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行ってしまう君への言葉

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マリカは僕以外の人にお別れの挨拶をし終わった。彼女は僕に向かって歩いてきたが彼女は僕の横を通り過ぎって行ってしまった。

僕は 自分だけお別れの挨拶をしてくれないのかと思った。とても悲しくなった。だがそれは違った、彼女は教卓の横に立つとおもむろに手紙をみんなの前で読み始めた。

あの手紙は僕のために書いてくれた手紙だった。 彼女は自分の気持ちをしっかり僕に伝えきれてなかったのだ。

マリカ『私は海堂祐飛君のことが大好きです!』僕はそれを聞いてすごく驚いた。前にメールで話は聞いていたけどみんなの前で言うなんて少し恥ずかしいな。

マリカは話を続けた

『3日前に祐飛君から告白されてとても嬉しかった。けど私は来月にはこの街を引っ越してしまうから、振ってしまったの。けど今日はこの場を借りてゆうひくんに私のすべての思いを伝えさせてください!』

マリカがみんなに頭を深々と下げている。クラスのみんなはすごい拍手をマリカに送った。

マリカは僕宛の手紙を読み始めた。

『私がゆうひくんを好きになったきっかけは、私の笑顔がとても可愛いと言ってくれた日から気になり出しました。その日からゆうひくんと目が合うたびに笑顔で手を振っていました。』

これを聞いて僕は立ち上がった。

『マリカさん!僕はあなたの笑顔を見るたびに今日も頑張ろうって気持ちになりました!いつも僕に元気をくれてありがとう!』

マリカはこれを聞いてまた泣き出した

みんなは僕がマリカを泣かしたと笑いながらからかってくる。

僕が続きを言おうとした時ちょうどチャイムが鳴った。

みんなが続きを言えと急かしてくるので僕は続けた。
『僕はあなたの事が大好きです!これからもずっとこの先あなたのことを忘れません!だから…マリカも僕の事を忘れないで!』と言った同時に僕の頬に涙が流れた。

僕も相変わらず泣き虫だなと思ったがこの涙は自分の中ではいい涙だと思う。

マリカも僕に向かって叫んだ。

『私もゆうひのこと絶対忘れないから!あなたも忘れないで!これからずっとあなたの事を思い付けます!』

マリカが言い終わると自分のクラスじゃない人達も拍手をしている。
そうだ今は授業が終わって休み時間だったのを忘れてた。

僕とマリカがぼっーとしているとみんながキスコールをしてきた。僕は恥ずかしいからやめて欲しかったけど嬉しかった。僕の感情はこの2つで渦巻いていた。
僕は覚悟を決めてマリカの元へ歩いた。

マリカを抱きしめてそのままキスをした。初めてのキスは甘酸っぱいと言ったほうがいいのかな?僕にはまだわからなかったけど、嬉しかった。

抱きしめているとマリカが僕の耳元でこう囁いた。

『私、ゆうひのこと待ってるからね、将来会える事を願ってる。もし会えたら絶対に結婚しようね。』

僕はうなづいた。二人ともやっぱり泣いていた。
抱きしめてる手を強くギュッと抱きしめた。

僕たちは引っ越す日まで付き合うことにした。その時間はとても短く感じた。

そしてマリカが引っ越す日、僕は見送りをして別れた。最後に『10年後の同窓会で会えたらいいね』と話をした。

それから数年後、僕は地元の大学に進学しそこを卒業して普通のサラリーマンになった。

仕事をしている時辛くなったら昔のマリカの笑顔を思い出して元気をもらってる。今、マリカはどんな事をしているのだろう。とたまに考える。

そんな生活をしていると、ついに同窓会が開催されることになった。開催日は明日の夜7時から…いやいや時間おかしいでしょと思ったが仕方ない。

次の僕は開催されている居酒屋に行った。みんな昔と変わらなかった。
僕は周りを見渡してマリカを探したが見つからなかった。その様子を見ていた友達がある事を教えてくれた。

それはマリカが昨年、交通事故で亡くなったとのことだった。
自分が乗っている車に大型トラックが突っ込んできて車体がぺしゃんこになっていたらしく、マリカは即死だったらしい。

これを聞いた時僕は頭の中が真っ白になった。今にも叫び出したいのを抑えていたが気づいたら大声をあげて泣いていた。

みんな僕を気遣ってくれた。その日は泣いたことしか覚えていない。

僕はその日夢を見た。それはマリカが僕に別れを告げている夢だった。夢の中のマリカはとても大人っぽくなっていた。昔と変わらない笑顔で僕に別れを言っていた。

夢の中で彼女は泣いていた。二人でした約束を守れなかったのを泣いていた。僕は夢でマリカを慰めながら、別れを告げた。

最後に僕はマリカがいなくなっても絶対に忘れないからね。

僕は毎年マリカの命日になると御墓参りに行っている。お墓に行くと近くにマリカがいる気がした。
マリカは僕の事を見守ってくれているんだなと僕は感じた。




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