明けの星の境界線

宇土為名

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 食堂の前は相変わらず生徒で混み合っていた。学年ごとに昼食時間をずらしても生徒が集まる場所はひとつで、結局改善されているとは言えなかった。
「はい、サンドイッチとバターパンね」
「ありがとうございます」
 おつりと袋を受け取って列を抜け、飲み物を買いに自販機の列に向かう。最後尾で順番を待ちながら一緒に来たはずの寺山の姿を探すが、どこにも姿が見えない。
 どこに行ったんだろう? 何も言わなかったが、今日は食堂で食べるのだろうか。
 それとも、先に帰った?
 まあいいか。
 どうせ休み時間が終われば分かることだ。
「あ…、」
 飲み物を買い終わり、食堂の入り口の時計を見れば、思うよりも時間は過ぎていた。
 人だかりを抜ける。長い廊下をまっすぐに行き、教室のほうへは曲がらずに突き当りの階段を上がった。そろそろ二年生も休み時間だ。
 今日は怜と昼を一緒に食べる約束していた。
 旧校舎の奥、使っていない教室が待ち合わせ場所だ。
「あ」
 踊り場から見えた上の階に人影がある。見知った姿に逸巳は声を掛けた。


「怜、飯買いにいこーぜ」
 立ち上がったと同時に中井の声がした。自分の席から、手に持った財布を振ってこちらを見ている。
「ああ」
 怜もスマホと財布を取り一緒に教室を出た。休み時間の廊下は人で溢れていて歩きづらい。
「今日何食う? オレ食堂いこっかなーおまえもいかね?」
「俺はいい」
 スマホを確認しながら言うと、中井がなんで、と首を傾げた。
「たまにはいいじゃん。オレもあんま行ったことないしさ、わかんねーけど美味いらしいよ?」
「いいって」
「なんで」
「約束がある」
 え、と中井が呟いた。
「何の約束…、あっ」
 階段の手前で大きな声を出した中井を怜は横目に睨んだ。余計なことを言われたら面倒だ。ふたりだけのときならまだいいが、周りに人が大勢いるところで言われたらたまったものではない。
 怜の視線で察したのか、中井が口を噤む。先に行く怜の後ろからばたばたと追いかけてきた。
「えーなに、一緒に食うわけ」
「ああ」
「まじかよ、上手くいってんじゃん?」
 この間は落ち込んでたくせに、と言われて怜はムッと唇の端を曲げた。あんなことを中井に言ってしまったのは一生の不覚だ。
「…うるせえな」
「嫌われたーとか言ってたのにさあ」
「おまえ──」
「いやマジでえ…」
 怜の反応にげらげらと笑っていた中井が、ぴたりとその笑いをやめた。笑顔の貼り付いた顔が怜の向こうを見ている。
 なんだ? と怜は振り返った。
 階段の一番下、廊下の壁に誰かが寄りかかっている。
 知っている顔だ。
 じっとこちらを見上げている。
「ん? …三年じゃん」
 ぽつりと中井が呟いた。制服の校章は確かに三年のものだ。
 その三年は鷹揚な仕草で壁から身を起こした。
「ちょっといいか?」
 中井が、え、と首を傾げた。
 知らない上級生にいきなりそう言われれば当たり前の反応だ。だが、怜は違う。
 後藤、と彼は言った。
「話がある」
 その胡乱な目つきには覚えがあった。名前は確か寺山。
 逸巳の友人だ。
 彼と一緒にいるところを何度も見ている。
 俺をよく思っていない目つき。
「……」
 頷きもせず、怜は階段を下りた。


