12 / 40
十二、鬼婆じゃない
しおりを挟む
調査は大した成果をあげなかった。ローセウス将軍は人手不足と言いながら、魔法技術者を多数抱えており、他の任務やアイルーミヤの東部地区調査と並行して支配地の独自調査をすでに済ませていた。隠されていた物はすでに暴かれており、目録が出来上がっていた。
そこに王と女王に関するものはほとんど無く、あっても王を下げて女王を持ち上げる宣伝の類で、今のアイルーミヤの興味を引く程の重要な情報ではなかった。
僧にも失望させられた。聴取のため軽く話をして感じた事だが、彼らの中に宗教的な師や哲学者といった面を備えた人物はおらず、単に光の女王に盲従しているだけの寺院管理人に過ぎなかった。あの本の補遺のような疑問を持つ気概のある者は現代にはいなかった。
手掛かりがない。西部や南部に行っても同じだろう。彼ら二将軍の統治方法からして、ここにない物があるとは思えない。利用できない物は破壊され、転向しない者はすでにこの世から旅立っているだろう。
そう考えながらも、例の本のように見逃しがあってはいけないし、アールゲント僧正将軍のように彼女だからこそ得られる事実もあるだろうと思い、予定通り廻ってみようと決めた。
数日後、彼女は城からもっとも離れた寺に来ていた。小さいが、この地域で一番古い寺だ。あまり望みはないと思うが、自分の目で調査してみたい地点の一つだった。
警備に挨拶し、ハヤブサ号をつなぐ。クツシタは城に置いてきた。ローセウス将軍は猫を気に入ったようで、遊び相手になってくれている。
ここはのんびりしている。森に近く、小川もある。人里離れているが、不便になるほど遠くはない。近くの住民が光への祈りを行う場だったのだろうが、転向はほぼ完了しており、すぐに闇への信仰を捧げるようになるだろう。
寺の建物は、小規模である点を除けば他とそう変わりはない。本堂、倉庫、僧の生活区画がこじんまりとまとまっている。外見と内部の寸法に矛盾はなく、地下設備もない。
疑わしいところでは額の目を開いたが、気のせいだった。新事実はまったくない。
アイルーミヤはよく晴れた空を見上げ、井戸で喉を潤した。ついでに手と顔の埃を拭う。
おや。
森がざわめいている気配がした。
そちらに目を向けた瞬間、きらめく何かが多数飛び出てきた。妖精か。あんなに羽を輝かせて、何のつもりだ。
アイルーミヤはすぐに事態を悟り、自分の呑気さに舌打ちした。感覚が鈍っているのか。羽を輝かせた妖精。つまり、興奮している状態。それが何を意味するか知っていたはずなのに、判断と行動が遅れてしまった。
妖精の後から狼、いや、狼の獣人が走り出してきた。
警備が叫んでいる。ここには兵士は数人しか置かれていない。全員そちらへ向かった。
「警報を、警報を送れ!」
アイルーミヤは大声で怒鳴りながら警備の詰め所へ駆けた。間に合うか。
いや、間に合わなかった。最初からそのつもりだったのだろうが、妖精たちは最初に詰め所に飛び込み、警備兵を無力化した。多分毒針だが、彼女からはよく見えない。窓から煙が上がったのは通信紙を焼いているのだろう。
「何だ?」
「襲撃だ。森から。妖精と獣人。数は不明」
「何で?」
「知るかよ」
兵士たちが混乱して怒鳴っていた。
アイルーミヤは額の目を開いた。炎塊をとばして妖精を数体撃ち落とすと味方の兵士が後ろから声をかけてきた。
「魔法使いか。ありがたい。何が起きてるか分かるか」
「いや。襲撃を受けているとしか。詰め所が制圧されたらしい。誰でもいいから馬を走らせてくれ」
「あんたは?」
「派手に炎をあげて敵を引きつける」
そこでその兵は、振り向いた彼女の額の目に気づき、誰か悟った。アイルーミヤは構わんと言うように頷く。
「了解。おい、お前、馬だ。お前は俺と戦え」
「ここはいい。詰め所を見てきてくれ。通信紙が燃え残っていたら」
「分かりました。頼みます」
狼の獣人は撃ち落とされる妖精たちを見て速度を落とし、彼女の方に進路を変えた。先に片付ける気らしい。ありがたい。時間が稼げる。
