ぼくと怪物三人組@トーキョーベイエナジーアイランド

alphapolis_20210224

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第一部 靴ひもは自分でむすぶ

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 アイランド・オブ・ドリームからきた連中は三人ともつやのない黒の全身防護服のせいで体付きがはっきりしないうえ、顔全体を覆うバイザーは加工されていて表情も見えなかった。それでも書類はととのっていたし、荷物の荷姿も事前に通知されていたとおりだった。
 さて、どうしよう? このまま荷物を受け取ってこいつらを帰すか、きちんと手順を踏むか。

 ぼくは決断した。

「責任者の方、照合確認を行いますので顔を見せてください。ごく短時間なので害はありません」

 港は必要な照明以外消されていた。波の音、潮のにおい、本土の明かりが見えた。コンテナの陸揚げは終わり、脚付きパレットにのせられていた。

「お疑いですか」先頭の一人が一歩前に出た。声は加工されていた。
「いいえ。通常の手順です。それに届け先がマザーなのでひとつたりとも省略はできません」
 後ろの者が進み出ようとしたが、手振りをされ止まった。

「わかりました。手順であればしかたありませんね」
 バイザーを開ける。ぼくは手首の端末を差し上げてチェックした。
「ありがとうございます。確認完了しました。こちらが預かり証になります。また、配送完了の連絡は事前にお知らせいただいたこのアドレスでよろしいですね?」
 預かり証データを確認するのとバイザーを閉じるのは同時だった。胸がふくらんだのは深呼吸したのだろうか。ふん、怖がりめ。島の空気がそんなにいやか。

「おい、ここまでやっておいて手抜かりがあったらただじゃあすまんぞ!」
 船に乗りこむとき、一人が怒鳴った。けれど加工された声で脅されても怖くはない。ビクタは過剰に丁寧かつわざとらしい仕草で礼を返した。見なくてもファーリーが笑いをこらえているのがわかった。

「あいつら、お帰りは江東方面じゃない」船が見えなくなってから、ウォーデが目と耳をはたらかせた。「東に曲がった。浦安か船橋か、それともチーバランドかな」
「そうか。今はそれはいい。みんな位置について」

 ファーリーは脚付きパレットの荷台に座った。ケーブルを引き出して握っている。いつものようにファーリーがパレットの制御装置とバッテリーになる。それぞれのユニットをつけなくていいので軽く、かつ投影面積が小さくなる。

 ウォーデはもういなくなっていた。チームとコンテナ全体を見守れる位置に陣取っているはずだ。

 ビクタはハードモードに遷移した。関節など柔軟性を要するところ以外が装甲化する。皮膚が濃い黒革のようになった。遷移完了してすぐ歩いていく。五十から百メートルほど先行する。

 ぼくはフードをかぶり、服のボタンとファスナーをすべて閉じた。これで可視光以外に放出される電磁波は最小となったが、蒸し暑い。フィルターを通して換気はできるが隠密優先なのでやむをえない。ほんと、代謝まで人間型なのはぼくのせいじゃない。

「位置についたか。通信確認」
「準備完了。パレットはオーバーライドした。バッテリーも良し」
「昼間みたいによく見える。感はおまえら三人分だけ。異常なし」
「こっちもクリアー。それとちょびっとハングリー」

「じゃ、出発!」
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