蜂蜜voice

ソラ

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「はぁ……」

おしくらまんじゅう状態の満員電車の中で、ひっそりため息をつく。朝からこんなに人に埋れてたら、疲れるのも仕方ないと思う。

俺の通う学校は、電車で約20分程で着く普通の公立高校だ。

いつもどおりの平日

いつもどおりの時間

いつもどおりの車両

だけど、1つだけ違うことがあった。


「……っ」

俺の尻を撫でてくる手。

……痴漢だ。

「(男の俺を狙うなんて……)」

綺麗なお姉さんの手ならまだしも、妙に熱があって大きい手は物凄い気持ち悪い……

さらに満員電車特有の熱気と、充満する香水と汗の匂いがさらに気分を不快にさせた。

「(あと10分か……)」

俺がなにも声を出さなければ相手は諦めるはず。

ただし、声を出したら……

「ぁ……っ」

「……ん?今のは君の声?」

痴漢の息が急に荒くなる。

やばいやばいやばい。

逃げないと……!


「やっ……」

「バレてもいいの……?」

俺が痴漢から離れようと身をよじろうとしたら、痴漢に乳首を触られた。

ピリっとした微かな快感に、思わず声が漏れる。

「君の声……すごくエッチだね……」

「っ!!」

その言葉に顔が熱くなる。

「(好きでこの声じゃないのに……!)」


そう、俺は自他共に認める……

超エロ声なのだ。
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