短剣を抜いて日光を反射させて挑発する。これは今でも通じるようだ。
獣人三体が彼女を囲み、十体前後の妖精たちが飛びまわって隙あらば毒針を使おうとしてくる。
馬が安全な距離に逃げるまで挑発し続けなければならない。あまりに接近した妖精のみ撃ち落とすようにし、一気に倒さないようにした。
『薄汚いトンボもどきめ、お前らなど蜂と交尾してろ。それからそこの犬臭いぼろ雑巾ども、すぐに屑肉に変えてやるからな。おすわりしてろ』
意識に直接話しかける魔法言語を使った。相手に同様の魔法使いがいない限り片道になるが、その後奴らの攻撃が激しくなったところを見るとちゃんと聞こえたらしい。
横目で確認すると、兵士を一人乗せた馬はかなり離れたが、他の兵は見当たらなかった。それと、ハヤブサ号もいない。ついでに解き放ってくれたのだろうか。
背中と右足に痛みが走った。よそ見をしたせいで毒針を食らってしまった。刺された所を中心に板のようにこわばっていく。麻痺毒か。殺す気はないのか。
力を絞り出し、妖精の集団を消し炭に変えた。しかし、狼獣人の遠吠えに呼応し、詰め所に隠れていた妖精と獣人が飛び出し、森からも新手が多数現れた。
さすがに多すぎるな。でも、なんでこんなに。
木々をかき分けて、巨人が一体現れた。彼女の意識に話しかけてくる。
『降伏せよ。悪い舌の乙女よ』
『乙女か、醜女よりは悪くない』
そう言いながら目の前で牙を向く狼の頭を消し飛ばした。
『闇の王の下僕は変わらない。殺してばかり。止めよ』
『見てるだけじゃなく、お前も来い。そびえる消し炭にしてやる』
もう一体獣人を倒し、妖精を多数燃やしたが、減る様子がない。逃げようにも右足は動かないし、馬はいない。
これはもう、どっちが先にあきらめるかだけの戦いだな。そして、私はあきらめない。
『闇とか光とか、もういいだろう。結婚するのだから』
驚いて巨人の方を見た。愚かだった。戦っている最中にまたよそ見をした。五百年は私を相当馬鹿にしてしまったのか。
彼女は首筋に針を感じ、薄れていく意識で自分を呪った。鬼婆じゃない、ただの耄碌婆だ。
そこに王と女王に関するものはほとんど無く、あっても王を下げて女王を持ち上げる宣伝の類で、今のアイルーミヤの興味を引く程の重要な情報ではなかった。
僧にも失望させられた。聴取のため軽く話をして感じた事だが、彼らの中に宗教的な師や哲学者といった面を備えた人物はおらず、単に光の女王に盲従しているだけの寺院管理人に過ぎなかった。あの本の補遺のような疑問を持つ気概のある者は現代にはいなかった。
手掛かりがない。西部や南部に行っても同じだろう。彼ら二将軍の統治方法からして、ここにない物があるとは思えない。利用できない物は破壊され、転向しない者はすでにこの世から旅立っているだろう。
そう考えながらも、例の本のように見逃しがあってはいけないし、アールゲント僧正将軍のように彼女だからこそ得られる事実もあるだろうと思い、予定通り廻ってみようと決めた。
数日後、彼女は城からもっとも離れた寺に来ていた。小さいが、この地域で一番古い寺だ。あまり望みはないと思うが、自分の目で調査してみたい地点の一つだった。
警備に挨拶し、ハヤブサ号をつなぐ。クツシタは城に置いてきた。ローセウス将軍は猫を気に入ったようで、遊び相手になってくれている。
ここはのんびりしている。森に近く、小川もある。人里離れているが、不便になるほど遠くはない。近くの住民が光への祈りを行う場だったのだろうが、転向はほぼ完了しており、すぐに闇への信仰を捧げるようになるだろう。
寺の建物は、小規模である点を除けば他とそう変わりはない。本堂、倉庫、僧の生活区画がこじんまりとまとまっている。外見と内部の寸法に矛盾はなく、地下設備もない。
疑わしいところでは額の目を開いたが、気のせいだった。新事実はまったくない。
アイルーミヤはよく晴れた空を見上げ、井戸で喉を潤した。ついでに手と顔の埃を拭う。
おや。
森がざわめいている気配がした。