「先生」
 担任の江島がこちらを見た。
 授業の帰りなのか、手にはたくさんの荷物を抱えている。江島の担当教科は現代史で、いつも何かと持ち運ぶものが多かった。逸巳もよくそれを手伝っている。
「三沢…」
 少し驚いたように江島は目を丸くした。
「何してるんだ、ここで」
「あ、…後輩に用があって」
「後輩…?」
 眉を顰めた江島は逸巳を見つめた。
「へえ、おまえ後輩に知ってるやつがいたのか」
「はい」
 どこか含むような視線に違和感を感じながらも、逸巳は気づかないふりをした。
「…ふーん」
 で、何? と江島は言った。
「あの、これ」
 逸巳はポケットに手を入れ、小さなポーチを取り出した。裸でそのまま入れておくと何かの拍子に潰してしまいそうなので、家にあったものに入れて持ち歩いていた。
「何だよ」
「僕、教員室の先生の机にあったの落として、拾ってそのままずっと持ってて…」
 お守りが入るほどの小ささのポーチを開き、中から折り畳んだティッシュを取り出した。そっと開き、ピアスを摘まんで江島に見せた。
「返そうと思って渡しそびれてて、すみません」
「──」
 江島は目を丸くしてピアスを見つめると、半分ひったくるようにして逸巳の手からそれを取った。衝撃で逸巳の手からポーチとくしゃくしゃになったティッシュが廊下に落ちる。
「っ、な、にやってんだよおまえは…!」
「すみません、でも」
 ここ何日間かずっと渡そうとしていたが、江島は逸巳を避けるようにしていて、それが出来なかった。そのことを言おうとしたが逸巳はやめた。言い訳をしたところで変わらない気がした。だが、言いかけてやめた逸巳に江島は苛ついたように小さく舌打ちをした。
「くそ、ほんとおまえは余計なことばっかりしてくれるよ」
「…え?」
「何でもない。どけよ」
 どん、と江島は自分の肩を逸巳にぶつけて進路を開けさせると、そのまま足音高く階段を下りて行った。茫然と逸巳は江島を見送った。その後姿は怒りに満ちていて、歩く音ですら逸巳を非難しているように聞こえる。
「……」
 なにか、してしまったんだろうか。
 ただピアスを返したかっただけなのだが…こんなことなら持ち歩いたりせずに、教員室の机に置いておけばよかったか。
 今年の春から逸巳のクラスの受け持ちになった江島は、昨年の春にこの高校に赴任してきた教師だった。授業内容も評判がよく生徒には慕われているが、本人の性格なのかだらしないところも多く、嫌っている生徒も実は多いようだ。逸巳のように都合よく生徒を使うと言う噂も聞いたことがある。
 はあ、と逸巳は息を吐いた。
 なんにせよ、ようやく返すことが出来たのだから、これでよかったのだ。
 下に落ちたものを拾い上げ、ポケットに仕舞った。
 気を取り直して廊下を進む。待ち合わせの空き教室は旧校舎の北側、以前化学準備室だったところだ。昼飯を一緒に取りたいという怜からのメッセージに気がついたのは今朝で、送信されたのは昨日の真夜中だった。
 家を出る前に慌てて了承のメールを送った。
 急にどうしたのだろう?
 メッセージなどなくても、ほとんど毎日顔を合せているのに。
 L時に折れた廊下の先に化学室が見えた。逸巳も授業で何度か入ったことがある。だが今はその入り口は閉ざされ、黄色いテープが張られていた。準備室はその隣だ。
 こちら側に教室がない廊下の先は静かだった。誰もいない。その代わりのように、遠くからは休み時間特有の騒がしさが聞こえてくる。
 準備室の扉は開いていた。もう怜が来ているのか。
 早いな、と逸巳は少し早く歩く。
 いつの間に追い越されたのだろう。
 扉の傍に人影があった。寄りかかった肩がはみ出すように見えている。
「ご…」
 後藤くん、と呼びかけようとして、逸巳は言葉を飲み込んだ。
 何かが倒れる音。
 言い争うような声。
「……」
 違う。
 そこに立っているのは怜じゃない。
 怜の声は奥からした。
 誰か──もう一人…
 誰?
 逸巳は扉に近づいた。
「…くせに!」
 怜の激昂した声にびくりと肩が震えた。
 そして続きたもう一人の声に逸巳は目を見開いた。
「だから、何考えてるんだって訊いてるんだよ」
 それは寺山の声だった。

