不可思議∞伽藍堂

みっち~6画

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11 虹色アンモナイト④

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 泣かれるのではないかと焦った大河は、あちこち視線を移ろわせ、最後に通りの向こう側に顔を向ける。
 ランドセルを背負った小学生が何人か、ほおを真っ赤に上気させて横切って行った。
「遅刻かな」
 小さな体で懸命に走っていくその姿を、思わず目で追う。近道をしようとでもいうのか、アーケード街に走り込んでいき、すぐに見えなくなった。
「体よりランドセルのほうが大きいんじゃないのか。あれじゃあ、まるで……ル……」
 なぜか妙に落ち着かない気分に包まれた。
「ル?」
 自身のことばに、首を傾げる。思わず駆け出した。
 はでな飲食店と観光アンテナショップを過ぎ、大衆居酒屋の前まで来ると、寿々花が追い着いてきて、「どうしたのよ」と声を上げる。
「いや、なんかおれ、急に忘れ物でもしたような気になってさ」
 待ってよ、と寿々花が大河の肩先をつかむ。どこでついたのか、小さな砂粒が舞った。
「……ルゥ。そうだよ、小さなルゥだ。なんでだ? おれ、一瞬忘れかけたような?」
 少し前に別れたばかりだというのに、なぜかもうずいぶん昔のことのように懐かしく思える。頭の中がぼんやりして、うまく整理できない。
「ねえ、ルゥってだれよ?」
 昨日の出来事をすべて打ち明けたところで、信じてもらえる気がしない。なぜ柱時計の猿の剥製が話をするのか、大河には説明できないのだ。
「判子屋の子なんだけど、T大に届け物があるっていうから、連れていったんだ」
 それは嘘ではないが、真実でもない。
 でも、と辺りを見渡しながら、寿々花が不思議そうな声を上げる。
「この辺に判子屋なんてあったかしら?」
 そう言われてあわてて探し回ったが、あの時が止まったかのような古い判子屋は、どこにも見当たらなかった。
「それじゃあ、路地は?」
 アーケード街を端まで歩いたが、あの蒸気に包まれた空間は消えてしまった。
 動揺しているのを悟られまいと、大河は無理に笑みを浮かべる。今から学校に行くからと言って、無理に寿々花と別れた。
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