とも子の洋裁店2

お舐め

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冨士夫は素早い

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仕事が終わって、とも子と冨士夫が会ってなんか喋ってる。
冨士夫「よ、エプロンの写真だけど、もう出来た!」
とも子「え?全部カラーにして?」
「当り前よ。ほら、(と写真を見せる)カメラの南ムラで仕上げたのよ」
「へー、大したもんやん」
「そうよ。この色付けどうだ?」
「じゃあ三十分ぐらい?」
冨士夫は得意げに
「それぐらいだろうな」
「でも、この色合い、お客さんが納得するかな?」
とも子はすこし首を傾げた。
富士「本人にもうちょっと詳し色合いを聴いとけばよかったな」
と「でもこれだけの事が30分でできるなんて大したものね。
桂子さんのお店で雇ってもらったら?」

冨士夫は首を振った。
「いや、俺にはクロネコヤマトの配達があるからな」
と「そんなに儲かるの?」
「儲からないなあ。ヤクザの事務所にも行かされるし。」
と「殺された?」
「うん。なんでやねん??別に怖くなかったよ」
「でも暴力団でしょ?」
「そうよ、県警の外和君が『ヤクザはハジキ持ってるから気を付けろ』って言ってたよ。
と「そんな危ないとこより、パソコンでカラー操作してる方が安全よ」
「そうか?カネになるか?」
「んー、ならへんと思う。」
富士「それに、白黒をカラー化するなんてめったにないと思う」

とも子「ところで、正太郎さんはどうしてるの?」
富士「お、あいつに興味あるのか?」
「いえ、べ別に」
「彼はね、思ってる事の半分しか話すことができないんだ」
とも子は少し驚いた。
「でもラブレター書いたり、積極的じゃないの?」
「そうよ、彼は文章だと自分の言いたい事が伝えられるんだ。だからあまりしゃべらない。」
とも子、うんうんと聴いている。
「それに、吃音(どモリ)の気があるから、、自分から積極的に喋らない」
と「あの人なんの仕事してるの?」
「老人介護だよ」

とも子
「あなたはどこかデザインの学校行ってたの?」
「いやあ、全部独学だよ」
「キャーー、めっちゃすごい。イラストレーターとかも使えるの?」
富士「あれは無理だな。デザイン専門学校でも行かなきゃ会得できないソフトだよ。」
「白黒をカラーにするってどうやるの?」
「色を付けていくのさ。慣れれば簡単だ。君にも教えようか?
とも子は苦笑して
「私はCADだけで十分よ。」

すると、亮太と桂子が通りかかって同席した。
とも子「ねえ、桂子さん、冨士夫君を家で雇うのはどう思う?」
桂「そんなに給料出せないわよ」
とも子はさっきのカラー写真を見せて
「これ白黒からカラーにするのにたった30分でできるのよ。」
亮太「うわあこれはすごい!」
桂子「ねえ、明日休みにしてみんなでドライブに行かない?」
と「いいねえ。行こうよ。」
富士「いいんだけど、なんで亮太さんって話の最後の方にいつも出てくるの?」
桂「忘れられた存在なのよ」
亮太「そんな事言うのか、よし明日は俺が運転して行こう」
行こう行こう、って盛り上がった。

翌日、とも子と冨士夫、桂子と亮太はクルマで小旅行に出た。
近くの島だ。お店はお休み。
桂子「さあ、お弁当にしましょ」
亮太「お、タコ足ウインナーやんけ。俺これ好きやねん」
とも子「流石、手が込んでるわね」
桂「私もこれ好きなんよ」

冨士夫「ねえ、桂子ちゃんが洋裁店を開こうと思ったきっかけは何?とも子さんと知り合ったのは?」
桂子、すこしうつむいて
「高校時代の延長よ。私高校時代って大人しかったやん?」
「うん」
「だから、大人しいなりに、自分で努力してたのよ。
その科目が『技術家庭』だったの。すると、ミシンかけたりするのがめちゃ好きになって
それが進んで、大人になると、みんな案外ミシンをかけたりしなくなった。
自分で縫い合わせたらできるようなことでもお店に注文したりする。
だから、需要と供給で私が洋裁の店を開こうと考えたの。」
「へえ」
「とも子さんはミシンの展示場で知り合ったの、ミシンの展示場なんて珍しいからね。そこでいろいろ話を聞いてたら、すごいエキスパートだと思ったの。それで一緒に仕事しようかという事になったわ。」

とも子も頷きながら、
「私が子供の頃ってお母さんが私の服を縫ってくれたりしてたわ。
あの頃のミシンって電動じゃなく、足踏みで回転させるミシンだったの。」
富士「たまに博物館にあるな」
「そう、あれで、いろんなものを縫ってくれたから、助かったわ。私ってお転婆な方だったから、
よく、糸が切れたり破けたりしてたの。そういうのがとても面白くなって
洋裁専門学校に進学したの」

