1 / 5
第1話 一人だけ制服が違う
しおりを挟む「なんか、私は、クラスで浮いていますね」
王立魔法学園へ、平民から特待生として入学いたしました。高等部1年生のオードリと申します。
銀髪で青緑色の瞳で、希少な光魔法を使えます。
「この制服のせいかな?」
貴族の皆さんの制服は、赤茶色のブレザーと、タータンチェックのスカートで、ソックスは自由です。
でも、平民の私だけ、セーラーカラーと呼ばれる大きな襟が特徴の紺色のトップスに白いリボン、紺色のプリーツスカート、紺色のハイソックスです。
学園から支給された制服なのですが……
「地味……」
私の教室の席まで地味で、一番後ろのスミです。
教室の最前列の席には、アーロン王子様と、婚約者のグレース侯爵令嬢が座っています。
噂では、政略結婚と言われていますが、意外と仲は良いようです。
周囲には、早速、取り巻きじゃなく、ご友人たちがいらっしゃいます。
「うらやましいな」
「ずいぶんと大きな独り言だな」
エイダン君が話しかけてきました。
隣の席の、まぁまぁイケメンです。
栗毛、ブラウンの瞳と、一般的な容姿で、私に話しかけてくる珍しい同級生です。
「オードリが、警戒されているのは、予言のせいだよ」
「え? なにそれ」
予言は、聖女の大事な仕事です。私も勉強していますが、異常気象など、もっと大きな出来事を占うものです。
私が同級生に警戒される予言なんて、ありえません。
「その令嬢、青き制服をまといて、金色の王子を射止める」
エイダン君が、こじらせた中等部男子みたいな呪文を唱えます。
「これが予言された言葉で、クラスの全員が知っている」
私には、初耳で、まったく意味不明です。
「つまり、青い制服のオードリが、金髪のアーロン王子のハートを射止めるって話」
青い制服の令嬢って、私だと思われているの?
いや、この制服は、紺色だからね!
「アーロン王子には、グレース侯爵令嬢という、婚約者がいますので、ありえません」
心の底から否定しますが、エイダン君は笑っています。
「そんな夢物語より、私は、養女にしてくれる貴族様を探すのが最優先です。どなたか心当たりがあったら、教えてね」
平民のままでは、聖女への道は遠いのです。貴族の養女になって、聖女見習い、そして聖女になって人々を救うのが夢です。
「光魔法だって、これから、もっと鍛えるんだから」
今は、軽いケガを治癒するのがやっとです。
「オードリなら、きっと、侯爵家の養女になれるよ」
エイダン君が励ましてくれました。
「それなら、夢は大きく、国王の養女とか言ってよ」
「そこまでは、言えない……」
地味な学園生活が続いていましたが、今日は笑うことが出来ました。ありがとう、エイダン君。
1
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。
香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。
皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。
さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。
しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。
それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?
【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました
雨宮羽那
恋愛
結婚して5年。リディアは悩んでいた。
夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。
ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。
どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。
そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。
すると、あら不思議。
いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。
「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」
(誰ですかあなた)
◇◇◇◇
※全3話。
冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
誰でもよいのであれば、私でなくてもよろしいですよね?
miyumeri
恋愛
「まぁ、婚約者なんてそれなりの家格と財産があればだれでもよかったんだよ。」
2か月前に婚約した彼は、そう友人たちと談笑していた。
そうですか、誰でもいいんですね。だったら、私でなくてもよいですよね?
最初、この馬鹿子息を主人公に書いていたのですが
なんだか、先にこのお嬢様のお話を書いたほうが
彼の心象を表現しやすいような気がして、急遽こちらを先に
投稿いたしました。来週お馬鹿君のストーリーを投稿させていただきます。
お読みいただければ幸いです。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
お兄様の指輪が壊れたら、溺愛が始まりまして
みこと。
恋愛
お兄様は女王陛下からいただいた指輪を、ずっと大切にしている。
きっと苦しい片恋をなさっているお兄様。
私はただ、お兄様の家に引き取られただけの存在。血の繋がってない妹。
だから、早々に屋敷を出なくては。私がお兄様の恋路を邪魔するわけにはいかないの。私の想いは、ずっと秘めて生きていく──。
なのに、ある日、お兄様の指輪が壊れて?
全7話、ご都合主義のハピエンです! 楽しんでいただけると嬉しいです!
※「小説家になろう」様にも掲載しています。
逃げたい悪役令嬢と、逃がさない王子
ねむたん
恋愛
セレスティーナ・エヴァンジェリンは今日も王宮の廊下を静かに歩きながら、ちらりと視線を横に流した。白いドレスを揺らし、愛らしく微笑むアリシア・ローゼンベルクの姿を目にするたび、彼女の胸はわずかに弾む。
(その調子よ、アリシア。もっと頑張って! あなたがしっかり王子を誘惑してくれれば、私は自由になれるのだから!)
期待に満ちた瞳で、影からこっそり彼女の奮闘を見守る。今日こそレオナルトがアリシアの魅力に落ちるかもしれない——いや、落ちてほしい。
婚約破棄されたのに、王太子殿下がバルコニーの下にいます
ちよこ
恋愛
「リリス・フォン・アイゼンシュタイン。君との婚約を破棄する」
王子による公開断罪。
悪役令嬢として破滅ルートを迎えたリリスは、ようやく自由を手に入れた……はずだった。
だが翌朝、屋敷のバルコニーの下に立っていたのは、断罪したはずの王太子。
花束を抱え、「おはよう」と微笑む彼は、毎朝訪れるようになり——
「リリス、僕は君の全てが好きなんだ。」
そう語る彼は、狂愛をリリスに注ぎはじめる。
婚約破棄×悪役令嬢×ヤンデレ王子による、
テンプレから逸脱しまくるダークサイド・ラブコメディ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる