手のひらのロブナリア

宇土為名

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 ぴく、と自分の指先が跳ねて、梶浦はその手を見下ろした。
 なんだろう?
 用を済ませ帰り着いたアパートを見上げる。暗い中、明かりのついたベランダの窓はいくつかあるが、七緒の部屋の窓はまだ暗いままだ。二十二時。今日もバイトに行くと言っていたから帰りはもうすぐのはずだ。
「……」
 建物の横を通り、アパートの階段側に回る。上がろうとしたとき、上から誰かが下りてきた。男だ。
「…どうも」
 梶浦が脇に避けると、すれ違いざまに男は聞こえるか聞こえないかくらいの声で礼を述べた。返事を返す間もなくそのまませかせかと足早に敷地を出て、目の前の道路を横切って行く。
 見たことのない顔だ。ここの住人だろうか。二階の部屋は五つ、自分と七緒を除く他の三部屋の住人にはまだ会ったことがない。
「あら、…こんばんは」
 階段下脇のドアが開き、一階の住人が立っている梶浦を見て驚いた顔をした。
「こんばんは」
 梶浦は会釈を返して階段を上がった。
 七緒を迎えに行きたいと思ったが、頻繁に出くわすというわけにもいかない。小さくため息を落としながら鍵を開け中に入った。部屋の中は殺風景なほど何もない。明かりは点けないまま部屋の端に置かれたベッドの上に鞄とコートを放り投げると、コートのポケットに入れていた携帯が飛び出し床の上に落ちた。
 拾い上げようと手を伸ばしたとき、ぱっと画面が明るくなった。
「……」
 さっき別れたばかりの相手の名前が画面に映し出され、梶浦は眉を顰めた。
 なんだ?
「…………はい」
 通話の向こうで笑い声がした。
『覇気がない』
 梶浦はため息をつき、ベッドに腰を下ろした。
「何か言い足りないことでも?」
『次の約束を忘れていたなあと思って』
 それはメールで事足りるのでは、という言葉を飲みこんだ。下手に言い返せば話が長くなる。出来ればそれは避けて通りたいものだ。
 梶浦は言った。
「いつにしますか」
『週末は? 予定がなければ』
「……」
 週末。
 予定は何もないが、出来れば空けておきたいところだ。七緒と一緒にいる時間が欲しい。
「…あまり時間は取れませんが」
『じゃあそれで』
 ぷちりと通話が切れた。言いたいことだけ言って切れてしまった携帯を耳から離し、梶浦は息を吐いた。相変わらず強引な人だ。どうせ駄目だと言っても何かしらの理由をつけて会うことになる。
「仕方ないな…」
 シャツのボタンを外し、首元を緩める。窮屈なのは嫌いだ。ネクタイに指を掛け引き抜こうとしたとき、また携帯が鳴った。
 今度は何だ。
 ぱっと、画面にメッセージが浮かび上がる。
 高橋だ。
 そういえば半ば強引に連絡先を交換させられたのだ。
『おい』
「……?」
『なな先輩と』
「……」
 なな先輩?
 七緒のことか?
『一緒にいるやつ』
 またメッセージだ。
 七緒と一緒にいたというのなら、それはきっと篤弘のことだ。
 何かあったのか。
 まさか。
「──」
 短すぎる言葉は意味を為すにはまだ足りない。きっとまた来るだろうと見ていると、案の定すぐに新しいメッセージが浮かび上がった。
『あれやばい』
「…──」
 嫌な予感に眉を顰めたとき、ふわりと七緒の匂いがした。
 甘い。
 甘すぎるほどの。
「なな…」
 梶浦は携帯を投げ捨て、外に飛び出した。
「あれ、詞乃?」
 階段の下に七緒がいた。
 どくどくと鼓動が早鐘を打つ。
 帰って来た。
「──」
「どっか行くのか?」
 見下ろしている梶浦を不思議そうな顔で見上げている。とんとん、と小気味よく階段を上がる音が暗がりに響く。
「…おかえり」
「うん、ただいま」
 自分の部屋の前に立ち、鍵を取り出しながら七緒は言った。
「コンビニ? もう遅いから気をつけろよ」
 何かおかしい。
 こんなに甘い匂いがするのに。
「おやすみ」
 七緒の横顔を見つめていた梶浦は、はっとその腕を掴んで振り向かせた。
「し…っ」
「──」
 どくん、と心臓が跳ねた。
 頬が腫れている。
 七緒が目を逸らした。
「それ、どうした?」
「ちょっと…」
「どうしたんだ?」
 よく見れば口の端が切れている。暗がりでも分かるほど肌が赤い。
「──」
 自分の瞳孔が音を立てて開くのが分かった。
 こめかみが引き攣れる。
 ──よくも。
 梶浦は七緒を引き寄せると自分の部屋に押し込んだ。
「い、つ…っ」
 縺れながら入りドアを閉める。暗がりで膝をついた七緒を廊下の壁に押し付け、切れた唇の端に触れた。七緒の肩がびくりと跳ね上がる。
「誰にやられたんだ」
「誰って…そ」
「あいつか?」
 言いかけた声を遮って問うと、七緒が視線を上げた。
「あいつ、って…」
「森塚か」
「え…ちが」
 目を見開いた七緒が首を振る。かっ、とその仕草に頭に血が上った。
「あいつが、こんな──」
「ちが、違う…」
「何が違うんだ!」
 否定する七緒に声を荒げ二の腕を掴んだ。庇っているのか、こんなことまでされて、どうして。
「こんな…」
 七緒の顔を両手で包みこんだ。腫れた肌は熱を持ち、熱かった。
 傷つけられた。
 やはり迎えに行くべきだった。
 変だと思われても、傍にいるべきだった。
 どうして。
 どうして──俺は。
 いつも。
 いつも守り切れない。
「詞乃?」
 梶浦の手に顔を包まれたまま、七緒が目を見開いた。
「なんで…、泣くなよ」
 伸びてきた七緒の指が、梶浦の目尻に触れた。そのとたんぽたりと七緒の目元に涙が落ちた。
 涙。
「泣くなよ、大丈夫だから」
 自分が泣いていることに、梶浦はそのときようやく気がついた。


