蜂蜜voice

ソラ

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「う……ぁん……っ」

絶え間なく与えられる乳首への刺激で出そうになる声を、必死に押し殺す。

気持ち悪いのに、やめてほしいのに。

気持ちとは逆に、俺の性器は緩く立ち上がっていた。

「……はっ……ん……」

周りの人にバレないように、腕に口を当てて快感に耐える。

あと2駅……

あとちょっと我慢すれば解放される。

電車を降りたら、とりあえずトイレで抜こう。

この状態で学校行ったら、それこそ色んな意味で終わりだ。


「気持ちよさそうだね……?」

ハァハァと息を荒くする痴漢の手が俺の胸から離れて、するすると下に移動した。

「ちょ、まっ……!」

今の状態で触られたら……

電車から降りる時に周りの人にバレたら、俺の我慢が水の泡だ。

なにより、声が我慢出来る自信がない。

なんとか逃げれないかと試みるが、さっきよりさらに人が増えた満員電車のせいで、俺は体をずらすことも出来なかった。

「(いやだ……!)」

絶体絶命の状態で、これからくる快感に声を漏らさないように拳を握り締めた。

しかし、あと少しで性器に触れる…というところで、痴漢の手が俺から離れた。

「(あれ……?)」

「おい」

俺の耳元で聞こえたのは、痴漢の気持ち悪い息遣いじゃなくて、腰がズクンと重くなるような甘いテノールボイス。

「行くぞ」

「あのっ、」

俺が言葉を発する前に、手を掴まれた。

ちょうどいいタイミングでドアが開き、あっという間に手を繋がれたまま電車から降ろされる。わけが分からないまま人混みを避けるように歩くその人にぐいぐい引っ張られるが、そのスピ^ドについていくのがやっとで声をかけることも出来ない。

ホームの階段の下に着いたとき、その人が俺の方に振り返った。

高い身長に、切れ長の目、女性なら会った瞬間好きになってしまいそうなルックスに、俺は目を奪われた。


「大丈夫か?」

「あ……」

……そうか、痴漢されてるのに気づいて助けてくれたんだ……

男なのに痴漢されてて、気持ち悪いと思われたかな……

恥ずかしいから、早くここから逃げ出したいけど……やっぱりお礼はちゃんといいたい。

「あの……助けてくれて、ありがとうございました」

「……っ」

無表情でお礼言っても失礼かと思って、慣れない笑顔で少し笑ってみた。

あれ、目の前の美形さんが少し赤くなってる……?

「いや、気にするな。お前、名前は?」

「山崎啓太です」

「啓太か。痴漢捕まえてやれなくて悪かった」

「いえ、助けていただいただけで十分です。あの…お名前いいですか?」

「あぁ、木崎栄司だ」

「木崎さん、本当にありがとうございました」

もう一度お礼を言い、ペコリと頭を下げた。

「あー……」

木崎さんが困ったような顔をする。

「ごめん、啓太。俺が助けたくせに、って感じだけど、もう無理」

「……?」

「お前、エロすぎ」


木崎さんはそう言うと、俺の腰をぐっと引き寄せてから、驚いて半開きだった俺の唇に噛み付いた。
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