ぼくと怪物三人組@トーキョーベイエナジーアイランド

alphapolis_20210224

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第二部 悪魔とダンス

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 エナジーアイランドが生産を象徴するなら、チーバランドは消費だった。千葉市から連絡橋でわたる歓楽街。ありとあらゆるエンターテインメントが日夜年中無休で提供される人工島。

 あゆみは遠い目で現役時代を思い出した。

「花火師ってのはちょっと違う。パイロテクニシャンって言う。火、爆発、熱、すべて制御するから」
「専属だったんだって?」
「そ、ファイアワークスチームのリーダーもやってた」
「花火師じゃないか」
「メインはそうだけど、ヒーローショーもやってたさ。爆発とか」

 白シャツはあゆみから目をそらさない。遠い目を自分に引き戻そうとしているかのようだった。

「花火の調合や打ち上げプログラムをいじったな」
 あゆみはうなずいた。
「それでネットや無線通信を使わない信号を送ってたのか」
「そういうの、話したよ。とっくに」
「そうだな。気づかれたからここに逃げてきたんだもんな。でも、なんのためだ? 被害者について考えた事はないのか」
「被害っつっても情報と財産だけだよ。傷つけちゃいないし、真実のためだった。そのころはそう考えてた」
「ここは人生のごみ捨て場じゃないぞ」
「似たようなもん。生殖能力を失い、二度と島外に出られなくなる。だからこそ本土の警察も追ってこない。事実関係だけ調べてうやむやにされる」
「もう一度聞く。なんでそんな活動に加わった?」
「事実と真実を知りたかった。世の中はだれがどんな風に動かしてんのかって。日本はもう日本人が舵とってるんじゃない。国中に分散した人工知能群が何もかも決めてるんだ」
「がっかりした。その手の話は聞き飽きた」
「ならそう思っときな。何かを知りたいなら自分の目で見るか触らなきゃだめだ」

 あゆみは白シャツの目が一瞬泳いだのに気づいた。そしてささやいてきた。

「右斜め前五十メートル。建物の陰に全身防護服二人。見るな。ちゃんと守る」

 こめかみのケーブルをはがすと、ざくろオートマトンは巻き取って二人の右斜め前のブロック位置についた。

「それ、貼りつけてただけなんだ」
「端子は大げさすぎる。痛いから剃っただけ。ショックガン使えるか」ポケットに手を入れた。

 首を振った。

「ぼくも苦手だ」

「お仲間は?」
「ちょっと遅れるかも。うかつだった」
「そのオートマトン、戦闘は?」
「ブロックするか、体当たりくらいなら」
「『ちゃんと守る』って言ったよね」

 全身防護服は建物の陰から順に出てきた。一人が五メートルほど先行している。

「逃げたほうがいいと思うけど?」
「逃げたらかえって待ち伏せに飛びこむぞ。わざとらしく身をさらした。あいつらは勢子だ」
「じゃ、どうする?」
「合図したら引っかかったふりして数秒逃げる。それから反転して勢子を突っ切る」
「できんの? 自信あんだろうね?」

 男はうなずいた。実に頼りないうなずき方だった。
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