ぼくと怪物三人組@トーキョーベイエナジーアイランド

alphapolis_20210224

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第四部 夢見心地に分岐する

十五

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 指示通りベッドに横たわると、つぎの瞬間真っ白な部屋にいた。

「成功だ。起きて」右耳から聞こえてきた。イヤーピースは右だけにはめられていた。
「注入器は皿に乗っている。一本だけだ。ごまかして送れたのはそれだけだった。さあ部屋を出て。後は指示に従えばいい。あと十五分」

 立つとふらふらした。身体の感覚が違う。何もかも小さく、短すぎる。力の入り方も変だ。ドアを開けるまでに二回よろけて膝をついてしまった。

 それと、この子の意識が残っている。緊急であり、完全な転送ではないので消去されず心の底に押し込んだようになっている。急に外界の光をなくして身体の自由が利かず怖がっていた。

 ドアを開けると長い廊下だった。「右へ。突き当りの階段を降りて」
 指示を出している声に気づいてはっとした。片耳だけでひどい音質だったので分からなかったが、これは自分だった。
 今この瞬間、自分が二人いる。島の完全版と、子供を操作できるだけのこの簡略版だ。

 じゃあ、任務が終わったら自分は、いや簡略版はどうなるんだろう。

 頭を振った。よけいな事を考えている時間はない。しかし吐き気がする。この子がそう感じているのだろうか。

「そのドアを開けて」
「開かない」自分の口から発せられる幼い声に戸惑った。
「もう一度」
「開いた」
「左の壁沿いに点検口がある。登録したから掌をあてて」
 メンテナンス用のハッチを開けるときれいに整理された機器が現れた。

 自分の心から泣いている子供の声が聞こえるのはいい気分ではない。

「赤い箱を探して。あと五分」
「あった」
「では……」ひどい雑音が入った。
「聞こえない。雑音がひどい」
「すま……通……妨害……。右の……」
「右の何? 赤い箱はあった。次は!?」
「……緑。右……」

 赤い箱の右に配線を送る管があり、緑に塗られていた。「右の緑の配線管でいいのか。繰り返す。右の緑の配線管だ」
 とりあえず打ってしまえと思ったが、緑の配線管や機器は他にもあった。確認した方がいい。

 暗い、助けて。誰かいないの?

 涙がこぼれた。理不尽な恐怖に怯えていた。この子が何をしたと言うんだ?
 この子? いや、自分だ。自分の一部だ。区別がつかない。境目がぼやけてる。この恐怖は子供のなのか、自分のか。

「配……管。……緑の……、右。繰……」

 ぼくは注入器を握りしめて打ち込んだ。涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら、その必要はないのに何度も何度も叩きつけていた。
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