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番外編
真夏の事情4
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千歳さんと部屋で2人きりになってどのくらい時間が経っただろうか。
人に話すには少し……いや、かなりこっぱずかしい時間を過ごしてようやく思い出したのは千依達の存在。
異常に長い時間この部屋に帰ってこない3人。
何かがおかしいことにやっと気付いた。
「あー、うん、協力してもらったから。今頃リビングで3人話してるんじゃない?」
「はい? ちょ、ちょっと待った千歳さん。協力って何」
「いい加減焦れてきたし、最近真夏ちゃん男どもの目にとまるようになって危機感持ってたしでちーに相談してたんだよね」
「そ、そうなの!? 千依から全っ然聞いてないんですけど!」
「……あのね、張本人に相談内容バラしちゃう馬鹿がどこにいるわけ」
そんな会話をしながら下に降りると、確かにリビングに3人の姿があった。
何故か大きなホットプレートを使ってたこ焼きパーティを開催している。
何があってそうなった。
そう怪訝な顔で見つめるけど、私の姿を認めた3人はそんなこと教えてくれない。
「あ、ち、千歳くん、真夏ちゃん!」
「お、その様子だと成功しましたチトセさん?」
「本当お疲れ様です千歳さん」
ようじでたこ焼きをつつきながら3人はそれぞれの反応で私達を見つめてきた。
相談を受けていたという千依はともかく、どうして萌や宮下まで何もかも察した様に言うのか理解できない。
あれ、何。もしかして2人も知ってるの?
そんな私の疑問が顔に思いっきり出ていたんだろう。
心底呆れたような顔を萌が見せるのは直後のことだ。
「……あのね、真夏。分かってなかったのアンタだけ」
「は……はあ!? え、じゃあ千依も自力で気付いたのまさか?」
「え、わ、私? あ……っ、えっと、そ、そうなの! 私、聡くなったの!」
「ちー、嘘はいけないよ。俺に言われて初めて気付いたくせに」
「……千歳くん、たまには私も自慢したかった」
「まあ、良かったじゃん山岸。正直お前にはチトセさんくらいしっかりした人じゃないと危なっかしいからな」
個人的に最も衝撃の事実だった。
聞けば萌はもう相当前から気付いていたのだとか。
それこそ私達が大学入学する前から異変は感じていたという。
だから萌からしてみればこれは突然なんかじゃなくて、むしろ「やっとか」という気持ちの方が強いらしい。
……何だか釈然としない。
「あんたが鈍すぎるの」と何故だかその後説教を受けつつも、結局私達は3人に合流して一緒にたこ焼きを焼き始める。
「というかさ、もういい加減俺に敬語とかいらないと思うんだけど」
千歳さんがそんなことを言ったのは、焼き始めたたこ焼きがくるくる回せるようになってきた頃だった。
千依以外が揃って首を傾げるものだから、千歳さんが苦笑している。
「俺一応ちーと同い年の双子なのに、ちーにはタメ口で俺には敬語ってなんかすごい違和感」
「あー……、そういうもんですか?」
「でも正直ここまで何年も敬語だったからつい癖で」
「うん、まあそれは分かるけど。でもさ、この際良い機会だから敬語なくそうよ。俺も皆とは付き合い長くなりそうだし」
そうすれば、宮下も萌も納得したように笑って了承していた。
私と千歳さんだけじゃない、皆と千歳さんの関係もまた少しずつ変わっていく。
そっか、これからはそうやって千歳さんと理由もなく会える回数が増えるのか。
そう思えば何だか無性に嬉しい。
「あ……ということは、あれか? ゆくゆくここにぼたんのタツとかも加わる感じなのか?」
