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(7)ハッピーエンド   

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 地下空間に落とされ、ラブラブしていた私たちを、帝国軍の方々は、何も言わずに、救出してくれます。

 天井に開いた大きな穴から青空が見えます。
 私たち二人の周りには、たくさんのガラス瓶が散乱しています。

「これは何?」

「タネと水、こっちは塩か?」
 クロガネ様も、見ただけでは判らないようです。

 私たち二人は、キラキラしたガラス瓶の山に埋もれていました。


 救出され、地下空間を上から見下ろします。

 礼拝堂の地下は、巨大なシェルターでした。
 数千人が数日過ごせる程の水と食料が見えます。

「そうか、秘密の地下道を通ってる時は気がつかなかった」

 クロガネ様は、王族だけが知る避難用の地下道を使って、礼拝堂に来たとのことでした。


「災いが降りかかる時、王子と聖女が結ばれ、隠された王国の力が目覚める」
「これが、国民の力となる本当の宝なのかもしれません」


 幸いにも、参列者に犠牲者は出なかったので、庭園の横に集まって頂きました。
 皆さんに、王太子の犯罪を説明し、クロガネ様が第二王子であることを明かしました。

 そして、第二王子様が、私との結婚を宣言しました。
 第二王子様の黒い衣装と、私の白いウエディングはホコリだらけでしたが、皆さんから多くの拍手を頂き、たった5分でしたけど、最高の時間でした。

 続いて、結婚式の後に予定されていた戴冠式、主役は違いますが簡素化して行われ、クロガネ様は正式に国王となりました。

 怒涛の30分でした。


 式の後です。帝国軍の総指揮官らしき白髪の紳士が、あの地味な侍女の案内で、私たち二人へ挨拶に見えられました。

「伯爵様。諜報員からの情報提供、そして帝国軍による救援に感謝申し上げます」
 クロガネ様は、この白髪の紳士とは、帝都でのお知り合いのようです。

 え? この地味な侍女さんは、帝国の諜報員だったのですか!

「この王妃がアップル、帝都でお話しました、貴方のお孫さんです」
「え? 孫? どういうことでしょうか?」

「お前の父は、私の勘当した息子だ、、、」
 白髪の紳士が、私をハグします。父のあたたかさを思い出しました。

「クロガネ国王、私の孫を護って頂き、感謝します」


 この僅かな時間で、出てきた情報が多すぎます!


 ◇


 あれから3日が過ぎました。帝国軍の力を借り、復興が進んでいます。

 シリウス様を従えて、礼拝堂の跡地を視察するクロガネ様の横に、私が立ちます。

 久しぶりの外の空気は美味しく、青空はまぶしいです。


「王太子の犯罪は立証できそうですか?」


「うん、愛人だった侍女が、全てを証言してくれた」
 あぁ、あの美人の侍女ですね。


「一旦、帝国に戻られるのですか?」
「うん、シリウスには、女神像を調査する仕事がある」


「クロガネ様、私も連れていって下さい。もう離れるのは嫌です」


「ん? いや、帰るのはシリウスだけだ」
「え?」

「俺は、ここに残って王国を再建する」


「アップル、俺の横に立ち、手伝ってくれ」
「はい、一生、愛し続けます」

 顔が近づいてきます。
「クロガネ様、ここではダメです、シリウス様が見てます! ん!」

 2年分の愛情がこめられています、、、うれしいです。


 ー FIN -



【後書き】
お読みいただきありがとうございました。
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