そちらに目を向けた瞬間、きらめく何かが多数飛び出てきた。妖精か。あんなに羽を輝かせて、何のつもりだ。
アイルーミヤはすぐに事態を悟り、自分の呑気さに舌打ちした。感覚が鈍っているのか。羽を輝かせた妖精。つまり、興奮している状態。それが何を意味するか知っていたはずなのに、判断と行動が遅れてしまった。
妖精の後から狼、いや、狼の獣人が走り出してきた。
警備が叫んでいる。ここには兵士は数人しか置かれていない。全員そちらへ向かった。
「警報を、警報を送れ!」
アイルーミヤは大声で怒鳴りながら警備の詰め所へ駆けた。間に合うか。
いや、間に合わなかった。最初からそのつもりだったのだろうが、妖精たちは最初に詰め所に飛び込み、警備兵を無力化した。多分毒針だが、彼女からはよく見えない。窓から煙が上がったのは通信紙を焼いているのだろう。
「何だ?」
「襲撃だ。森から。妖精と獣人。数は不明」
「何で?」
「知るかよ」
兵士たちが混乱して怒鳴っていた。
アイルーミヤは額の目を開いた。炎塊をとばして妖精を数体撃ち落とすと味方の兵士が後ろから声をかけてきた。
「魔法使いか。ありがたい。何が起きてるか分かるか」
「いや。襲撃を受けているとしか。詰め所が制圧されたらしい。誰でもいいから馬を走らせてくれ」
「あんたは?」
「派手に炎をあげて敵を引きつける」
そこでその兵は、振り向いた彼女の額の目に気づき、誰か悟った。アイルーミヤは構わんと言うように頷く。
「了解。おい、お前、馬だ。お前は俺と戦え」
「ここはいい。詰め所を見てきてくれ。通信紙が燃え残っていたら」
「分かりました。頼みます」
狼の獣人は撃ち落とされる妖精たちを見て速度を落とし、彼女の方に進路を変えた。先に片付ける気らしい。ありがたい。時間が稼げる。
短剣を抜いて日光を反射させて挑発する。これは今でも通じるようだ。
獣人三体が彼女を囲み、十体前後の妖精たちが飛びまわって隙あらば毒針を使おうとしてくる。
馬が安全な距離に逃げるまで挑発し続けなければならない。あまりに接近した妖精のみ撃ち落とすようにし、一気に倒さないようにした。
『薄汚いトンボもどきめ、お前らなど蜂と交尾してろ。それからそこの犬臭いぼろ雑巾ども、すぐに屑肉に変えてやるからな。おすわりしてろ』
意識に直接話しかける魔法言語を使った。相手に同様の魔法使いがいない限り片道になるが、その後奴らの攻撃が激しくなったところを見るとちゃんと聞こえたらしい。
横目で確認すると、兵士を一人乗せた馬はかなり離れたが、他の兵は見当たらなかった。それと、ハヤブサ号もいない。ついでに解き放ってくれたのだろうか。
背中と右足に痛みが走った。よそ見をしたせいで毒針を食らってしまった。刺された所を中心に板のようにこわばっていく。麻痺毒か。殺す気はないのか。
力を絞り出し、妖精の集団を消し炭に変えた。しかし、狼獣人の遠吠えに呼応し、詰め所に隠れていた妖精と獣人が飛び出し、森からも新手が多数現れた。
さすがに多すぎるな。でも、なんでこんなに。
木々をかき分けて、巨人が一体現れた。彼女の意識に話しかけてくる。
『降伏せよ。悪い舌の乙女よ』
『乙女か、醜女よりは悪くない』
そう言いながら目の前で牙を向く狼の頭を消し飛ばした。
『闇の王の下僕は変わらない。殺してばかり。止めよ』
『見てるだけじゃなく、お前も来い。そびえる消し炭にしてやる』
もう一体獣人を倒し、妖精を多数燃やしたが、減る様子がない。逃げようにも右足は動かないし、馬はいない。
これはもう、どっちが先にあきらめるかだけの戦いだな。そして、私はあきらめない。
『闇とか光とか、もういいだろう。結婚するのだから』
驚いて巨人の方を見た。愚かだった。戦っている最中にまたよそ見をした。五百年は私を相当馬鹿にしてしまったのか。
彼女は首筋に針を感じ、薄れていく意識で自分を呪った。鬼婆じゃない、ただの耄碌婆だ。
0
あなたにおすすめの小説
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる