【完結】不倫をしていると勘違いして離婚を要求されたので従いました〜慰謝料をアテにして生活しようとしているようですが、慰謝料請求しますよ〜

よどら文鳥

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1 旦那は勘違いをしている

「シャーリーよ、不倫をしていることは明白だ。離婚しろ! 当然慰謝料も請求する」
「意味がわかりません。私はレント以外の男性と抱き合ったりしていませんが」

 不倫などしていない。紛れもない事実だ。
 女騎士をやっている以上、どうしても男性陣と一緒に行動する仕事になってしまう。
 だが、私とレントが結婚していることは騎士全員が知っているし、口説いてくるような者はいない。

「嘘をつくな。お前と騎士の誰かがイチャついているところを聞いたぞ!」
「そんなことありえませんが、いつです?」
「五日前……、初夏の第十五日だ。お前を迎えに行ったときに控え室から声が聞こえてきた。あれは間違いなく誰かと行為をしていたのだろう!」

 つい最近じゃないか。
 全く覚えがないしそんな行為自体すら誰ともしていない。

「五日前の控え室でしたら、サイバー団長と次の案件に関して話をしていただけですが」

 念のために……、いや、そのような必要も全くないが、当時の状況を目を瞑って思い出してみた。

♦︎

「シャーリー殿、今まで其方の活躍があったからこそ我が騎士団はここまで成長できた。改めて感謝する」
「いえ、身体を動かすのが好きですし、辺境地を守るためでもありますから」

 体格は小柄だが、機敏な動きとスピードで、騎士団で一番の身体能力をもっているのがサイバー団長。
 顔立ちの整った容姿が魅力で、村の女性達からの人気も高い。

「シャーリー殿は間も無く二十歳(ハタチ)だったな?」
「はい。来月にはそうなりますね」
「ふ、俺と少しの間だけ一緒になるんだな」
「すぐに抜きますよ」

 そんな会話を楽しく喋っていた。
 これで何が不倫だというのか理解できない。

 その直後、団長は会話をしながら一人で腕立て伏せを始めた。
 床は汚いので、ソファーの上で頑張っている。
 あまり質の良いソファーでもないため、ギシギシと音が響く。

「ふーふー、シャーリー殿、やはり其方は素晴らしい。俺はこのような動きだけでも息があがってしまうのだから」
「私だってこんなに動いたら心拍数は上がりますからね」
「さて、そのまま聞いてくれ。実は良い機会だから、シャーリー殿と他数名を王都へ連れて行こうと思っている」
「そんな遠くまで何をしに行くのです!?」
「無論、騎士としての報告も含めてだが、シャーリー殿の実績は王宮にしっかりと伝えなくては。認められれば年俸も上がるだろう」

 まさかの昇級というやつか。
 私は好きで騎士をやらせてもらっている。
 もちろん、危険もつきまとう仕事だがレントは金のためなら任せると認めてくれているし喜んでくれるだろう。

「ありがとうございます。お供させていただきます」
「よし、では後日王宮へ行くぞ」
「はいっ!」

 これで会話は終わり、そのまま浮かれながら実戦訓練へと向かった。

♦︎

 目を開きレントの目をしっかりと見て事実を伝える。

「私は無実です。一緒にいたサイバー団長と嬉しい話をしていただけですから」
「嘘だな。あれだけ大胆な行動をしていたのにまだごまかそうとするのか。全く……、金だけは稼げるから良いと思って結婚までしてやったというのに。そもそも身体が筋肉だらけで気に食わないし、俺好みじゃなかった。お前みたいな女と結婚なんてするべきじゃなかったんだ。やはり離婚しろ!」

 どうやら、レントは理由がどうこうというよりも、ただ私と離婚したいらしい。
 それで慰謝料さえ手に入ればそれでいいのだろう。
 そのために、機会を伺って不倫のような状況のタイミングを探していたとしか思えなくなってきた。

 私も迂闊(うかつ)ではあった。
 村の中では顔立ちも良いし、表向きにはなんの問題もない男だと思っていたから交際を始めて結婚した。
 それから数ヶ月、レントの本性があらわれてきて、彼は仕事をやめてしまった。
 さらに、私から金をせびるようになり、レントは贅沢三昧の生活を始めてしまったのだ。

 それでも、好きになった相手だし、生涯を共にすると思っていたからある程度のことは何も言わずに許してしまった。
 だが、そこに漬け込んでくるタイプの男だったのだ。

 不倫に関しては事実無根ではあるが、この際離婚を受け入れたほうが私の将来にとっては良い選択肢なのかもしれない。

「わかりました……。離婚は認めましょう」
「そうか! ならばすぐに裁判手続きに入る。慰謝料は当然お前の年俸以上の額を請求して、俺が生涯安泰で生活できるくらいは払ってもらうから覚悟しておけ! 不倫とはそれほど悪なのだからな!!」

 怒鳴るだけ怒鳴り、そのまま家を出ていってしまった。
 仕事柄、レントがどんなに怒鳴ってきても全く恐怖は感じないし、怖くもない。
 むしろ心配になってきてしまった。

「裁判かけるのは勝手ですけど、してもいない不倫行為を疑ってあれだけの暴言を吐いた罪、しかもレントは無職。今後彼はまともに生きていけるのでしょうか……」

 余計な心配をしながら、念のためにサイバー団長のところへ向かった。

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