「げ。本気で嫌だそれ」
「……シスコンなのは本当テレビ通りなのな、チトセさん」
「だから言ったでしょう、央。でもこのままだとタツって千歳さんの義弟コース確定よね」
「え! そ、その、まだ先のことは」
「ハハ、まあそう簡単には許さないけどね。交際認めてやってるだけでも感謝してほしいくらいだよ」
「……チトセさん怖いって。って、ちょっと待った。ということは、山岸と中島も姉妹になるってことか? すげえな、それ」
「ああ、確かに。真夏が姉で千依が妹……全然違和感ないね」
「え、ちょ、そこの熟年夫婦なに言って……!」
「真夏ちゃんと姉妹……!? ち、千歳くん……!」
「……ちー、頼むからその期待に満ちた目止めて」
「おい、チトセさん顔真っ赤だぞ」
「爽やかイケメンも恋をすると動揺するのね」
「うるさい、そこの熟年夫婦」
それは私と千歳さんの関係が大きく変わった日のこと。
私達の関係性はこうして少しずつ変化していきながら、前に進んでいく。
いずれ、私は千歳さんのことを千歳と呼び捨てするようになって。
千歳もまた私のことを真夏と呼び捨てるようになって。
2人でいることも、何気ない触れあいも当たり前になっていくようになる。
……まあ、そこまで到達するにはかなり時間がかかったけど。
「ん、真夏? なに見てるの。ってああ、これ例のたこ焼きパーティ」
「うん、いやー……この時は大変だったねえ」
「……大変だったの俺なんだけど。というか現在進行形で大変なんだけど」
「は? 私なんかしたっけ」
「ハハ、いい加減もう慣れたけど本当無自覚にも程があるよね真夏。この前声かけられてただろ、ナンパ野郎に」
「はあ? 記憶ないよ。ああ、道聞かれたことならあるけど」
「……だから大変だって言ってるんだよ、手握られかけて飛び出さなかった俺を褒めて欲しいね」
「な、だ、駄目だって。千歳どれだけ自分の顔知られてると思ってるの、大騒ぎになるでしょう!?」
「…………唯一芸能人であることを恨みたくなるな、真夏に関しては特に」
「ええ!?」
本当、人生何があるか分かったものじゃない。
一体全体どうしてこうなったと思うような出来事は、案外目の前でゴロゴロ転がっていた。
それでも結局自分の心に真っすぐ生きていれば良いことだってたくさんだ。
何だかんだとわあわあ騒ぎながら私は今日も幸せ。
千歳が紡いでくれた私との生活は、長く穏やかに続いている。
人に話すには少し……いや、かなりこっぱずかしい時間を過ごしてようやく思い出したのは千依達の存在。
異常に長い時間この部屋に帰ってこない3人。
何かがおかしいことにやっと気付いた。
「あー、うん、協力してもらったから。今頃リビングで3人話してるんじゃない?」
「はい? ちょ、ちょっと待った千歳さん。協力って何」
「いい加減焦れてきたし、最近真夏ちゃん男どもの目にとまるようになって危機感持ってたしでちーに相談してたんだよね」
「そ、そうなの!? 千依から全っ然聞いてないんですけど!」
「……あのね、張本人に相談内容バラしちゃう馬鹿がどこにいるわけ」
そんな会話をしながら下に降りると、確かにリビングに3人の姿があった。
何故か大きなホットプレートを使ってたこ焼きパーティを開催している。
何があってそうなった。
そう怪訝な顔で見つめるけど、私の姿を認めた3人はそんなこと教えてくれない。
「あ、ち、千歳くん、真夏ちゃん!」
「お、その様子だと成功しましたチトセさん?」
「本当お疲れ様です千歳さん」
ようじでたこ焼きをつつきながら3人はそれぞれの反応で私達を見つめてきた。
相談を受けていたという千依はともかく、どうして萌や宮下まで何もかも察した様に言うのか理解できない。
あれ、何。もしかして2人も知ってるの?
