ぼくと怪物三人組@トーキョーベイエナジーアイランド

alphapolis_20210224

文字の大きさ
22 / 79
第二部 悪魔とダンス

しおりを挟む
「カウントスリーで。三、二、一、ゴー!」

 木箱をけってダッシュした。そのまま進めば建物の間を通り抜けるが、たしかにいかにも待ち伏せされてそうだった。

 うしろでフィールドに干渉した破裂音がした。ざくろオートマトンが撃たれたのだろう。

 まるでそれを合図にしたかのように男が反転した。ショックガンを抜いている。あゆみも地面をけって方向を変えた。

 ざくろオートマトンのブロックはすばらしかったが、それにくらべて男の腕はあきれるほどだった。まったく当たらないどころか一発はオートマトンをかすめた。

 だが、勢子を突っ切るというのはいい思い付きだった。めちゃめちゃに撃ちながら一機と二人が迫ってくるのを見てあわてている。大声で指示を出しているが、待ち伏せ部隊の行動はわずかに遅れた。振り向くと建物の間で三人が顔を見合わせている。こりゃ関係者全員素人だ。

 操作腕と脚と触手と、ほかに繰り出せるものはなんでも繰り出して暴れているオートマトンは頼もしかった。勢子の一人がまきこまれて転んだのでその横を抜けた。

「林へ!」男の言う通りにすると、後から飛び込んできた。
「ケガは? ない? まだ走れるな。よし、木を盾に。町に行く」

 木の焦げる臭いを背にして走った。撃ってはくるが、なんとなく間隔が間延びしている。ショックガンの数がないのだろうか。

 もうすぐ林を抜けるという所に全身防護服がひとり立っていた。十五メートルほど。そいつの方から蚊の羽音が強く聞こえる。園芸用の剪定のこぎりを二刀流でかまえていた。それが高速振動している。安全装置をはずしてあるようだった。何も切ってないのに止まらない。

「止まれ! 手を上げて膝をつけ!」のこぎりの音のようなかすれた声だった。
 男が無視してショックガンを数発撃ったが、当たってもフィールドではじかれた。
「もう一度言う。手を上げて膝をつけ」
 あいつはなんでショックガンを持たずにのこぎり二刀流なんだろう。やっぱり数をそろえられなかったんだろうか。あゆみは男と目くばせして言う通りにした。

 防護服は右ののこぎりを前にかまえ、左をどの方向にもふりまわせるように下げている。一歩一歩近寄ってきた。

 数メートルまで来た時、横から大きな人間が突進してきて防護服を押し倒した。

 あの筋肉大男だった。

 黒革のような肌にのこぎりが当たると、火花が散って刃が跳んだ。格闘にもならずすぐに防護服が引き裂かれて中身は後ろ手にしばられ、マスクと目かくしをされた。

「坊っちゃん、オールクリア―。あっちもみんなニュートラライズずみ」
「六人?」
「そう。こいつ含めてワン、ツー、スリーのフォーメーション」
「『真実のともしび』だな」あゆみを見た。
「関係ないよ。もう」
「あるよ。過去から影が追っかけてきたんだ」
 飾った言い方だった。気にいらない。
「坊っちゃん、リベンジかも」
「かもな。けどなんかちがう」

「ねえ、落ち着いたんならもう行っていい? あたしら別れたほうがいいんじゃない?」

 二人は顔を見合わせて笑った。

「悪いが、その逆。つきあってもらうよ。今晩は」
「夕飯まだなんだ」
「おごるよ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

大絶滅 2億年後 -原付でエルフの村にやって来た勇者たち-

半道海豚
SF
200万年後の姉妹編です。2億年後への移住は、誰もが思いもよらない結果になってしまいました。推定2億人の移住者は、1年2カ月の間に2億年後へと旅立ちました。移住者2億人は11万6666年という長い期間にばらまかれてしまいます。結果、移住者個々が独自に生き残りを目指さなくてはならなくなります。本稿は、移住最終期に2億年後へと旅だった5人の少年少女の奮闘を描きます。彼らはなんと、2億年後の移動手段に原付を選びます。

身体交換

廣瀬純七
SF
大富豪の老人の男性と若い女性が身体を交換する話

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...