冊子を売ったぐらいだから、光魔法と土魔法ができる師匠が、イスタールの町にいるはずだ。それが気になる。これは、ガイドのお姉ちゃんじゃわからないだろうな。
「……………、そういうわけで、現在では、人種の村は、22村しかないのです。あれぇ、君、まだ質問あるのかな?」
「おれ、光と、土の魔法を覚えたい。イスタールにそんな魔法を使える師匠はいるのかな」
「あら、居るわよ。光の魔法は、ルイン様もそうだけど、近衛師団の人や、村周りの方たちだって使えるわ。村長さんに聞いてみたら?」
「土魔法は?」
「う~ん、居るにはいるんだけど、すっごく堅物なのよね。Dってお店知ってる?」
「今日行った」
「そこの親方さんが使えるわ。なんで店長さんって言わないのかは私に聞かないでね。知らないんだから。でもたぶん、土魔法を教えてくれない。それに店も、偶にしか開いていないし。今日開いていたんだ。良かったわね」
「『スライムの完全な魔石の取り出し方』って、冊子を買わされて、全財産取られた。酷い目に遭った」
「それはご愁傷様。へぇ、もうDの洗礼を受けたんだ。君は、見込み有る証拠よ。頑張って」
お姉さんに頭を撫でられた。
お姉さんに、「君は、見込み有る証拠よ。頑張って」と、言われて、ちょっと考え方を改めた。おれも、光魔法と土魔法を覚えよう。せっかく使えるのだから覚えようと思った。
その日の夕食は、特に楽しかった。母さんにイスタールの町のことをいっぱい話した。特にDの店に全財産をふんだくられた話は、オーバーに話した。なんと言っても、おれは勇者の孫だ。エルフに、じいちゃんが、有名人なのが嬉しかった。
「母さん、じいちゃんが勇者だって知ってた?」
「何の話?」
「昔、イスタールの大食い選手権で、チャンピオンの座を旅人のハイオークにとられそうになったことが有ったんだ。その時、じいちゃんが、そのハイオークを破ったんだって。すごいでしょ」
「そう言えば、オビトの父さんかっら聞いたような。でも、それって勇者のなの」
「勇者だよ、エルフはみんなそう呼んでたよ」
「おじいちゃん凄いのね」
「なんじゃ、二人とも、今頃気づいたんか」
「じいちゃん、遠慮って言葉を知ってるか」
「そこで胸張るのね」
「ええじゃろ。勇者なんじゃから」
「すごいなー」
「本当に偉いんだかどうだか」
あはははははは
うふふふふふ
「なんじゃ。そこはほめるところじゃろ」
あはははははは
うふふふふふ
今夜も、楽しい夕食になった。
その家族団らんを白い風燕と黒い風燕が遠くから見ている。ツバメは、100メートル先の虫が見えるという。カジカとライナ姫は、当分共同戦線を張って、オビトを見守ることにしたようだった。
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