 どうして泣いているのだろう。
 暗い廊下の中、梶浦の目元は涙に濡れていた。指先で拭うと、零れた一粒が自分の顔に落ちてきた。
「篤弘じゃない…、違うから」
 拭った手を滑らせて梶浦の頬に触れると、暗がりに慣れてきた目に端正な顔がくしゃりと歪むのが見えた。
 まるで幼い、子供のようなそれに、七緒はどきりとする。
「今日バイト先でいろいろあって、それで」
 梶浦の顔に触れている七緒の手に梶浦の手が重なった。
「…バイト?」
「うん」
 七緒は頷いた。
「店長がパートの人をめちゃくちゃに叱ってて、あんまり酷いから割って入ったら」
 殴られたんだ、と七緒は続けた。
 バイト中、事務所に用があってドアを開けた。
 そこでは店長とパートの田中が言い争っていた。
『そんなこと言われても、私はもう決めましたので』
『おい、待て! それで済むと思ってるのか!』
 店長が拳を振り上げた瞬間、七緒は走っていた。
 あのとき自分がいなかったら殴られていたのは田中だ。あんなに細い彼女が殴られていたらと思うだけでぞっとする。あの場に駆けつけられて七緒は心底よかったと思った。痛いのは気にならない。あれはきっと揺らめきのせいなのだ。
 その証拠に、殴られながら店長の体を覆っていた揺らめきを指で弾いたとたん、彼は憑き物が落ちたみたいに大人しくなった。
「だから大丈夫だよ、な?」
 これは自分で選んだことだ。
 この痛みはなんでもない。
 七緒は笑い、大きな手を重ねたままその頬を軽く叩いた。
 その瞬間、手首を取られ梶浦の体が覆い被さってきた。
「──」
「…七緒」
 背中に回った腕が、七緒の体が仰け反るほどきつく抱き締めてくる。
 息が出来ない。
「し…、」
 詞乃、と言いかけた七緒の耳元に梶浦の息がかかった。
 ぞくりと全身が粟立った。
「…あ、や」
 腫れた頬に梶浦の唇が触れる。撫でるように、ゆっくりと、触れるか触れないかの距離で。全身が火がついたように熱くなる。開いた脚を閉じようとして、それが出来ないことに七緒は気づいた。
 抱き締める梶浦の体は自分の脚の間にあるのだ。
 まずい。
 このままだと。
「…っ」
 梶浦の唇が涙が落ちたところを拭うように往復する。
「しの、…っ」
 下半身に集まり出した熱に震え、逃げ出したいほどの羞恥に七緒はもがく。両手で梶浦の背中を叩くが、力は一向に緩まない。それどころかもっと、とでも言うように掻き抱かれてしまう。
(まず、…ばれ、る…っ)
 密着した体に中心が兆していく。それが今にも梶浦の体に当たってしまいそうで、七緒は必至で身を捩った。
 なんでこんな、なんで──
 梶浦に知られてしまう。
 知られたくない。
 慌てていると、濡れたものが頬を這った。
「! ばか、なにし、て…」
「じっとして」
 耳のすぐそばで囁かれ、七緒は身体を縮めた。
「少しだけ」
 そう言った梶浦は七緒の頬に再び唇を押し当てた。濡れた感触が肌を這った。
 梶浦の舌だ。
(嘘)
「あ」
 慈しむように舌先で舐められる。痛む場所を何度も往復し、ゆっくりとそれはやがて唇の端まで下りてきて…
 触れ合いそうになった瞬間、びくり、と思わず首を竦めると、梶浦の腕から力が抜けた。
 頭から血がゆっくりと引いて行く。
 見上げると息が触れそうなほどの近くに梶浦の目が合った。視線が絡まり、瞳が揺れた。
 なにか、なにか言わないと。
「…なん、で」
 梶浦は黙り込んだ。
 その表情を見て聞くのを間違えたと思った。
 違う。
「悪い」
 そうじゃない。
 自分が舌で触れた場所を梶浦は指で拭った。あ、と思ったとき彼はもう七緒から離れ、立ち上がっていた。
 そのとたん、寂しさで胸がいっぱいになっていく。
「ちゃんと冷やそう」
 座り込んだまま見上げていると、腕を取られ起こされた。
 寂しい。
 離れてしまった体温。
 どうして。
 どうして?
 あのままキスしたかった。
 したかったのに。
 もっと、もっと、もっと、欲しいのに。
 梶浦が欲しい。
 好きだ。
 好きだ。
 でも、なぜか声にならない。
 七緒は震えながら息を吐いた。
「…うん」
 頷くと、梶浦は掴んだ腕を離し七緒に背を向けて先を歩いた。
 その背に縋りつきたい。
 こっちを見て、おれを──おれを見て。
 誰も見ないで。
 あの場面が脳裏を過ぎる。
 他の誰かなんて…
 誰も──誰も、いなくなればいいのに。
『シノ』
「…っ」
 ふいに左肩が激しく疼き、思わず七緒は肩を押さえた。
『…シノ』
「──」
 どこかで聞き覚えのある声が聞こえた気がした。
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