亮太「やっぱり大学より専門の方が進路に指針がつくよな。おいらなんか、
大学出ても精々セールスか何に進むよりしかない。つまんないよね」
冨士夫「僕だって、宅配はバイトの延長でやってるからな。」
桂子「勿体ない。グラフィックの才能があるのに」
とも子「冨士夫君は、本当に最初から独学でフォトショップを習ったの」
冨士夫、すこしためらって
「いやあ、実はイラストレーターの友達がいるんだ。それで、彼フォトショップの
使い方を見せてもらったんだ。それで自分もやってみようと思って、作ってみたら
彼が驚いて『君、才能あるなあ』って言うから、それからどんどんと独学でやりだしたんだ。
面白いよ、フォトショップ」

亮太「いいなあ、才能のある人は羨ましいよ。」
桂子「亮太だって、歌歌えるじゃん。曲も作ってるし」
とも子「あ、そうよね。ここで何かご披露願いたいわ(笑)」
亮太は早速クルマからギターを持ち出して弾き始めた。
「よっし、じゃあ『みんなの好きな洋裁店』を
うわぁー、パチパチパチ

亮太歌う、
「みんなが集まる洋裁店、配達もしてくれる
 散歩の時間にできる、素敵な洋裁店
 (サビ)君も―、縫い合わせて
 新しい服を着ようよ~♪」

みんな拍手。
富士「亮太さんすごい。コンクールに応募したらどうですか?」
亮「いやあ、僕なんか、それほどでも」
とも子「ねえ、歌とコラボでなんかキャンペーンはったらどう?」
桂子「いいアイデアだけど、鳴り物は無理じゃないかな?ギターとか?ショバダイ取られるで。」
亮「CDとかかけるだけでも取られるしな。」

 
店の4人は島から帰って、翌日はまた店を開けた。
まあ、気分転換になっている。
今日は、こないだ来たチェックのエプロンの注文のお客さんが来た。

とも子「あ、いらっしゃい」
客「あの、こないだのエプロンですが」
「あ、カラー写真が出来てますよ。」
お客さんは、驚いた。
「すごく綺麗ですね」
「色合いはどうですか?」
客「大体いいと思いますよ。チェックがもう少し色を押さえた方がいいかしら?」
「これ、前の人で隠れているけど、ポケットが付いているんですね?」
「はい、両方に付けてます」
と「あのー、こちらはお客様のお写真ですか?」
お客さんは照れて
「はい、そうなんですよ(苦笑)」
「いつ頃ですか?」
「小学校の卒業アルバムです」
ということはこのエプロンはお母さまが?」
「そうです。あのー、これを作って娘に着せてやりたいと思いまして、リクエストしました」

とも子は確かめた。
「サイズはLLでいいんですか?」
「成長期ですからね。じきに入らなくなるかもしれないので、大きめにしました。
「では色合いもこの調子で仕上げます」
「おいくらですか?」
「取り敢えず、このカラー料金としてC千円頂きます」
「まあ、それだけでOKですか?」
「はい、仕上げとして最終的にF千円頂きますので、商品完成時にお支払いください」
「わかりました」と言ってお客さんはC千円払った。

お客さんが帰ってとも子は桂子と話してる。
「ねえ、このカラー化代金、冨士夫君に渡せばいい?」
「うん、領収書貰ってよ」
「最終的にF千円でいい?」
「うん、一番っ妥当な値段ね」
するとまた、亮太が店に顔を出した。
「おい、桂子、俺自分の歌応募するわ!」
桂「どんなとこに応募するの?」
「シンガーソングライターコンテストよ。」
と「そんなの当選するの??」
「やってみなけりゃわからないよ。」
桂子「へー、まあ審査料とか取られるやろうけどな」
「よっし、早速録音しよう」
「仕事終わってからよ。」
「勿論!」

すると、店になんと正太郎が入ってきた。
でも彼の事は誰も知らない。
冨士夫もそこにはいないから。
正「あの、あのあのあの。。。こんにちは」
みんな「こんにちは。」
桂子「何のご用ですか?」
正「あ、あの、僕、、、正太郎と言います」
桂「じゃあ、冨士夫君の友達?」
「そ、そ、そうです」
と「じゃあ、とも子さんにラブレター書いたのもあなた?」
「はい」

亮太「きみ、きみ、いきなりラブレター書くなんて、それは無茶だよ。
 で、何の用?」
「じ、実は、ラブレターのつづきを書いたんで、その、と、と、とも子さんに読んで頂こうと思いました」
とも子は顔色が曇った。
「あ、お断りしますわ。私、仕事もあるし、冨士夫君と実質付き合ってるし」
「そうですか?」
「大体、約束の時に来なかったあなたが悪いです。お引取り下さい」
正太郎は、そう言われたショックで、後ろ向きに転んだ。
亮太「お、大丈夫か?」
「あ、はい」
「とも子さんの事は諦めな。第一、うちはね、洋裁の仕事してるんだから
そんな事に関わっていられないよ。わかったかい、正太郎君!」
彼はショックで、何も言わず立ち去った

桂子「あれでいいと思う」
「そうよ。今更って感じ」
「じゃあ、冨士夫くんと結婚するの?」
「それはまだよ」
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