【完結】不倫をしていると勘違いして離婚を要求されたので従いました〜慰謝料をアテにして生活しようとしているようですが、慰謝料請求しますよ〜

よどら文鳥

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11 気まずい馬車の中

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 はっきり言って、サイバー団長のことは今まで男として、恋愛感情で見てきたことがなかった。
 もちろんカッコいいと思うことはあるし、頼りがいのある人だとは思っている。
 でもそれは騎士団長として。

 まさか告白されるとは思っていなかったので、どう返事をしていいのか悩む。
 しかも、今馬車に揺られながら二人きり。

 とんでもなく気まずい……。

 あのあと、ひとまず王都へ向かおうということで馬車に乗っているんだが、乗るべきじゃなかった。

「サイバー団長……。喉渇いていませんか?」
「あぁ……そういえば」
「飲みますか?」
「あぁ、いただこう」

 水筒も共用だった。
 今までだったら当たり前のように私が口にした飲み物を団長に、団長が口にしていたものを私が飲んでいた。
 さっきまで私が飲んでいた水筒を渡す。

 超とんでもなく気まずい……。

 団長は私の方をチラチラと見ながら飲んでいく。
 恥ずかしいからやめてほしい。

 そろそろ日も暮れてきたので、馬車の移動は終わり、就寝の時間になる。
 今まで馬車の中では、くっついたりはしないが団長と二人で寝ていた。

 超絶とんでもなく気まずい……。

 なんとかしてこの空気を打破しないといけない。
 勇気を出して、私から気になっていたことを聞いてみた。

「あの……サイバー団長。一つお伺いしても?」
「構わんがなんだ?」

 暗闇の中、団長の声だけが聞こえてくる。
 流石に今までの付き合いがあるので、恋愛感情があったとしても襲ってきたりすることはないだろう。
 その辺は信用している。

「私のどこを好きになってくださったのですか?」
「全て言う必要があるか?」
「できれば。私、正直なところ団長のことをそういう目で見たことがなかったので……」
「そうか……」

 失礼なことを言ってしまった。
 捉え方によってはフったような感じにもなってしまうだろう。
 それでも、なんで団長が私のことをこんなにも長い間好きでいてくれたのか気になってしまったのだ。
 団長だったら村人からの人気もかなりあったはずなのに。

「まず、第一に外見で一目惚れをした。こんな可愛い騎士が入ってきたと思ったら頭が狂いそうだった。だからこそ俺は心を鬼にしてシャーリー殿には厳しく指導をしてしまった……」
「そうだったんですね。どおりで他の騎士よりも私だけ厳しくされてるなと思ってました。おかげで騎士としての実力も上がりましたけど」

 そういう意味では団長にものすごく感謝している。
 団長がいなかったら、私の実力は一般騎士と大差なかったかもしれないのだから。

「続いてシャーリー殿の根性と努力、騎士としての考え方、これは俺の団長として誰よりもその功績を評価している。騎士として育てれば育てるほどどんどん好きになっていった……」
「……」
「あとは普段の会話だ。シャーリー殿の喋る言葉ひとつひとつが俺にとっては宝のようだった」

 だんだん恥ずかしくなってきてしまった。
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