ぼくと怪物三人組@トーキョーベイエナジーアイランド

alphapolis_20210224

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第三部 アップルパイ、閉回路ソースを添えて

十二

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 ぼくらがいつものように暮してるうちに戦いは終わった。クリスマスまであと一週間という日だった。

 終わってみるとどの勢力が勝ったかすらわからないほどに混迷を極めていたが、日本政府や日本人は自分たちは勝ち組に属すると考えた。どの国にも侵攻させず、核兵器を含めどのような兵器によっても被害を受けなかったうえ、戦争が生んだ景気上昇の波にベテランサーファーのように乗れたからだった。

「『核ミサイルすべての迎撃に成功したのは日本軍のすぐれた観測技術による情報が米軍に提供されたからである』だってさ」
「ふうん。その観測技術でサテライトもプロテクトしたら良かったのに」
 ビクタの言う通り、日本には着弾しなかったが、運用する衛星が多数撃墜されるか機能停止に追い込まれた。今気象予報と通信の一部は他国の協力を得ている。

 ファーリーとビクタはこの戦争のドキュメンタリーを見ながらクッキーをかじっている。ドキュメンタリーといっても、『日本すごい』を手を替え品を替えくりかえすだけでくだらなかった。ふたりはそのくだらなさをネタにして楽しんでいる。

「チーバランド、戦勝祝賀パレードするってさ」ウォーデが報道を読み上げた。
「知ってる。海上でもやるんだろ?」ぼくはばかばかしいドキュメンタリー以外の話題に飛びついた。
「湾をぐるっと一周、昼は放水、夜は花火」コースの点線が投影された。要所要所でのイベントも案内されている。
「勝手にすれば」
 船はエナジーアイランドには寄らない。風向きも考えたのか、かなりの遠回りだった。

「でも、反対派もいるってよ」
 ウォーデが言うと、ファーリーとビクタもこっちを向いた。
「真実のとも……、いや、光か」
 ファーリーがつぶやき、ビクタがうなずいた。かれらは戦費の詳細の公開と、被害の復旧を優先するよう求めている。それにもちろん戦争でうやむやになった五人の子供たちの真相の究明もだ。
「なんか、つい最近の事なのにずっと昔に思える。そんな過去をほじくりかえしてもって気になってた」
 プラスチックの星をいじっている。ほんとにクリスマスツリーを飾るつもりなのか。そのファーリーにウォーデがもうひとつ飾りを投げた。
「なんの事だい? 戦争? 子供?」
「子供。今ごろどうしてんのかなって」
「そりゃおまえ……」
「ドントセイ、……プリーズ」
 ビクタが止めた。それはみんな分かってる。表に出てこなくなったんだったらそうなのだろう。人造人間は人間じゃない。尊ばれる命は持たない。日本人が決めた日本の法律ではそうなっている。

 ウォーデが端末を切り替え、インフィニティ・マザーの人造人間ライセンスの提供状況を見た。戦後の復興のためもあり、放射性物質回収ナノマシンとオートマトンと同様に好調だった。

「こんどは白い肌が奴隷だな」
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