 ***

 憎まれているのはよく分かっている。
 疎まれることも、自分の言動で人が傷つくことも知っている。だがそうしなければ、そのむき出しの感情に迎え撃つ術がない。
 そうやって躊躇しているうちに傷つくのは自分なのだ。
 自分の身を守れるのは自分だけ。
「逸巳にどういうつもりで付き纏ってるんだ?」
 特に付いて来いとも言わなかったのに、寺山は怜の後を付いてきた。無言で化学準備室の扉をいつものように開け中に入ると、後ろの気配が一瞬立ち止まる。目を向ければ何かを言いかけてやめ、準備室に入ってきた。
 廊下の窓から入る日差しに伸びた長い影が、怜の足元まで迫る。いつもの定位置にある椅子に腰を下ろし、怜はため息をついた。
「あんた先輩のなに?」
「友達だ」
「へえ…」
 前髪をかき上げた。
「友達って、交友関係にも口出すのか」
「…そうだな」
「どっかおかしいんじゃねえの?」
 口の端を吊り上げて笑えば、寺山は薄い唇をさらに引き結んだ。
「健全な付き合いならな」
「健全?」
「普通なら俺だってこんなことは言わないよ」
 怜の眦がぴくりと反応した。
 普通なら…?
 その言い方はまるで──
「普通じゃねえって言いたいのかよ」
「おまえが相手ならそうなるだろ」
「は?」
「女にだらしなくて揉め事もしょっちゅうで悪い噂ばかりのおまえが、何の面識も接点も共通するところもない逸巳といきなり親しくなって──何かあるって思うのが普通だろうが」
「…ふざけんなよ、なんだよそれ」
 寺山の言うところの半分は自分の行いが招いたことだと理解できる。だが、それ以外はまるで見当外れだった。
「逸巳がおまえみたいなのと親しくなるわけがないんだよ。近づいたのはおまえのほうだろ? 何が目的なんだ?」
「…ああ?」
「どうせ暇つぶしのゲームか何かだろ?」
「っ、んなわけねえだろうが!」
 がん、っと怜は椅子を蹴って立ち上がった。
 怜を見る寺山の目は、まるで汚いものを見るかのようだ。
 胸の中を激しい怒りが渦を巻いている。心臓が跳ね上がり、息が浅くなる。
「俺と先輩のことをあんたが口出すんじゃねえよ! 何が友達だよ!? あんたこそ何にも知らねえくせに!」
「だから、何考えてるんだって訊いてるんだよ」
「何にも考えてねえよ! 俺はただ──」
 ただ。
 ただ先輩と。
 先輩が。
「先輩が…」
 はっ、と吐き出そうとした言葉を怜は飲み込んだ。
 この先を言ったらどうなるのか──好きだと言ったら? この男に知られたら?
 逸巳がどんな目で見られる?
 怜の背筋がぞっと震えた。
 嫌だ。
 ──嫌だ。
 寺山が喉の奥で笑った。
「ただ、先輩が? その先は? 言えないのか?」
「──」
「へえ? やっぱりだな」
 逸巳がいつかの自分と同じ視線にさらされたら。
 思い出して呼吸が上がる。
 息苦しさに怜は胸のシャツを掴んだ。寺山がゆっくりと近づいてくる。
「言えないってことは何か裏があるってことだよな?」
「ち…っ」
「図星だろ」
 違う。
 違う、ちがう。
「もう逸巳には近づくな」
 苦しさに顔が上げられない。寺山の影が怜の足先を暗くした。
 ふと、その影が揺らぐ。
 嫌な予感に怜はゆっくり顔を上げた。
 そして、ここに寺山を連れてきてしまった自分を呪った。
「何してるんだ? 寺山…?」
 寺山が振り向いた。
 開いていた入り口に、逸巳が立っていた。
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