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55 夢見の国で逢いましょう⑤
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夜明けを前に、アカネは準備があると言い置いて、どこかへ行ってしまった。腕のタブレットに目を落として、隼斗はぼんやりと減り続けるカウントダウンの数字をながめて過ごす。
日が昇るとすぐ、神官アイの寄こした使いが迎えにやって来た。
いよいよだ、と隼斗の心臓は高鳴っていく。
「それではこちらにお越しください」
最後に、隼斗はタブレットに目を落とした。すると、待ち構えたかのようにして、ゆったりと画面に黒いゴシック文字が浮かび上がってくる。
『死が目前に迫るファラオにかけることばは?』
『その① 父王の行いを……』
勢いをつけて、タブレットを閉じる。
「嫌だ。なんで死、だなんて……そんな、嫌だ」
隼斗は不審げにこちらを見ている使者に目をやってから、なんでもないふうを装って立ち上がった。意識的に胸を反らせ、天井を見上げる。
「どうしたらいいんだろう」
何を発言し、どう行動すれば、王は死なずに済むのだろうか。
姉のよく見ていたテレビの特番では、暗殺だとかなんとか、物騒なことばが飛び交っていた。だが、歴史の知識の浅い隼斗は、少年王の確かな死因を知らない。
「そうだ、姉ちゃんに……」
アカネを探しに出ようとするも、使者が付いて回るために自由に動くことは許されない。追い立てられるように回廊を進み、広大な庭に面したアーケードのような場所に連れていかれた。
庭の水盤は豪奢な黄金で彩られ、ぜいたくに水があふれるさまは、まさに圧巻の眺めだった。
やがて、隼斗と同じ黄金のメダルを首から提げた少年王が、ゆったりと姿を現した。
「よく来た。星読みの預言者よ」
少年王のすぐ隣には、うわさの神官らしき男の姿もある。彼は、隼斗の考えていたよりも、ずっと年老いて狡猾そうな顔をしていた。
隼斗をひとにらみした神官は、横柄なしぐさで側仕えの男に何事か耳打ちしている。
「ではさっそくだが、星読みの預言者よ。おまえの意見を聞きたいと思う」
ごきゅり、と隼斗はノドを鳴らした。
きっと雑談か何かして場を和ませてから「預言者」への「質問」があるのだと想像していたため、思わず面食らう。
日が昇るとすぐ、神官アイの寄こした使いが迎えにやって来た。
いよいよだ、と隼斗の心臓は高鳴っていく。
「それではこちらにお越しください」
最後に、隼斗はタブレットに目を落とした。すると、待ち構えたかのようにして、ゆったりと画面に黒いゴシック文字が浮かび上がってくる。
『死が目前に迫るファラオにかけることばは?』
『その① 父王の行いを……』
勢いをつけて、タブレットを閉じる。
「嫌だ。なんで死、だなんて……そんな、嫌だ」
隼斗は不審げにこちらを見ている使者に目をやってから、なんでもないふうを装って立ち上がった。意識的に胸を反らせ、天井を見上げる。
「どうしたらいいんだろう」
何を発言し、どう行動すれば、王は死なずに済むのだろうか。
姉のよく見ていたテレビの特番では、暗殺だとかなんとか、物騒なことばが飛び交っていた。だが、歴史の知識の浅い隼斗は、少年王の確かな死因を知らない。
「そうだ、姉ちゃんに……」
アカネを探しに出ようとするも、使者が付いて回るために自由に動くことは許されない。追い立てられるように回廊を進み、広大な庭に面したアーケードのような場所に連れていかれた。
庭の水盤は豪奢な黄金で彩られ、ぜいたくに水があふれるさまは、まさに圧巻の眺めだった。
やがて、隼斗と同じ黄金のメダルを首から提げた少年王が、ゆったりと姿を現した。
「よく来た。星読みの預言者よ」
少年王のすぐ隣には、うわさの神官らしき男の姿もある。彼は、隼斗の考えていたよりも、ずっと年老いて狡猾そうな顔をしていた。
隼斗をひとにらみした神官は、横柄なしぐさで側仕えの男に何事か耳打ちしている。
「ではさっそくだが、星読みの預言者よ。おまえの意見を聞きたいと思う」
ごきゅり、と隼斗はノドを鳴らした。
きっと雑談か何かして場を和ませてから「預言者」への「質問」があるのだと想像していたため、思わず面食らう。
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