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第24話 うるせー!クソ河童!
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陸人達は再び塔の最上階へ向かった。
黒い扉の向こうで、ラプレッツェルは髪をぶんぶん振り乱しながら怒り狂っていた。
「髪…髪…髪…!わたしの髪!」
「落ち着きなさい、お嬢さん!」
「うるせークソ河童!」
「これを見てもそんな暴言が吐けるかな?」
オーガストは懐から四枚綴りのチケットを取り出して魔物の目の前に突き付けた。
「これが何だかわかるかな?」
「ふん…。ただの紙切れではないか!わたしが欲しいのはそっちの“カミ”ではない!」
「君はこの“カミ”の価値がわからないようだな。仕方がないから教えてやろう」
オーガストは勿体ぶるように言葉を切り、
「これは金持ちのマダムからちょろまかしてきた高級ヘアサロンの回数券だ!このヘアサロンは超凄いんだぞ?ななな、なんと!一度の施術で絹糸のようなさらつや髪が手に入るのだ!こいつを手放すのはかなり惜しいが、お嬢さんにくれてやろう!」
その場はしばし沈黙に包まれる。
陸人とシメオンは少し離れた場所から息を飲んで彼らを見守っていた。
すると、魔物が徐々に少女の姿へと変わっていった。
「その回数券を、わたしにくれるの?」
「ああ。この塔から出て行くと約束するのならな」
「…わかったわ、約束する」
「よし。ではそなたに進呈しよう」
オーガストは両手で回数券を差し出した。
「ありがとう、河童さん!」
少女は無邪気な笑顔を残し、部屋の窓から鳥のように飛び立って行った。
「すごい…。あっという間にいなくなっちゃった!やるね、おじさん!」
「アウロスの里の平和のためさ」
「嘘つけ。褒美をもらうためだろ?」
「まぁ、それもある」
「でもよかったの?貴重な回数券あげちゃって」
「問題ない。同じものをまだたくさん持っているからな」
オーガストは得意げに回数券の束を取り出して見せた。
「おい…」
眉を寄せながら、シメオンが指摘する。
「その回数券、使用期限切れてるぞ」
「な…何?!」
とたんにオーガストは焦り始めた。
「いかん…。確認してなかった。ああ、なんということだ!」
「で…でもさ、あの魔物にあげた券は、まだ期限切れてないんだよね?」
「いや…。あれはもっと古いやつだから、たぶん切れてるな」
「え…?それ、ヤバくない?」
「バレる前にずらかろう…」
陸人達は昇降装置の扉の前でボタンを連打しまくっていた。
ようやく扉が開いたかと思いきや、またしてもテディ達と鉢合わせてしまった。
「あ、どうでしたか、みなさん?」
「あ…。ええっと―――」
口ごもる陸人に代わり、オーガストが調子良く答える。
「どうぞご心配なく!髪の毛の魔物はこの凄腕魔法使いオーガスト・ロウが魔法で討伐致しました!」
「本当ですか?!ああ、よかった!」
親子は抱き合い、涙を流して喜んだ。
「約束通り、しっかりお礼させていただきますので」
陸人達は応接間へ案内され、それはそれは豪華な食事のもてなしを受け、帰りがけには札束の入った封筒と揚げたてのドーナツを手渡された。
「大変お世話になりました」
「いえ…」
なんとなく後ろめたさを感じながらも、一応両方もらっておいた。
「それから、もう一つお渡ししたいものが―――」
里長は背中の後ろから、何かを取り出した。それは赤い紐で結ばれた正方形の黒い箱だった。
「つまらないものですが、わが家に代々伝わる家宝でございます。どうかお納めください」
「いや、いただけないですよ、そんな大事なもの…」
「いえ、いいんです。どうせ持っていても使い道がありませんし、邪魔になるだけですから」
「は…はぁ、ありがとうございます」
「このご恩は一生忘れません。どうか道中お気をつけて」
塔を出て数分と経たないうちに、オーガストはもらった箱をさっそく開けようとした。
「ちょっと待ってよ、おじさん!」
「なんだ?俺の手柄なんだから、俺が開けたって構わないだろ?」
「いや、いいけどさ…もうちょっと僕らから離れた場所で開けてくれない?」
「ん?どういう意味だ?」
「だってさ…。もしかしたら玉手箱かもしれないじゃん?」
「玉手箱?」
「そうだよ。開けたとたんにおじいさんになっちゃうかもよ?」
「ふむ、そうだな…」
オーガストはしばらく箱を見つめたあと、
「じゃあ、やめておくか」
といったん陸人を油断させておいて、
「なーんてな!」
と、目にも止まらぬ速さで紐を解き、あっという間に箱を開けてしまった。
「うわぁっ!」
陸人はとっさに両手で顔を覆ったが、箱の中から煙が出てくることはなかった。
「おおおお!なんと、これは!」
オーガストがただならぬ様子で騒いでいる。
「うっせーな。何が入ってたんだ?」
どうでもよさそうに箱を覗きこんだシメオンだったが、中身を見た瞬間、彼もまた大声をあげた。
「えっ?何々?何が入ってたの?」
二人の声につられて陸人も箱の中を覗き込んだ。そして同様に驚嘆の声をあげた。
「こ、これって―――デルタストーンじゃん!」
