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深海の喧騒
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深海の喧騒
ビビオテクは、臍の緒が付いた状態で、王都の図書館の前に捨てられていた。
それほど大きくはないものの、そこそこの威厳と繁栄を誇っていたとある国の中央に
設置された、近隣諸国にある城に劣らぬ華燭な建物には、大量の書物が保護され守られ、年々増築を繰り返し。
それを誇りに謳う国王の命令で、他国から日々送り続けられる不必要とされた雑多で古びた書物を管理するのは、
老齢の兆しが訪れる妻も子供もいない偏屈者で、誰一人とも心を許さないことで有名なザイのみであった。
どんな事情があったのか、どうしてこうなったのか、理由もわからないまま。
ビビオテクは、ザイの保護のもと、図書館の業務を行うことになる。
人がこの世に存在する書物を生きている間にすべて読むのは不可能だ。
だから、言葉を愛おしめ。大切に扱え。それこそ、己の分身のように。
ザイから学んだすべてをビビオテクは、ひとかけらの疑問も不安も覚えずに、
ただ当たり前のように学び、ザイのすべてを受け継ぐ覚悟を決め技術を得て。
建物の最上階にて、書物の綻びを修繕することが日常になっており。
窓をを少し開き、外の空気を感じながら届けられた黴と埃に塗れた一冊を手に取り
喜びをかみしめてたところ、不意に外が騒がしくなり、ビビオテクは手を止め
窓のカーテンを開くとそこに。
大木の枝の先にしがみついた幼い少年と目が合った。
金色の髪の毛と緑かかった茶色の瞳。
言葉を失い立ち尽くすビビオテクを認め、少年はくしゃりと笑い、さらに近寄ろうと、
細い片腕を伸ばしてくる。
遥か下にある地面では大勢の人々が大声をあげながら少年に何かを叫んでいる。
落ちたら、死ぬ。
瞬間、ビビオテクは必死に窓の外に両手を差し伸べ、少年の片手を掴み、
自分のどこにこれだけの力があったのかと不思議に思うほど一生懸命に、
か細い少年の体を抱え込み、図書館の床に轢き釣り上げて、倒れこんだ。
「やっと会えた!」
ビビオテクの腕の中で少年はとても嬉しそうに立ち上がろうとした。
「僕の名前はキリアスト。よろしくね」
17歳のビビオテクより、遥かに幼い少年は先程までの大騒ぎなどなかったことのよう
無邪気に笑い、ひたすら呆然と座り込むビビオテクの手を握りしめ、無遠慮に顔を近づける。
「ずっと見上げて見つめていた。妖精か幽霊なのかと疑っていたけれど、暖かいね」
言葉を失い硬直するビビオテクなどお構いなしに少年はとてもとても嬉しそうに笑い
あろうことか、室内を掛けだし、飛び上がり、部屋中の埃をかき乱し始めた。
両足をひろげ床に座り込んだまま、ビビオテクはただひたすらに呆然としながら
未知なる生物を見つめ、言葉を失い、両目を瞬かせるしか出来ないでいた。
「大丈夫ですか?!キリアスト様!!」
どやどやと野太い声が入り口から響き、今まで見たこともないような大柄な男性たちが
わらわらと室内に雪崩れ込んできて、更にビビオテクは身動きが取れない状況に陥った。
「見てくれ!やはり、ビビオテクはここにいたぞ!」
幼い少年が堂々と胸を張り、屈強な男たちに綺麗な声で胸を張る。
「俺の勝ちだ!ビビオテクは俺の妻にする!」
はあ?!