そんな私の疑問が顔に思いっきり出ていたんだろう。
心底呆れたような顔を萌が見せるのは直後のことだ。
「……あのね、真夏。分かってなかったのアンタだけ」
「は……はあ!? え、じゃあ千依も自力で気付いたのまさか?」
「え、わ、私? あ……っ、えっと、そ、そうなの! 私、聡くなったの!」
「ちー、嘘はいけないよ。俺に言われて初めて気付いたくせに」
「……千歳くん、たまには私も自慢したかった」
「まあ、良かったじゃん山岸。正直お前にはチトセさんくらいしっかりした人じゃないと危なっかしいからな」
個人的に最も衝撃の事実だった。
聞けば萌はもう相当前から気付いていたのだとか。
それこそ私達が大学入学する前から異変は感じていたという。
だから萌からしてみればこれは突然なんかじゃなくて、むしろ「やっとか」という気持ちの方が強いらしい。
……何だか釈然としない。
「あんたが鈍すぎるの」と何故だかその後説教を受けつつも、結局私達は3人に合流して一緒にたこ焼きを焼き始める。
「というかさ、もういい加減俺に敬語とかいらないと思うんだけど」
千歳さんがそんなことを言ったのは、焼き始めたたこ焼きがくるくる回せるようになってきた頃だった。
千依以外が揃って首を傾げるものだから、千歳さんが苦笑している。
「俺一応ちーと同い年の双子なのに、ちーにはタメ口で俺には敬語ってなんかすごい違和感」
「あー……、そういうもんですか?」
「でも正直ここまで何年も敬語だったからつい癖で」
「うん、まあそれは分かるけど。でもさ、この際良い機会だから敬語なくそうよ。俺も皆とは付き合い長くなりそうだし」
そうすれば、宮下も萌も納得したように笑って了承していた。
私と千歳さんだけじゃない、皆と千歳さんの関係もまた少しずつ変わっていく。
そっか、これからはそうやって千歳さんと理由もなく会える回数が増えるのか。
そう思えば何だか無性に嬉しい。
「あ……ということは、あれか? ゆくゆくここにぼたんのタツとかも加わる感じなのか?」
「げ。本気で嫌だそれ」
「……シスコンなのは本当テレビ通りなのな、チトセさん」
「だから言ったでしょう、央。でもこのままだとタツって千歳さんの義弟コース確定よね」
「え! そ、その、まだ先のことは」
「ハハ、まあそう簡単には許さないけどね。交際認めてやってるだけでも感謝してほしいくらいだよ」
「……チトセさん怖いって。って、ちょっと待った。ということは、山岸と中島も姉妹になるってことか? すげえな、それ」
「ああ、確かに。真夏が姉で千依が妹……全然違和感ないね」
「え、ちょ、そこの熟年夫婦なに言って……!」
「真夏ちゃんと姉妹……!? ち、千歳くん……!」
「……ちー、頼むからその期待に満ちた目止めて」
「おい、チトセさん顔真っ赤だぞ」
「爽やかイケメンも恋をすると動揺するのね」
「うるさい、そこの熟年夫婦」
それは私と千歳さんの関係が大きく変わった日のこと。
私達の関係性はこうして少しずつ変化していきながら、前に進んでいく。
いずれ、私は千歳さんのことを千歳と呼び捨てするようになって。
千歳もまた私のことを真夏と呼び捨てるようになって。
2人でいることも、何気ない触れあいも当たり前になっていくようになる。
……まあ、そこまで到達するにはかなり時間がかかったけど。
「ん、真夏? なに見てるの。ってああ、これ例のたこ焼きパーティ」
「うん、いやー……この時は大変だったねえ」
「……大変だったの俺なんだけど。というか現在進行形で大変なんだけど」
「は? 私なんかしたっけ」
「ハハ、いい加減もう慣れたけど本当無自覚にも程があるよね真夏。この前声かけられてただろ、ナンパ野郎に」
「はあ? 記憶ないよ。ああ、道聞かれたことならあるけど」
「……だから大変だって言ってるんだよ、手握られかけて飛び出さなかった俺を褒めて欲しいね」
「な、だ、駄目だって。千歳どれだけ自分の顔知られてると思ってるの、大騒ぎになるでしょう!?」
「…………唯一芸能人であることを恨みたくなるな、真夏に関しては特に」
「ええ!?」
本当、人生何があるか分かったものじゃない。
一体全体どうしてこうなったと思うような出来事は、案外目の前でゴロゴロ転がっていた。
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