そう。そこには黄金色に輝く三角形の石、デルタストーンが納められていたのである。
黒い扉の向こうで、ラプレッツェルは髪をぶんぶん振り乱しながら怒り狂っていた。
「髪…髪…髪…!わたしの髪!」
「落ち着きなさい、お嬢さん!」
「うるせークソ河童!」
「これを見てもそんな暴言が吐けるかな?」
オーガストは懐から四枚綴りのチケットを取り出して魔物の目の前に突き付けた。
「これが何だかわかるかな?」
「ふん…。ただの紙切れではないか!わたしが欲しいのはそっちの“カミ”ではない!」
「君はこの“カミ”の価値がわからないようだな。仕方がないから教えてやろう」
オーガストは勿体ぶるように言葉を切り、
「これは金持ちのマダムからちょろまかしてきた高級ヘアサロンの回数券だ!このヘアサロンは超凄いんだぞ?ななな、なんと!一度の施術で絹糸のようなさらつや髪が手に入るのだ!こいつを手放すのはかなり惜しいが、お嬢さんにくれてやろう!」
その場はしばし沈黙に包まれる。
陸人とシメオンは少し離れた場所から息を飲んで彼らを見守っていた。
すると、魔物が徐々に少女の姿へと変わっていった。
「その回数券を、わたしにくれるの?」
「ああ。この塔から出て行くと約束するのならな」
「…わかったわ、約束する」
「よし。ではそなたに進呈しよう」
オーガストは両手で回数券を差し出した。
「ありがとう、河童さん!」
少女は無邪気な笑顔を残し、部屋の窓から鳥のように飛び立って行った。
「すごい…。あっという間にいなくなっちゃった!やるね、おじさん!」
「アウロスの里の平和のためさ」
「嘘つけ。褒美をもらうためだろ?」
「まぁ、それもある」
「でもよかったの?貴重な回数券あげちゃって」
「問題ない。同じものをまだたくさん持っているからな」
オーガストは得意げに回数券の束を取り出して見せた。
「おい…」
眉を寄せながら、シメオンが指摘する。
「その回数券、使用期限切れてるぞ」
「な…何?!」
とたんにオーガストは焦り始めた。
「いかん…。確認してなかった。ああ、なんということだ!」
「で…でもさ、あの魔物にあげた券は、まだ期限切れてないんだよね?」
「いや…。あれはもっと古いやつだから、たぶん切れてるな」
「え…?それ、ヤバくない?」
「バレる前にずらかろう…」
陸人達は昇降装置の扉の前でボタンを連打しまくっていた。
ようやく扉が開いたかと思いきや、またしてもテディ達と鉢合わせてしまった。
「あ、どうでしたか、みなさん?」
「あ…。ええっと―――」
口ごもる陸人に代わり、オーガストが調子良く答える。
「どうぞご心配なく!髪の毛の魔物はこの凄腕魔法使いオーガスト・ロウが魔法で討伐致しました!」
「本当ですか?!ああ、よかった!」
親子は抱き合い、涙を流して喜んだ。
「約束通り、しっかりお礼させていただきますので」
陸人達は応接間へ案内され、それはそれは豪華な食事のもてなしを受け、帰りがけには札束の入った封筒と揚げたてのドーナツを手渡された。
「大変お世話になりました」
「いえ…」
なんとなく後ろめたさを感じながらも、一応両方もらっておいた。
「それから、もう一つお渡ししたいものが―――」
里長は背中の後ろから、何かを取り出した。それは赤い紐で結ばれた正方形の黒い箱だった。
「つまらないものですが、わが家に代々伝わる家宝でございます。どうかお納めください」
「いや、いただけないですよ、そんな大事なもの…」
「いえ、いいんです。どうせ持っていても使い道がありませんし、邪魔になるだけですから」
「は…はぁ、ありがとうございます」
「このご恩は一生忘れません。どうか道中お気をつけて」
塔を出て数分と経たないうちに、オーガストはもらった箱をさっそく開けようとした。
「ちょっと待ってよ、おじさん!」
「なんだ?俺の手柄なんだから、俺が開けたって構わないだろ?」
「いや、いいけどさ…もうちょっと僕らから離れた場所で開けてくれない?」
「ん?どういう意味だ?」
「だってさ…。もしかしたら玉手箱かもしれないじゃん?」
「玉手箱?」
「そうだよ。開けたとたんにおじいさんになっちゃうかもよ?」
「ふむ、そうだな…」
オーガストはしばらく箱を見つめたあと、
「じゃあ、やめておくか」
といったん陸人を油断させておいて、
「なーんてな!」
と、目にも止まらぬ速さで紐を解き、あっという間に箱を開けてしまった。
「うわぁっ!」
陸人はとっさに両手で顔を覆ったが、箱の中から煙が出てくることはなかった。
「おおおお!なんと、これは!」
オーガストがただならぬ様子で騒いでいる。
「うっせーな。何が入ってたんだ?」
どうでもよさそうに箱を覗きこんだシメオンだったが、中身を見た瞬間、彼もまた大声をあげた。
「えっ?何々?何が入ってたの?」
二人の声につられて陸人も箱の中を覗き込んだ。そして同様に驚嘆の声をあげた。
「こ、これって―――デルタストーンじゃん!」
そう。そこには黄金色に輝く三角形の石、デルタストーンが納められていたのである。
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