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16 新国家の変化
「レレーナの結界を広げてもらって正解だったようだ。予想通り、デイルムーニ王国から全員がこちらへ避難してきおったわ」
数日の間に新国家では大変なことになっていた。
デイルムーニ王国から避難してきた移住者がとんでもない数、おそらく全住民がやってきたのだ。
森も結界で拡張していなかったら、人で密集していたかもしれない。
「レオンハルトが手伝ってくれたおかげで、デイルムーニ王国よりも広い敷地面積に結界を張ることができましたから」
「うむ。レオンハルト君、ご苦労だった」
横にいるレオンハルトはすっかりお父様に忠誠を誓っているような意識になっていた。
お父様の前では膝を立て、頭を下げて黙って聞いている。
「陛下、一つだけ間違えています。一人だけ意地を張ってあの国に残っているではありませんか。全員ではありません」
「わかっている。ドックスという男は強情な人間だな。まぁ、こちらへ来ようとしても受け入れは拒否するが」
「一人で国を自由にできるのですから、夢がかなってさぞ喜ばれていることでしょう」
基本、人間は一人では生きていけない。
互いに協力しあっていかなければ何かしら不足して死ぬだろう。
だが、ドックスのような人間ならば、もしかしたら一人の方が幸せなのかもしれない。
それに対して、新国家は賑わいをみせていた。
大変な状態ではあるが、みんなで協力しあっているのでなんとかなるだろう。
今は家を建てたり全員が働ける環境になるようにするため、国王であるお父様がてんやわんや状態……かと思いきや、そうはならなかった。
デイルムーニ王国で王宮に仕えていた者達までこちらに来てくれたおかげで、とてもスムーズに進めてれている。
数日もあれば、全員が安心した生活を送れるだろう。
新国家も、ここからがスタートだ。
♢
「レレーナよ、俺も時期に老いやがては死ぬ。そうなる前にはお前に国の座を譲りたいと思っている」
「遠慮したいですね……。私は国をまとめるほどの力はありませんので」
「だが、レレーナの結界のおかげでこの国はあるようなものだ。おまえが嫌なら代わりに婿に継がせたい」
そうは言っても、私には婚約者がいない。
最近レオンハルトのことが気になっていて仕方ないのだが、幼馴染の腐れ縁。
私からそんなことを伝えることなどできるものか。
「相手がいないので……」
「レオンハルトはどうした?」
「ひょへ!?」
「彼ならお前にピッタリだと思うが」
顔が真っ赤になってしまった。
以前はレオンハルトの名前が出ただけで物凄い苛立ちを爆発させていたが、今は名前を言われるだけでドキッとしてしまう。
今までは女癖が悪い男だったが、ここ最近本当にそうだったのかと思えるくらい変わってしまったのだ。
「呼びました?」
「いつの間に!?」
「今来たところだ。陛下に呼ばれていたのでな」
最近のレオンハルトは、デイルムーニ王国への偵察として行ったり来たりをしている。
もちろんデイルムーニ王国への不法入国で罰せられるかもしれないリスクがある。
仮に罰せられるとしたら誰に?
ドックス一人でレオンハルトに勝てるとでも?
と、このようなお父様の理屈が圧勝しているので、レオンハルトは国にただ一人残されたドックスの調査をしていた。
「デイルムーニの状況はどうなっている?」
「は。ドックスが一人で王宮に残り、文句を垂れ流しながら保存食を食べ、飢えを凌いでいるようです」
「なるほど。どれほどで尽きるかわかるか?」
「そこまでは……。しかしながら、王宮に務めていた者の情報によりますと、保存食とはいえ、管理をおろそかにしていればあと一ヶ月もすればカビが生えるかと」
「わかった。では一ヶ月以内に新国家は完璧なものにしよう」
「え? どういうことですか?」
二人だけで会話が盛り上がっていて、置いてけぼりの私には何を企んでいるのかが理解できなかった。
数日の間に新国家では大変なことになっていた。
デイルムーニ王国から避難してきた移住者がとんでもない数、おそらく全住民がやってきたのだ。
森も結界で拡張していなかったら、人で密集していたかもしれない。
「レオンハルトが手伝ってくれたおかげで、デイルムーニ王国よりも広い敷地面積に結界を張ることができましたから」
「うむ。レオンハルト君、ご苦労だった」
横にいるレオンハルトはすっかりお父様に忠誠を誓っているような意識になっていた。
お父様の前では膝を立て、頭を下げて黙って聞いている。
「陛下、一つだけ間違えています。一人だけ意地を張ってあの国に残っているではありませんか。全員ではありません」
「わかっている。ドックスという男は強情な人間だな。まぁ、こちらへ来ようとしても受け入れは拒否するが」
「一人で国を自由にできるのですから、夢がかなってさぞ喜ばれていることでしょう」
基本、人間は一人では生きていけない。
互いに協力しあっていかなければ何かしら不足して死ぬだろう。
だが、ドックスのような人間ならば、もしかしたら一人の方が幸せなのかもしれない。
それに対して、新国家は賑わいをみせていた。
大変な状態ではあるが、みんなで協力しあっているのでなんとかなるだろう。
今は家を建てたり全員が働ける環境になるようにするため、国王であるお父様がてんやわんや状態……かと思いきや、そうはならなかった。
デイルムーニ王国で王宮に仕えていた者達までこちらに来てくれたおかげで、とてもスムーズに進めてれている。
数日もあれば、全員が安心した生活を送れるだろう。
新国家も、ここからがスタートだ。
♢
「レレーナよ、俺も時期に老いやがては死ぬ。そうなる前にはお前に国の座を譲りたいと思っている」
「遠慮したいですね……。私は国をまとめるほどの力はありませんので」
「だが、レレーナの結界のおかげでこの国はあるようなものだ。おまえが嫌なら代わりに婿に継がせたい」
そうは言っても、私には婚約者がいない。
最近レオンハルトのことが気になっていて仕方ないのだが、幼馴染の腐れ縁。
私からそんなことを伝えることなどできるものか。
「相手がいないので……」
「レオンハルトはどうした?」
「ひょへ!?」
「彼ならお前にピッタリだと思うが」
顔が真っ赤になってしまった。
以前はレオンハルトの名前が出ただけで物凄い苛立ちを爆発させていたが、今は名前を言われるだけでドキッとしてしまう。
今までは女癖が悪い男だったが、ここ最近本当にそうだったのかと思えるくらい変わってしまったのだ。
「呼びました?」
「いつの間に!?」
「今来たところだ。陛下に呼ばれていたのでな」
最近のレオンハルトは、デイルムーニ王国への偵察として行ったり来たりをしている。
もちろんデイルムーニ王国への不法入国で罰せられるかもしれないリスクがある。
仮に罰せられるとしたら誰に?
ドックス一人でレオンハルトに勝てるとでも?
と、このようなお父様の理屈が圧勝しているので、レオンハルトは国にただ一人残されたドックスの調査をしていた。
「デイルムーニの状況はどうなっている?」
「は。ドックスが一人で王宮に残り、文句を垂れ流しながら保存食を食べ、飢えを凌いでいるようです」
「なるほど。どれほどで尽きるかわかるか?」
「そこまでは……。しかしながら、王宮に務めていた者の情報によりますと、保存食とはいえ、管理をおろそかにしていればあと一ヶ月もすればカビが生えるかと」
「わかった。では一ヶ月以内に新国家は完璧なものにしよう」
「え? どういうことですか?」
二人だけで会話が盛り上がっていて、置いてけぼりの私には何を企んでいるのかが理解できなかった。
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