ぼくと怪物三人組@トーキョーベイエナジーアイランド

alphapolis_20210224

文字の大きさ
10 / 79
第一部 靴ひもは自分でむすぶ

しおりを挟む
 目で合図しあい、ウォーデとビクタは出ていった。悪さをするのはこいつらだけじゃない。監視装置があるからといってなわばりに姿を見せないチームなどあり得ない。それこそつけこまれる。

 結局、今夜の騒動はプラスに働きそうだった。本土のならず者を処理した。もう噂は島の隅々まで達しているだろう。

 ぼくとファーリーはそこらから椅子をもってきて座った。やつらは転がしたまま目かくしだけはずし、ハンドサインをした。おとなしくしろ、よけいな真似はするな。二人ともうなずいたのでマスクの一部を開け、話せるようにした。

「では、説明を。ここで何をしていた?」
「ビジネス」少年が答えた。

 おっと、うっかりしていた。耳をタップしてウォーデとビクタにも共有する。

「どんな種類の?」
「運送業、警備請負、いろいろ」
 女は黙ったままだった。そういう役割分担らしい。

「ここを選んだ理由は?」
「四人しかいないうえに甘いって聞いた」
「甘かったか?」
 答えない。ファーリーに合図したが、検索結果はまだ出ていなかった。それほど有名人じゃないのか。

「なぜいきなり攻撃した? 本土のビジネスはそうなのか」
「それは判断ミス。あんたが近寄ってきたのを勘違いした」
 ちくちく信号が来た。ファーリーは嘘だと感じた。なら追加質問だ。
「ぼくらを運んできたコウノトリについて聞いてまわってたな。なぜだ」
 少年は本気で分からない顔をした。こういう飾った言い回しは似合わなかったか。またファーリーにからかわれる。
「あー、出生について調べてたよな?」
「おまえら放射性物質漬けのシラミたかりが出てきた培養槽を知りたかった。唾を吐いてやろうと思ってな」
「そうか。なら本土で検索すればよかったのに」
「そんなもん信じられるか。真実を知りたいなら自分の目で見なきゃだめだ」
 女の目が鋭くなった。明らかに少年はしゃべりすぎている。尋問されている時に相手とコミュニケーションを取るのは下の下。反応データをただでくれてやるようなものだ。質問には何も足さずに短く答える。それが鉄則なのに。

 ファーリーから検索結果が来た。視野に直接投影される。今の『真実を知りたいなら自分の目で』という言葉と言い方がキーになった。

 こいつらは『真実のともしび』のメンバーだった。やばい。ある意味危険な奴らだった。狂信者だ。

「放射性物質漬けのシラミたかり、か。なるほど当たってる。それで、おまえらもとっくにそうなったけど、感想は?」
 属する組織がわかったなら、その教義にもとづいて感情を刺激する。ぼくは『真実のともしび』の情報を読みながら尋問を組み立てた。
「どうした? 早く本土に帰りたくないのか。早ければ早いほど体内洗浄の効き目もある。おまえらの言うシラミが遺伝子いじくる前に島を出たければ何もかも説明しろ」

 少年の目つきが変わった。思ったよりもろかったな。

「反吐がでる。おまえらだよ。とくにおまえ。人間の形をした怪物め。いや、この環境に最適化された人造人間を調べるつもりだった。できれば標本を持ち帰るつもりだったけど。さあ、話したぞ。帰してくれ!」

 倉庫に少年の声が反響した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

大絶滅 2億年後 -原付でエルフの村にやって来た勇者たち-

半道海豚
SF
200万年後の姉妹編です。2億年後への移住は、誰もが思いもよらない結果になってしまいました。推定2億人の移住者は、1年2カ月の間に2億年後へと旅立ちました。移住者2億人は11万6666年という長い期間にばらまかれてしまいます。結果、移住者個々が独自に生き残りを目指さなくてはならなくなります。本稿は、移住最終期に2億年後へと旅だった5人の少年少女の奮闘を描きます。彼らはなんと、2億年後の移動手段に原付を選びます。

身体交換

廣瀬純七
SF
大富豪の老人の男性と若い女性が身体を交換する話

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...