ビビオテクにとって、この王国の第4皇子たる純心爛漫で厚顔不遜で、おそろしい程
狡猾で計算高く、唯一逆らえない人間として認めるしかないキリアストとの出会いは。
抗えない時間を認め、それを瞬時に受け入れたビビオテクが。
己の意志で己の力で、必死に彼の命を救ったことが始まりだった。
ビビオテクは、臍の緒が付いた状態で、王都の図書館の前に捨てられていた。
それほど大きくはないものの、そこそこの威厳と繁栄を誇っていたとある国の中央に
設置された、近隣諸国にある城に劣らぬ華燭な建物には、大量の書物が保護され守られ、年々増築を繰り返し。
それを誇りに謳う国王の命令で、他国から日々送り続けられる不必要とされた雑多で古びた書物を管理するのは、
老齢の兆しが訪れる妻も子供もいない偏屈者で、誰一人とも心を許さないことで有名なザイのみであった。
どんな事情があったのか、どうしてこうなったのか、理由もわからないまま。
ビビオテクは、ザイの保護のもと、図書館の業務を行うことになる。
人がこの世に存在する書物を生きている間にすべて読むのは不可能だ。
だから、言葉を愛おしめ。大切に扱え。それこそ、己の分身のように。
ザイから学んだすべてをビビオテクは、ひとかけらの疑問も不安も覚えずに、
ただ当たり前のように学び、ザイのすべてを受け継ぐ覚悟を決め技術を得て。
建物の最上階にて、書物の綻びを修繕することが日常になっており。
窓をを少し開き、外の空気を感じながら届けられた黴と埃に塗れた一冊を手に取り
喜びをかみしめてたところ、不意に外が騒がしくなり、ビビオテクは手を止め
窓のカーテンを開くとそこに。
大木の枝の先にしがみついた幼い少年と目が合った。
金色の髪の毛と緑かかった茶色の瞳。
言葉を失い立ち尽くすビビオテクを認め、少年はくしゃりと笑い、さらに近寄ろうと、
細い片腕を伸ばしてくる。
遥か下にある地面では大勢の人々が大声をあげながら少年に何かを叫んでいる。
落ちたら、死ぬ。
瞬間、ビビオテクは必死に窓の外に両手を差し伸べ、少年の片手を掴み、
自分のどこにこれだけの力があったのかと不思議に思うほど一生懸命に、
か細い少年の体を抱え込み、図書館の床に轢き釣り上げて、倒れこんだ。
「やっと会えた!」
ビビオテクの腕の中で少年はとても嬉しそうに立ち上がろうとした。
「僕の名前はキリアスト。よろしくね」
17歳のビビオテクより、遥かに幼い少年は先程までの大騒ぎなどなかったことのよう
無邪気に笑い、ひたすら呆然と座り込むビビオテクの手を握りしめ、無遠慮に顔を近づける。
「ずっと見上げて見つめていた。妖精か幽霊なのかと疑っていたけれど、暖かいね」
言葉を失い硬直するビビオテクなどお構いなしに少年はとてもとても嬉しそうに笑い
あろうことか、室内を掛けだし、飛び上がり、部屋中の埃をかき乱し始めた。
両足をひろげ床に座り込んだまま、ビビオテクはただひたすらに呆然としながら
未知なる生物を見つめ、言葉を失い、両目を瞬かせるしか出来ないでいた。
「大丈夫ですか?!キリアスト様!!」
どやどやと野太い声が入り口から響き、今まで見たこともないような大柄な男性たちが
わらわらと室内に雪崩れ込んできて、更にビビオテクは身動きが取れない状況に陥った。
「見てくれ!やはり、ビビオテクはここにいたぞ!」
幼い少年が堂々と胸を張り、屈強な男たちに綺麗な声で胸を張る。
「俺の勝ちだ!ビビオテクは俺の妻にする!」
はあ?!
ビビオテクにとって、この王国の第4皇子たる純心爛漫で厚顔不遜で、おそろしい程
狡猾で計算高く、唯一逆らえない人間として認めるしかないキリアストとの出会いは。
抗えない時間を認め、それを瞬時に受け入れたビビオテクが。
己の意志で己の力で、必死に彼の命を救ったことが始まりだった。
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